周辺相場より高めでも入居者が決まる?戸建て賃貸の賃料設定方法

監修逆瀬川 勇造

  • 公開日:
  • 2019年06月15日
  • 更新日:
  • 2019年06月15日
周辺相場より高めでも入居者が決まる?戸建て賃貸の賃料設定方法
戸建て賃貸は、需要が供給を上回っていることから、相場より賃料を高めに設定しても入居者が決まりやすく、高利回りが期待されています。とは言うものの、あまりにも相場からかけ離れてしまっては入居者の確保が難しくなってしまうため、戸建ての賃料相場を把握しておくことは大切です。この記事では、戸建て賃貸の賃料見直しを検討している大家さんに、賃料設定の考え方や方法について、賃料を設定する際に確認しておくべきことも交えながらお伝えしていきます。

目次

賃貸経営では家賃設定が大切

賃貸経営では家賃設定が大切です。入居者は、周辺物件の家賃と比較して入居する物件を決めるため、周辺の物件よりややお得に感じる位の家賃設定を目指すとよいでしょう。

なお、賃貸経営においては、受け取った家賃でローンの返済をして、また管理や修繕費用を負担していくことになるため、それらを加味していくら残るのか、というキャッシュフローの視点も重要です。特に、戸建て賃貸はアパート・マンション等の1棟と異なり、1戸が空室になってしまうと収入は0になるため、そのリスクも踏まえた家賃設定をするべきだと言えるでしょう。

戸建て賃貸が賃料高めでも入居者が決まりやすい理由

戸建て賃貸は一般的に、周辺相場よりやや高めの家賃設定をしても入居者が決まりやすいです。それはなぜなのでしょうか?ここでは、以下3つのポイントに絞って解説します。

・需要が供給を上回っている
・立地が重視されにくい
・ファミリー向けとして人気

需要が供給を上回っている

まず、賃貸はアパートやマンションのものが多く、戸建て賃貸は数としてかなり少なくなっています(株式会社価値総合研究所「賃貸住宅市場の実態」によると貸家全体の約2%)。一方、内閣府が平成27年に実施した世論調査によると、住宅を所有したいかという質問に対し、所有したいと答えた人の割合が74.9%、さらに、その内戸建て(新築+中古)を所有したいと答えた人の割合は69.1%と、マンション(新築+戸建)と答えた人の割合13.8%と比べて非常に高く、戸建て志向が高いことが分かります。

立地が重視されにくい

戸建てであっても立地がよければよいことに違いはありませんが、アパートやマンションと比べると立地が重視されにくいという特徴があります。特に、駐車場があれば自動車で移動すればよく、駅までの距離が離れていても問題はなくなります。ただし、周辺にスーパーやコンビニ、学校などが充実しているかといった生活の利便性は求められやすいです。

ファミリー向けとして人気

戸建てはファミリーの入居がほとんどです。アパート・マンションとの大きな違いは、子供の大声などを気にしなくてよいことだと言えるでしょう。ファミリー向けとして人気なのにも関わらず供給が少ないことから、高い賃料設定でも入居が決まりやすいのです。

どのくらい賃料が高くても大丈夫?

戸建て賃貸は供給より需要が多く、周辺の賃料相場より高めの賃料にしても決まりやすいですが、果たしてどのくらいまで高く設定できるのでしょうか?次以降で解説していきます。

戸建て賃貸の賃料設定方法

ここでは、戸建て賃貸の具体的な家賃設定方法について解説していきます。

周辺相場を基準に設定する

まずは、周辺相場から家賃を設定する方法です。周辺に同様の戸建て賃貸の事例があればその家賃設定を参考にするのもよいですが、そう数が多くないのが現状です。その時は、3LDKタイプのアパートを参考にするとよいでしょう。

スマイティでは、家賃相場を調べるコンテンツを用意しています。ご自身の物件エリアで、戸建てもしくは3LDKアパートに絞って調べてみましょう。

利回りを基準に設定する

次は、利回りを基準に家賃を設定する方法です。「〇年で投資元本を回収する」という視点で家賃を想定します。例えば、1,000万円で取得した物件の利回りを8%に設定するのであれば、1,000万円×8%÷12カ月=66,666円となります。エリアにもよりますが、この時想定する利回りは8~10%程度を考えるとよいでしょう。なお、利回りから家賃を算出する方法では、市場にマッチせず入居が決まらない可能性も考えられるため、周辺家賃相場も参照した上で活用することをおすすめします。

新築戸建てのローン返済額と比較する

戸建て賃貸の場合、新築を購入できるのであれば検討したいと考えている方もいます。このため、新築戸建てのローン返済額と比較するのも一つの方法です。例えば、3LDK~4LDK程度の新築戸建てが土地込み3,000万円で購入できるエリアであれば、金利1%程度、借入期間35年の住宅ローンで84,000円/月程度の返済額となります。築年数等にもよりますが、上記返済額より2~3万円以上高い賃料設定となると借り手はつきづらいでしょう。

管理費や敷金・礼金の設定

賃料設定と同様、賃貸を始める際には管理費や敷金、礼金を設定しなければなりません。なお、管理費については、戸建て賃貸はアパートやマンションのように共用部の管理をする必要がないため、管理費0円とすることも多いです。一方、戸建て賃貸でも管理費を設定することもあります。戸建て賃貸における管理費の設定方法としては、1年間で想定される原状回復費から想定するのもよいでしょう。とはいえ、実際のところ特に根拠なく設定することも少なくありません。

この場合、管理費も家賃の一部と考えて、見た目の家賃を安くする目的で管理費を設定するのでもよいでしょう。例えば、家賃が65,000円、管理費が0円のものと、家賃が60,000円、管理費が5,000円のものとでは、後者の方が安く感じてしまうものです。

敷金・礼金の設定の考え方

敷金礼金の設定については、基本的な考え方としてはアパート・マンションの賃貸物件のものとそう大きく違いはありません。敷金2カ月、礼金2カ月としてもよいですし、入居者を早く集める目的で、双方とも0円にしても構いません。この辺りは、どのように入居者を募集するかによって変わってくるでしょう。

ただし、戸建て賃貸は平均居住年数が長いという点は考慮しなければなりません。退去時の請求が高額になってしまう可能性を想定して、できれば賃料の2カ月分程度の敷金は徴収することをおすすめします。

賃料を設定する際に確認しておきたいこと

供給より需要が多い戸建て賃貸ですから、上記のように家賃を設定すれば空室は埋まるはずですが、それでも入居が決まらない場合、どのような点に注意するとよいのでしょうか。

物件の設備

まず、物件の設備は設定した家賃に釣り合っているか確認しましょう。築年数が古く、リフォームも施しておらず、ひと昔前の設備の住宅のままであれば、たとえ高い家賃を設定しやすい戸建て賃貸でも敬遠されやすくなります。この場合、賃料を相場程度か相場以下に下げるか、リフォームを施して設備を最新のものにするかを検討するとよいでしょう。

自己居住用か賃貸用か

戸建て賃貸に利用される建物は、自己居住用に建てたものの、事情があって賃貸や売却に出されたものであることが多いです。一般的に、自己居住用に建てられた建物は最初から賃貸用に建てられた建物と比べて住宅の性能が高いことが多く、それ故に高い家賃設定としやすいです。一方、最初から賃貸用に建てられた建物であれば家賃を安く設定しなければなりません。ご自分の保有されている建物が自己居住用として建てられたものなのか、賃貸用に建てられたものなのかについては把握しておくようにしましょう。

キャッシュフロー

家賃設定についてはキャッシュフロー的観点も欠かせません。あまり安い家賃設定にしてローンの返済もできないようであれば投資をする意味がありませんし、一方で高い家賃設定にして空室が長引いてしまえば収益が大きく悪化してしまいます。これについては、「家賃〇万円を割ったら赤字になる」といったことや「家賃〇万円に設定したら何年で投資元本を回収できる」といった計算をして数字を把握しておくことが大切です。

まとめ

戸建て賃貸の賃料設定についてお伝えしました。戸建て賃貸は供給より需要が大きく、高い家賃設定をしても入居が決まりやすいですが、かといって相場よりあまりにかけ離れた賃料設定では決まりません。また、賃貸経営は投資なのでキャッシュフローについても把握する必要があります。賃料設定の際には、これら、市場相場とキャッシュフローなど投資的観点を加味することが大切だと言えるでしょう。
逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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