- 入居者が死亡したら賃貸借契約はただちに解約されるというものではなく、賃借権は相続人に引き継がれることに。
- 「終身建物賃貸借契約」とは入居者が死亡することによって賃貸借契約が終了する契約。入居者死亡のリスク対策になります。
- 時代背景を意識したリスク対策を講じておくことは必須。コストバランスも考えながら対策方法を考えましょう!
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目次
単身入居者の孤独死は珍しくない
また、2024年5月に警察庁から発表された「2024年1~3月の自宅で死亡した一人暮らしの人数」は、21,716人でした。そのうち約14.5%は60歳未満となっており、孤独死が生じる可能性は高齢者ばかりではないことがわかります。
孤独死が増加傾向にある今日、大家さんが所有している賃貸物件において、入居者が死亡する可能性はゼロではありません。万一、入居者が死亡したときに、やらなくてはならないことをあらかじめ知っておき、対策を講じておくことは大切な備えです。
入居者が死亡しても賃貸借契約は解約されない
賃貸借契約とは
この賃貸借契約における入居者の権利を賃借権といいます。賃借権は、家賃を払う代わりに、目的物を使用収益できる権利です。なお、賃借権は一身専属権(本人にのみ帰属する権利)ではありません。
入居者、つまり賃貸借契約をしていた方が死亡すると、賃借権は民法896条(相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。)に基づいて、相続の対象となります。
そのため、賃貸借契約は、入居者死亡後ただちに解約されるものではなく、賃借権は相続人に引き継がれることになります。
まずは相続人の有無を確認しよう
そのため万一入居者が死亡した場合には、相続人の有無を確認し、大家さんと相続人との間で賃貸借契約を解約し、残置物処理などの協力を仰ぐ必要があります。相続人がいない場合には、弁護士への相談も必要です。
まずは保証人や緊急連絡先などに連絡して、相続人の有無を確認しましょう。なお、孤独死や自殺の場合は、警察が親族を調べて連絡するので、その親族から相続人の有無を聞ける場合もあるでしょう。
それでもなお、相続人の存在が分からない場合は弁護士に依頼して探してもらうことになります。
入居者が死亡した際に大家さんがするべきこと
便宜上、手配は大家さんが行うことになる場合もありますが、原状回復費用のうち、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧する」費用については相続人に請求を行いましょう。
とくに、他殺や自殺は告知義務のある「判断に重要な影響を及ぼす事項」に該当します。しかし老衰死などの事件性がない病死や自然死に関しては、一定期間経過後は告知する必要はないとするのが一般的です。ただ、発見が遅く遺体の損傷が激しい場合や、悪臭が発生している状況などは、「判断に重要な影響を及ぼす事項」に該当する場合もあるでしょう。
なお、老衰死などの事件性が無い病死や自然死に関しては、半年以上経過しているときには告知義務はないとする判例もあります。そのため少し時間をおいてから入居者募集を行うというのも1つの方法です。
相続人がいる場合
相続人が相続放棄した場合
相続人がいない場合
その経費や相続財産管理人の報酬を担保するため、相続財産管理人の選任申立に際して、予納金が必要になることには留意が必要です。ただし、相続財産が少ない場合には予納金から経費や財産管理人の報酬が差し引かれ、返還されない可能性が高いと考えておきましょう。
入居者死亡のリスクに備えて大家さんができること
日ごろから入居者本人の安否に関わる様子のサイン(郵便物の溜まり具合、生活時間やスタイルの変化など)に管理会社の協力も得ながら、注意を払うことも大切です。そのほかリスクに備えて、大家さんができることを簡単にご説明いたします。
家賃保証会社の利用
保険の加入
連帯保証人の選定
終身建物賃貸借契約
残置物の処理や遺体の埋葬については通常の賃貸借契約の場合と取扱いに差はありませんが、契約で残置物引取人および連帯保証人を定めておくこともできます。
まとめ
また、賃貸経営は、賃貸物件を活用した事業経営である以上、時代背景を意識したリスク対策を講じておくことは経営者として当然の務めです。コストバランスも考えながら、どのような対策を講じておけばよいかを考える時間をもつきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
ある日突然入居者が亡くなった…
そんなとき、大家さんがやるべきことってどんなこと?
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この記事の監修者
AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。