収益改善のためのアパート建て替え、事前に押さえておくべきこと

監修逆瀬川 勇造

  • 公開日:
  • 2019年06月13日
  • 更新日:
  • 2019年06月13日
収益改善のためのアパート建て替え、事前に押さえておくべきこと
収益改善を目的としてアパートの賃料を上げるためには、それ相応に物件スペックも上げる必要があります。特に、築古アパートであれば、リフォームをするだけでは賃料アップは難しいため、”建て替え”もひとつの選択肢に入ってくると思います。この記事では、収益改善のためにアパートの建て替えを検討している大家さんに、建て替えをする場合の基本的な流れとメリット・デメリット、そして、事前に押さえておくべきことについてお伝えしていきます。

目次

アパートを建て替える目的

アパートは築年数が古くなると老朽化が進み、入居者を見つけることが難しくなっていきます。老朽化が進むことで修繕費が増えるのはもちろん、空室率の上昇と、それを少しでも和らげるための対策として家賃を下げるなど、次々に収益率が悪化していってしまいます。こうした、アパートの築年数による収益性悪化に対してはリフォームするか、建て替えするかで対策しなければなりません。

ただし、リフォームで改善できるのも築30年程度までです。築30年を過ぎるとリフォームでは誤魔化しが利かなくなってしまう可能性もあるため、建て替えを検討する必要があるでしょう。建て替えすることで、家賃や空室率、修繕費の問題など収益性の問題を解決できます。

アパート建て替えのメリット

ここで改めて、アパート建て替えのメリットについて触れてみましょう。アパート建て替えのメリットとしては、まず、先述の通り収益性を改善できるという点が挙げられます。

新築なので家賃を高く設定できますし、空室率の改善も期待できます。また、アパートが古くなって至るところで生じていた修繕費もかなり負担が軽減されます。収益性を改善するには収入をアップさせると共にコストを減らす必要がありますが、建て替えであればその双方の効果を期待できるのです。また、時代の最先端技術を使った建物となるため、火災や地震など災害に強く、見た目に今の時代にマッチしたおしゃれなものにすることができます。最近では利用者の防災意識も高くなっており、この点は非常に重要です。

アパート建て替えのデメリット

デメリットとしては建て替えに多額の費用がかかることが挙げられます。具体的には、アパート建て替えにあたり、「解体費用」「建設費用」「立ち退き費用」の3つがかかります。アパートを建て替えることで建て替えに要した費用をどのように回収していくか、収支計画を立てて慎重に判断することが大切だと言えます。

アパート建て替えの流れ

アパート建て替えは以下のような流れで進めていきます。

・アパートの建築プランを立てる
・アパート建て替え資金の準備
・入居者への立ち退きの申し出
・施工業者の選定・決定
・着工~竣工

それぞれについて解説します。

アパートの建築プランを立てる

まずはアパートの建築プランを立てます。できれば複数の業者に建て替えプランの作成を依頼し、比較検討することをおすすめします。アパートの建設費用と、戸数や想定家賃、部屋ごとの設備など見て、よいプランがあったら建て替えをする意思決定をしましょう。

アパート建て替え資金の準備

アパートの建て替えをすることが決まったら、建て替え資金の準備をします。融資を受けるのであればプランを持って金融機関の担当者に相談し、融資を受けられるかどうか打診します。検討してもらえそうであれば融資の審査を済ませておきましょう。後々になって融資の審査承認が得られないとなったら、取り返しがつきません。

入居者への立ち退きの申し出

プランと資金の準備ができたら、入居者へ立ち退きの申し出を行います。なお、立ち退きの申し出については、面倒でも大家さん本人が行うのが一般的です。その時は、いつまでに退去してもらう必要があるか、立ち退き料はいくら支払うかといったことを伝えます。

施工業者の選定・決定

立ち退きが全て完了したら、各業者とも比較した上で解体業者と施工業者の選定を行い、それぞれと請負契約を締結します。

着工~竣工

請負契約締結後、建物解体~建て替え工事を行います。

補助金を申請する場合は着工前までに自治体へ相談しよう

自治体により、解体や建て替えに対して補助金を受けられることもあります。補助金を申請する場合、「着工前に申請を済ませておくこと」といった条件がついていることもあるため、着工前に、管轄の自治体に足を運び、どのような補助金があるか、どのように申請すればよいか聞いておくことが大切です。

アパート建て替えにあたり、押さえておきたいポイント

最後に、アパート建て替えにあたり押さえておきたいポイントをお伝えしていきます。

建て替えのタイミング

アパート老朽化による収益性悪化への対策としては建て替えのほか、リフォームも考えられますが、この内、建て替えは多額の費用がかかるため慎重に判断する必要があります。その判断基準としては、木造アパートであれば築年数30年、鉄骨造アパートであれば築年数35年程度を目安とするとよいでしょう。30年を過ぎるとリフォームでは対応しきれなくなることが増えてくるからです。

また、空室率を建て替えの判断基準にするのもよいでしょう。アパートの建て替え時には入居者に立ち退いてもらう必要があるため、入居者は少ない方がよいことも理由のひとつです。具体的には、空室率が8~9割を超えるようであれば建て替えを検討してみましょう。

建築プランと収支計画

建て替えするアパートの建築プランや収支計画については、しっかり市場調査を行い、周辺の家賃相場や単身者向けかファミリー向けかといったターゲット選定をした上で決めていくことが大切です。

収支計画については、建て替え後のアパートの総家賃がいくらくらいなのか、その内ローン返済や修繕費のいくらくらい負担する必要があるのかといった計算をしておきましょう。

建て替えにかかる費用ってどれくらい?

アパートの建て替えには解体費用と建設費用、立ち退き費用の3つがかかることをお伝えしました。解体費用については、木造で3万円/坪程度かかり、また解体時に入居者がいる場合は家賃の半年分程度を立ち退き料として支払う必要があります。

アパートの建設費用については、どのようなアパートを建てるかによって費用が変わりますが、ここでは木造2階建てアパートで50万円/坪程度かかることを想定し、同じ規模のアパートを建て替えする場合の費用を計算すると以下のようになります。

解体費用3万円/坪×60坪180万円
建設費用50万円/坪×60坪3,000万円
立ち退き費用(家賃6万円/戸、合計10戸を想定)6万円/戸×6カ月×10カ月360万円
合計3,540万円

業者の選定・比較検討

解体業者や施工業者についてはよく比較検討する必要があります。なお、施工業者に解体まで一括して任せることもできますが、そうした場合、単に施工業者が解体業者に下請けで仕事を発注し、施工業者にムダに利益を支払わなければならなくなるケースもあるので注意が必要です。

とはいえ、1社に任せた方がスケジュール調整等もスムーズに進められるので、費用がそう変わらないのであれば1社に解体も施工も任せた方が楽です。施工業者には複数社、解体を含めた費用と、解体を含めない費用の見積もりを依頼すると共に、解体業者にも複数社相見積もりを取り、一番安くなる方法を選ぶことをおすすめします。

入居者への通知・立ち退き交渉

入居者への立ち退き要求(通知)に関しては、立ち退きまで半年など一定の期間を設ける必要があるため、できるだけ早いタイミングで行っておくことが大切です。また、立ち退き要求の結果、不満がる入居者がいた場合には最悪の場合裁判に発展してしまうこともあります。裁判は時間もお金もかかってしまうため、そうならないよう、穏便に話を進めたいところです。

立ち退き交渉に関しては、例えば、「立ち退き料を○○万円にしたら立ち退いてくれますか?」といったことや、「近所に部屋を見つけておいたので、そちらへの引っ越し費用を負担する形で立ち退いてくれませんか?」といった交渉を行います。なお、立ち退き料を上乗せする場合は、他の退去者に知られないよう十分に注意しなければなりません。

まとめ

アパートの建て替えについてメリット・デメリットやポイント、建て替えの流れなどお伝えしました。築年数が古くなってしまったアパートの収益性改善として、建て替えは有効な手段のひとつとなりますが、建て替えには多額の費用がかかるため、その費用より多額のリターンを得られるかどうか、しっかり収支計画を立てることが大切になります。また、建て替え時には入居者への立ち退き要求でトラブルとなってしまうこともあるため、慎重に進めていくとよいでしょう。
逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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