サ高住経営を検討している方々へ。ローン借り入れについて解説します

監修逆瀬川 勇造

  • 公開日:
  • 2019年08月04日
  • 更新日:
  • 2019年08月04日
サ高住経営を検討している方々へ。ローン借り入れについて解説します
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を建てるには多額の費用が必要ですが、これは、一戸当たりの床面積に決まりがあったり、バリアフリー構造にしなければならなかったりなど一定の基準があるためです。手元資金では賄えない場合にはローンを組むことになりますが、どのような条件があり、どのような手続きが必要になってくるのでしょうか。この記事では、サ高住経営のためのローンを検討している方々に、どのような条件で、どのような手続きが必要かをそれぞれお伝えしていきます。

目次

サ高住には多額の費用が必要

サ高住を新築するには、一般的なアパートやマンションを建てるのと比べて高額になるのが一般的です。これは、サ高住には一戸当たりの床面積を原則として25m2以上としなければならないなどの基準があるからです(ただし、十分な面積の共同生活スペースがある場合は18m2以上でも可)。

施設によっては食堂やラウンジ、カラオケのできる部屋を設ける場合もあります。さらに、バリアフリー構造の住宅にしないといけないこともサ高住が高額になる理由です。サ高住の建築価格はどのような設備を設置するかや、延床面積によっても変わりますが、坪単価で70~80万円以上になるのが一般的です。

補助金の活用も可能

サ高住は補助金を利用することができます。サ高住の建築を考えている方は必ずチェックしておくようにしましょう。

サ高住の補助金は、新築するのに必要な費用の10分の1を上限として、戸数と各戸の床面積に応じて以下のような補助を受けることができます。

床面積補助率限度額備考
新築30m2以上1/10135万円/戸全住戸数の2割が上限
25m2以上120万円/戸
25m2未満90万円/戸
参考:国道交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」

なお、補助金の他、固定資産税や不動産取得税の優遇税制や住宅金融資産住宅機構の実施するサ高住向けローンを利用できます。

サ高住向けローン対応の金融機関

サ高住向けのローンは住宅金融支援機構の「サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資」が有名ですが、民間の金融機関でも融資を受けることができます。民間の金融機関によっては、サ高住を建設するための専用商品を用意しているケースもあります。ただ、そうした商品がなくとも一般的なローンとして審査を引き受けてくれるはずです。

なお、サ高住を建設するためのローンとしては、例えば、埼玉県の地方銀行である武蔵野銀行が「むさしの<サ高住>応援ローン」として以下のような内容で融資を行っています。
対象者埼玉県・さいたま市・川越市に登録予定のサ高住を建設・購入する法人・個人事業主
資金使途サ高住の建設・購入・改修に必要な設備資金、運営に必要な運転資金
借入額100万円以上
借入期間借入期間 1年超~30年以内
融資形式証書貸付
参考:武蔵野銀行(2019年6月時点の情報となります)

サ高住向けローンの概要

サ高住向けローンについてもう少し詳しく見ていきましょう。

ここでは、住宅金融支援機構の「サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資(以下、サ高住向けローン)」について解説します。なお、住宅金融支援機構のサ高住向けローンは「一般住宅型」と「施設共用型」で取り扱いが異なります。
名称設備条件専有面積
一般住宅型各住戸に台所、トイレ、収納、洗面設備、浴室を備える25m2以上
施設共用型施設共用型 共用部分に台所、収納、浴室を備え各住戸にトイレ、洗面設備を備える18m2以上18m2以上
以下、サ高住向けローンの利用条件など見ていきましょう。

利用できる人

住宅金融支援機構のサ高住向けローンの利用条件は以下のようになっています。

・個人または法人
・個人で年齢が65歳以上のときは後継者と連名により申し込みできる人
・法人は必要に応じて法人の代表者と連名により申し込みできる人
・建設する土地について所有権または借地権を持っている人
・返済期間を通じて適切に経営し確実な返済が見込める事

特に最後の条件が重要で、審査の際に最後の条件を理由に否決となることもあります。

担保の有無

敷地と建物に対し順位1位の抵当権を設定します。

保証人の有無

一般住宅型の場合保証人が必要ですが、保証料を支払えば保証期間の保証を受けることもできます。また、施設共用型については保証人は不要です。

融資可能額

住宅金融支援機構のサ高住向けローンは、サ高住の建設資金のための融資につき、融資対象事業費の100%の融資を受けることができます。

融資対象事業費には以下のような費用が含まれます。

・建設主体工事費、電気工事費、給排水衛生工事費
・既存建物の除去費用
・開発工事費
・設計費、工事監理費、敷地測量費
・都市取得費

なお、事業にかかる設備関係費用や入居者募集費用、広告費用、仲介手数料などは融資の対象外となります。土地や建物の取得費、整備費用などについてはフルローンで融資を受けることができますが、広告費用や仲介手数料などの諸経費については融資対象外となっていることが分かります。

融資期間

返済期間は35年以内で設定されます。

金利

住宅金融支援機構のサ高住向けローンは「35年固定金利」と「15年固定金利」の2つが用意されています。また、一般住宅型か施設共用型のどちらなのか、繰上返済を利用するかどうかで金利が異なります。

なお、2019年6月の参考金利は以下のようになっています。

繰上返済利用制限あり繰上返済利用制限なし
35年固定金利15年固定金利35年固定金利15年固定金利
一般住宅型1.51%0.93%1.60%1.17%
施設共用型1.80%1.22%1.89%1.46%
※繰上返済利用制限ありを選択したのにも関わらず、契約締結日から10年以内に繰上返済した場合、違約金を支払う必要があります。

サ高住向けのリフォームローンの場合

住宅金融支援機構には、サ高住向けのリフォームローンも用意されています。具体的にはサ高住をリフォームするため、もしくは賃貸住宅をサ高住にするための資金として融資を受けられるもので、借入期間は20年、融資上限額は融資の対象となる工事費の80%となっています。

金利は借入期間全期間の固定金利で、借入期間が10年以下か11年以上か、また一般住宅型か施設共用型によって異なり、2019年6月1日時点の金利は以下の通りです。
一般住宅型施設共用型
10年以下11年以上10年以下11年以上
0.56%0.81%0.93%1.18%

サ高住向けローンの手続きと審査

最後に、住宅金融支援機構のサ高住向けローンの手続きと審査についてお伝えします。

手続き

手続きの流れは以下のようになっています。

・事前審査
・設計検査
・着工
・入居者募集
・中間金の受け取りと融資基本約定書の提出
・建物完成
・竣工現場検査と工事費精算報告
・金銭消費貸借契約
・融資実行

基本的な流れは一般的な住宅を建てるのと変わりはありません。融資を受けるには建物が完成していないといけないですが、工事会社には着工時からお金を支払う必要があるため、着工時に30%、屋根工事完了時に30%といった形で中間金の受け取りをすることが可能です。

その際には機構に対して融資基本約定書を提出する必要があります。ただし、住宅金融支援機構と民間金融機関のローンを比べると、設計検査や現場検査を受ける必要がある点で異なります。こうした検査については施工会社が対応してくれるため任せておけばよいでしょう。通常の融資よりやや時間がかかってしまう点については理解しておく必要があります。

なお、審査時には運転免許証などの身分証明書や所得の分かる書類、家族構成が分かる関係図、他に借入がある場合はそれらの償還予定表、土地や建物の書類などが必要となります。

審査

サ高住向けローンの審査では、借入者の年収や属性の他、事業を適切に経営していけるかや、事業の収益性などが見られます。

審査期間は1~2週間で結果が出ることもあれば、1カ月以上かかることもあります。

また、審査途中で必要に応じて必要書類の提出や連帯保証人の追加を要請されることがありますが、その場合、さらに審査が長引く可能性があるでしょう。

審査結果は承認、否決の他、減額承認の可能性もあります。

ローン借り入れの際の注意点

サ高住向けローンでは、特に事業を適切に行っていけるかどうかや、事業の収益性について厳しく見られます。

そのため、審査時には「事業の概要が確認できる書類」を作成する必要があり、書類内には経営同期や事業コンセプト、セールスポイント、開設までスケジュール、組織運営体制、入居者募集方法、競合物件などを記入します。

審査の合否を左右するポイントともなることなので、よく練り上げた内容で提出できるように考えておくことが大切だと言えます。

まとめ

本記事では、サ高住のローンとして特に住宅金融支援機構のサ高住向けローンについて解説しました。住宅金融支援機構のサ高住向けローンは金利が低く、最大で35年固定金利で借りられることから、サ高住を建設する際には利用を検討することをおすすめします。

ただし、仲介手数料などの経費については融資額の中に含められないため、ある程度の金額を自己資金で用意しなければならない点には注意が必要です。民間の金融機関の中には経費まで融資してくれるところもあるため、自己資金をどれだけ出せるかや、金利がどれくらいかなどを比較しながら融資を受ける先を決めるとよいでしょう。
逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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