賃貸の差別化につながる照明リフォームアイデア!費用相場についても解説します

2024.08.22更新

この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

賃貸の差別化につながる照明リフォームアイデア!費用相場についても解説します

部屋の雰囲気を左右する照明リフォームは、空室対策に繋がります。この記事では、照明リフォームのアイデアや費用を説明します。

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目次

差別化につながる照明リフォーム

照明器具のリフォームがほかの物件との差別化になり、入居率を上げることにもつながります。その理由を説明します。

照明リフォームが差別化につながる理由

照明器具が設置されていない物件や、以前の入居者が残していった残置物の照明がそのまま設置されている物件もあります。それほど照明器具は賃貸物件の中であまり重要視されていないのが、これまでの実情でした。しかし現代では、照明器具による室内環境の変化が以前とは大きく変わりました。

そのため、差別化は入居者自身が求めるようになったとも言えるのです。照明器具により差別化を図ることができるのは、照明プランニングに多様性が生まれたためです。

・照明器具による演出効果によって、生活が豊かになった
・機能性に富んだ照明器具の使用が可能になった

このような変化は、LED照明器具の普及により消費電力を気にしなくてもよくなったことと、スマート電球やプロジェクター付照明器具など、便利な機能が付加された照明器具の登場が大きな要因です。

照明リフォームのアイデア

照明リフォームは機能性ばかりでなく、インテリアアイテムとしての要素もあります。また、ライティングによる演出効果を求める入居者のニーズもあり、アイデア次第で入居率アップも期待できます。

専有部

照明リフォームの主役は当然入居者が暮らす住戸内です。以前は、シーリングライトを部屋の真ん中に取り付けておしまい!というのが定番でしたが、最近では、ダウンライトや間接照明、さらにはダクトレールにピンスポットライトなどが喜ばれています。

ダクトレールが付いていると、入居者がお気に入りの器具を持ち込んで取付けることもでき、おうち時間が一層充実したものになるでしょう。さらに最近は多機能照明と呼ばれる、新しいタイプの商品も多くなっています。

多機能照明

多機能照明には次のような商品があります。

1.スピーカー機能付き
テレビのヘッドホン端子にワイヤレスの送信機を接続します。天井に取り付けたシーリングライトのスピーカーにその送信機からBluetoothで転送すると、シーリングライトが音源となる照明器具です。

2.エアーパネル付き
シーリングライトからの光が上下左右に拡散する照明器具です。床面だけでなく壁面や天井面も照らすことができ、生活シーンによって照らし分けや調光もできる、演出力の高い照明器具です。

3.サーキュレーター機能付き
室内の空気を循環させるファンが付いたシーリングライトです。正回転と逆回転が可能で、季節ごとに冷暖房効率を高めます。

4.プロジェクター付き
シーリングライトと天井付けプロジェクター、高音質スピーカーが一体となった商品で、動画やテレビ番組も壁面をスクリーンにした大画面で楽しめます。

5.スマート電球
LED電球には、さまざまな機能の付いたスマート電球があります。

・調光
・調色
・タイマー
・スピーカー

電球がIoT家電に進化しており、スマホからWi-FiまたはBluetoothで遠隔操作が可能です。また音声アシスタントに対応する器具もあり、おうち時間が楽しくなります。

共用部

エントランスや廊下、階段そして外回りの照明は、防犯対策のうえで欠かせない設備です。明るさを求められるとともに省エネ性も求められます。LED照明器具はもちろんですが、ソーラータイマーの装着により、日の出や日没時間に合わせた自動点滅が可能です。

外部のアプローチ灯は、人感センサーによる自動点滅の器具に交換すると省エネ効果があります。また、アプローチ灯の追加には、電源工事が不要で常時点灯できるソーラー外灯が最適です。

照明リフォーム費用相場

照明リフォームにかかる費用も押えておきましょう。照明リフォーム費用は次の式で計算します。

照明リフォーム費用=器具・電球代+工事費

工事費用の相場は1日で工事が完了する程度であれば、約3万円~4万円が目安です。たとえば、照明器具を1台交換する場合であっても、移動時間を含めて半日ほどの時間がかかるため、最低でも1万円はかかります。

また照明器具の増設は配線工事が必要になるため、配線ルートや増設位置によって工事費は大きく変わります。増設する場合は、まず業者の見積もりが必須です。

照明器具は直付けタイプと引掛けシーリング取付けタイプの2種類あり、最近ではほとんどが簡単に器具の交換ができる、引掛けシーリング取付けタイプになっています。

そのため取付工事の不要な器具交換は、電気工事業者に頼まずとも大家さんみずから行うことができます。しかし、直付けの器具交換は配線工事がともなうため、電気工事士が行う必要があります。専有部は引掛けシーリング取付けタイプの照明器具が使われていますが、共用部は直付けタイプが多くなります。

照明リフォーム費用は大家さんでもできる内容か、電気工事業者でなければできないかによって大きく変わります。その違いを区別できるようにまとめたのが下の表です。
工事の部位工事内容大家さんができる電気工事士が行う
専有部器具の交換
器具の増設
電球の交換
共用部器具の交換
器具の増設
電球の交換
大家さんができる工事内容の場合は、器具や電球の購入費だけで済みますが、電気工事士が行う工事内容の場合は、器具代・電球代以外に工事費がかかります。

また、共用部の照明器具には直管タイプの蛍光管が使用されていることも多く、直管タイプの蛍光管をLED蛍光管に交換する場合には、バイパス工事が必要になる場合もあるので注意しましょう。

人気のあるダクトレールの取付けも、長さが1メートルと1.5メートルの場合は、引掛けシーリングに取付けられるタイプがあるため、大家さんでも可能です。

照明器具の価格相場

照明器具や電球には多くの種類があり、価格帯にも幅があります。以下の価格相場表を目安としてください。
種類特徴価格帯備考
LEDシーリングライト(10畳用)一般器具6,300~35,600円
スピーカー搭載26,400円
エアーパネル付21,900~35,600円
Bluetooth対応9,300~19,100円
Wi-Fi対応26,400円
スポットライトE26ダクトレール用500~10,800円
ダクトレール1メートル600~9,100円エンドキャップ付セットは2,000円くらいから、引掛けシーリング取付型は3,000円くらいから
1.5メートル3,900~7,800円
2メートル1,600~13,500円
ダウンライト700~7,000円
共用部LED電球200~7,900円
共用部LED蛍光灯900~26,800円
そのほか参考価格として、以下の照明器具のネット市場価格をお伝えします。
・サーキュレーター機能付き照明:2万円代
・プロジェクター付き照明:8万円代
・スマート電球:2千円代から

※照明器具価格帯は「照明器具価格比較サイト」の2021年3月時点データに基づくものであり、次の条件に基づき表示しています。
・価格は100円未満切上げ
・一般的に使用される商品に限定

照明リフォーム費用シミュレーション

標準的な2LDKの間取りで照明リフォーム費用をシミュレーションしてみましょう。リビングにはダウンライトを6か所増設、センターのシーリングライトをスピーカー付きに交換、ダイニングにダクトレールを設置して、スポットライトを2台と仮定すると、概算費用は以下のようになります。
室名摘要数量単位単価(円)金額
リビングダウンライト63,50021,000円
スピーカー付きシーリングライト127,00027,000円
ダイニングダクトレール1メートル1セット2,0002,000円
スポットライト23,0006,000円
器具代合計56,000円
取付工事費ダウンライト配線含む145,000円
総合計101,000 円
目安として、1戸当たり約10万円を予算にするといいでしょう。

照明リフォームは費用対効果を踏まえて検討しよう

照明リフォームは1室10万円程度の予算で、イメージを変えたインテリアが可能です。

内見時ではライティング効果によりお客様の決定率が高まる可能性もあり、家賃設定にあたっては5千円~1万円のアップができれば、1年~2年間で投資分を回収する計算が成り立ちます。

リフォームプランを入居者の希望に合わせて、契約後に工事を行う方法もあります。自分で考えた照明プランでライティングされる室内は、愛着を覚えて長く住んでもらえるきっかけにもなります。

入居者にとっては、自分好みで照明器具を揃えることは大きな負担であり、大家さんからの提案は入居を決断する後押しとなるでしょう。1戸当たり10万円であっても、戸数の多いアパートやマンションでは大きな投資になります。

費用をかけても申し込みが入らないようでは意味がありません。空室対策として行うリフォームは、工事の対象となる住戸ばかりに関心がいきますが、管理会社の管理状態などを総合的に判断して、掛けるべき費用を算出する「コストマネジメント」の視点が大切です。

まとめ

退去後に内装の修繕を行うのは当たり前ですが、その際に照明器具についても検討してみましょう。ダウンライトの増設など配線をともなう照明リフォームでは、内装工事と一緒に行うのが費用をおさえるポイントです。

空室対策として検討するだけではなく、退去後のリフォームは入居者ニーズを先取りできるチャンスです。最近のトレンドや人気の高い照明アイテムなど、管理会社やリフォーム会社とも相談し「この部屋に住みたい!」を実感できる物件づくりを心掛けてください。
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この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。