長期空室の原因をチャートで診断!今すぐできる空室対策で不人気物件から脱却しよう

2024.09.06更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

長期空室の原因をチャートで診断!今すぐできる空室対策で不人気物件から脱却しよう

長期空室に悩む大家さんに向けて、長期空室の原因を説明し、チャート診断した上で取り組むべき対策についてもご紹介します。

あなたの物件で空室が続くのはなぜ?
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目次

空室が長い間埋まらないのはなぜ?

賃貸経営を行う上で、空室の発生は収入減少に直結します。空室が発生したら、早く新しい入居者を見つけて満室経営したいと、大家さんは考えるでしょう。しかし、現状「長期空室」が発生している大家さんにとっては、対策を早めに講じたいと思うものの、何が原因なのか分からないという方もいるかもしれません。

まず長期空室とは何か、そしてなぜ空室が長期化するのか、その背景について説明します。

長期空室とは?

長期空室に明確な定義はありません。入居者が退去をした後、ホームクリーニングを行い、新しい入居者の募集、内見対応などができる状態までに、1週間から1か月程度かかるのが一般的です。そのため、長期空室は「1か月以上の空室」の状態が発生している状態を目安として考えておきましょう。

ただ、長期空室が賃貸経営に影響を及ぼすかどうかは、どれくらいの余裕を持って計画が作成されているかにもよります。満室経営を前提に、賃貸経営の計画を立てている場合、1か月でも空室が生じてしまうと、キャッシュフローに支障が生じます。

また1室程度の空室が生じても、自己資金でカバーしなくてもキャッシュフローに支障が生じないのであれば、長期空室が直ちに賃貸経営に影響を及ぼすとはいえません。あくまでも、長期空室=「1か月以上の空室」は目安だと考えておくとよいでしょう。

なぜ空室が長期化しているのか

空室の長期化の背景には、賃貸物件の増加と人口減少が考えられます。

賃貸物件の増加

出典:令和2年度計 建築着工統計調査報告(国土交通省)

現状は減少傾向にありますが、新築の賃貸物件の登場によって、既存の賃貸物件に魅力を感じてもらえない可能性があります。

人口減少

出典:2021年1月報 人口推計(総務省)

賃貸物件が増加した一方で、総人口は減少していることも長期空室の背景として挙げられるといえます。

人口減少はしているが世帯数は増加している

人口減少、賃貸物件の増加によって、長期空室の発生が生じているとご説明しましたが、実は単身世帯や2人世帯を中心に世帯数は増えているという事実もあります。つまり、賃貸ニーズ自体はあるということです。

出典:日本の世帯数の将来推計(国立社会保障・人口問題研究所)

そのニーズをうまくつかめずにいることが、長期空室の発生の大きな原因であるケースもあるでしょう。

長期空室の原因をチャート診断!

長期空室の原因が「ニーズをうまくつかめずにいること」にある可能性もありますが、それ以外の原因で長期空室が発生している可能性もあります。所有する賃貸物件の長期空室がなぜ発生しているのかを上のチャート診断で客観的に確認してみましょう。各原因の対策を次段でご説明します。

長期空室になる原因と空室対策

長期空室がなぜ発生しているのかを4つの原因に分けてご説明します。また、その対策についても、それぞれご紹介します。

【原因①】仲介会社の問題

仲介会社そのもの、また仲介会社との関係構築に問題があって、長期空室が発生している可能性があります。仲介会社は、賃貸契約締結を仲介することにより発生する仲介手数料、および広告料(依頼があった時に限る)を収入としています。

また、仲介契約の種類には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」があります。とくに「一般媒介」は、複数の仲介会社に重ねて仲介を依頼することができるため、入居者探しに熱心になっても、ほかの仲介会社が紹介した人が契約に至った場合、1円も収入が得られません。仲介会社と密に連携を取り、WinWinな関係構築をしておかなければ、物件の紹介を積極的にしてもらえない可能性があります。

【対策】

仲介契約が「一般媒介」であれば、信頼できる仲介会社を選んで「専任媒介」(ほかの仲介会社に重ねて依頼ができない仲介契約)に変更しましょう。「一般媒介」では仲介会社が報告を行う義務はありません。

しかし、「専任媒介」では、2週間に1回の頻度で報告を行う義務がありますので、仲介会社も募集活動をおろそかにできません。また、仲介会社に任せっぱなしにするのではなく、大家さんからも積極的に連絡を取ることにより、仲介会社との関係を深めていきましょう。さらに、必要に応じて広告料の提示を行うことによって、仲介会社がより熱心に募集活動を行ってくれる可能性が高まることも知っておくとよいでしょう。

【原因②】家賃設定の問題

入居検討者が賃貸物件を探す際、「家賃」は大きな条件の1つです。「エリア」や「間取り」がほぼ同条件であれば、より新しくてお得な物件に注目が集まるのは当然のことでしょう。相場やニーズの変化を把握せず、賃貸経営を継続していると、入居検討者の選択肢から外れてしまう可能性もあります。

【対策】

まず、築年数やグレード、周辺相場に合わせた家賃設定になっているかどうかを確認することが必要です。日頃、お世話になっている仲介会社に相談して、助言を仰いでみるとよいでしょう。

また、「家賃」と「共益費」に分けて、家賃設定を低く見せる方法もあります。それによって、家賃〇〇万円以内という検索表示にヒットさせることもできます。また、初期費用の敷金や礼金、および更新料は、家賃〇か月分で示されるため、入居者の初期費用や更新料の負担軽減にもつながり、喜ばれるでしょう。
また、フリーレントで入居者募集をしてみるのも一案です。フリーレントとは、家賃を一定期間無料にする仕組みです。入居時の初期費用の負担軽減を図ることができるので、入居検討者にとってもメリットがあります。また、大家さんにとっても、家賃の値下げをしないで済むため、物件価値が下がりません。仲介会社と相談しながら、ルール設定を検討してみるとよいでしょう。

【原因③】物件の競争力の問題

所有する賃貸物件の周辺に、新築の賃貸物件やリノベーション物件が増えると、既存物件の競争力は劣る可能性があります。競争力を高めるためには、所有する賃貸物件の「強み」や「不足しているもの」が何か、まず見極めることが大切です。

【対策】

所有する賃貸物件の近隣にある類似物件の空室状況を確認してみましょう。近隣の類似物件にも空室が目立つ場合には、そもそもニーズが少ない可能性があります。一方、所有する賃貸物件に空室があるのに、近隣類似物件には空室が目立たないのであれば、所有する賃貸物件の魅力が乏しい可能性があります。

いずれにしても、仲介会社に相談して、所有する賃貸物件の「強み」や「不足しているもの」について、客観的な助言を仰ぎましょう。

立地など、動かせない条件でニーズが少ない場合は、それを逆手に取った魅せ方や周辺の利便施設に何があるかを考えてみましょう。たとえば、駅から遠くても閑静な住宅街であれば、「静かな住環境」を求めている人には魅力的に映る可能性があります。

また、周辺の利便施設へのアクセスが至近であることを求めている人もいるかもしれません。所有する賃貸物件の「強み」であると魅力的にとらえて、アピール方法を考えてみましょう。
設備など、変更可能な条件で魅力が乏しい場合は、「不足しているもの」が何かを確認して、リフォームや設備の入れ替えなどを行いましょう。

また、入居検討者が内見時に好印象を抱いてくれるような工夫を行うのも一案です。室内を清潔に保っておくのはもちろんのことですが、簡単なホームステージングを施してみるのもよいでしょう。

【原因④】物件管理の問題

物件の管理が行き届いていない場合、入居検討者が内見をしても悪印象を抱く可能性があります。さらに仲介会社との関係性が薄い場合、物件に悪印象を抱くことを想定して、ほかの物件を成約させるための「見せ物件・当て物件」に利用される可能性もあります。

【対策】

大家さんみずから管理を行っている場合は、共有部分の管理(清掃、備品交換など)を徹底しましょう。また、空室となっている部屋はしばらく使っていないため、排水トラップに古い水がたまることによって異臭がしたり、埃が目立ったりする場合があります。

こまめに換気や清掃を行い、内見の際に入居検討者から好印象を抱いてもらえるように努めましょう。十分に管理が行き届かない場合には管理会社への委託も検討しましょう。
また、管理を管理会社に委託しているのに、管理が行き届いていない場合には、管理会社の変更も視野に入れて、話し合いの機会を設けましょう。

まとめ

長期空室の背景には、人口減少や賃貸物件の増加もあります。しかし、世帯数は増えていることを踏まえると、必ずしも長期空室の要因に直結するとは言い切れません。長期空室が発生している要因を個別具体的に把握して、その要因に対する具体的な対策を講じるように心がけましょう。

また、その対策を講じるためには、1人で抱え込み悩んでいても始まりません。安易な家賃引き下げで一時的な解決を試みるのではなく、仲介会社や管理会社に相談をしながら、客観的視点の意見も取り入れて対策を進めていく姿勢を大切にしておきましょう。

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AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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