サブリースとは?仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説します

2024.07.31更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

サブリースとは?仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説します

賃貸経営の不安要因として挙がる、空室リスク。対策方法であるサブリースの仕組みや注意点をご紹介いたします。

この記事のポイント
  • サブリースには賃料固定型(家賃保証型)と実績賃料連動型(パススルー型)があります。
  • サブリースは賃貸経営で空室リスクを回避する一つの方法です。
  • サブリースのメリット・デメリットは自身でしっかり把握することが大切!

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目次

サブリースとは?仕組みを解説

サブリースとは、サブリース業者が賃貸物件の所有者から賃貸物件を借り上げて、サブリース業者が入居者を募り、入居者から家賃収入を得ます

賃貸物件を一棟丸ごと借り上げて、サブリースを行うことを一括借り上げとも言います。サブリース業者と入居者が賃貸借契約を締結し、賃貸物件の大家さんは賃貸物件の空室の有無を問わず、サブリース業者から賃料(サブリース賃料)を支払われることになります。

サブリースには、空室リスクを回避することができる等のメリットがありますが、デメリットもあります。賃貸物件の所有者に支払われるサブリース賃料は、入居者がサブリース業者に支払う賃料より一定の額を差し引いて、サブリース業者から大家さんに支払われることになります。なお、サブリースの契約方法は、実績賃料連動型(パススルー型)と賃料固定型(家賃保証型)の2種類です。

賃料固定型(家賃保証型)

賃料固定型(家賃保証型)は一般的なサブリースの方法です。入居状況に関係なくサブリース業者が一定の賃料を支払うため大家さんの収入は安定します。また、空室対策や家賃滞納などに頭を悩ませることがない点も賃料固定型のメリットといえるでしょう。

実績賃料連動型(パススルー型)

実績賃料連動型(パススルー型)とは、入居者が支払う家賃がそのまま大家さんの収入となるサブリースの方法です。賃料保証がないため、入居率が低ければその分収入も減るリスクがあります。大家さん自身で空室対策を行う必要があり、労力を要しますが、入居率が高まれば収入が増加するメリットがあります

サブリースのメリット

サブリースのメリットを整理してみましょう。

空室、滞納リスク回避

サブリースの一番のメリットは、空室リスクを回避できることです。入居者がいても、家賃を支払ってもらえない時には滞納リスクが生じます。サブリースを活用することで、そのリスクはサブリース業者に移転します。

サブリースを活用しない場合と比較すると、家賃収入は減少することになりますが、サブリース契約に定められた一定の収入を得られることは大家さんにとって大きなメリットです

管理を代行してもらえる

サブリースを活用することにより、入居者募集や賃貸契約の締結、家賃回収、入居者対応などの管理業務をサブリース業者に代行してもらえることになります。手間のかかる管理業務をプロに一括して任せることができることも、大家さんにとってのメリットと言えます

確定申告が楽になる

賃貸経営を行うと確定申告が必要となります。サブリースを活用することで、上記のように管理業務はサブリース業者が行ってくれることになるため、大家さんは入居者の入退去時にかかる費用などの計上が不要です。そのため、確定申告にかかる収支管理が簡便になるという点も大家さんにはメリットとなります。

サブリースのデメリット

サブリースには、メリットもありますが、デメリットもあります。デメリットについて、整理しておきましょう。

サブリース業者倒産のリスク

サブリース業者が倒産すると、サブリース賃料を受け取ることができません。サブリース業者が入居者と締結した賃貸契約は大家さんが引き継ぐことになります。これは空室リスクも大家さんに移転することを意味します。

つまり、サブリース時の賃料は入居率に関わらず支払われますが、サブリース業者が倒産してしまうと、賃料収入は入居率に応じて変動するため、満室経営が続いていた場合には自主経営として建て直しの道はありますが、入居率が低い場合には、賃料収入は減少することになり、赤字になることもあります。

また、サブリース業者が入居者から預かった敷金を引き継ぐことができない可能性もあります。その場合、入居者が退去する際、敷金の返金が生じる場合には大家さんの自己負担が必要となることもあるでしょう。

収益性

サブリースを活用することで、空室リスクを回避するなどのメリットはあるものの、本来の家賃を下回るサブリース賃料を受け取ることになるデメリットもあります。また、サブリースを活用しない場合、周辺の家賃相場に合わせて賃料上昇が見込める場合があります。また、礼金収入を得ることもできますが、サブリースを活用する場合、礼金収入はサブリース業者の収入となります

このように収入の最大化ができないことはサブリースのデメリットになります。

入居者の審査ができない

入居者募集や入退去の手続きなどは、サブリース業者が行うことになります。そのため、大家さんが自ら入居者を選ぶことはできません。サブリース業者としては、入居率に関わらず大家さんにサブリース賃料を支払う必要があります。そのため、サブリース業者によっては、入居者審査のハードルを低く設定することもあるでしょう。大家さんとしては、好ましく思わない入居者が入居する可能性もあります

サブリースの注意点

サブリースのメリット・デメリットを踏まえた上で、サブリース活用の検討をする際に注意しておきたいポイントがあります。

家賃保証

サブリース賃料は、入居者からサブリース業者が受け取る家賃から一定の費用を差し引いて支払われます。もしも、サブリース業者が受け取る家賃を上回る家賃保証がうたわれている場合は、なぜそのような家賃保証ができるのか、納得いくまで説明を受けましょう。また、サブリース賃料の収入で、賃貸経営のキャッシュフローが成立するかについても大家さんが自ら確認しておきましょう。

家賃保証の見直し

サブリースでは、数年ごとにサブリース賃料の金額見直しを定めていることが一般的です。当初提示された家賃が保証されるのがいつまでなのか、その後、どのようにサブリース賃料の金額が変化していく可能性があるのか、サブリース業者にシミュレーションを依頼、または類似案件の事例確認をしておきましょう

免責期間

免責期間とは、家賃保証を行わない期間のことです。免責期間には、新築時における全部屋について家賃を免責する期間、そして入居者が退去した際の家賃を免責する期間(以下、再免責期間)の2種類があります。

新築時における全部屋について家賃を免責する期間は、入居者募集を行ってもすぐに入居者が決まるとは限らない等の理由から設けられているのが一般的です。

また、再免責期間は、ハウスクリーニング等のメンテナンスを行ったり、再び入居者募集を行って入居者が決まったりするのに時間を要するという理由から設けられています。免責期間は、会社により異なりますが、1~3か月程度が一般的です。

解約

大家さんからサブリース契約の契約期間中に解約を申し出ると、違約金を求められる場合があります。一方、サブリース業者から解約を申し出た場合、違約金が発生しない契約内容になっていることが多いでしょう。サブリース契約の中途解約について、どのように規定されているかを確認しておきましょう

修繕費用

サブリース契約には、建物や部屋の修繕については、サブリース業者もしくはサブリース業者が指定する会社が行うことが契約条件になっていることもあります。その場合、修繕費用がサブリース賃料から差し引かれるため、さらに賃料収入は低くなります。その賃料収入で、賃貸経営のキャッシュフローが成立するかについても大家さん自ら確認しておきましょう。

【サブリース新法とは】法改正でリスク減少?

2020年6月に、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が国会で可決成立しました。通称サブリース新法です。これまで問題になりやすかった点への解決策として、2020年12月施行の「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」の中で、以下のような規定が法律に盛り込まれています。

・誇大広告等の禁止
・不当な勧誘行為の禁止
・特定賃貸借契約締結前の重要事項説明

詳しくは以下の記事を参照ください。

サブリースのトラブル事例

ここでは、サブリースのトラブル事例をご紹介します。こちらの事例はメディアでも大きく取り上げられたため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

【シェアハウスをめぐるトラブル】

このシェアハウス業者は、シェアハウスの販売の他、そのシェアハウスのサブリース事業も行っていましたが破たん。それによってさまざまな問題が明るみに出ました。

本来、シェアハウスの大家さんに対して支払われるサブリース賃料は、実際に入居者から支払われる賃料を下回ります。しかし、トラブルに至ったシェアハウスのサブリースでは、入居率に関わらず、入居者から支払われる賃料を上回るサブリース賃料を、30年定額で完全保証することをうたっていました。その中には、低廉なシェアハウスを実際の価値よりも高額な価格で販売し続けることによって成り立つ、いわば自転車操業的なビジネススキームとなっているケースもありました。

サブリース業者を選ぶ時のポイント

サブリースの活用を検討する際、注意しておきたいポイントはさまざまです。サブリース業者を選ぶ際には、どのようなポイントをチェックしておけばよいのでしょうか。

まずは、契約内容です。保証される家賃金額、修繕費の負担や管理内容などがどのように規定されているかを確認しておきましょう。サブリース賃料が支払われる支払いタイミングや免責期間も重要な確認事項です。また、解約条件に関して、中途解約する場合の違約金の有無などにも注意を払う必要があります。

既にお話したように、サブリース業者が倒産してしまうとサブリース賃料の保証がなくなります。信用できる会社であるかどうかを調べましょう。その際には、サブリースに詳しい第三者にも意見を求めて慎重に判断することをおすすめします

その他の委託サービスも検討してみよう

サブリースを活用することにより、空室リスクへの対策、管理業務の簡便化などを図ることができますが、サブリース以外にもさまざまな委託サービスがあります。サブリース一択ではなく、その他の委託サービスについても検討をするのも一案です。

管理委託

賃貸経営にかかる管理業務を代行してくれる委託サービス。

滞納委託

滞納家賃の回収を代行してくれる委託サービス。

空室補償

月々定額の補償料を支払うことで、空室が生じた場合には補償額を受け取ることができるサービス。サブリースと異なり、礼金等の収入は大家さんが受け取ることが可能。

よくある質問

こちらの章では、サブリースに関するよくある質問をまとめています。
サブリース業者にはどのような会社がある?
サブリース事業を行っている業者にはさまざまな会社があり、大まかに種別すると、大手建設会社(ハウスメーカー系)、大手不動産チェーン、地域の不動産会社(独立系)の3種類になります。詳しくはこちらの記事を参照ください。
サブリースで起こり得るトラブルとは?
本記事ではシェアハウスをめぐるトラブル事例を紹介しました。その他にも、「サブリース業者からサブリース家賃の減額を求められた」や「メンテナンス業者の変更を拒まれた」などトラブルはさまざまです。どのようなトラブルが起こり得るのかを把握しておくことでトラブルに対する事前対策が可能になります。詳しくはこちらの記事を参照ください。
サブリースの契約締結で気をつけるポイントは?
サブリース契約を締結する際は、必ず契約書を丁寧に確認する必要があります。サブリース賃料、契約期間解約についてはとくに確認しておきたい事項です。契約書の確認をすることで契約内容の見直しができるほか、トラブル回避につながることもあります。詳しくはこちらの記事を参照ください。

まとめ

最近ではネガティブなニュースが目立ちますが、サブリース自体は、賃貸経営において空室リスクを回避する有効な手段です。しかし、会社選びを慎重に行い、押さえておきたいポイントを確認しておくことが肝要です。業者に勧められたから、というだけではなく、自分にとって有効かどうかをじっくりと考えた上で、正しく理解して活用するようにしましょう。

サブリースにはメリット・デメリットがあります。大切なことは、
自分自身でしっかりと理解・把握・納得すること!

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この記事の監修者

キムラ ミキ
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AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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