アパートの外壁リフォームに欠かせないコーキングについて徹底解説します

2024.07.02更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

アパートの外壁リフォームに欠かせないコーキングについて徹底解説します

外壁リフォームを検討中の方へ、コーキング補修のタイミングや費用相場など、気をつけておきたいことをご紹介します。

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目次

外壁リフォームに欠かせないコーキングとは

コーキングとは、サイディング外壁やコンクリート外壁等の外壁と外壁の隙間や、窓のサッシ周りの隙間を埋めるゴム状のパッキンのことで、シーリングとも呼ばれます。サイディングやコンクリートは、気温や湿度によって膨張したり、収縮したりしますが、コーキングがそれらの隙間を埋めることで、建材同士がぶつかり合って外壁材が割れてしまったり、歪んだりすることを防止する役目を果たします。

また、隙間を埋めることにより隙間から建物内部に雨水が浸入するのを防ぎ、建物の耐久性を損なわれるのを防止できます。前者の効果にせよ、後者の効果にせよ、コーキングは、建物の資産価値を落とさないための重要な役割を担っていると言えるでしょう。

コーキングの耐用年数

外壁リフォームは、外壁の耐用年数を見ながら補修を行うのが一般的ですが、コーキングの耐用年数についても留意する必要があります。コーキングも外壁と同様、紫外線を受けたり雨風にさらされたり、また、地震で建物が揺れたりするなどして劣化していきますが、その耐用年数は5~10年程度が一般的です。

なお、コーキングの劣化症状として「ひび割れ」「破断」「肉やせ」の3つがないかを確認しましょう。ひび割れはコーキングの一部が割れている状態、破断はひび割れが大きくなり左右に広がっている状態、肉やせは経年劣化によりコーキングが細くなってしまっている状態です。

ひび割れが見られたら2~3年以内の補修を、破断や肉やせが見つかった時はできるだけ早く補修する必要があります。

コーキング工事を怠ると起きるトラブル

コーキングが劣化しているのにも関わらず、コーキング工事を怠り放置すると、まず、ひび割れた部分から外壁の内側、建物の躯体部分に雨水が浸入してしまいます。これにより、建物の躯体部分の木材が腐食したり、躯体部分の間に施工された断熱材にカビが生じたりします。

コーキング工事は外壁塗装と同様に重要です!

建物の躯体部分の木材が腐食すると早期の建物劣化につながりますし、断熱材にカビが生じると、家の中で生活していくうちに健康を害してしまう可能性もあります。

一度建物の躯体部分の木材が腐食したり、断熱材にカビが生じたりすると補修に大規模な工事が必要となり、費用も高額となってしまいます。そうならないよう、コーキングに劣化が見られたら早い段階で補修することが大切です。

コーキング工事の方法と費用相場

コーキング工事には、「打ち替え」「増し打ち」の2つの工事方法があります。それぞれの工事内容や費用相場について見ていきましょう。

打ち替え

施工方法

コーキングの打ち替えとは、既存のコーキングを全て撤去し、新しいコーキングを打つ方法のことです。既存のコーキングを撤去する必要があるのに加え、既存のコーキングを活かすことができず施工するコーキング材の量が増えることもあり、増し打ちと比べて費用が高くなります。

打ち替えが適しているとき

打ち替えは既存のコーキングを撤去して新しいコーキングを打つため、費用が割高となりますが、耐用年数を長くすることができます(5~10年程度)。ここまでお伝えしたように、コーキングは建物の耐久性を損なわれるのを防ぐ重要な役割を担っています。基本的には、ほとんどのケースで打ち替えをオススメします。

費用相場

打ち替えの場合のコーキング工事費用は、以下のように計算します。

打ち替え費用=(コーキング材単価×施工する長さ)+既存のコーキング撤去代+足場代

コーキング材単価は、一般的な「ウレタン系」のものや、上から塗装できる「変成シリコン系」などがあり、どのコーキング材を使うかによって単価が変わりますが、500~1,000円/m程度が相場です。

また、既存のコーキング撤去代は、概ね600~700円/m程が相場です。さらに、上記にプラスして足場代も考える必要がありますが、足場代の相場は600~800円/m2となっています。

20戸アパートの場合の費用

ここでは、2階建て20戸、建物面積500m2、コーキングの長さが800mの物件でコーキング工事した場合の費用をシミュレーションしてみたいと思います。また、コーキング撤去代として600円/m、新設するコーキング代として800円/mかかることとし、足場代については600円/m2とすることにします。

コーキング撤去代600円×800m=48万円
新設するコーキング代800円×800m=64万円
足場代600×500m2=30万円
合計142万円

増し打ち

施工方法

増し打ちは既存のコーキングの上から新しいコーキングを打つ方法です。既存のコーキングを残したまま新しいコーキングを打つため、既存のコーキングを撤去する必要のある打ち替えより費用は安くなります。

増し打ちが適しているとき

既存のコーキングを残す増し打ちでは、既存のコーキングを残す分、価格を安くできるものの耐用年数が短くなってしまうため(3~5年程度)、基本的には打ち替えをオススメします。

それでも、増し打ちを希望する場合は、「既存のコーキングがあまり劣化していないこと」と、新しく打つコーキングの厚みを十分に取るため、「外壁の厚みが15mm以上であること」の2つの条件を満たすようにしましょう。

既存のコーキングの劣化状況については、目視でひび割れや破断が見られなくても、内部では劣化が進行しているケースも考えられるため注意が必要です。

費用相場

増し打ちの場合のコーキング工事費用は、以下のように計算します。

増し打ち費用=(コーキング材単価×施工する長さ)+足場代

コーキング材単価は打ち替えと同じく、500~1,000円程度、足場代の相場は600円~800円/m2です。

20戸アパートの場合の費用

こちらも、打ち替えと同じく、2階建て20戸、建物面積500m2、コーキングの長さが800mの物件でコーキング工事した場合の費用をシミュレーションします。新設するコーキング代として800円/m、足場代として600円/m2かかることとします。

新設するコーキング代800円×800m=64万円
足場代600円×500m2=30万円
合計94万円

打ち替えと比べると、既存コーキングの撤去費用48万円が丸々抜けた計算結果となっていますが、実際には、既存コーキングを残す分、新設するコーキングの量についても、もう少し安く抑えられることがほとんどです。

コーキング工事をする際に気をつけておきたいこと

コーキング工事をする際には以下のような点に気をつけましょう。

・施工タイミング
・コーキングの種類
・塗装業者の選定

それぞれについて、詳しく見ていきます。

施工タイミング

コーキング工事で気をつけたいことの1つ目は、施工タイミングです。コーキング工事では、足場を設置する必要があるため、折角であれば外壁塗装と同じタイミングで行った方が、足場の設置を1回で済ませられます。しかし、問題は外壁に塗装した塗料の耐用年数とコーキング工事の耐用年数が異なることです。

<塗料ごとの耐用年数相場>
塗料の種類耐用年数
アクリル3~7年程度
シリコン7~12年程度
ラジカル制御12~15年程度
フッ素15~20年程度
遮熱・断熱15~20年程度
光触媒15~20年程度
無機20~25年程度

例えば、耐用年数15年程度のフッ素系塗料を塗布していた場合、15年目の塗り替えの際にコーキング補修を検討するのであれば、耐用年数が5~10年程度とされるコーキングでは、ひび割れや劣化による内部への浸水などトラブルにつながってしまう可能性があります。

この場合、「7~8年程度で打ち替えを行い、15年目にもう一度打ち替えを行う」もしくは「10年程度で増し打ちを行い、15年目の段階で打ち替えを行う」とするなど、修繕計画を立てながら補修を行っていくのがよいでしょう。

コーキング材の種類

コーキング材にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があるため、依頼する前に特徴を調べておくようにしましょう。コーキング材の種類には、以下のようなものがあります。

・ウレタン系
・変性シリコン系
・シリコン系
・アクリル系

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ウレタン系

ウレタン系のコーキングは耐久性や弾力性が高く、価格を抑えやすいという特徴を持ちます。また、上から塗装することができる素材でもあります。このことから、クラック補修や目地の補修にも使用されます。一方、紫外線に弱いため、上から塗装して塗膜で被せるのが一般的です。コーキング材充填後、シーリング材が痩せやすいという特徴もあります。

変成シリコン系

変成シリコン系のコーキングもウレタンと同じく上から塗装することができるという特徴があります。サイディング外壁の目地(外壁と外壁の境目)に使用されるコーキングのほとんどが変成シリコンなので、どれにすればよいか迷ったら変成シリコン系のコーキングにするとよいでしょう。

ウレタン系やシリコン系に比べると若干費用が高くなります。

シリコン系

シリコン系のコーキングは耐久性に優れ、比較的価格が安く、また、密着性に優れるため、変成シリコン系のコーキングで必要とされるプライマー(接着剤)なしで施工できるなど、コストパフォーマンスに優れます。一方で、シリコン系のコーキングは充填後、シリコンオイルが出るため上から塗装することができません。

アクリル系

アクリル系のコーキングはウレタン系や変成シリコン系と同様、コーキングの上から塗料を塗布することができるのに加え、湿った箇所でも施工可能という特徴を持ちます。一方で、耐久性に劣り、充填後の肉やせにつながりやすい素材です。

塗装業者の選定

コーキングは、「打ち替え」と「増し打ち」といった施工方法の違いや、「ウレタン系」や「変成シリコン系」など素材の違いにより耐用年数や金額が変わってきますが、一般の人の多くはこのことをよく知らないことから、見積もり提示時に、この辺りのことを詳しく説明されることもあまりありません。

コーキングの現況に関わらず、増し打ちを提案すれば全体の価格を安く抑えられるため、業者の中には増し打ちのデメリットをきちんと説明することなく、見積もりを提示する業者もあります。もちろん、きちんとした業者であれば、見積もり時に工法の違いや性能の違いを説明してくれるのですが、コーキング工事の経験の少ない利用者にとっては、そうした業者の違いを見分けることもできません。

そこで、コーキング工事や外壁工事の見積もりを取る際には、必ず数社から見積もりを取ることをおすすめします。相見積もりを取れば、業者ごとの見積もりの違いやその理由を知ることができますし、見積もり提案時にしっかり説明してくれる業者かどうかも見分けることが可能です。

また、特に、コーキング工事と一緒に外壁塗装も行う場合は同じ塗料で見積もりを取っても、ルートの違いにより業者間で価格が異なることもあるため、そうした点でも複数業者から見積もりを取ることをおすすめします。

まとめ

外壁リフォームにおけるコーキング工事について、コーキング工事の重要性や耐用年数、工法の違いと費用相場、注意点として素材の違いや業者選定の重要性などお伝えしました。コーキング工事は、外壁リフォームの中でも塗装と比べて目立ちにくく、後回しにされがちですが、建物の耐久性を保つ上で重要な役割を果たしています。

外壁リフォームのタイミングを検討する際は、塗料の耐用年数だけでなく、コーキングの耐用年数にも注意するとともに、普段から定期的にひび割れや破断、肉やせがないか確認しておくようにしましょう。

外壁リフォームはコーキング工事も含めて検討!
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この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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