収益改善には欠かせない、築古アパートでリフォームするべき箇所を紹介

監修逆瀬川 勇造

  • 公開日:
  • 2019年06月14日
  • 更新日:
  • 2019年06月14日
収益改善には欠かせない、築古アパートでリフォームするべき箇所を紹介
アパート経営をしている大家さんであれば、建物が古くなった際に建て替えを検討することがあるかと思いますが、建て替え工事には多額の費用が必要になるため、資金面に問題がある場合は断念せざるをえません。しかし、リフォームでも建物をきれいにすることは十分に可能です。この記事では、収益改善を目的としてアパートのリフォームを検討している方々に、リフォームをするべき箇所や費用を、施工前に確認しておきたいことを含めてお伝えしていきます。

目次

収益改善を目指す大家さんへ

築古アパートの運営において、収益を改善するには、家賃を上げるかコストを減らすかのどちらかを実施していかなければなりませんが、この内、家賃を上げることを考えるのであれば、建て替えやリフォームを検討する必要があります。

アパート建て替えにかかる費用は3,000万円~1億円以上

アパートの建て替えは高額です。具体的には以下の3つの費用の合計で、その額は3,000万円~1億円以上となります。

・解体費用
・建設費用
・入居者の立ち退き料

解体費用(※)については、木造であれば3万円/坪程度、入居者の立ち退き料(※)は家賃の6カ月分程度が必要です。また、アパートの建設費用については、どのような建物にするかによっても変わりますが、ここでは50万円/坪程度を想定して計算してみたいと思います。

※解体費用、立ち退き料ともに目安の費用としてご参照ください。

50万円/坪程度の場合の建て替え費用

例えば、延床面積が60坪、戸数10戸、家賃が6万円/戸の物件を同じ条件で建て替えることを想定すると、解体費用は60坪×3万円/坪=180万円、入居者の立ち退き料は6万円×6カ月×10戸=360万円、アパートの建設費用は50万円/坪×60坪=3,000万円で、合計は3,640万円となり、さらに規模が大きくなればまだまだ建て替え費用は高くなります。実際のところ、家賃をアップするための方法として建て替えを選ぶには負担額が大きすぎます。

リフォームにかかる費用

家賃をアップするためのもう一つの方法として、リフォームも考えられます。ここでは、アパートをフルリフォームする場合を想定してその金額を計算してみたいと思います。

10戸アパートをリフォームした場合

アパートのリフォームでは、どのようなリフォームを実施するかによって金額は大きく異なります。そうした前提で、大まかな目安を考えると、アパートをフルリフォームするのであれば20万円/坪程度はかかります。建て替えの時と同じく、総戸数10戸、延床面積60坪程度の物件をフルリフォームするのであれば、20万円/坪×60坪=1,200万円かかることになります。

リフォーム前に確認しておきたいこと

フルリフォームした際の大雑把な費用について計算しましたが、実際は、どのようなリフォームを実施するかによって費用が変わります。どのような工事内容にするかについては、以下のようなことに気を付けるとよいでしょう。

アパートの状態

まず、アパートの状態の確認が必要です。少なくとも、壊れている部分についてはリフォーム工事の内容に含める必要があります。また、経年劣化した部分については、今リフォームした方がよいのか、後からでもよいのか、費用を見ながら検討するとよいでしょう。

入居者のニーズ

次に、入居者のニーズに合わせて工事内容を決めます。例えば、全国賃貸住宅新聞社の「入居者に人気の設備ランキング2017」によると、1位は「インターネット無料」、2位は「エントランスのオートロック」となっており、以降、宅配ボックスや追い焚き機能、ウォークインクローゼットなどが続きます。アパートの部屋タイプが単身者向けなのか、ファミリー向けなのかによっても変わるため、想定するターゲットと、そのニーズに合わせて工事内容を決めることが大切です。

リフォーム後の賃料設定

また、リフォームは家賃アップのために実施するのですから、リフォーム後の賃料設定に応じて予算を決めるべきです。具体的には「家賃アップ分の10年分」を指標とするのがおすすめです。例えば、リフォームを施して総戸数10戸、1戸6万円の家賃を7万円にアップするのであれば、「1万円×10戸×120カ月=1,200万円」となります。

なお、10年分とした理由は、外壁塗装のサイクルです。外壁塗装も賃貸経営において避けては通れないリフォームのひとつですが、外壁塗装は10年に1回のサイクルで行うことが多く、工事をするにあたっては、10年内に工事費用を回収することをイメージして計画を立てます。

基本的なリフォームは最低限必要

どのリフォーム工事を実施するかについて、最低限入れておきたいのは建物の耐久性などに直結する工事です。例えば、外壁塗装工事については、劣化が見られるのに工事しないでおくと外壁の継ぎ目などから建物内部へ、そして建物躯体へと浸水し、耐久性の低下につながる可能性があります。そうでなくとも、見た目が悪いと入居者からの印象が悪くなってしまいます。

少なくとも、リフォームの段階で外壁に劣化が見られるのであれば工事内容に外壁塗装工事は含めるべきです。その他、古くなったエアコンの取り換えや壁紙、フローリングの変更など、いわゆる原状回復工事に係る内容については実施しておいたほうがよいでしょう。

収益改善が期待できるリフォーム内容

必要最低限のリフォーム工事を実施しつつ、収益改善が期待できるリフォームを取り入れる必要があります。どのようなリフォームであれば、収益改善を期待できるのでしょうか?

室内リフォーム

まずは室内リフォームです。壁紙やフローリングの貼り換えといったことに留まらず、和室から洋室へ変更したり、間取りを変更したりといったことが考えられます。LDKに和室がついているような間取りであれば、和室を洋室にすることでLDKとひとつながりにでき、部屋を広く感じさせることが可能です。和室がよいか洋室がよいかについては、エリアによって異なる面もあるため、不動産会社の担当者と相談しながら計画を立てることをおすすめします。

なお、和室については赤ちゃんがいるような家庭では有難がられることが多いです。どのような層をターゲットにするかを絞り込んだ上で決めるとよいでしょう。

水回りリフォーム

次は水回りのリフォームです。80年代後半から90年代初めに建てられた建物に多い、3点ユニットバスは分離工事を実施することで入居者獲得が期待できます。最近の新築アパートはほとんどの場合、バストイレ別ですので、3点ユニットバスのままだと周辺相場より安い家賃設定にしなければなりませんが、この工事を実施することで5,000円/月・戸程度のアップにはつなげられるでしょう。

また、バランス釜をユニットバスにリフォームすることで同様の家賃アップ効果が期待できます。これらの工事に共通することは、工事費用を家賃アップ分で回収できるかどうかを慎重に見極める必要があるということです。

設備リフォーム

設備リフォームについては、最近の入居者ニーズを参考に「宅配ボックス設置」や「追い焚き機能追加」を検討してみましょう。ニーズの高い設備を導入することで、入居率アップにつなげられると共に、家賃アップを目指すこともできます。とはいえ、あくまでも設備追加のため大幅アップとはいきません。2,000~5,000円/月・戸アップ程度を目安に考えるとよいでしょう。

共用部リフォーム

共用部リフォームについては、先述の外壁塗装工事が考えられるほか、エントランスのオートロック化なども収益アップにつなげられる可能性があります。こちらも入居率アップと共に5,000円/月・戸程度の家賃アップが期待できるでしょう。なお、ここまでそれぞれのリフォーム工事について、期待できる家賃アップ効果についてお伝えしていますが、これらは重ねて実施したとしても、必ずしも重複して家賃アップ効果を期待できるわけではありません。

例えば、共用部リフォームで5,000円/月程度のアップを目指せたとしても、水回りリフォームや設備リフォームと組み合わせて15,000円/月の家賃アップにつながるかというと、そうはいかないことが多いです。これは、家賃相場と比べてあまりに高くなってしまうと敬遠されてしまいやすくなるからです。こうしたことからも、事前に計画を立てて必要なリフォーム工事を実施していくことが大切だと言えます。

リフォームすべき箇所が判断できない場合は業者に相談

リフォームすべき箇所が判断できない場合は業者に相談するとよいでしょう。入居者募集を依頼している不動産会社に相談しつつ、リフォーム経験豊富な業者からも意見を取り入れて、必要な工事を決めていきます。なお、リフォーム業者については複数社に相談することが大切です。

見積もりの時点では無料なので、いくつかのリフォーム業者の意見を取り入れながら工事内容を決めていき、最終的には見積もりや対応、実績などを見て工事を依頼する業者を決めることをおすすめします。

まとめ

築古アパートのリフォームについてお伝えしました。築古アパートについて収益改善を目指すのであれば家賃をアップする必要がありますが、そのためには建て替えかリフォームを検討しなければなりません。とはいえ、建て替えだと費用が高すぎるため、基本的にはリフォームをおすすめします。また、リフォームはどのような工事を実施するかによって金額が大きく異なるため、工事内容について慎重に決めていかなければなりません。どのような工事を実施するかについて自分で決められない場合は、業者に相談しながら決めていくとよいでしょう。
逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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