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目次
連帯保証人とは何か?正しく理解しよう
この記事では、賃貸借契約の更新時期を現在迎えている、もしくは迎える予定のある大家さんに向けて、連帯保証人に関する取扱いの注意点について解説します。
連帯保証人に類似する言葉に、保証人があります。しかし、連帯保証人の責任は保証人よりも重く、以下の「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」は保証人には認められていますが、連帯保証人には認められていません。
催告の抗弁権
検索の抗弁権
分別の利益
これを分別の利益といいます。しかし、連帯保証人には、この権利はありません。複数人の連帯保証人を設定したとしても、大家さんは連帯保証人一人一人に、滞納家賃などの全額を請求できます。
賃貸契約における連帯保証人の責任の範囲
具体的にいえば、主たる債務が賃貸契約に基づく毎月の家賃であり、その債務に従たるすべてのものが対象なので、借主の故意や過失で破損・破壊した建物や設備の損害賠償、退去時の原状回復費用なども含まれることになります。
民法改正で極度額の設定が必要に
国土交通省がまとめた、裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係る調査によると、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃などを連帯保証人の負担として確定した額は、最大で家賃の約 33か月分となっています。
仮に、家賃10万円だったとしても、連帯保証人の負担は330万円。このように、連帯保証人の負担があまりにも重すぎることが以前から問題視されていました。連帯保証人の負担が重すぎると、引き受け手がいなくなり、逆に負担が軽すぎると大家さんのリスクが高くなります。
そこで、今回の民法改正において、連帯保証の保証額の上限(以下、極度額)を明確にし、主たる債務者は、連帯保証人をお願いする時にみずからの資産状況などを情報提供しなければならないという新しい規定が盛り込まれました。
極度額明記
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないものの保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う
改正民法第465条の2で上記のように規定され、続いて
(略)極度額を定めなければ、その効力を生じない
としています。
極度額とは?
情報提供義務
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
つまり、借主が連帯保証人をお願いする際に、みずからの資産状況について情報提供をしなければいけないということです。もし、虚偽の情報提供をした場合、連帯保証人となることを取りやめることもできます。
そのほかにも、連帯保証人から求められた場合、大家さんは借主の家賃などの支払い状況を提供する必要もあります。また、借主が期限の利益を喪失した場合、大家さんはその情報を連帯保証人に通知する義務規定も、今回の改正民法に盛り込まれています。
賃貸契約時に大家さんが注意すべきこと
極度額を契約書に明記する
やりがちなミスに注意
前掲の国土交通省の「極度額に関する参考資料」によると、強制執行完了まで平均で9.1か月を要していることがわかります。また、同資料によると、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃などを連帯保証人の負担として確定した額は、平均で家賃の約13.2か月分となっています。
もちろん極度額をより多く設定できることに越したことはありません。しかし、それによって連帯保証人の引き受け手が見つからないのも困ります。
先ほどのデータから考えて、少なくとも敷金と合わせて月額家賃の12か月程度分は回収が見込めるように極度額を設定しておくことが望ましいでしょう。なお、契約書のみならず、連帯保証人承諾書の記載内容についても確認をしておきましょう。
連帯保証人の審査
連帯保証人は、1人である必要はありません。万一の際の連帯保証人の負担軽減に配慮し、複数人の連帯保証人を求めるなど工夫を講じるのも一案です。
新しい契約時だけでなく更新時にも注意が必要!
先述したように、連帯保証人の責任については契約書などに「極度額を定めなければ、その効力を生じない」という規定があるため、更新時にも、極度額を明記した契約書および連帯保証人承諾書の取り交わしが必要となることには注意をしておきましょう。
家賃保証会社の併用も検討してみては
家賃保証会社の保証範囲とは
まとめ
しかし、それだけでは、対応漏れが生じる可能性もあります。1人で抱え込むのではなく、管理会社や専門家と密に相談を行い、契約書や連帯保証人承諾書などの記載変更など、事前対策を講じておくのもトラブル回避のために必要不可欠な姿勢であると心得ておきましょう。
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この記事の監修者
AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。