キッチンの換気扇は物件の印象を古くする?
建物が古い賃貸物件であっても、キッチンに換気設備を設定しているのが一般的です。とくに故障しているわけでもない場合、交換のタイミングがなくそのまま使っている物件もあるのではないでしょうか。
そもそも古くから使われている換気設備は、換気扇(プロペラファン)という小型のものが多く、見た目としてお部屋の印象を古くしてしまうこともあります。
レンジフードに新しくすることで、キッチンの設備周りのイメージアップにもなり、また換気の機能アップにも効果的です。入居者は内見する前に、物件の画像などで設備や居室内の仕様をおおよそ判断しますので、近年使われているタイプに変えておくと空室対策にもつながるでしょう。
換気扇とレンジフードの違い
キッチンの換気設備として、「換気扇」と「レンジフード」の二つがあります。それぞれの特徴は次の通りです。
換気扇はプロペラファンともいわれ、本体は小型で壁などに取り付けてあります。プロペラの羽がついていて、プロペラが回ると、室内の空気を巻き込みながら外部に吐き出します。
換気扇は通常、外部に面した壁面に取り付けてあり、外部に直接排気します。
レンジフードはシステムキッチンなどで一体式で取り付けられているもので、本体は大型です。代表的なものにシロッコファンのレンジフードがあります。こちらもプロペラが内部についていて、室内の空気を巻き込みながらダクトを通して外部に吐き出します。
ダクトを通って外部に排出されるのが特徴的です。
レンジフードは、デザイン性のあるものや、給気をしながら排気をする同時吸排型などバリエーションが豊富です。
レンジフードに変えるメリット
換気扇をレンジフードに変えることによって、次のようなメリットが考えられます。
換気扇よりもレンジフードの方が、室内の空気を強く吐き出しますので、料理中の臭いなどを素早く外部に排気できます。料理後でも臭いが残りにくく、油煙が部屋に充満することを防ぎますから、
結果的にクロス壁などの内装も劣化しにくくなります。
レンジフードに交換すると、
キッチン周りのデザイン性がアップします。プロペラ部分が露出している換気扇は、見た目にも古い印象を与えてしまいかねません。きちんとお手入れしていれば清潔感はありますが、レンジフードのような現代の設備の方がデザイン的にも機能的にも優れます。
プロペラファンとシロッコファンの違い
換気扇とレンジフードの違いについては、上述でも触れましたが、プロペラファンとシロッコファンでは、具体的にどのような機能の特徴があるでしょうか。
【プロペラファン】
プロペラファンは、外部に直接排気することになりますので、基本的には外部壁に面した場所に取り付け場所が限定されます。そのため、内装リフォームでキッチンの場所を変えたくても、プロペラファンが取り付けできない可能性もあります。
【シロッコファン】
シロッコファンはダクトを通して排気します。そのため、シロッコファンの位置が、外部壁に面していなくとも取り付けが可能です。間取りの変更などにも柔軟に対応できます。
換気扇からレンジフードへの交換方法と費用
換気扇からレンジフードに交換するには、換気扇の位置にそのまま取り付ける方法と、別の場所に取り付ける方法の二つあります。
なお、レンジフードに交換する費用の目安は、一般的には約6~10万円です。本体の価格によっては10万円以上になることもあります。また、穴を塞いだり新たな穴を開けたりすると、大工さんの施工費や壁の仕上げ工事など、工程が増えて費用も増加します。
既存の位置で交換
換気扇の穴をそのまま利用する方法なら、本体器具の交換で完了しますので手軽に施工できます。
プロペラファンなど開口部の面積が大きく開いている場合に、シロッコファンのレンジフードに変えるときは、開口部を少し小さく施工する必要があります。この場合の費用は、おおよそ6万円が目安です。
別の位置に交換
換気扇の位置から、別の場所にレンジフードを取り付けるには、既存の穴をふさぐ工事と、新たにレンジフード用の穴をあける、またはダクト配管する必要があります。
通常の取替工事の目安6万円に、新規で穴をあける工事費がプラスされますので、総費用で10万円程度を想定しておきましょう。なお、新規で穴をあける工事は既存の建物の構造などによって費用も異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
レンジフードへの交換はDIYで可能?
レンジフードの交換をDIYで検討している方もいるかもしれませんが、本体はイメージするよりも重量があり大きいものですから、ひとりでの施工は難しいと判断します。また、スイッチ類として電気との接続もありますので、業者さんに依頼するほうが安心です。
レンジフードの種類と特徴
レンジフードといっても、さまざまなデザインのバリエーションがあります。それぞれに呼び方が異なりますので、詳しくご紹介していきます。
ブーツ型(深型)
ブーツ型は「深型」ともいわれており、スタンダードなキッチンの標準仕様となっていることが多いでしょう。幅も深さもありしっかりと臭いをキャッチして排気します。
スリム型(薄型)
スリム型は、「薄型」ともいわれます。フードの下面に厚みがなくスリムな形状になっているのが特徴です。シルバーなどカラー選択もありスタイリッシュなキッチンと相性がよいでしょう。シンプルな形であるため住宅でも多く採用されている機種です。
ファルコン型
ファルコン型は、フードの吸い込み部分が曲線で低い位置にあることから、効率的に排気をすることができます。また、手の届く位置にフードの開口部があることからお手入れもしやすいフードです。
フラット型
フラット型は、レンジフードの高さが低く抑えられた特徴的な形です。レンジフードを取り付けるスペース(天井部分)にゆとりがない場合におすすめです。
レンジフードの商品をご紹介
ここからは、具体的なレンジフードの機種をご紹介していきます。それぞれの製品の特長を確認してみましょう。
ブーツ型(深型):クリナップ(ZRS60NBC12FKZ-E)
キッチン設備を得意とするクリナップのスタンダードなブーツ型レンジフードです。オーソドックスな形でどのようなキッチンにも使えます。コストパフォーマンスが高いことも魅力です。
・製品相場・・・約2万円~(価格変動あり)
メーカー | クリナップ |
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商品名 | ZRS60NBC12FKZ-E |
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スリム型(薄型):パナソニック(FY-60DED2-S)
こちらのスリム型レンジフードは、住宅設備の大手メーカーであるパナソニック製品です。システムキッチン用で採用率も高いおしゃれなデザイン性が人気です。給気する部分には、整流版といわれる目隠しも兼ねた板があり、上昇した調理中の空気を効率的にファンに誘導します。
・製品相場・・・約4万円~(価格変動あり)
ファルコン型:リンナイ(EFR-3R-AP602SI)
ガスコンロなどの調理器具を得意とするリンナイ製のレンジフードです。ファルコン型は、吸い込み口が大きく開き、低い位置にあるため調理中の臭いを素早く排気してくれます。お部屋の中にできるだけ臭いを漏れさせないために有効です。
・製品相場・・・約6万円~(価格変動あり)
メーカー | リンナイ |
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商品名 | EFR-3R-AP602SI |
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フラット型:三菱電機(V-316K6)
換気扇メーカーとして多彩なバリエーションを持つ三菱電機の製品です。一般的なレンジフードは、天井高さが確保されていることが前提となる本体寸法ですが、極端に天井が低かったり、構造の梁があって十分な高さが確保できなかったりするときに便利な製品です。レンジフードとしての目立つことなくインテリアに溶け込める点もポイントです。
・製品相場・・・約1.5万円~(価格変動あり)
まとめ
キッチン周りで使っているものが昔ながらのプロペラファンの換気扇である場合、排気の能力もデザイン性もあるシロッコファンのレンジフードへの交換がおすすめです。排気能力があると、汚れた空気は部屋にこもりにくくなりますから、結果的に壁紙の変色や臭い移りも削減できます。
レンジフードは換気扇に比べて本体がかなり大きくなりますから、交換する際にはどのタイプのレンジフードが取り付けるか、実際のお部屋を確認してから進めることがベストです。
また、排気される外側の場所が、近隣環境に迷惑にならないかも確認しておくことをおすすめします。
この記事の監修者
注文住宅会社に15年以上従事し、不動産売買業務の他、新築・リフォームの内外装、家具・建具造作の現場監修を行う。オリジナルデザインの住宅を数多く経験。不動産・住宅専門の執筆活動も行っている。
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