- 入居後1~3カ月程度の家賃を無料にするフリーレントは空室対策に有効な手段の1つです。
- 一方でトラブルに発展することも…。「違約金の設定」と「契約時の説明」は忘れずに!
- フリーレント導入前には不動産会社などプロに相談することをおすすめします。
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目次
空室対策に有効と言われるフリーレントとは
スマイティでもフリーレントの検索条件は利用されており、東京23区で調べると、物件数202,838件に対し、フリーレント可の物件は17,818件と約9%がフリーレントを条件にしています(2024年7月10日時点)。
入居者からすると引越し費用や敷金、礼金など何かと出費の多い時期の家賃支払いが免除されるためメリットが大きく、フリーレントを実施していることが入居の決め手となる場合もあるでしょう。
大家さんからすると、同じく空室対策の1つである家賃の値下げは、それを聞きつけた他の部屋の入居者から家賃の値下げ要求につながるうえ、次の募集の際にも値下げした家賃が基準とせざるを得なくなります。一方、フリーレントは、最初の1~3カ月程度の家賃を無料にするだけなので利用しやすいと言えます。
ただし、フリーレントには、短期間で退去されてしまうと損失が大きいという問題もあるため、ほとんどの場合、フリーレントを実施する際には違約金の定めをします。
フリーレントに違約金は必要不可欠
そのため、フリーレントでは契約書の条文に期間内に契約した場合の違約金の定めを盛り込むのが一般的です。たとえば、3年以内の退去の場合、フリーレントで免除した分の賃料を違約金として支払うこと、といった条文を盛り込みます。上記のように、フリーレント6カ月の物件で1年後に退去した場合、入居者は退去時にフリーレント期間の6カ月分の家賃を支払う必要があります。
違約金は損害賠償金
違約金は、大家さんが入居者から中途解約されたことにともない失った利益を補てんするために受け取るものであることから、損害賠償金としての扱いになります。
フリーレントのトラブル事例
違約金を設定していなかった
契約内容を説明していなかった
しかしながら、説明したのにも関わらず、入居者が「把握していなかった」ことが原因でクレームに発展するケースもあります。そうした場合、基本的には契約書の内容に従う必要があります。つまり、契約書に違約金に関する条項が書いてあれば問題ありません。
トラブル回避のために大家さんがするべきこと
契約書に特約事項を追記する
賃貸借期間
賃料・共益費の起算日
賃貸借期間 | 2018年4月1日~2020年3月31日 |
---|---|
賃料の起算日 | 2018年7月1日 |
共益費の起算日 | 2018年4月1日 |
特約条項 | 賃貸借期間中に解約された場合違約金を支払うものとする |
2つ目は、賃料・共益費の起算日を賃貸借期間の初めからとし、特約条項で賃料の免除について記載する方法です。1つ目と同じ条件の場合、以下のように記載します。
賃貸借期間 | 2018年4月1日~2020年3月31日 |
---|---|
賃料の起算日 | 2018年4月1日 |
共益費の起算日 | 2018年4月1日 |
特約条項 | 2018年4月1日から7月31日までの間は賃料の支払いを免除する |
特約条項 | 賃貸借期間中に解約された場合違約金を支払うものとする |
違約金の金額
基本的には、賃料×フリーレント期間の月数の額ですので、その金額を記載します。
入居者への説明を忘れずに行う
入居者募集を管理会社に委託している場合、実際に説明するのは担当者なので、入居者への説明を忘れないように伝えておきましょう。なお、契約書に書いていれば基本的には問題ありませんが、心配であれば別紙で覚書のようなものを作成して、押印してもらうことも検討してみるとよいでしょう。
よくある質問
- フリーレントのメリット・デメリットは?
- フリーレントをつけることで他物件との差別化が図れるほか、入居者へのアピール材料としての効果が期待でき、入居者を早く見つけることにつなげられます。一方で、フリーレントを多用してしまうと収益が下がり、経営悪化につながる可能性がある点はデメリットの1つです。詳しくはこちらの記事を参照ください。
- フリーレントを採用する際に考慮すべきことは?
- 空室直後にフリーレントを採用して契約が成立した場合、フリーレントなしでも契約が成立していた可能性があることを考えるとフリーレントの効果をあまり感じることができません。また、空室期間が長く続いているときにフリーレントを採用すると、家賃収入が得られない期間を長引かせることになってしまいます。フリーレントは、空室期間やキャッシュフローなどを考慮しながら、採用するタイミングを検討することが大切です。
- フリーレント期間の会計処理はどうする?
- フリーレント期間の会計処理の方法は「フリーレント期間中は計上しないパターン」と「賃料総額を賃貸期間で分割して計上するパターン」の2つに分類されます。会計処理の複雑さや手間などを考慮すると前者の方が会計処理がスムーズです。なお、計上方法については、税理士の方とも事前に確認することをおすすめします。
詳しくはこちらの記事を参照ください。
まとめ
管理会社の担当者にも、入居者への説明を徹底してもらうように話すとともに、あまりにトラブルが重なるようであれば、契約書とは別に覚書を作成して押印をもらうなどの対策をするのもよいでしょう。
フリーレントは空室対策の有効な手段のひとつ。
一方でトラブルも多いため、事前にプロに相談することをおすすめします。
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この記事の監修者
AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。