【大家さん向け】賃貸物件のトイレ本体(便器)交換費用はどれくらい?おすすめトイレもご紹介します

2024.08.27更新

この記事の監修者

岩野 愛弓
岩野 愛弓

宅地建物取引士

【大家さん向け】賃貸物件のトイレ本体(便器)交換費用はどれくらい?おすすめトイレもご紹介します

トイレは使う頻度が高い住宅設備の1つ。トイレの交換時期や工事費用の目安、おすすめ商品などをご紹介します。

目次

10年以上の古いトイレは交換検討時期です!

そもそもトイレの交換時期は、どれくらいが目安なのでしょうか。国税庁の減価償却資産の耐用年数によると、建物付属設備である給排水または衛生設備は耐用年数15年となっています

減価償却上では15年ですが、トイレ機器に使われている各部品の寿命でいえばおおよそ10年が目安といえます。水回りは水質により金属部分が腐食したり、パッキンなどゴム系素材が劣化したり、10年が過ぎたころから水漏れや排水のつまりなどトラブルが起きやすくなります

一時的でもトイレが使えない環境は、入居者にとって不便な暮らしを強いられることになりますから、日頃から定期的に設備点検も大切ですが、水漏れなど建物そのものに影響することになると、かえって高額な修繕費が発生します。

そのため、古いトイレ機器なら交換の検討をおすすめします。なお、水回りのトラブルなどにはどのようなものがあるか詳しくご紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。

古いトイレを交換するメリット

古くなったトイレを交換すると、次のようなメリットがあります。

1. 空室対策につながる
トイレ交換は空室対策として期待できます。賃貸物件の水回りは入居希望者が重視するポイントの1つです。コロナ過以降、在宅時間が増えていることもあり、以前よりも住環境へ目を向けています。暖房便座や温水洗浄便座(ウォシュレット)付きのトイレ、節水型で水道料の負担を軽減できるトイレなど、機能性をアップすればライバル物件との差別化にもつながるでしょう

2. 家賃アップにつながる
設備が充実すれば、家賃アップを検討するのもよいでしょう。家賃の見直しをしたいと考えていた大家さんなら、リフォームをきっかけに検討してみることをおすすめします。

3. 補助金を利用できる可能性がある
住宅リフォームは、要件に該当することでさまざまな補助金の利用が可能です。一戸建てだけではなく、集合住宅にも該当するものがあります。高齢者向けトイレのリフォームでは、和式から洋式に変える場合にも工事費用が補助されることがあります。自治体によって要件が異なるため、事前にチェックしておきましょう。なお、高齢者リフォーム補助金については、こちらの記事でも詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。

賃貸向けトイレ本体(便器)の種類と特徴

住宅用トイレは、基本的に一戸建て住宅でも賃貸住宅でも種類はほとんど変わりませんが、賃貸の場合は入居者のターゲットに合わせて選定すると求められているニーズにもマッチします。

また、ちょっとした不具合があった時でも、大家さんが管理しやすいトイレであることも大切です。ここでは賃貸で使う場合を想定し、代表的なトイレ機器の種類とそれぞれのおすすめポイントをご紹介します。

組み合わせ便器

組み合わせ便器は、便器とタンク、便座がそれぞれ独立しており、組み合わせて使うタイプのトイレです。暖房便座付き、ウォシュレット付きなど必要な機能を自由に選択できるのがメリットです

一般的に最も普及率が高いトイレでしょう。故障した場合には、組み合わせの部位ごとに交換できるため、便座部分だけを新しいものに取り換えるといったことも可能です。また、手洗い付きがほとんどです。

一体型トイレ

便器とタンク、便座が一体型になっているトイレです。便器が陶器製、タンクと便座が樹脂製で形成されているタイプが多いでしょう。手洗い付きと手洗いなしのタイプがあります。

便座にはあらかじめ暖房やウォシュレットが付いています。一体式であるため、トイレ本体がコンパクトで省スペースの場所でもゆったり使える点がメリットです。見た目のデザインは凸凹が少なくすっきりしていますが、一体式であるため、故障した場合はまるごと交換する可能性もあります

システムトイレ

トイレ本体と一体となった収納キャビネットがあり、横には手洗い器付きのカウンターがあるなど、トイレが1つの部屋のように構成されたトイレです。キャビネットなどは好みにより自由に組み合わせることが可能で、ペーパーホルダーなどのアクセサリーを含めてトータルコーディネートできる点がポイントです。高級感のあるトイレ空間になるため、ファミリー層やハイグレードのワンルームマンションなどにおすすめです

システムトイレの仕様は自由に選択できますが、ある程度の空間スペースが必要です。トイレ空間にゆとりがある物件で検討するのがよいでしょう。また、部位ごとに交換するのが難しいため、故障した際にはまるごと交換する可能性があります

タンクレストイレ

タンクレストイレは、水を溜めるタンクがないトイレです。近年は住宅で使われることも多くなっています。トイレ本体はデザイン性に優れており、コンパクトで省スペースな場所にも向いていますが、手洗い付きを選ぶことができません。

別途、手洗い場所を検討しなければならないことや、水圧に制限があるため、上階での使用が難しい場合があります。また、便器、便座が一体となっているため、故障の際にはまるごと交換する可能性が高いです。ハイグレードな物件では、入居希望者へのアピールになりますが、設備機器としては割高であるため、ターゲットに合わせて検討しましょう

トイレの交換費用と工事期間はどれくらい?

トイレを交換するには、具体的にどのくらい費用がかかるのか、また、工事期間がどのくらいかかるかの目安をご紹介します。

トイレ本体(便器)交換の費用と期日

トイレ本体費用と工事費用は、洋式から洋式に変える場合と、和式から洋式に変える場合で費用が異なります。トイレ機器のみの交換の場合は、特別な補修工事がない限り1日のみで完了します

和式から洋式に変える場合は、排水位置の変更や床、壁など内装工事がともなうケースがあるため、工事費用も工事期間もかかりやすくなります。暖房やウォシュレットなど、便座のみの交換なら半日もかからず、もしくは大家さんがDIYで施工できる場合もあります
トイレ本体費用工事費用工事期間
洋式から洋式約5万~25万円約2万~20万円便器交換のみは約1日
和式から洋式約5万~25万円約25万~40万円約10~20日
・トイレ本体のグレードにより費用に幅がある、タンクレスは高め
・便座のみ交換は約2万~10万円(交換工事約1万円)
・和式から洋式はリフォーム範囲により費用が異なる

トイレ交換を安く済ませるためのコツ

トイレという限られた空間であっても、本体交換や内装リフォームをするとなると、ある程度のまとまった費用が必要になります。できるだけ費用をおさえたいと考える大家さんもいるでしょう。トイレ交換を安くするためには、次のような方法があります。

便座のみ交換する

便器やタンク部分はそのままに、便座のみを交換すれば本体ごと交換するよりも費用が安く済みます。便座のみなら2万円程度です。古くなって変色したり、割れたりした便座なら手軽に新しくできます。

ウォシュレットをDIYで取り付ける

暖房付きやウォシュレット便座など多機能な便座は、DIYで交換して費用をおさえることも可能です。組み合わせ便器はもともとバラバラに交換できる構造ですから、特別な工具を必要としない場合、取り組みやすいでしょう。

業者に依頼する費用、交換までの時間を短縮できます。なお、ウォシュレットのDIYの詳しい内容は、こちらの記事でもご紹介していますのであわせてご覧ください。

トイレの交換タイミングは退去後がベスト

トイレ交換をするのは、入居者の退去時がおすすめです。退去は室内クリーニングや修繕などがあり、一定期間は内見もできなくなります。その期間を利用して交換すれば、新しいトイレ機器の状態で入居募集ができます。もし入居中の故障で交換しなければならない場合は、できるだけ早く交換できる方法で対処します。

賃貸におすすめのトイレ紹介

ここからは、賃貸におすすめのトイレ機器をご紹介していきます。メーカーごとの特徴や価格について、比較検討の参考にしてください。

TOTO ピュアレストEX

便器、タンクが陶器製の組み合わせトイレです。便器は凸凹がほとんどないフラットな形でお掃除がしやすく、フチなし形状でフチ裏がありませんので、隠れた汚れもなく清潔なトイレを維持できます。

便器の表面はTOTOの特徴であるセフィオンテクトでツルリとした膜になっており、汚れがつきにくい素材です。従来と比較して超節水タイプとなっており、(大)を使用した時には4.8Lの水で流せます。以前は8Lでしたので、年間約41%の節水です。手洗い付きと手洗いなしが選べ、便座はウォシュレット付きも選択できます。

・ウォシュレット付き参考価格…304,000円~
メーカーTOTO
商品名ピュアレストEX

LIXIL プレアスLS・HSタイプ

LIXILの一体型トイレで、プレアスLSはタンクレス、HSタイプは手洗い付き仕様です。手洗い付きタイプでも従来よりも高さがおさえられてコンパクト。省スペースな賃貸住宅のトイレに適しています。

便器部は陶器製でタンク、便座は樹脂製です。便器はフチなしでお掃除がしやすく、表面はアクアセラミックでコーティングされて汚れにも強い素材です。キズがつきにくいため菌の繁殖をおさえることができ、抗菌効果も期待できます。

・ウォシュレット付き参考価格・・・239,000円~
メーカーLIXIL
商品名プレアスLS・HSタイプ

パナソニック アラウーノS160シリーズ

トイレ本体が樹脂製で作られているタンクレストイレです。トイレといえば陶器製という常識を変えた個性派トイレといってもよいでしょう。樹脂製といっても、一般的な素材とは異なる「有機ガラス系スゴピカ素材」というパナソニックのオリジナル素材です。

キズにも強く、汚れが付着しにくいという特長があります。便器はフチなし仕様+ウォシュレットなどを含む便座はスキマレス設計で汚れが侵入しにくい形になっています。洗剤を使用して流すたびに泡で洗浄してくれるのがポイントです。

アラウーノアプリを利用すると、スマートフォンと連携してさまざまな設定ができます。お手入れのタイミングを知らせてくれたり、自分好みのウォシュレット設定をボタン1つで登録したり、トイレの使用状況から離れた家族の暮らしを見守る「みまもりモニタ」も活用できます。

・ウォシュレット付き参考価格…221,000円~
メーカーパナソニック
商品名アラウーノS160シリーズ

賃貸のトイレ交換はプロに相談をしよう

部位によっては、トイレ交換をDIYで行うことは可能ですが、水回りは給排水などとの調整もあるため、万一の不具合対応のためにも基本的にはプロの設備会社に相談することがおすすめです。トイレ交換とともに、内装リフォームが必要になる場合は、リフォーム会社にまとめて依頼することになるでしょう。

いずれ、プランや見積もりは複数社に依頼しておき、比較検討しながら進めることで費用安く済むことがあります。また、よりよいリフォームの提案ができる可能性もあります。ターゲット層のニーズ分析も忘れずに行いましょう

まとめ

今回は、賃貸のトイレ交換について交換時期の目安やメリット、トイレの種類やおすすめメーカーなどについてご紹介しました。多機能でコンパクトなトイレが数多くありますので、限られたスペースにも取り付けられる機器がきっと見つかります。空室対策の1つとして取り組みやすいトイレ交換をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

岩野 愛弓
岩野 愛弓

宅地建物取引士

注文住宅会社に15年以上従事し、不動産売買業務の他、新築・リフォームの内外装、家具・建具造作の現場監修を行う。オリジナルデザインの住宅を数多く経験。不動産・住宅専門の執筆活動も行っている。

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