賃貸経営の相談は、誰にしたらいい?初心者大家さんの悩みやトラブルの相談先をご紹介します

2023.12.01更新

この記事の監修者

キムラ ミキ

キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

賃貸経営の相談は、誰にしたらいい?初心者大家さんの悩みやトラブルの相談先をご紹介します

賃貸経営には「こんな時どうするの?」という悩みがつきもの。この記事では、大家さんの悩み例や相談できる場所をご紹介します。

目次

初心者の大家さんが抱えやすい悩みとは

賃貸経営に関する悩みと一口にいっても、その悩みは大家さんの経験年数、エリア、物件、入居者属性などによって千差万別。ピッタリ当てはまる同じ悩みはないかもしれません。そのなかでも、初心者大家さんが抱えやすい悩みの一例として、次のようなものが挙げられます。

・入居者間でトラブルが生じてクレームを受けたけど、どう対応すればいいの?
・設備が故障したと入居者から連絡を受けたけど、修理の負担は誰がするの?
・初めての確定申告は、何から行えばいいの?準備すべきものは?
・急な退去連絡に応じなければならないの?その後の入居者募集はいつから始めるの?

このように、初心者大家さんが抱えやすい悩みにも枚挙にいとまがありません。なぜなら、大家さんはさまざまな役割を果たすことが求められているからです。

まずは大家さん自身の役割を知ろう

大家さんは、入居者に住宅を提供して家賃収入を得るだけが役割ではありません。賃貸経営をしていくために、以下のようにさまざまな役割をこなしていく必要があります。

●入退去者対応
入居者募集、内見立会、入居審査、契約手続、退去手続(退去立会、原状回復、敷金精算)など

●既存入居者対応
家賃回収、延滞家賃督促、契約更新、入居者からの要望・苦情対応など

●物件管理
共用部分の清掃・修繕・備品交換、建物および付帯設備の修繕、交換など

●会計管理
入出金管理、帳簿記帳、キャッシュフロー管理、確定申告など
   
しかし、このすべてを大家さん1人で行う必要はありません。大家さんが賃貸経営に充てられる時間とコストのバランスを考えながら、業者へ業務委託をするなどサポートを受けることもできます。

とはいえ、賃貸経営を成功させるためには、すべてを業者へ丸投げするのは望ましくありません。みずからの資産を育てていくためにも、主体的に関わる姿勢を忘れてはならないことを留意しておきましょう。

大家さんが賃貸経営で関わる会社や相手

大家さんが賃貸経営で関わる可能性のある会社や相手方として、以下のようなものが考えられます。

不動産管理会社

不動産管理会社は、賃貸物件管理業務を行います。管理業務は多岐にわたり、入居者対応(設備不具合、苦情などへの対応)、家賃回収代行、清掃、修繕計画管理など。どこまで管理してもらえるかは、大家さんと不動産管理会社との契約内容により異なります。

仲介会社 

不動産の売主と買主、貸主(大家さん)と借主(入居検討者)を引き合わせて、契約締結をサポートする役割を担うのが仲介会社です。仲介会社は、物件の広告掲載を行い、関心を持った買主や借主に物件を紹介し、契約手続きを行います。

大家さんが仲介会社に入居者募集を依頼し、入居検討者がいた場合、内見手配や契約書類の作成、契約手続、火災保険の加入手続など、入居までに必要な手続のサポートを行ってくれます。

サブリース会社

大家さんから賃貸物件を借りて、第三者に転貸する会社のことをサブリース会社といいます。サブリース会社と契約すると、入居者の有無を問わず、家賃から手数料を差し引いた、サブリース家賃を大家さんが受け取れますが、一定期間ごとに見直されるため、賃貸物件の築年数に応じて減額される可能性もあります。

サブリースは、空室リスク解消に有益な手段でもありますが、契約内容を正しく理解することが大切です。

税理士・公認会計士

税理士・公認会計士は、事業経営を行う方の税務会計をサポートする業務を行っています。賃貸経営でも、家賃収入を得ると、確定申告が必要です。

税理士や公認会計士と契約すると、確定申告などの税務会計に関わる業務をサポートしてもらえます。記帳から確定申告まで、どの範囲までサポートしてもらえるかは、契約内容により異なりますので契約時にきちんと確認しておきましょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーは、お金に関する幅広い知識(社会保険、税金、不動産、相続、金融商品、保険などの知識)を持ち、依頼者のライフプランに基づいて、キャッシュフロー表を作成・分析し、アドバイスを行う業務を行います。

日頃からキャッシュフローを確認することは賃貸経営において重要です。大家さん自身がキャッシュフローの見通しを立てるのが難しい場合、ファイナンシャルプランナーに相談を依頼すると、経常支出のみならず、想定される一時的、突発的な支出も盛り込んだキャッシュフロー表の作成・分析と、アドバイスをもらうことができます。

弁護士

弁護士は、法律の専門家です。日常生活の中で起こるトラブル解決のための交渉、それにともなう法的手続きなどを行っています。賃貸経営において、家賃延滞や騒音やマナーによる入居者間トラブル、原状回復の費用負担割合等々、入居者トラブルはつきものです。

賃貸経営でトラブルが生じた場合、弁護士に相談依頼をすることで、大家さんに代わって、交渉や法的な手続きを行ってもらえます。

リフォーム会社

リフォーム会社は、建物のリフォームを行ってくれる会社です。リフォーム専門で行っている会社だけでなく、新築住宅の建設も行っている工務店がリフォームも行っている場合もあります。

賃貸物件の修繕を行い、物件価値を維持向上させるよう努めることは、入居者に安心安全な住環境を提供するためにも、大家さんの大切な務めです。適宜リフォーム会社に相談し、計画を立てて修繕を行いましょう。

悩み・トラブルから見る相談先

ご紹介した賃貸経営の関連業者や専門家のうち、大家さんの悩みをどこに相談すればよいかをご説明いたします。

空室対策・入居者募集

・入居者募集をするにはどうしたらいいの?
・空室が継続しているけど、どうしたらいいの? など

空室や入居者募集に関するお悩みは、日頃の管理業務を委託している場合であれば管理会社に相談されてみるとよいでしょう。管理業務を行う中で、空室が継続している理由や改善点のヒントとなる意見をもらえる可能性があります。そのほか、入居者を紹介してもらった仲介会社に相談するのもよいでしょう。

入居検討者の紹介のほかにも、空室の悩みに対するアドバイスを受けられる可能性があります。また、仲介会社は契約を締結させた時に受け取る仲介手数料が収入となります。

仲介手数料には限度額が決められていますが、大家さんから広告依頼があった場合、別途広告費として受け取ってもよいとされているため、相談する際は、広告料のアップとあわせて相談を持ち掛けてみましょう。

入居者対応・トラブル

・入居者間でトラブルが生じたけど、どう対応すればいいの?
・何度督促をしても、家賃延滞が解消しないけどどうしたらいいの? など

入居者対応は、管理業務を委託している管理会社に相談して、対応依頼をしましょう。ただし、管理会社との契約が、どこまで対応する契約内容になっているかの確認は必要です。また、管理業務を大家さんみずからが行っている場合、入居者トラブルの交渉が大家さんでは対応しきれなくなった場合には、弁護士に相談しましょう。

とはいえ、日頃お付き合いのない弁護士が、早急に対応してくれる可能性は低いかもしれません。いざという時に備えて、直ちに対応してくれる弁護士と顧問契約を締結するなど、関係性を作っておくことが大切です。

建物の老化・設備破損

・設備が故障したと入居者から連絡を受けたけど、修理対応は誰がするの?
・老朽化が目立ってきたので、修繕したいけどどうしたらいいの? など

入居者からの設備の故障や交換の依頼などには、管理業務を委託している管理会社に相談して、対応依頼をしましょう。ただし、事前に管理会社との契約内容の確認は必要です。管理会社に管理業務の委託をしていない場合には、大家さんみずからが設備修理・交換などを行ってくれるリフォーム会社に相談・依頼をします。

また、老朽化した賃貸物件の修繕も管理会社に相談すると、業者を紹介してもらえる場合もあります。ただし、紹介料などが含まれている可能性もあるため、大家さんみずからリフォーム会社に相談し、合見積もりをとってから、どこのリフォーム会社に依頼するかを決めても問題はありません。

委託できる業務を知り、賢く経営を 

先述したとおり、大家さんは賃貸経営でさまざまな役割を担う必要があります。しかし、その大家さんの役割すべてを一人で行うことは、すべての大家さんに可能であるとは限りません。賢く賃貸経営をしていくためには、関連業者のサポートをうまく活用するのも大切なことです。

そのためには、関連業者がどのような業務をサポートしてくれるのか、知らなければ始まりません。まずは、負担が重いと感じている大家さんの役割は何かを整理して、どの業者にその役割をサポートしてもらえるのかを考えてみましょう。

まとめ

今回ご紹介しました賃貸経営のパートナーとなる可能性のある会社の中で、大家さんがすでにサポートを受けているところもあるかもしれません。この機会に、そのほかにもサポートを受けられる会社や相手方があることを知り、コストとのバランスを考えながら活用を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

キムラ ミキ

キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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