賃貸物件の空室対策に。玄関ドア交換で印象アップにつなげよう

2024.02.26更新

この記事の監修者

岩野 愛弓

岩野 愛弓

【資格】宅地建物取引士

賃貸物件の空室対策に。玄関ドア交換で印象アップにつなげよう

玄関ドアの交換は、物件に好印象を持ってもらえる空室対策の1つ。玄関ドア交換の費用やおすすめ商品などをご紹介します。

目次

賃貸物件の玄関ドア交換が空室対策につながる理由

2020年に調査された賃貸物件の「人気設備ランキング」をみると、人気設備の上位には、インターネット無料の環境やオートロック、宅配ボックス、ホームセキュリティやTVモニター付きインターホンなどが上がっています。防犯性にも意識が高いことがうかがえます。

防犯性を高める方法の1つとして、玄関ドアの交換があります。鍵の種類を工夫することによって防犯性が高まること、玄関ドアのリニューアルで物件のイメージアップなどさまざまなメリットがあります。それぞれのメリットについて、具体的にご紹介していきましょう。

外観の向上

玄関は住まいの「顔」ともいえるものです。入居者はもちろんのこと、来訪者からの印象も大きく左右する部分です。物件の内装をきれいにリフォームしても、玄関ドアが古いままの場合、物件の内見時で好印象にならない可能性があります。玄関ドアという限られたアイテムでも大きく印象が変わります。

防犯性の向上

玄関ドアの鍵に、ディンプルキーなどピッキングされにくいものを採用すると、一般的な鍵よりも防犯性が向上します。防犯対策の意識が高い女性の一人暮らしや、未就学児や低学年の子どもを持つファミリー層に設備のアピールすることができます。

利便性の向上

玄関ドアの鍵にスマートキー(電子錠)を採用すると、カードキーやリモコンキーなどが使えて、両手が塞がっていても解錠することができるなど利便性が向上します。買い物帰りで手がふさがっているときや小さな子どもと一緒のときなどでも、スムーズに鍵を開けることができて便利でしょう。

断熱性・遮音性の向上

断熱性や遮音性のある玄関ドアに交換することで、外気温が室内温度に影響することを防げたり、外部の騒音を遮断できたりする効果が期待できます。断熱性能が向上すると、冷暖房の節約にもつながり入居者へのアピールもできるでしょう。

賃貸物件の玄関ドア交換はターゲットに合わせて選ぼう

実際に玄関ドアを交換するときに、どのようなポイントに気を付けて採用すればよいかは、ターゲットとする入居者の顧客層によっても異なります。たとえば、単身者をターゲットとするワンルームの場合は、学生から社会人などが想定されますので、若年層に好印象を与えるデザイン性を考慮したり、一人暮らしという観点から防犯性も重視したりするようにしましょう。

立地条件によっては、断熱性や遮音性を重視しなければならないこともありますので、住居者層にくわえて、地域の気候風土にも合わせた選択が大切です。

次に、実際に玄関ドアを交換するときの費用や工事期間、ドアの種類などについてご紹介していきます。

賃貸物件に向いている玄関ドアの種類

玄関ドアを交換するには、ドア枠ごと交換する方法と、ドアの部分のみを交換する方法があります。ドア枠ごと交換する場合は、枠が壁に接しているため一部の壁を壊さなければならず大掛かりになることがあります。

枠を外すことなく玄関ドアを交換できる「カバー工法」の場合は、壁を壊す必要がありませんので費用を抑えて短期間で施工が可能です。なお、交換費用と工期の目安は次のとおりです。

・玄関ドアの交換費用・・・・・・6~8万円(築30年以上のアパートの場合の目安)
・工事期間・・・・・・カバー工法の場合は1日~2日、枠ごと交換の場合は5日~8日

玄関ドアの費用は、交換するドアの仕様や鍵の形状によっても異なります。また、カバー工法のように壁に手を掛けることなく交換できれば短期間で完了できますが、ドアの周囲の壁も壊す場合は、外装仕上げ工事なども必要になるため、1週間程度の工期が必要です。

引き戸

引き戸は扉を横にスライドさせて開けるタイプの玄関扉です。和風の住宅などで採用されることが多いでしょう。玄関前のポーチなどが狭くても、扉を容易に開けることができます。

片開き(開き戸)・両開き

片開きはいわゆる「ドア」と呼ばれるもので、玄関ドアとしては一般的です。引き戸と比較すると密閉度が高く、断熱性や遮音性に優れています。鍵の種類のバリエーションが多く、扉のデザインも豊富です。

片開きのほかに、両開きタイプもあります。文字どおり扉が2枚あって両方を同時に開くことができます。大きな開口部を確保したい場合には便利でしょう。

玄関ドアにも耐用年数がある

玄関ドアにも耐用年数があります。おおよその目安は25年ほどで、アルミ製なら20~30年、木製なら15~20年が経過したら交換を検討しはじめても良いでしょう。玄関ドアは外気に面していることが多いため、直接日光が当たったり、雨が当たりやすい場所だったりすることで経年劣化が進みます。

金属製の玄関ドアは、サビが出てくると交換を検討する時期と判断してもよいでしょう。また、木製の場合は、塗装で対応できるものか、木部が傷んでいるかで交換時期が異なります。

賃貸物件の玄関ドアは大家さんが交換可能か

大家さんが自分で玄関ドアの交換をするのは、かなり難しいでしょう。室内のドア交換と違い、玄関ドアは重量があり取り付け金具も多く、建て付けの調整もプロの手を借りないとうまくいかない可能性が高いと考えられます。交換するときは、プロにお任せすることをおすすめします。

賃貸に合った玄関ドアの商品紹介

賃貸物件では、実際にどのような玄関ドアのバリエーションがあるでしょうか。メーカー別にご紹介していきます。

玄関ドアDA・玄関ドアDA防火戸:LIXIL

LIXIL V43 片開き ラフアンバーエルム

LIXILの玄関ドアDA・玄関ドアDA防火戸は、スマートロックシステム FamiLock(ファミロック)は2019年のキッズデザイン賞を受賞。スマートフォン、リモコン、カードキー、手動キーと好みの1人ひとりが「わたしのカギ」を選ぶことができることが特徴で、専用アプリを入居者がスマートフォンにインストールすれば、Bluetooth®通信により玄関ドアのボタンを押すだけで施解錠ができたり、アプリ内で施解錠の履歴も確認できます。

断熱性や防犯性にも優れ、デザインによっては採光・採風が可能であったり、玄関上にLED照明を搭載していたりと、入居者のさまざまな暮らしに寄りそった玄関ドアとなっています。

防火ドアG シリーズ アパート用玄関ドア:YKKAP

YKKAP 防火ドアGシリーズ アパート用玄関ドア D4仕様 902 AX 片開き DH=19 レバーハンドル 2ロック ポスト無

YKKAPの防火ドアGシリーズは、防火設備として国土交通大臣の認定を受けた商品です。燃えにくい材質の扉、扉変形時も安心のガラス脱落防止構造、火災に強い網入ガラスの使用と徹底した防火対策で入居者に安心をアピールできます。

防火ドアGシリーズは、ドアアイ・ディンプルキー・鎌錠を標準装備し、防犯性も高い玄関ドアとなっています。また、現代のさまざまなアパートの外観に似合うよう、デザインとカラーを豊富に取り揃えています。

アパートドアAxⅡ:三協アルミ

三協アルミ アパートドアAXⅡ 01型ホットブラウン

AxⅡは、外部建具や設備を得意とする三協アルミの製品です。モダンから西洋風までデザインバリエーションを揃えていること、使われている部材の高級な質感が特徴です。

断熱性能にも力を入れており、寒さの厳しい寒冷地地域にも対応した仕様です。防犯性を意識したディンプルキーが標準仕様であるほか、ドア本体にポスト穴や室内側のポスト受け箱など賃貸物件に対応している点にもポイントです。

玄関ドアの交換には補助金の対象になる可能性がある

玄関ドアのような部分リフォームでも、公的補助金の対象となる可能性があります。部分リフォームとはいえ、工事の内容によってはドア周囲の壁を解体する可能性もありますから、補助金を上手に利用して少しでも負担を削減しましょう。

玄関ドアの補助金制度の種類

玄関ドアの交換で補助金の対象となりそうなものは、以下の通りです。

・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
・断熱リフォーム支援補助金
・次世代省エネ建材支援補助金
・長期優良住宅化リフォーム補助金
・このほか、各自治体の補助金制度

一部の補助金制度は、主に住宅性能を向上させる目的であることが必要になります。断熱性能を向上させるなど、それぞれの適用要件に該当するか事前に調べておくことをおすすめします。また、施工会社が補助金についてくわしい情報を持っているかも確認しておくと、製品を選ぶ際にも安心です。

まとめ

玄関ドアは、物件の印象にも大きく影響します。住まいの雰囲気に合うデザインや断熱・遮音性能、防犯性なども考慮して、コストバランスのよいものを選択しましょう。イメージアップを図り、空室対策の1つとしても検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

岩野 愛弓

岩野 愛弓

【資格】宅地建物取引士

注文住宅会社に15年以上従事し、不動産売買業務の他、新築・リフォームの内外装、家具・建具造作の現場監修を行う。オリジナルデザインの住宅を数多く経験。不動産・住宅専門の執筆活動も行っている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。