激安で賃貸する方法も!相続した空き家を貸し出す方法や事前準備を解説します

2024.08.06更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

激安で賃貸する方法も!相続した空き家を貸し出す方法や事前準備を解説します

相続した空き家を賃貸に出すことを検討中の方に向け賃貸方法や賃貸に出す際の注意点必要な準備などについて詳しく解説します。

相続した家が空き家のまま放置されているなら、
最適な賃貸方法で収益化につなげていきましょう

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目次

相続した空き家を放っておくと固定資産税が6倍?!

総務省統計局のデータによると、2018年の国内の空き家の数は846万戸で空き家率は13.6%となっており、1993年には448万戸(9.8%)だったのと比べると、2倍弱程度まで増えていることがわかります。

そして、国土交通省による「空き家等の現状について」を見てみると「相続して取得」が56.4%と過半数を占めており、両親から実家を相続するなどして家屋を所有したものの、うまく活用できず放置してしまっているというケースが増えてきているようです

また、「空き家から居住地までの距離が1時間超」となっている割合は全体の4分の1超となっています。今後、少子高齢化が進む中で相続等を理由とした空き家はますます増えていくことが予想されていますが、空き家が放置されると、犯罪や放火などさまざまな問題が発生しやすく、社会問題化していくことが考えられるでしょう

政府はその対策として2015年に「空き家対策特別措置法」を施行しています。空き家対策特別措置法は適切に管理されていない空き家について自治体が調査を行った後に問題があると判断されれば「特定空家」として指定し、所有者に対して管理を行うよう指導したり状況の改善を促したりできるというものです。

特定空家に指定されると固定資産税の負担が増える

特定空家に指定されると固定資産税における住宅用地の特例の適用が受けられなくなります。住宅用地の特例とは、土地の上に建物が建っていると固定資産税が最大6分の1に軽減されるというものです。

この特例は、たとえ空き家であっても適用されるようになっており、このことが空き家が減らない1つの要因ともなっています。建物を解体すると固定資産税の特例の適用を受けられなくなり、税負担が大きくなってしまうからです。

空き家対策特別措置法の施行により、相続した空き家を放置していると、固定資産税の負担が最大で6倍になってしまうため、「空き家が解体されずに放置されること」を防ぐ効果が期待されています

空き家を賃貸に出すメリット

このような固定資産税6倍のリスクを避けるためにも、相続した空き家が未活用で、将来的に住む予定もない場合は空き家を賃貸に出すことも検討するとよいでしょう。空き家を賃貸に出すことで、借主が管理してくれるようになるため、管理不足による特定空き家に指定されて固定資産税の特例を受けられなくなるといった問題を回避できます。

また、賃貸に出すことで家賃を得られるため、仮に郊外にある家で家賃が安かったとしても、固定資産税分くらいはまかなえる収益が望めます。さらに、借主が管理してくれることで、空き家のまま放置しているより定期的な草刈りなどの維持管理費を抑えることにもつながります

ただし、空き家は状態がよくないことが多く、そのまま賃貸に出せる状態にない場合にはリフォーム費用が必要になるといったデメリットについても注意する必要があるでしょう。

相続した空き家を賃貸に出す方法

ところで、相続した空き家を賃貸に出す方法としてはどのようなものがあるのでしょうか。

戸建て賃貸にする

まずは、戸建て物件として賃貸に出す方法です。都心部にある空き家だと、賃貸物件として戸建が出されていることは珍しく、戸建て賃貸が重宝される可能性があります。

また、郊外にある空き家であれば、そもそも賃貸物件が少ないことも多いです。借り手をうまく見つけることができれば長く住んでくれる可能性があるでしょう。戸建賃貸経営の基礎知識および管理方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

シェアハウスにする

戸建てをシェアハウスにするのも1つの方法です。シェアハウスのメリットは、1戸の建物で複数の入居者と契約を結べるということで、1人あたりの家賃は低くなりますが、入居者が複数になるため1世帯のみに貸し出すよりも収益が高くなる可能性があります

たとえば、戸建て賃貸として出すと8万円の家賃を得られる物件について、シェアハウスにすることで1人あたり3万円、合計4人で最大12万円まで家賃を得ることが可能です。1世帯のみに賃貸する場合、入居者がいなくなると収入がゼロになってしまいますが、シェアハウスであれば、複数の入居者が住むためリスク分散できるという点もメリットといえるでしょう

一方で、シェアハウスとして賃貸に出す際にはリフォームする必要が出てくる可能性があることや、管理の必要が出てくる可能性があることについて注意する必要があります。

レンタルスペースにする

レンタルスペースとは、パーティールームや貸し会議室などにするタイプの賃貸方法で、1時間1,000円など時間貸しとすることが多いです。このため、集客に成功すれば、ほかの賃貸方法以上の収入も期待できます。

賃貸に出すと、大家側から簡単に解約できなくなってしまいますが、レンタルスペースで時間貸しにすれば、ほかの用途で活用したいタイミングで転用しやすいというメリットもあります

ただし、レンタルスペースは高い収益性を期待できる一方で、時間貸しが終わったタイミングでクリーニングする必要があるなど、管理の手間も増えやすい点に注意が必要です。

民泊にする

民泊を運営することを検討してもよいでしょう。民泊は外国人が利用することが多いことから、観光地や繁華街から近い立地であれば集客が期待できます。

相続した実家を活用するようなケースでは、畳など日本家屋らしさを打ち出すことで、ほかの宿泊施設と差別化できることも可能です。民泊は、Airbnbといったインターネット仲介サービスの登場により国内でも人気が出てきています。

過去、宿泊施設は旅館業法として許可を取る必要があったことなどから、ほとんどの物件で許可を得ずに営業されている時期がありましたが、2018年に施行された民泊新法により一定の条件を満たした上で事前に届け出をすれば比較的簡単に営業できるようになっています。

ただし、民泊新法に基づいて民泊に取り組む際には年間の営業日数を180日以内にしなければならないという点に注意が必要です。

DIY可物件にする

立地や建物の状況など、あまり需要が見込めなさそうであれば低価格でDIY可物件にして貸し出すという方法もあります。貸主からすれば、DIY可物件にすることで、リフォーム費用などを負担する必要がないというメリットがあります

一方、借主側にも低家賃で借りられて、自分の好きなようにDIYできるという点でメリットが生まれます。「ほかの方法でなかなか活用できないけど、興味がある人がいれば住んで管理してもらいたい」といったスタンスの人におすすめだといえるでしょう。

賃貸方法に迷ったら不動産会社に相談しよう

相続した空き家を賃貸に出す方法についてお伝えしましたが、それぞれ需要に合う方法を選ぶことが大切です。しかし、自分の空き家がどの賃貸方法に合っているか分からないという方もいらっしゃるでしょう。そうした方は、どのように活用していけばいいか不動産会社に相談してみることをおすすめします

相続した空き家を賃貸に出すための事前準備

ここでは、相続した空き家を賃貸に出す前にやっておくべき事前準備についてお伝えしていきます。具体的には、以下のようなことを実施するとよいでしょう。

1. 貸し出す方法を検討する
2. リフォームを検討する
3. 家賃を検討する
4. 契約形態を検討する
5. 不動産会社(管理会社)を選定する

それぞれについて解説していきます。

1. 貸し出す方法を検討する

まずは貸し出す方法を検討しましょう。先ほどご紹介した賃貸方法を参考に、自分の空き家を賃貸に出すにはどの方法が適しているかを考えます。判断しかねる場合や迷った場合には不動産会社を頼ることおすすめします

2. リフォームを検討する

次にリフォームを実施するかどうかを検討します。空き家を賃貸に出す場合、リフォームを実施してその費用を回収できるかどうか慎重に判断することが大切です。

特に築年数の古い物件については家賃も低く設定せざるをえなくなります。たとえば築年数が40年を超えるような物件については、よほど立地がよい物件でもない限り、十分な家賃を確保することは難しいでしょう。そうしたケースでは、前述したDIY可物件で賃貸することも検討するとよいでしょう

3. 家賃を検討する

賃貸方法やリフォーム実施の有無が決まったら、家賃を検討しましょう。周辺の賃貸物件の家賃相場を調査して、入居者が決まりそうな価格を設定します。

一度家賃を設定した後もうまく入居者が集まらない場合には見直しを実施するとよいでしょう。ただし、家賃を後で値上げするのは難しいことも多いため、最初の段階であまり低く設定しすぎないことも大切です。

4. 契約形態を検討する

賃貸契約を結ぶのか、時間貸しで利用してもらうのかなど契約形態を決定します。また、賃貸契約でも普通借家契約なのか定期借家契約なのかといった点も検討します。定期借家契約だとあらかじめ設定した期間が経過した後は、更新なく契約を打ち切ることができるため、ほかの用途での活用も検討している際などに便利です。

ただし、入居者を見つけづらくなることも多いため注意が必要です。運用の方針や、物件の特性などをよく見て判断することが大切だといえるでしょう

5. 不動産会社(管理会社)を選定する

最後に不動産会社を選定します。管理会社に管理を依頼すると管理費を支払う必要がありますが、管理の手間がかからなくなるのに加え、基本的には管理の質もアップするため、管理委託することをおすすめします。

また、どこまで管理するかによって管理費が変わるため、入居者の募集や契約業務だけ委託するのか、月にどのくらいの頻度で物件を清掃してもらうのかなど管理会社と契約前に打ち合わせしておきましょう。

不動産会社では空き家を扱ってくれない場合がある

郊外にある空き家など賃貸需要が低い物件だと、不動産会社が取り扱ってくれないこともあります。高い家賃を設定できないため、仲介手数料や管理手数料が低くなってしまうのにも関わらず、入居者募集や管理に手間がかかってしまうからです。その際は空き家バンクの利用を検討してみるとよいでしょう。

空き家バンクは、自治体などにより運営されるもので、見た目上は不動産会社の物件検索サイトなどと大きくは変わりません。特徴として、空き家バンクに登録した物件に問い合わせがあった場合、物件の案内や契約などは自分で手続きする必要があるということです。

空き家バンクはそもそも郊外にあるような空き家に低価格で住みたいという方が閲覧することが多く、需要と供給がマッチしやすい点もポイントだといえます。

空き家バンクに登録する際の手続き

空き家バンクに登録する際には以下のような手続きで進めることになります。

1. 必要書類を提出

まずは、空き家バンクの登録に必要な書類を提出します。空き家バンクは多くの場合自治体による運営となり、必要書類の内容についても自治体ごとに異なります。

一般的には、登録申込書などのほか、間取り図や登記簿謄本、総量図など空き家に関する書類を提出しますが、あらかじめ登録する自治体に必要書類について問い合わせしておくとよいでしょう。

2. 自治体が現地調査を行う

登録申請した物件について自治体の担当者が現地調査を行います。空き家バンクに掲載される写真なども、この時に撮影してもらうことができます。現地調査の日程までに、できるだけ空き家をきれいにしておくとよいでしょう。

3. 空き家バンク登録

現地調査が住むと、担当者の方が空き家バンクに物件を登録してくれます。現地調査は審査もかねており、すべての物件が登録されるわけではありません。審査承認となった場合には、売買希望金額・賃貸料希望金額や修繕の有無など登録する内容について打ち合わせすることになります。

4. 情報公開と募集開始

情報が公開された後は、登録した情報を見て問い合わせがあった場合に、空き家バンクの担当者から連絡を受けることになります。問い合わせがあった場合には、基本的に自分で動く必要がありますが、自治体によっては専門業者のあっせんをしてくれるケースもあります。

そうでない場合にも、案内や契約など別途不動産会社に相談することで引き受けてくれることもあるため、最寄りの不動産会社に相談してみるとよいでしょう

相続した空き家を賃貸に出したら確定申告が必要

相続した空き家を賃貸に出して家賃を受け取った場合には、確定申告して税金を納める必要があります。確定申告しないでいると無申告加算税など課されることになるため、注意が必要です。

まとめ

相続した空き家を賃貸に出す方法についてお伝えしました。空き家は放置しているとさまざまなリスクやデメリットが発生してしまいますが、賃貸に出すことでそれらの多くを解消できます。賃貸の方法もさまざまで空き家によって適した方法が異なるため、この記事の内容を参考に、ご自身の物件にぴったりな活用法を検討してみてください。

相続した家が空き家のまま放置されているなら、
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逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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