コストと費用対効果から考える!DIYで行う賃貸物件の内装リフォーム

監修河野 陽炎

  • 公開日:
  • 2019年10月11日
  • 更新日:
  • 2019年10月11日
コストと費用対効果から考える!DIYで行う賃貸物件の内装リフォーム
空室対策として賃貸物件の内装リフォームを行おうと考えた時、どれくらいのコストをかけて良いのか、かけたコストを何年で回収することができるのか悩みますよね。今回は、賃貸経営をしていて、内装リフォームを考えている大家さんに向けて、「DIY」で行う内装リフォームの種類やコストについて、事例を交えながらご紹介していきます。

目次

大家さんが内装リフォームを行う理由

内装リフォームを行う理由は大きく分けて2つあります。1つは劣化した部分を補修し、寿命がきた部分を取り換えることで、物件の状態をよくするためです。もう1つは室内の印象を良いものに変え、空室率改善につなげるためです。入居希望者にとって、内装が新しく清潔な物件のほうが、壁紙の色あせや破れがそのままになっていたり、床材が傷んだりしている物件より印象がよいものです。また、和室での生活より洋室の生活がメインになった現代のライフスタイルにあう物件のほうが人気が高く、空室が早く埋まる傾向にあるのです。

まずはどのような内装リフォームがしたいのかを考えよう

内装リフォームを行うには当然お金がかかります。限られた予算の中で、よりよい効果を得るために「どのような内装リフォームを行うのか」を明確にしていきましょう。また、入居希望者が「どのような生活を送りたい」と望んでいるのか、そのニーズを把握しましょう。入居者が不便だ、改善してほしいと感じている部分も調査することが大切です。内装リフォームを行い、どのような内装に仕上げたいのかを明確にイメージした上で、進めていきましょう。

内装リフォームを行う方法

内装リフォームには、業者に依頼する方法や、大家さんがDIYする方法などの選択肢がありますので、ご紹介します。

(1)業者に依頼する方法

業者に依頼すると、作業がスピーディに進み、仕上がりも非常にキレイです。また、プロの手による工事なので、施工した部分の安全性も高いです。コストとしては、壁紙や床材など資材の購入費、そして工事費がかかります。施工する面積が大きく、時間がかかるような工事は、プロに依頼したほうが安心です。壁を取り壊す工事など、建物全体の安全性にかかわる工事は、工事が終わった後、入居者が安全に生活できることが必要条件なので、素人による仕上げでは心配でしょう。

(2)全てDIYで行う方法

ホームセンターで壁紙や壁の補修用キット、床材、板、金具、接着剤などさまざまな資材や道具をそろえることができるので、大家さんが自らDIYする方法もあります。必要な資材や道具の購入費用しかかかりませんので、工事費用を抑えることができます。ただし、DIY作業には時間がかかります。

たとえば、部屋全体の壁紙をすべて張り替える作業には、プロの職人の方なら1日程度で仕上げることができるところ、大家さん1人で行うと3日以上かかる場合があります。DIYでのリフォームは、半日程度で仕上げられる簡単な作業のみ行う、など制限を設けると良いかもしれませんね。ふすまや障子の張り替え、アクセントクロスの貼りつけなどがDIYに適しています。

(3)DIYと業者を組み合わせる方法

建物の安全性にかかわる工事や、電気設備の移動など有資格者が行わなければならない工事は業者に依頼し、アクセントクロスの貼りつけや簡単な壁紙、床材などの補修、照明の取り換えなど短時間で済む簡単な工事は、大家さん自身が行うという方法もあります。大家さん自身が、傷みや劣化に気づいたときに対処することで、建物の傷みが進行しにくくなり、修理費用も抑えられる可能性があります。部屋全体の壁紙の張り替えなど、時間がかかる上に仕上がりがキレイでなければならない工事は、業者に依頼しましょう。

近年注目度が高まってきている内装の「DIY」とは

DIY(Do It Yourself)は「自分でやる」という意味の言葉で、内装リフォームにおいても、業者に頼まず「自分でやる」ことを指します。自分で行うリフォームという意味で「セルフリフォーム」と呼ばれることもあります。

DIYのメリット

もっとも大きなメリットは、工事費を抑えられることです。また、大家さん自身が工事内容を決めて、自由に行うことができます。

DIYのデメリット

プロの業者が行う作業に比べ、時間がかかることが多いです。また仕上がりの美しさは業者の方が優れています。壁紙や天井などの「見栄え」が大事な部分については、特にその違いが気になるでしょう。また、棚などを取りつける場合は、使用し始めた場合の安全性についても、業者の作業によるほうが信頼できます。

DIYでできる内装リフォームの種類

具体的にDIYでできる内装リフォームにはどのようなものがあるか、ご紹介しましょう。

(1)壁紙・床材・天井

壁紙や床材、天井の塗装や貼り替えは、DIYでも可能です。ただし、壁に大きなクロスを貼る作業は、2人以上で行わなければ、クロスと壁の間に空気が入るなどのトラブルが生じ、仕上がりがキレイになりません。
塗料や接着剤が乾くまでの時間(おおむね1~2日)も必要です。

・壁、天井のクロスの貼り替え:5,000~22,000円程度
・壁、天井の塗装(6畳の場合):40,000円程度
・既存の壁に腰壁を設置する:20,000円程度
・床(6畳)にクッションフロアを設置する:10,000円前後

(2)キッチン周り

キッチン周りが清潔かどうかは、入居希望者が必ずチェックするポイントです。汚れもつきやすい場所なので、壁紙や引き出しまで、汚れが目立たないようにしっかり手入れをしたいところです。

壁紙や収納部分のクロスの張り替え

汚れを目立たなくするために、新しいクロスを用意して貼り替える方法があります。汚れや水、高温に強い性質のクロスを選びましょう。

DIYによる張り替え費用:10,000~22,000円

水道下やカウンター下に棚を設置

収納力を高めるための工事です。天板と金具の代金が必要で、数万円程度です。

キッチン全体のDIY

有名家具メーカーが発売している、DIYでキッチン全体をコーディネートできる商品があります。メインキャビネット、シンク、設備機器、収納などを大家さん自身が選んで、説明書を見ながら自分で組み立てることができるものです。システムキッチンの施工を業者に依頼するより安価に、キッチン全体の印象を変えることも可能です。

あるメーカーのキッチンは、140,000円から購入することが可能です(ビルトイン機器・組立工事費・配送費が別途かかります)。キッチンのDIYでの注意点として、電気、ガス、水道の配管を変更するような工事は、場合によっては有資格者による作業が必要です。また、後の水漏れ事故や火災などを防ぐためにも、少しでも不安な部分があるなら、業者に依頼したほうが安心でしょう。

(3)収納周り

収納周りでDIYでもできるリフォーム方法をご紹介しましょう。

押し入れの中段を外す

押し入れの中段は、釘抜き、かなづり、バールなどがそろっていれば、外すことができます。費用もほとんどかかりません。中段がなくなった押し入れスペースを、ウォークインクローゼットとして利用する方法があります。

壁面収納の取りつけ

押し入れやクローゼットなどの収納だけでなく、壁面収納を取りつけて収納力を増やす方法があります。簡単な棚を取りつけるだけなら、棚板と金具を購入する費用は、数千円~数万円です。より大掛かりな壁面収納は、8,000円から40,000~50,000円程度で販売されています。

吊戸棚の取りつけ

洗濯機を置くスペースやトイレの上部に吊戸棚をつけると、洗剤やタオル、トイレットペーパーなどそれぞれの場で必要なものを収納することができます。吊戸棚は9,000~13,000円程度で購入することができます。

内装リフォームの費用対効果

内装リフォームには費用がかかります。DIYでコストが抑えられるとしても、資材や道具類などの購入費用はかかります。賃貸経営の収支をプラスにするためには、内装リフォームにかかる費用とその効果、どのくらいの期間で回収できるのかまで検討してから取り掛かりましょう。

回収のことを考えて予算を決める

内装リフォームでかかった費用は、その後の家賃収入で回収することになります。内装リフォームの結果として、どのような効果を見込むことができるか、検討することが大切です。

【例】
・空室率が改善し、家賃が多く入るようになる
・内装の質を向上させ、その分だけ家賃を高く設定できるようになる

内装は定期的にリフォームすることになるので、次回のリフォームまでに、今回のリフォーム費用が回収できる計画が、実現可能かという点を検討しましょう。

業者に頼んだ場合とDIYで行った場合の家賃アップ金額は?

業者に頼んだ場合は、資材の購入代金の他に工事費がかかります。たとえば、壁紙リフォームの相場は1m2あたり1,000~1,500円と言われており、6畳の部屋(壁面30m2、天井10m2)の全てを貼り替えた場合、諸経費を含めて4~8万円程度かかります。

大家さんが自分で壁紙を購入して、DIYする場合は壁紙と、必要ならば接着剤などを購入することになります。幅92cmの壁紙が1mあたり130~500円程度で販売されているので、6畳の部屋の壁紙をすべて張り替えるなら、およそ44m分を購入することになり、費用は5,000~22,000円です。

プロに依頼する場合と比べると、15,000円以上、場合によっては50,000円以上の差額が生じます。DIYと業者に依頼した場合で、どのくらいの差額が生まれるかは、工事の内容によって異なります。そして回収するまで、どのくらいの期間がかかるのかも変わってきます。
【例】
家賃60,000円だった物件を、内装リフォーム後に家賃65,000円としました。
差額の5,000円で工事費用を回収できるまでの期間を考えます。
業者に依頼した場合に比べて、DIYの場合のコストは4割とします。
工事を業者に依頼した場合の費用回収にかかる期間同じ内容をDIYした場合の費用回収にかかる期間
50,000円10か月20,000円4か月
80,000円16か月32,000円7か月
100,000円20か月40,000円8か月
120,000円24か月48,000円10か月
もしも、DIYを行っても5万円以上の費用がかかる場合、大掛かりな内装リフォームと考えられます。物件の見栄えや安全性にも関わる工事なら、無理をせず業者に依頼することも考えましょう。

内装リフォームができる物件に切り替えるという方法も

賃貸物件の入居希望者は、原状回復義務のことも考えて、物件を自分好みにアレンジすることはあきらめようと考えているかもしれません。大家さんが「自由に内装リフォームをしてください」という条件を提示することによって、入居希望者の目に留まりやすくなる効果も考えられます。平成28年4月15日には国土交通省がDIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックを公表しており、国も借主がDIYできる物件の普及に力を入れていることが分かります。

また、あまりにも築年数が経ちすぎている、部屋の状態があまりにも悪い、という物件の場合、リフォームしてから賃貸に出そうとすると、入居者が決まっていない段階で、大家さんが多額のリフォーム費用を負担することになります。

このような物件は、入居者にDIYや内装リフォームをすべてお任せするという方法もあります。入居者に負担を強いることになりますので、一定期間の家賃を安く設定したり、一定のDIY費用を支給したりするといった工夫は必要かもしれません。また、シロアリやカビの駆除など、どのような内装にする場合でも必要な、基本的な工事は大家さんが負担してでも進めておかないと、物件の傷みが進んでしまうというリスクもあります。

とはいえ、入居者にとって「自分で作った部屋」に住めるというメリットは大きいので、いったん入居した人が長く住み続けてくれる効果が期待できるでしょう。

参考リンク
DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックについて|国土交通省

まとめ

DIYで行う内装リフォームは、業者に依頼する場合に比べてコストを抑えることができます。ただし、内装リフォームの大きな目的は、建物を良い状態に保つことや、空室率の改善です。大家さんがきちんとした技術を持ち、建物にあった補修や、入居者が満足できる内装リフォームを行うことができるなら問題はありません。しかし、技術的に未熟な大家さんがDIYでリフォームを行い、結果的に部屋の印象が悪くなってしまう可能性もあります。内装リフォームは、空室率が改善しなければ意味がありません。自信がない場合や、入居者の安全に関わる工事は業者に依頼しましょう。
河野 陽炎

監修河野 陽炎

【資格】3級FP技能士

3級FP技能士資格を持つライター、コラムニストとして、生命保険や医療保険、金融、経済などの執筆実績が多い。次々と発売される商品や、改正の相次ぐ税制、法律が1人の生活者にどう影響を与えるかの視点を大切にする。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容です。法律改正等により内容に変更がある場合もございます。