アパートの外壁塗装っていくらかかる?広さ別ケーススタディ

2023.12.19更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

アパートの外壁塗装っていくらかかる?広さ別ケーススタディ

外壁塗装費用の疑問や不安を感じている大家さんへ、どのくらいのお金がかかるのか、材料や作業内容と合わせてご紹介します。

目次

「外壁塗装は10年に1回」はなんで?

外壁にどのような素材を使っているかにもよりますが、「外壁塗装は10年に1回」ということがよく言われます。これは、主流で使われている塗料の耐用年数が10年前後と言われていることがその理由の1つです。

塗料の種類耐用年数
アクリル系塗料3~7年程度
ウレタン系塗料5~10年程度
シリコン系塗料7~12年程度
フッ素系塗料15~20年程度

特に、新築の際にはアクリル系塗料やウレタン系塗料が採用されることが多く、10年程経ったら塗り替えを検討する必要があります。また、外壁塗装時には足場をかけるため屋根塗装なども併せて行うことや、10年経つと建物自体の劣化も見られることがあるため、総合的なメンテナンスを検討する必要があります。費用も大きくなるため、失敗しないようしっかり検討することが大切です。

外壁塗装費の内訳

塗装業者に見積もりを依頼すると、見積もり書の提示を受けることができますが、ここでは見積もり書に掲載される項目の内容をお伝えしていきます。

塗料面積

塗装の価格は「塗料面積×塗料」の単価で決まります。外壁塗装の塗料面積とは外壁の面積ですが、外壁の面積はサッシの数や大きさなどにより、1棟1棟異なり、正確に測ることは困難なので、おおよその面積を算定します。なお、延床面積ごとの外壁面積の目安は以下の通りです。

建物の延床面積外壁面積の目安
100m2(約30坪)110~130m2
150m2(約45坪)170~200m2
200m2(約60坪)220~250m2
250m2(約75坪)270~300m2
300m2(約90坪)320~350m2
350m2(約105坪)370~400m2
400m2(約120坪)420~450m2

見積もり書に記載されている塗料面積が上記面積相場から離れていないか、離れているならその理由は何か確認するようにしましょう。

塗料

先ほどお伝えした通り、塗料の価格は「塗料の単価×塗料の面積」で決まります。塗料の単価は、どんな素材の塗料を選ぶかによって異なり、また同じ素材でもメーカーや商品によって異なります。素材ごとのおおよその単価相場は以下の通りです。

塗料の種類単価相場(m2)
シリコン2,000~2,500円
ラジカル制御2,200~2,800円
フッ素3,500~4,500円
遮熱・断熱3,000~4,500円
光触媒4,200~5,000円
無機4,000~5,500円

例えば、シリコンで塗料の単価が2,500円のものを100m2の外壁に塗装する際には100m2×2,500円=250,000円が塗料の費用となります。

足場設置

外壁塗装時に、職人の安全や作業効率向上のために設置するもので、700~1,000円/m2程度が目安です。足場設置なしで塗装できるケースもありますが、作業効率や安全性のため、基本的には足場設置してもらうようにし、仮に足場設置なしで進める場合、きちんと足場分の価格が見積もりから引かれているかしっかり確認しましょう。なお、足場設置面積の目安は以下の通りです。

建物の延床面積足場面積の目安
100m2(約30坪)150~200m2
150m2(約45坪)240~290m2
200m2(約60坪)330~380m2
250m2(約75坪)420~470m2
300m2(約90坪)510~560m2
350m2(約105坪)600~650m2
400m2(約120坪)690~740m2

また、足場設置と同時に、塗装時に隣地に塗料が飛ぶのを防ぐために「飛散防止シート」を張りますが、その費用の目安は200~400円/m2です。

人件費

外壁塗装には熟練の職人が欠かせませんが、職人に作業してもらうと人件費が発生します。人件費は、何人の職人が関わるかによって異なりますが、その人数は工程ごとに概ね以下のようになっています。

工程必要人数日数
足場2~3人1日
高圧洗浄1人1日
クラック処理等2~3人1~2日
養生1人1日
塗装2人3~4日

建物が大きい場合や、建物の劣化が進んでいる場合には「職人の数を増やす」か、「日数を増やす」かの選択になります。ただし、塗装業者に十分な数の職人がおらず、「日数を増やす」ことで対応する場合には、職人の数を増やすより総額が高くなることもあるので注意が必要です。

時期

外壁塗装の繁忙期かそうでないかによって金額が異なる場合があります。外壁塗装業者の繁忙期は、雪国でなければ9~11月頃と3~5月頃です。ですが、それ以外の時期は、夏は気温が高く、冬は乾燥していることにより、塗料が乾くのが早くなるといったメリットがあります。

一方、外壁塗装に適さない時期としては梅雨の時期が挙げられます。この時期に見積もりを取ると、繁忙期と比べて割安な見積もり提示を受けられる可能性が高いですし、そうでなかった場合は値下げ交渉等してみるとよいでしょう。

軒天/破風/雨樋

外壁塗装と合わせて、軒天(のきてん)や破風(はふ)、雨樋(あまどい)も塗装することで外観の仕上がりを高めることができます。軒天や破風、雨樋にはそれぞれ異なる塗料を用いることもあるため、どのような塗料をどのくらい使うのか念のため確認しておくとよいでしょう。

現場管理費/廃材処理費

主に人件費や、廃材撤去のための車輛手配費用などが含まれます。廃材処理費は廃材の処分やシーリングの除去にかかる費用、現場管理費は工事資材の運搬費や駐車料金、安全対策費用などの費用全般です。

これらの費用は業者や塗装の規模により価格が異なりますが、廃材処理費が概ね10,000~30,000円程、現場管理費は施工費用の3~5%程度となることが多いです。なお、外壁塗装業者の拠点から現場が遠い場合には、上記より高くなることがあります。

”相場の有無”は事前にチェックしておこう

塗料や面積はある程度相場が決まっているものの、人件費などは外壁塗装を依頼するエリアによって相場が異なります。前者についてはすでにお伝えしていますが、後者については、複数の業者に見積もりを取るなどして自分で確認していくようにしましょう。

広さ別ケーススタディ

ここでは、建物の坪数や世帯数、階数、建物種別に実際に外壁塗装した場合どのくらいの費用がかかるのかについて、ケーススタディをご紹介します。

ケーススタディ1:100坪8世帯の2階建てアパート

100坪の2階建てアパートで、シリコン塗料など一般的な塗料を使った場合の塗装総額は200~300万円程度が相場です。以下で、見積もり例をご紹介します。

単価数量金額
足場設置費用(シート含む)900円540m2486,000円
高圧洗浄費用150円350m252,500円
クラック等下地処理100,000円一式100,000円
塗装費用(3回)(シリコン)2,500円350m2875,000円
軒天/破風/雨樋1,000円100m2100,000円
材料運搬費/廃材処理費150,000円一式150,000円
消費税8%1,763,500円141,080円
合計額1,904,580円

ケーススタディ2:200坪の14世帯の3階建てアパート

次に、200坪の3階建てアパートだとどうでしょうか?ここでは、フッ素系塗料を利用した場合で計算してみたいと思います。以下の見積もり例は、フッ素系塗料を採用しているためやや高くなっていますが、シリコン塗料など主流の塗料を使った場合で300~400万円程度が相場です。

単価数量金額
足場設置費用(シート含む)800円10,000m2800,000円
高圧洗浄費用130円700m291,000円
クラック等下地処理200,000円一式200,000円
塗装費用(3回)(フッ素)4,000円700m22,800,000円
軒天/破風/雨樋900円150m2135,000円
材料運搬費/廃材処理費200,000円一式200,000円
消費税8%4,226,000円338,080円
合計額4,564,080円

ケーススタディ3:費用を抑えた事例(100坪8世帯2階建てアパート)

ここまでご紹介したように、外壁塗装では塗装費用が最も高くなります。費用を抑えたいのあれば、手っ取り早いのはアクリル系塗料など単価の安い素材を選ぶことです。ただし、アクリル系塗料は耐用年数が短いものが多いため、その点には注意が必要です。ケーススタディ1と同じ条件で、アクリル系塗料を採用した場合の見積もり例は以下の通りです。

単価数量金額
足場設置費用(シート含む)900円540m2486,000円
高圧洗浄費用150円350m252,500円
クラック等下地処理100,000円一式100,000円
塗装費用(3回)(アクリル)1,500円350m2525,000円
軒天/破風/雨樋1,000円100m2100,000円
材料運搬費/廃材処理費150,000円一式150,000円
消費税8%1,413,500円113,080円
合計額1,526,580円

なお、費用を抑えるために足場の要らない工法を採用したり、下塗り、中塗り、上塗りと3回塗る塗装を下塗りと上塗りだけの2回にしたりする方法もありますが、安全面や仕上がりの問題からあまりおすすめできません。

外壁塗装費を少しでも抑えるためのポイント

先ほど、外壁塗装費用を抑える方法として塗料を安いものに変えることをお伝えしましたが、ここでは塗料を変える方法を含め、3つの方法をご紹介します。

ポイント1.補助金・助成金を活用する

外壁塗装費を抑える方法として、国や自治体の実施する補助金や助成金を受け取るという方法があります。補助金や助成金を受け取るには、例えば、断熱塗料や遮熱塗料を採用して省エネ機能を持たせるなど、一定の条件を満たす必要があります。

場合によっては、補助金や助成金を満たすために見積もりの内容を変更した結果、補助金や助成金を受け取った後の金額が、変更前の見積もりより高くなることもある点に注意が必要です。

見積もりより高くなる場合

たとえば、東京都港区で平成29年度に実施された「高反射率塗料工事費助成」では「高反射率塗料等の材料費の全額または塗料塗布面積(m2)に2,000円を乗じた金額のいずれか小さい金額」の助成を受けることができます。上記助成を受けるとして、仮に、2,000円/m2のシリコン塗料から4,500円/m2の遮熱塗料に変えたとしたら、全額の助成を受けられたとしても500円/m2分負担が増えてしまいます。

基本的には、補助金や助成金を受け取るための条件として提示されている内容に、もともと興味がある場合に活用するとよいでしょう。なお、助成金は条件を満たせば基本的に誰でも受け取れますが、補助金は申請をしても審査に通らなければ受け取れないという違いがあります。

ポイント2.塗料を変える

先ほどご紹介したように、アクリル系塗料やシリコン系塗料など、単価の安い塗料に変えることで費用を抑えることができます。同じアクリル系塗料やシリコン系塗料でも、メーカーや商品によって単価の高い安いがあるため、商品の特徴などを見ながら、より安い商品を選ぶとよいでしょう。

ただし、アクリル系塗料やシリコン系塗料は一般的に耐用年数が短く、他の耐用年数の長い塗料を採用した方が、将来的には安くなる可能性がある点に注意が必要です。

ポイント3.塗装回数を減らす

先ほど耐用年数のお話をしましたが、塗料の単価は高くとも耐用年数の長い塗料を選び、塗装回数を減らすことで塗装費用を抑える方法も考えられます。

例えば、アクリル系塗料で単価が1,500円でも、耐用年数が5年しかなければ、フッ素系塗料で単価が4,000円だとしても、耐用年数が20年あれば、単純計算で前者が20年の間で6,000円、後者が4,000円の単価となります。それぞれの塗装時には、足場費用など他の費用もかかることを考えると、その差はもっと大きくなるでしょう。

ポイント4.見積もりは複数業者へ依頼する

外壁塗装費用の見積もり例などご紹介してきましたが、実際にはどの業者に見積もりを依頼するかによって金額は異なります。仮に、同じ塗料を塗るとしても業者Aではそのメーカーから安く仕入れられるルートがあるのに対し、業者Bでは仕入れ値が高くなってしまうといったことが起こるからです。

また、外壁塗装業者が拠点としている地点から現場までの距離によって、人件費や交通費、廃材処理費などに違いが出るでしょう。さらに、業者に所属する職人の数によって、繁忙期の値上がり率なども変動します。
こうしたことは、実際に見積もりを取ってみなければ分かりません。しかし、見積もりを見ただけで上記のようなことを判断することは難しいでしょう。そこで、見積もりを取る時は、複数の外壁塗装業者に同時に相見積もりを取ることでそれぞれの見積もりを比較することができます。場合によっては、他社の見積もりを見せることで値引きを引き出せることもあるでしょう。

なお、複数の業者に相見積もりを取る時は、物件の住所などを入力するだけで厳選された外壁塗装業者の紹介を受けられる一括見積もりの利用が便利です。見積もりを取るだけであれば無料なので、外壁塗装を検討し始めたらまずは一括見積もりを利用してみるとよいでしょう。

まとめ

外壁塗装の費用やケーススタディ、安くする方法などについてお伝えしてきました。外壁塗装の費用の内、一番高いのは塗料代で、費用を安く抑えたいのであれば安い単価の塗料を使うのが一番なのですが、一般的に安い塗料は耐用年数も短くなっています。

費用について考える時は、「今回の塗装については安く済ませたい」のか、「ある程度出費してでも将来的にトータルで安くしたい」のか、比較検討することが大切だと言えるでしょう。なお、外壁塗装の費用は、例え完全に同じ内容であったとしても業者間で見積もりに違いが出ることがありますので、見積もりを取る時は、面倒でも複数の業者で相見積もりを取ることをおすすめします。

外壁塗装は費用対効果を意識して行うことが大切!
外壁塗装業者に一括見積することをおすすめします。

この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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