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エレベーター保守点検の重要性
エレベーターの点検には「定期検査報告」と「保守点検」があります。このうち、定期検査報告はおおむね6か月~1年ごとに実施することとされていますが、保守点検は「使用頻度に応じて」実施することとされており、具体的な時期が決められていません。
定期検査報告は点検の結果を年に1回必ずしないといけませんが、保守点検には義務がないという違いもあります。
しかし、保守点検は「安全性」と「性能維持」のために行われるもので、これを怠ると事故につながるリスクが高まる可能性が高いです。仮に保守点検を怠ったことが原因で事故が起こってしまった場合、大家さんの管理責任が問われることになります。
エレベーター保守点検の法令基準
専門技術者がエレベーターについて異常がないかどうかを点検し、その記録を3年以上保管するものと定められています。なお、保守点検は「努力義務規定」であり、実施しないことによる罰則はありません。
エレベーター保守点検の主な内容
エレベーターを使用していると部品が摩耗したり破損したりして性能が低下していきます。保守点検では、エレベーターに乗る際に乗り心地が悪く感じないようにブレーキや巻き上げ機、メインロープ、バッテリーなどの性能が維持されているかを確認します。
また、エレベーターでは人の命に関わる事故が発生する恐れもあるため、事故を防ぐために先述のブレーキなどの点検に加え、バッテリーや制御盤など正常に作動しているかどうか確認しなければなりません。
エレベーターの法定点検、定期点検とはどう違う?
一方、法定点検とは別に行われるのが定期点検です。定期点検はエレベーターを安全に利用するために行われるもので、1カ月に2回、毎月1回などマンションやビルによって実施される回数は異なります。
法定点検が一級建築士や二級建築士、昇降機等検査員といった資格者しか実施できないのに対し、定期点検はそうした資格要件はありません。(ただし、「昇降機に関する豊富な知識及び実務経験に裏打ちされた技術力を有する者」が推奨されています)。後者の定期点検のことを保守点検と呼ぶこともあります。
エレベーター保守点検の契約種類と費用相場
フルメンテナンス契約の概要と費用相場
もちろん、依頼先やエレベーターの状態によっても変動しますが、年間で50万円弱程度かかると考えておくとよいでしょう。
フルメンテナンス契約のメリットとデメリット
また、毎回の点検費用が一定になるため、予算を把握しやすく経理上の処理が楽という点もポイントです。一方で、総支払額でみるとPOG契約より割高になることが多いという点に注意しなければなりません。
POG契約の概要と費用相場
別途修理費用が発生する可能性はありますが、自分で修理業者を探すなどして費用を安くすることも可能ですので、少しでもエレベーターの維持管理にかける費用を抑えたいという方は、POG契約を選んだ方がよいでしょう。
POG契約のメリットとデメリット
一方で、修理の度に見積もりや契約をしないといけないという手間が発生する点や、修理の回数が多くなると費用が高くなってしまう可能性があるという点はデメリットだといえます。
フルメンテナンス契約とPOG契約、どっちがおすすめ?
フルメンテナンスがおすすめのケース
また、大家さんが複数のマンションを経営しており、少しでも管理や手間を省きたいというケースにもおすすめだといえるでしょう。
そのほか、マンションは築年数が古くなるほど修理が発生する可能性が高く、たとえば築古マンションを購入して、すでにフルメンテナンス契約が結ばれていたといったケースでは、契約を継続したほうがよいといえます。
POG契約がおすすめのケース
また、築年数に限らず少しでも費用を安くしたいという方は、POG契約を結んで修理が発生するたびに個別で交渉するというやり方を取った方がエレベーターの維持管理にかける費用を安く抑えやすくなります。
エレベーター保守点検の業者はどうやって選ぶ?
メーカー系の会社とは三菱電機や日立製作所など、エレベーターを開発する会社の系列の会社で、自社系列のエレベーターのみメンテナンスを行います。一方で、独立系の会社とはメーカーに属さずメンテナンスを行う会社で、基本的にどのメーカーのエレベーターでもメンテナンスを実施します。
メーカー系の会社は自社のエレベーターということもあり、安心してメンテナンスを任せられることが多いでしょう。一方で、少しでも費用を安く抑えたいという場合には独立系の会社の方がおすすめです。
そのほか、たとえば複数のマンションを所有しており、それぞれ異なるメーカーのエレベーターを使用しているといったケースでは、独立系の会社にまかせることでより安く点検を請け負ってもらえる可能性もあるでしょう。
エレベーター更新時期の目安と注意点
エレベーターの耐用年数は国税庁の減価償却基準では17年ですが、メーカーは20~25年と公表しています。また、国土交通省の長期修繕計画に関するガイドラインでは15年で補修、30年で取り替えとしています。
実際には、国土交通省のガイドラインによる30年を1つの目安としていることが多いようです。とはいえ、上記はあくまでも目安ですので、エレベーターの実態を見ながら必要に応じて更新を検討していくのがよいでしょう。
エレベーター更新のタイミングで資産価値も見直そう
こうした建物管理の節目に、リノベーションや賃貸経営の見直し、新たな土地活用プランを検討してみるのもおすすめです。
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まとめ
そのほか、メーカー系と独立系の会社の違いなど、この記事でご紹介した内容をおさえたうえで、ご自分の物件に合った保守点検を実施するようにしましょう。
この記事の監修者
AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。