水道メーター交換は8年ごと。大家さんなら知っておきたい公設と私設メーターの違い。

2024.08.20更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

水道メーター交換は8年ごと。大家さんなら知っておきたい公設と私設メーターの違い。

新米大家さんに向けて、水道メーターの基礎知識、公設/私設メーターの違いやメリット・デメリットを解説いたします。

この記事のポイント
  • 水道メーターには有効期限があり、8年ごとに交換が必要です。
  • 公設メーターは水道局が、私設メーターは大家さんが費用負担して設置するものです。
  • 公設/私設それぞれのメリット・デメリットは確認しておきましょう。

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目次

水道メーターの基礎知識

水道メーターには、公設(水道局が設置するもの)と私設(大家さんが設置するもの)があるということはご存じですか?まず水道メーターの基礎知識について、ご説明いたします。

水道メーターの基礎知識

水道メーターとは、文字通り水道の利用量を検針するためのメーターです。水道メーターには、直読式と円読式があります。一般的な水道メーターは直読式で、表示されている数字を左から読み上げるタイプです。一方で、円読式は黒い指針が示す、いくつかの円メーターを左から読み上げるタイプです。

なお、いずれのタイプでも水道メーターには、有効期限があり、8年ごとに交換が必要です。水道メーターの蓋の裏に有効期限の記載がありますので、確認しておくとよいでしょう。水道メーターは敷地内にある「量水器」と書かれたメーターボックスまたはパイプスペースの中に収納されています。

所有する賃貸物件において、漏水トラブルが発生する可能性もあります。水道メーターの見方が分かっていると、漏水が発生しているかどうかのチェックもできます。漏水トラブルが発生した時にすぐに対応することができますので、この機会に水道メーターの場所を確認しておくようにしましょう。

水道メーターには公設と私設がある

水道メーターには、公設メーターと私設メーターがあり、いずれも8年ごとの交換義務があります。公設メーターは、水道局が設置した水道メーターで、原則として水道局が費用負担をして設置されます。また、定期的な交換費用も水道局負担となります。一方、私設メーターは、設置費用を大家さん負担で設置する水道メーターです。

交換時期が到来した時にも大家さん負担で交換が必要です。交換は義務です。そのため、まだ使用できるからといって交換せずに使用し続けるのは法律違反となりますので注意しましょう。

水道メーターの公設と私設の違い

水道メーターには公設メーターと私設メーターがあることについては、すでにお話しました。集合住宅の場合、各戸に公設メーターを設置しているケースと各戸に私設メーターを設置しているケースの2つに大きく分けられます。

各戸に公設メーターを設置する場合

各戸に公設メーターを設置する場合、各戸の水道料金の徴収管理を水道局が行います。

メリット

各戸に公設メーターを設置すると、水道局が各戸の水道メーターの検針を行い、水道料金の請求および徴収管理を行います。大家さんの手間がかからないという点が、各戸に公設メーターを設置する場合の大きなメリットでしょう。

また、水道メーターの交換も水道局の負担となり、大家さんの費用負担はありません。

デメリット

各戸に公設メーターを設置する場合、建物が一定基準を満たす必要があります。そのため、現在所有する賃貸物件が、各戸に公設メーターを設置していない集合住宅である時には、一定基準を満たすための工事が必要となる場合があります。

また、各戸に公設メーターを設置する場合、各戸分の水道加入金を水道局に納付しなければなりません。これも大家さんの負担です。工事費用および各戸の水道加入料が必要となる点が、各戸に公設メーターを設置する際のデメリットといえます。

各戸に私設メーターを設置する場合

各戸に私設メーターを設置する場合でも、集合住宅全体に公設メーターは1つあります。これを親メーター、そして各戸の私設メーターを子メーターと呼ぶこともあります。

水道局からの請求は大家さん宛に届きます。各戸からの水道料金の徴収管理は大家さんまたは委託を受けた管理会社が行います。

メリット

各戸に私設メーターを設置する場合、公設メーターを設置時に必要な建物基準を満たす必要がありません。そのため当初の工事費用を抑えることができます。また、水道加入金を各戸分負担する必要もありません。

このような費用面において各戸に私設メーターを設置するメリットがあるといえるでしょう。なお、私設メーターの新設には、種類や口径にもよりますが10,000円~20,000円程度×戸数の費用がかかります。

デメリット

水道局は、公設メーターで集合住宅全体の水道使用量を検針して、一括して大家さんに水道料金の請求を行います。大家さんは、各戸の私設メーターを検針し、各戸の水道料金を確定させます。その水道料金の請求書を各戸のポストに投函するなどして各戸に通知します。

水道料金の徴収は家賃と合わせて振り込み、口座振替などで行います。大家さんにこのような手間がかかるという点が、各戸に私設メーターを設置する場合のデメリットといえます。

私設メーターの仕組みと交換義務

大家さんの中には、私設メーターを設置しないで、共益費を水道代込みとするなど、毎月定額、もしくは全体の水道料金を戸数での均等割にするなどして、水道料金を徴収しているケースもあるでしょう。

しかし、入居者によっては、ほかの入居者に比べて水道利用量が多い方もあるかもしれません。場合によっては、大家さんが不足分を補填しているということもあるのではないでしょうか?

入居者間の不公平感や大家さんの損失を回避するためにも、私設メーターを設置して、各戸の利用状況に応じた適正な水道料金徴収をするということを考えてみるのも一案です。今後私設メーターを設置しようと考える方に向けて知っておきたい点を、今一度整理してご説明いたします。

水道メーターには交換義務がある

私設メーターも、公設メーター同様に設置後、壊れるまで使い続けることはできず、8年ごとに交換義務があります。これは、計量法施行令(計量法)によって定められていることです。もし交換の義務を怠った場合、法律違反となり、6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、またはその両方が科せられるという点を大家さんとして、知っておきましょう。

なお、交換費用は、大家さんの負担となります。新設時よりも交換の際の費用は、先述した費用目安よりも低いでしょう。

検針は誰が行うのか

公設メーターの検針は水道局の検針員が行います。私設メーターについては、原則として大家さんが検針を行います。私設メーターの検針を管理会社に委託することもできます。

水道料金の定額や均等割徴収ではいけないのか?

入居者から徴収する水道料金を定額や均等割にすれば、私設メーターの手間がかかりません。しかし、入居者の中に水道利用が多い方がある場合、ふとしたことで、ほかの入居者が利用状況と比較して水道料が多いことに気づいて、水道料金に不満を感じる可能性もあります。それが発端となり、不満が募り、退去につながってしまっては家賃収入の減収につながってしまいます。

水道料金を定額や均等割にしても、入居者間の不公平感をださないためには、各戸の水道使用量の確認を行い、請求根拠を持っておくことが大切です。

水道代は誰が支払うのか

公設メーターの検針によって確定した水道料金は、水道局から大家さん宛に請求されますので、支払いは大家さんが一括して行います。

私設メーターの検針結果をもとに、各戸の利用量に応じて、各戸の水道料金を確定させて、各戸に水道料金を請求します。各戸の水道料金は、入居者が大家さんに支払います。

まとめ

所有している賃貸物件で、大家さんもしくは委託している管理会社が水道料金の徴収を行っているという場合、少なくとも各戸に公設メーターはありません。その場合、大家さんの裁量で水道料金を請求できるわけですが、適正な水道料金を請求するために、根拠は必要です。

とはいえ、今から各戸に公設メーターを設置するには、ご説明したとおり工事費用や水道加入金などの費用もかかるため、今すぐには対応が難しいという大家さんもいるかもしれません。その場合には、私設メーターの設置も一案です。私設メーターとはいえ交換義務もありますが、各戸私設メーター設置であれば、各戸公設メーター設置より費用を抑えたうえで、請求根拠を持つことができます。

今回の記事をきっかけにして、入居者間に水道料の不公平感を持たせないためにできることを、管理会社と相談してみてはいかがでしょうか。

私設の水道メーター設置を検討中の大家さん!
メリット・デメリットを確認しましょう。

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キムラ ミキ
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AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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