民法改正による「連帯保証人」の変更で大家さんがピンチに?!保証会社もあわせて検討しよう

2024.03.05更新

この記事の監修者

キムラ ミキ

キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

民法改正による「連帯保証人」の変更で大家さんがピンチに?!保証会社もあわせて検討しよう

連帯保証人に関するルールが民法改正によってどう変化したか、賃貸経営安定のためにどんな対策を講じればよいかをご説明します。

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目次

連帯保証人とは何か?正しく理解しよう

2020年4月におよそ120年ぶりに改正された民法が施行。改正内容に連帯保証人など賃貸経営に関する事項も含まれていました。

この記事では、賃貸借契約の更新時期を現在迎えている、もしくは迎える予定のある大家さんに向けて、連帯保証人に関する取扱いの注意点について解説します。

連帯保証人に類似する言葉に、保証人があります。しかし、連帯保証人の責任は保証人よりも重く、以下の「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」は保証人には認められていますが、連帯保証人には認められていません。

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、債権者の請求に対して、「まずは主債務者に請求をしてください」と主張できる権利です。連帯保証人にはこの権利が認められていないため、大家さんは主債務者である借主、連帯保証人どちらにも滞納家賃などを請求できます。

検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、債権者の請求に対して「主債務者に資力があるから、主債務者に請求をするか、資産の差し押さえをしてください」と主張できる権利です。連帯保証人にはこの権利が認められていないため、大家さんは主債務者である借主に資産があると知っていても、連帯保証人に滞納家賃などを請求することができます。

分別の利益

保証人を複数人設定した場合、保証人は、請求額をその人数で按分した金額を負担する義務があります。たとえば、保証人が2人で請求額が10万円であれば、保証人は5万円を負担すれば済むということです。

これを分別の利益といいます。しかし、連帯保証人には、この権利はありません。複数人の連帯保証人を設定したとしても、大家さんは連帯保証人一人一人に、滞納家賃などの全額を請求できます。

賃貸契約における連帯保証人の責任の範囲

賃貸契約における連帯保証人の責任の範囲は「主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償そのほかその債務に従たるすべてのものを包含する」とされています。

具体的にいえば、主たる債務が賃貸契約に基づく毎月の家賃であり、その債務に従たるすべてのものが対象なので、借主の故意や過失で破損・破壊した建物や設備の損害賠償退去時の原状回復費用なども含まれることになります。

民法改正で極度額の設定が必要に

連帯保証人の責任の範囲は、先ほどご説明したとおり、大変広いです。そのため、借主が家賃滞納などをしてしまった場合、連帯保証人は上限なく責任を負わなければならないということになります。

国土交通省がまとめた、裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係る調査によると、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃などを連帯保証人の負担として確定した額は、最大で家賃の約 33か月分となっています。

仮に、家賃10万円だったとしても、連帯保証人の負担は330万円。このように、連帯保証人の負担があまりにも重すぎることが以前から問題視されていました。連帯保証人の負担が重すぎると、引き受け手がいなくなり、逆に負担が軽すぎると大家さんのリスクが高くなります。

そこで、今回の民法改正において、連帯保証の保証額の上限(以下、極度額)を明確にし、主たる債務者は、連帯保証人をお願いする時にみずからの資産状況などを情報提供しなければならないという新しい規定が盛り込まれました。

極度額明記

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないものの保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う

改正民法第465条の2で上記のように規定され、続いて
(略)極度額を定めなければ、その効力を生じない

としています。

極度額とは?

極度額とは、連帯保証人が負担する責任限度を具体的な金額で示したものをいいます。大家さんからすれば、極度額を多く設定したほうがリスクを抑えられますが、適正な極度額を設定しなければ連帯保証人の引き受け手が見つからないという可能性もあります。極度額をいくらに設定すればよいかについては、後でご説明いたします。

情報提供義務

改正民法第465条の10に、以下のように規定されています。
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

つまり、借主が連帯保証人をお願いする際に、みずからの資産状況について情報提供をしなければいけないということです。もし、虚偽の情報提供をした場合、連帯保証人となることを取りやめることもできます。

そのほかにも、連帯保証人から求められた場合、大家さんは借主の家賃などの支払い状況を提供する必要もあります。また、借主が期限の利益を喪失した場合、大家さんはその情報を連帯保証人に通知する義務規定も、今回の改正民法に盛り込まれています。

賃貸契約時に大家さんが注意すべきこと

今回の民法改正により、連帯保証人の負担が限定的となったため、大家さんもリスク想定をして対策を講じておく必要があります。

極度額を契約書に明記する

連帯保証人の負担する極度額を契約書に明記する必要があります。国土交通省の「極度額に関する参考資料」を参考に、極度額をいくらに設定するのかあらかじめ考えておきましょう。

やりがちなミスに注意

従来、連帯保証人の責任範囲として「いっさいの債務を連帯して保証する」という内容が契約書および連帯保証人承諾書に記載されていることが一般的であったと思います。しかし、今後、極度額は「家賃の〇〇か月分相当額」、「「金〇〇万円を極度額」など、具体的な金額を明記することが必要となります。

前掲の国土交通省の「極度額に関する参考資料」によると、強制執行完了まで平均で9.1か月を要していることがわかります。また、同資料によると、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃などを連帯保証人の負担として確定した額は、平均で家賃の約13.2か月分となっています。

もちろん極度額をより多く設定できることに越したことはありません。しかし、それによって連帯保証人の引き受け手が見つからないのも困ります。

先ほどのデータから考えて、少なくとも敷金と合わせて月額家賃の12か月程度分は回収が見込めるように極度額を設定しておくことが望ましいでしょう。なお、契約書のみならず、連帯保証人承諾書の記載内容についても確認をしておきましょう。

連帯保証人の審査

民法改正前は、極度額の明記がなかったため、責任の重さをあまり考慮せず連帯保証人となった方も多かったかもしれません。しかし、今回の民法改正によって、極度額が明記されることになるため、具体的な責任の重さを目にして連帯保証人の引き受けを拒まれるケースも生じる可能性もあります。

連帯保証人は、1人である必要はありません。万一の際の連帯保証人の負担軽減に配慮し、複数人の連帯保証人を求めるなど工夫を講じるのも一案です。

新しい契約時だけでなく更新時にも注意が必要!

改正された民法は2020年4月1日に施行されています。民法が改正される前に交わした賃貸契約をそのまま更新すると、連帯保証人の負担責任限度を表す極度額の明記がないまま契約更新をすることになってしまします。

先述したように、連帯保証人の責任については契約書などに「極度額を定めなければ、その効力を生じない」という規定があるため、更新時にも、極度額を明記した契約書および連帯保証人承諾書の取り交わしが必要となることには注意をしておきましょう。

家賃保証会社の併用も検討してみては

民法の改正によって、連帯保証人の引き受け手が見つからない場合に備えて、家賃保証会社の併用を検討するのも一案です。家賃保証会社とは、家賃滞納が生じた場合に、大家さんに家賃保証を行う会社のことをいいます。家賃保証会社を利用する場合、手数料は入居者が負担します。

家賃保証会社の保証範囲とは

家賃保証会社の保証内容は、家賃をはじめとして、原状回復費用、債務不履行による明け渡し訴訟費用、明け渡し時の残置物撤去にかかる費用などがあります。ただし、家賃保証会社や契約によって、その保証範囲は異なります。複数の家賃保証会社を比較検討してから、選ぶようにするとよいでしょう。

まとめ

国土交通省は、今回の民法改正に対応した「賃貸住宅標準契約書」を公開しています。「賃貸住宅標準契約書」や「極度額に関する参考資料」を参考にして、民法改正によりどのような対応変更が必要なのか、大家さんも理解を深めることも必要です。

しかし、それだけでは、対応漏れが生じる可能性もあります。1人で抱え込むのではなく、管理会社や専門家と密に相談を行い、契約書や連帯保証人承諾書などの記載変更など、事前対策を講じておくのもトラブル回避のために必要不可欠な姿勢であると心得ておきましょう。

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【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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