大家さんになったら押さえておきたい空室対策の基本的な考え方

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2020年05月28日
  • 更新日:
  • 2020年05月28日
大家さんになったら押さえておきたい空室対策の基本的な考え方
賃貸経営のリスクの1つに、空室リスクがあります。とはいえ、既存入居者がいる物件を相続したばかりという大家さんは、あまり空室の悩みはないかもしれません。しかし、現在の入居者が入居し続けてくれる保証もありません。この記事では、今後悩みの種になる可能性のある空室リスクに対して解説し、大家さんとして意識しておきたい空室対策の基本的な考え方を踏まえ、どのような流れで具体的な対策を講じておけばよいのかについてご説明いたします。

目次

空室対策は賃貸経営において最重要課題

空室リスクに対して、適切な対策を講じることを空室対策といいます。空室対策は、賃貸経営において最重要課題です。なぜなら、いったん空室が生じてしまうと、当然ながらその空室からは家賃収入を得られないからです。見込んでいた家賃収入が減少してしまうわけですから、アパートローンの返済やメンテナンスなどに窮して、大家さん自身の資産で補填をしなければならないといった事態も十分考えられます。

また、空室の状態が長引けば長引くほど、そして空室の部屋数が増えれば増えるほど、その負担は大きくなります。そのような事態になってから慌てないためにも、日ごろから空室対策のためにどのようなことができるのか、大家さんとして考えておく姿勢が大切なのです。

空室対策において大家さんが意識すべきこと

空室対策において、大家さんとして意識すべきことについてご説明いたします。

現状把握をすること

たとえば、単身者向けの物件に、ファミリー世帯から人気のある設備を導入しても費用対効果が薄いでしょう。このような費用がかかる割に効果が薄い空室対策にならないようにするためには、まずは所有物件への理解を深める必要があります。所有物件についてよく知らないまま、やみくもに空室対策を講じても的を射ない対策となってしまう可能性もあります。まずは以下の項目について現状把握をしておくのが、空室対策の初めの一歩です。

ターゲットは誰か

所有物件の既存入居者の契約書類を参考にして、どのような属性の入居者が多いのかを確認してみましょう。確認によって浮かび上がってきた入居者属性が、所有物件におけるターゲットです。そのターゲットのニーズにあわせた空室対策を検討しましょう。

所有物件の強み・弱みは何か

所有物件の強み・弱みを自分なりに書き出してみましょう。自分一人ではよく分からないという場合には、懇意にしている不動産会社にヒアリングを行うのも一案です。立地や間取り、家賃設定、設備、サービス、利便施設の有無など、周辺類似物件との差別化をどのように図ればよいのかを考えるヒントを得られるでしょう。

入居者の声

入居者アンケートを実施し、日ごろ困っていることや要望などを聞いてみる方法もあります。空室対策は、入居者に選んでもらうという視点も大切ですが、既存入居者に長く住んでもらうという視点をもつことも大切です。退去につながる不満の芽を早いうちに摘み取ることも空室対策になります。

キャッシュフローを意識すること

空室対策として講じられる対策にはさまざまなものが考えられます。しかし、手当たりしだいに対策を実行に移していては、資金がいくらあっても足りません。手元資金、つまりキャッシュフローを意識して取り組むことが重要です。現状を把握し、緊急性の高いものから優先順位をつけて計画的に取り組む姿勢を心がけましょう。

おさらい:入居募集から入居開始までの流れ

入居募集から入居開始までの流れをおさらいしておきたいと思います。
1. 新規入居者迎え入れの準備
退去予定の連絡が入ったら、退去予定日に合わせてホームクリーニング、リフォームなどの手配を行い、新しい入居者を迎え入れる準備を行います。
2. 入居募集
迎え入れ準備と並行して、不動産会社に連絡を行い、入居募集を依頼します。その際、入居条件やPR内容等など、より広告宣伝に目を向けてもらうための方法について不動産会社に相談されるのもよいでしょう。
3. 内見対応
物件に関心をもった入居検討者がいると、不動産会社から連絡がありますので、迅速に対応しましょう。
4. 審査・契約
内見後、入居希望の方から入居申込が入ったら、入居審査を行います。審査し、入居者希望者の家賃支払い能力などに問題がなければ、契約を締結します。この際、入居者は入居初期費用(敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、火災保険など)の支払いも行います。
5. 引渡し・入居開始
入居予定日に、入居者に鍵の引渡しを行い、入居が開始します。

押さえておきたい3つの空室対策

上記のような入居募集から入居開始までのプロセスを踏まえて、「募集方法」、「入居条件」、「建物・お部屋」の3つの観点から、どのような空室対策が考えられるかをご説明いたします。

1.募集方法の見直し 

募集方法の見直しには、以下のようなものが考えられます。

不動産ポータルサイトの活用および内容の見直し

近年、スマホの普及等により不動産ポータルサイトを通じて賃貸物件探しを行う方も多いです。所有物件の認知度を上げるために、日頃からお世話になっている不動産会社に不動産ポータルサイトへの物件掲載を相談してみましょう。すでに、不動産ポータルサイトへの物件掲載をしている場合、検索から内見につなげるためにどのようなPRが効果的か、大家さんみずから入居検討者の視点に立って検索し、内容のブラッシュアップを図りましょう。

不動産会社の見直し(専任媒介・専任専属媒介の場合)

とくに、不動産会社と専任媒介・専属専任媒介契約を取り交わしている場合、その不動産会社以外から入居検討者の紹介を受けられません。日ごろの大家さんに対する情報提供姿勢や紹介数などから、集客力や交渉力を見極め、芳しくない場合は不動産会社の見直しを図ることも検討しましょう。

広告宣伝(AD)費の見直し

宅地建物取引業法により、不動産会社が得られる仲介手数料は限度が定められています。ただし、広告宣伝(AD)費は、大家さんからの申し出があれば別途受取が可能です。そのため、広告宣伝(AD)費を増額してくれる物件の紹介に、不動産会社の熱が入るのは自然な流れです。物件紹介を促したい場合には、広告宣伝(AD)費の増額も検討するとよいでしょう。

2.募集条件の見直し

もしも、所有物件が築古物件であるなど、他物件と物件力での差別化を図りにくい場合には、敷金礼金などの募集条件を見直すという方法もあります。入居検討者にとって、入居時の初期費用や更新料は大きな負担であるため、敷金礼金ゼロ、更新料ゼロ、フリーレントといった言葉が決定打になり、物件を決める可能性は大いにあるでしょう。見込んでいた一時金収入が得られないことに躊躇する大家さんもいるとは思いますが、空室を生じさせないための集客コストと発想を転換してみてはいかがでしょうか。

なお、募集条件の見直しには、家賃の値下げも考えられます。ただし家賃値下げは入居時の初期費用などの軽減とは異なり、継続的に収支状況に影響をもたらすため、最終手段と心得ておきましょう。

3.建物・お部屋の見直し 

賃貸経営は、その言葉のとおり事業経営です。所有資産の価値向上のための計画的な修繕計画の実行、および入居者満足向上のための情報収集も、経営者である大家さんの大切な務めです。所有物件は、家賃設定に見合った物件内容になっているでしょうか。周辺類似物件と比較して、建物の劣化が目立っていないか、導入が遅れている設備やサービスはないかなど確認を行い、必要に応じてリフォームや設備等の導入を図りましょう。

退去を防ぐ取り組みも重要な空室対策

前段で、空室対策を「募集方法」、「募集条件」、「建物・お部屋」の3つの観点でご説明しました。これらは、入居検討者への視点での対策です。

しかし、先にも触れましたが、空室対策には、もう1つの視点があります。それは既存入居者への視点です。既存入居者の声に耳を傾け、困りごとや要望への迅速な対応を行ったり、入居してもらっていることへの感謝を示すために更新時などのタイミングで入居者特典をプレゼントしたり、物件周辺をこまめに清掃したり…など、既存入居者に所有物件へ対する住みよさや安心を感じてもらうために、大家さんとしてできることはたくさんあります。それらの積み重ねは、退去を防ぎ、長期入居につながる可能性を高めるため、結果として空室対策となるのです。

まとめ

賃貸経営を今までに経験したことのない方にとって、大家さんは賃貸物件が家賃収入を稼いでくれるというイメージをもっている方もあると思います。しかし、大家さんはあくまでも事業の経営者です。経営者は、資金繰りにも留意しながら、日々情報収集に努め、顧客満足および収益向上のための対策を講じる必要があります。空室対策を考えることは、経営者である大家さんの大切な務めの1つであると認識し、空室が発生してから対処するのではなく、事前にできることから少しずつ実行に移していきましょう。
キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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