延滞金以外になにがある?固定資産税を滞納したら起こりうること

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2020年12月28日
  • 更新日:
  • 2020年12月28日
延滞金以外になにがある?固定資産税を滞納したら起こりうること
不動産を所有している人に課税される固定資産税。税金なので納税義務があるものの、万一、固定資産税を滞納したらどうなるのでしょうか。この記事では、今後不動産を所有したいという方や、すでに不動産を所有している方、そして将来不動産を相続する可能性のある方に向けて、固定資産税を滞納した場合、どのような処分をされるのかについてのご説明をいたします。また、固定資産税の滞納を防ぐための対策、および固定資産税を納税できないときの対処法についても、あわせてご説明いたします。

目次

不動産を所有すると必ず徴収される固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日現在、固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している人(管轄市町村の固定資産税台帳に登録されている人)に課税される税金のことをいいます。ただし、年の途中で、対象資産を所有することになった場合は、資産を所有することになった人が日割り計算した納税額を負担します。なお、固定資産税の税額は、

固定資産税の税額=課税標準(固定資産税評価額)×標準税率1.4%

の計算式で算出され、納付通知書は毎年6月に送付されます。納付は一括で行うか、市町村で定めた4回の期日までに分割納付もできます。

固定資産税を滞納すると財産を失う可能性も…

固定資産税を滞納すると、市町村から督促状が送られてきます。それでもなお滞納が継続する場合には、固定資産税の対象となる土地や建物を差押えられ、売却される可能性もあります。つまり、財産を失う可能性もあるということです。

固定資産税を滞納した場合の処分の流れ

固定資産税を滞納した場合、公売によって換価処分されるまでの流れについてご説明いたします。

1. 督促状、催告状が届く

固定資産税の納期限を過ぎると滞納となり、督促状が届きます。督促状は単に固定資産税の納付を催告するだけのものではありません。滞納処分の前提手続きになるので注意が必要です。さらに、督促状が送付されても納付しない場合には、電話や文書催告または訪問による催告が行われることもあります。

2. 財産が差押えされる

督促や納付の催告が行われても納付しない場合は、納付に充てる財産の有無を確認するため、財産調査が行われます。対象とする財産は不動産のみならず、給与、預貯金などすべての財産が対象です。この財産調査は、法律に基づいて、滞納者に事前に了承を得ず強制的に行うことができるものです。

その後、財産調査により差し押さえる滞納者の財産を決定し、差押を実行します。差押を行った場合、財産によっては滞納者本人だけでなく、その財産の利害関係人(勤務先、金融機関、不動産の抵当権者等)に、「差押通知書」が送付されます。

3. 換価公売される

財産を差押えた後も固定資産税が納付されない場合は、公売を行うことがあります。公売とは、差押えた財産を売却し、その売却代金を納税資金に充てることをいいます。公売は、固定資産税の場合、国税徴収法に基づいて市町村が行うものです。なお、類似するものに競売がありますが、こちらは民事執行法に基づいて、金融機関などの民間企業・個人が行うものであり、公売とは異なるものです。

滞納が発生した翌日から延滞金が発生する

固定資産税を滞納すると、滞納が発生した翌日から下表のように延滞金が発生します。
①納期限の翌日から1月を経過する日まで2.6%
②納期限の翌日から1月を経過した日以降8.9%
たとえば、土地の面積150m2、家屋の床面積100m2(木造2階建)の場合、固定資産税は、土地99,750円、建物84,000円と計算されます(参考:東京都主税局)。つまり、固定資産税は183,750円となります。

その1期分4.6万円の固定資産税を6か月(1か月30日と仮定)滞納した場合、
①(46,000円×2.6%×30日)÷365=98.30円
②(46,000円×8.9%×150日)÷365=1,682.46円

算出された金額を合計し、100円未満の端数があるときは、これを切り捨てて算出します。よって、延滞金は1,700円となります。

固定資産税を滞納しないためにやるべきこと

万一、固定資産税を滞納すると財産を失ってしまうことになりかねません。固定資産税を滞納しないために、固定資産税がどのくらいの金額か事前に調べておくようにするようにしましょう。そうしておくことで、納税資金準備のために資金計画を立てられるため、納税通知書が来てから慌てるといった事態を避けることができます。

また、相続によって不動産を所有する可能性があるときも同様です。相続前から、親に確認するなどして固定資産税の金額を把握しておきましょう。なお固定資産税の金額が多額であり、相続後の支払いが困難であると考えられる場合には相続放棄という方法もあります。ただし、相続放棄は他の相続人にも関わることになりますので、ご家族で話し合いの上で決定することをおすすめいたします。

払えない場合は早めに管轄の自治体窓口に相談しよう

固定資産税の滞納が継続すると、最終的に換価公売されてしまい財産を失う可能性があることは、先に述べたとおりです。しかし、実際には固定資産税を滞納しても、すべてのケースで換価公売にいたるというわけではありません。一括納付することが困難である場合には、まずは管轄の自治体窓口に相談しましょう。支払う意思がある旨を、誠意をこめて伝えることが肝要です。場合によっては、分割払いの提案をされるかもしれません。

ただし、分割払いに応じてもらえなかったり、分割払いをしていても差押えられたりする可能性もあります。また、どれくらい滞納継続したら差押となるか、という点も、あくまでも市町村ごとの判断となります。繰り返しになりますが、督促状は単に固定資産税の納付を催告するだけのものではありません。滞納処分の前提手続きであるということに、改めて留意しておきましょう。

固定資産税が払えないときに利用できる制度

滞納解消に努める意志はあっても、さまざまな理由から納付ができない事態が生じる可能性もあります。固定資産税が払えない事態になってしまったときに利用できる制度についても知っておき、万一の事態が生じた場合には管轄の自治体窓口に速やかに相談するようにしましょう。

滞納処分の停止

換価公売する財産がなかったり、仮にあっても換価公売を執行することによってその生活を著しく窮迫させる恐れがあったりなど一定の要件を満たすと、「滞納処分の停止」が認められることもあります。その場合、滞納している固定資産税の納税義務そのものが消滅します。もちろん、「滞納処分の停止」が認められるためには、真摯な納税姿勢や意思を示すことも重要です。

徴収の猶予

災害によって財産が失われたり、事業不振や病気で働けなかったりなど、特殊な事情のために固定資産税の納税が困難である場合、徴収猶予を受けられる可能性があります。徴収の猶予には申請期限があります。上記のような事情がある場合には速やかに管轄の自治体窓口で事情を説明して、固定資産税の徴収の猶予の申請を行いましょう。

換価の猶予

差し押さえた財産を換価すると、滞納者の行う事業の継続、または滞納者の生活維持が困難になると認められる場合には、換価の猶予を受けられる場合があります。ただし、換価の猶予は、徴税職員の調査を受けて諸条件を満たす必要があるため、必ずしも受けられるものではありません。なお、換価の猶予には申請期限があります。上記のような事情がある場合には速やかに管轄の自治体窓口で事情を説明して、固定資産税の換価の猶予の申請を行いましょう。

まとめ

固定資産税は、不動産を所有している方に必ず課税されるものです。固定資産が所在するエリアやその規模などによっては、固定資産税の金額は多額になる場合があり、一朝一夕に準備できるものでない可能性もあります。そのため、納税資金の準備は計画的に行うように心がけたいものです。しかし、計画的に納税資金の準備に努めていても、災害その他の理由から、固定資産税の納付が困難になる事態が生じる可能性もあります。万一、そのような事態が生じたときに落ち着いて対応ができるように、利用できる制度について理解を深めておきましょう。
キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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