家賃アップも可能!?役割豊富な防犯シャッターの種類と機能をご紹介します

2024.07.19更新

この記事の監修者

いしわた さとみ
いしわた さとみ

宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー

家賃アップも可能!?役割豊富な防犯シャッターの種類と機能をご紹介します

防犯や防音、防火や台風などに効果的な防犯シャッター。防犯シャッターの機能や設置費用、家賃の上げ幅などを解説します。

目次

意外とニーズのある防犯シャッター

これまで、窓にシャッターを取り付けるというと「準防火地域なので必要に迫られて」という消極的な理由が多かったように思います。台風に備えて設置するという方ですら、ほんのひと握りに過ぎませんでした。

ところが最近、こうした災害や防犯対策として窓にシャッターを付けたいという方が増えてきているのです。

特に不特定多数の人が生活し、さまざまな時間帯にさまざまな人が出入りするアパートやマンションにおいては、防犯シャッターが居住者に与える安心感はかなり大きいと考えられます。

それでは、防犯シャッターにはどのような機能があって、どのような役割を与えられているのか詳しく見ていきましょう。

防犯シャッターの機能と役割

古来、日本の民家には窓がなかったということをご存じでしょうか。和室と縁側は障子戸で仕切られ、縁側の外に設けられた木の建具を開閉することで、人々は採光を確保したり雨風をしのいだりして暮らしていたのです。

日本の民家に窓が付くようになってからも、木の建具は雨風からガラス窓を守る雨戸として活躍してきました。

時代の移り変わりとともに一時期雨戸は姿を消しつつありましたが、台風による被害が多発する昨今、木製の雨戸は鋼製シャッターに姿を変えて、再び人気が高まっているようです。

そして、雨風を防ぐ以外にも、窓シャッターはさまざまな目的で利用されています。

防犯面

空き巣や忍び込みなどの防犯対策に絶大な効果を発揮する防犯シャッターですが、それ以外にも台風や暴風雨から窓ガラスを守るという重大な役割を持っています。

最近の窓ガラスは強化されているので風で破られることはあまりありませんが、飛散した物が窓ガラスに当たって割れるというのは決して珍しいことではありません。

また、横なぐりの雨が窓ガラスにぶつかる音に不安を感じる方も多いでしょう。シャッターが1枚あるだけで安心感は違ってきます。

生活面

共同住宅での騒音というと隣室や上下階から、壁や床・天井を通して音が伝わってくると思われがちですが、実は窓から入ってくる音もかなり多いのです。

騒音が気になってしまい、休日ゆっくり寛ぐことができない、夜も眠れないという方にも防犯シャッターは有効です。サッシの隙間から入り込んでくる音を低減し、静かな環境を整えてくれます。

賃貸物件で重視される防犯ポイント

社会的な防犯意識の高まりとともに、空き巣などの侵入による窃盗犯罪は年々減少を続けています。

それでも、一戸建て住宅と共同住宅の被害を合わせると平成28年には76,000件の窃盗犯罪が認知されており、なかでも空き巣や忍び込みによる侵入手段は無締り、いわゆるカギをかけていなかったために侵入されたことによるものが圧倒的で、次いでガラス破りによるものが大多数を占めています。
平成28年の空き巣の手口は、ガラス破りによるものが約10,000件、施錠開けによるものが約1,800件。この結果からも、オートロックやカメラ付きインターホンなどで玄関周りのセキュリティは強化されているものの、それ以外の防犯対策はまだまだ遅れていることがわかります。

従って、防犯シャッターを設置することで、空き巣などの窃盗被害は大幅に減少すると期待できるのです。

防犯シャッターの種類

防犯シャッターは手動式と電動式の2つのタイプに分けることができ、製品によって搭載されている機能もさまざまです。
手動と電動どちらを選ぶべきなのか。

また、基本的な性能以外にどのような機能が備わっていると居住者に喜ばれるのか、シャッターの選び方のポイントも含めてご説明していきます。

手動or電動

防犯シャッターには、手動タイプと電動タイプがあります。手動式よりも電動式の方が1か所につき3~5万円程度費用がアップするため、全室に設置するとなるとその金額差は相当なものになります。

しかし、手動式はいったん窓を開けなければシャッターの上げ下ろしができないこともあり、全部の窓に手動シャッターをつけたら毎日の開け閉めだけでも大変などの声がよく上がっています。

そして、手動式には、電動式に比べて開閉音が大きいというデメリットもあります。窓シャッターの開閉音を原因とした近隣トラブルも起こり得るので、慎重に検討しましょう。

タイプもさまざま

窓シャッターの機能や特徴も、製品によってさまざまです。まずは、一般的な防犯や、家の中に雨水が入らないようにする雨仕舞いなどの基本機能を備えた「標準タイプ」のもの。

そして、ブラインドのようにスラット(シャッターの1枚いちまいの面部分)を開閉することで採光を取り入れたり、遮光したり、風を通したりできる「採風タイプ」。

プライバシーに配慮しながら採光や通風を確保できるので、1階部分への設置に適しています。

さらに、台風や強風に備えて耐風圧性能を高めた「耐風タイプ」などもあります。立地条件や居住者のターゲット層も考慮した上で、どのタイプが適しているかを検討しましょう。

防犯シャッター設置にかかる費用と期間

窓シャッター1か所あたりの設置費用は、手動シャッターでだいたい10万円前後。電動シャッターの場合は15~20万円程度を目安と考えておきましょう。

一例として、LIXIL(リクシル)のリフォームシャッターにかかる費用を見てみましょう。

・手動シャッター 82,000円~
・電動シャッター 155,000円~
・スマート電動シャッター 185,000円~
※手動標準タイプ:消費税、組立代、取り付け費、運賃除く

既存のシャッターや雨戸がある場合は、撤去の手間や既存の雨戸(シャッター)の処分費も別途必要です。工事に要する時間は、窓の上から枠をかぶせてシャッターを取り付けるだけなら1時間程度で終わりますが、外壁を触る必要がある場合は補修などで2~3日を要する場合もあります。

防犯シャッター設置で家賃アップは可能?

ここまでご説明したように、防犯シャッターはさまざまな面で入居者の生活を安心へと導いてくれます。

全国賃貸住宅新聞の人気の設備ランキング(2018年度版)によると、エントランスのオートロックが単身者・ファミリー向けともに第3位、ホームセキュリティーがともに第6位、単身者向け8位には防犯カメラもランクインしています。

先にもお伝えしたように、共同住宅における侵入窃盗はガラス破りによるものが多数を占めており、そういった観点からも防犯シャッターはセキュリティ対策として重要な役割を担うものと考えられます。

特に、セキュリティ面で入居者の決まりにくい1階や、女性向け・学生向けの物件において防犯シャッターはポイントが高く、家賃アップも不可能ではありません。防犯シャッターだけならプラス2,000~3,000円程度。

あまり高額ではないわりに需要の高いモニター付きインターホンや防犯カメラと組み合わせることで、家賃5,000円アップも可能かもしれません。

おすすめの防犯シャッターをご紹介

それでは、実際にどのようなメーカーでどのような防犯シャッターを取り扱っているのか、それぞれのメーカーの特徴やシャッターの性能について見ていきましょう。

①スタンダード型窓シャッター マドモア スクリーンGⅡ(三和シャッター)

三和シャッターはその名のとおり、シャッターとスチールドアにおいて国内トップシェアの実績を誇る総合建材メーカーです。

「マドモアスクリーン」は窓シャッターの基本性能をしっかりと備えたスタンダードなスチール製シャッターで、あらゆる構造の建物に対し、新築・リフォームを問わず設置できます。

また、オプションで手動・電動をセレクトすることもできます。最大の特徴は、なんと言ってもその多様な施工方法。狭いスペースにも設置が可能で、考え抜かれたスッキリとシンプルな納まりも魅力の1つです。

②住宅用窓シャッター:電動(LIXIL)

建築材料と住宅設備機器の開発・販売において業界最大手のLIXIL。

「住宅用窓シャッター(電動)」は、ベーシックな電動の鋼板窓シャッターで、基本性能はすべて網羅。それにくわえて、雨水のたまりにくいデザインや防犯性と耐風圧性を考慮した安心設計、障害物感知機能など、さまざまな仕様を取り入れています。タイマー設定もできる高機能リモコンのほか、専用アプリを入れることでスマートフォンでの操作も可能です。

③かんたんマドリモ シャッター・雨戸(YKK ap)

YKKグループの中核事業を担う、アルミ建材メーカーのYKK AP。

「かんたんマドリモ」は、既存の窓の外側に設置するリフォーム用の電動シャッター。既存の雨戸の上からでも取り付けることができるので、外壁を壊さずに短時間・低コストで手軽に設置できるのがメリットです。リモコン1つで操作できることや、「モーターロック」による防犯効果にも期待ができます。

④マドマスターワイド(文化シャッター)

シャッターやアルミニウム建材を取り扱う総合建材メーカーの文化シャッター。

「マドマスターワイド」は、木造にRC造、新築・リフォームのどちらでも施工可能な電動シャッター。スマートフォンでも開閉でき、停電時には手動に切り替えることも可能。

台風に耐える構造とするため、耐衝撃性試験も実施しています。シャッターやスリットの開閉状態により季節や時間帯に応じて採光や通風を微調整できるので、省エネ生活のサポートやプライバシーの保護にも一役買います。

⑤スチールシャッター電動タイプ(三協立山株式会社)

三協立山株式会社は、アルミやその他金属の加工において高い技術力を有する総合建材メーカーです。

「スチールシャッター(電動タイプ)」は、雨水がたまりにくく、風によるガタつき音を抑える形状。開閉は静かでスムーズと、細かな部分まで行き届いた構造となっています。

停電時には手動での開け閉めが可能で、外から無理に開けようとした場合は電脳ロックが作動し、自動的にシャッターが閉まります。その他、障害物を検知する機能があり、異常な動きを感知するとモーターが強制的に停止して2次破損を防ぐなど、安全性への配慮が高いところも特徴です。

設置前に建物の構造を確認

防犯シャッターを後付けする場合、新築とは違って少し注意が必要です。

窓用の防犯シャッターは一般的に木造用のものが多く、そのほかの構造に対応しているか否かはメーカーによって異なります。また、木造アパートの場合でも、掃き出し窓へのシャッター後付けは施工が困難な場合があります。

たとえば、窓と軒天の間にシャッターを収納するシャッターボックスを設置するスペースがない場合、シャッターボックスがサッシの上部にかかるように納める必要があります。しかし、この省スペースの納め方ができるものとできないものがあるのです。

鉄筋コンクリート造の建物に関しても、サッシの納まりによってシャッターの施工方法が異なるため、その施工方法に対応した製品を選ぶ必要があります。防犯シャッターは自己判断で選ばずに、まずは施工業者やメーカーに相談してみましょう。

まとめ

防犯シャッターを全室に設置するとなると、かなりの費用がかかります。それだけに、防犯シャッターが設置されているアパート・マンションの付加価値は高く、ほかのアパートやマンションとの差別化につながり、結果として空室のリスクを低減することにもなります。

今の日本の状況も踏まえ、防災・防犯に対する意識を高めるとともに、長い目で見て価値ある物件づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

いしわた さとみ
いしわた さとみ

宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー

建築設計事務所、不動産会社、建設会社等での勤務を経て、現在は不動産・住宅・建設ライター、住宅営業、建設CADオペレーターとして活動。

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