【大家さん向け】賃貸物件でのベランダ喫煙のトラブル解決法は?全館禁煙の検討も含めて解説します

2024.03.22更新

この記事の監修者

弘中 純一

弘中 純一

【資格】宅地建物取引士/一級建築士

【大家さん向け】賃貸物件でのベランダ喫煙のトラブル解決法は?全館禁煙の検討も含めて解説します

ベランダ喫煙などのたばこに関わるトラブルで困っている大家さん向けに、トラブル防止の方法とクレームへの対応方法を解説します。

ベランダ喫煙のトラブル…
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目次

ベランダ喫煙でのトラブルは増えている

喫煙する人の割合が減少し、たくさんの人が集まる施設や都市の中心街では禁煙とする自治体も多くなり、全国的にも喫煙マナーの徹底が進んでいます。

受動喫煙が及ぼす健康への被害は住宅でも同様であり、集合住宅では近隣住戸とのトラブルもみられ、裁判に発展するケースもあります。

日本国民の喫煙率は減少しており令和元年の調査では、男性全年齢で30%を切っており女性全年齢では10%を切っています。下図は厚生労働省が公表している喫煙率推移のグラフです。
喫煙者が減少するに伴い喫煙マナーに対する意識は高まっており、東京都ではパンフレットを発行し、喫煙マナーは「喫煙ルール」に変更され、代表的な喫煙マナーの問題として「ベランダ喫煙」についての注意を呼び掛けています。

たとえば新宿区のWebページ『令和2年4月 喫煙は「マナー」から「ルール」へ』では “自宅のベランダなどのプライベート空間での喫煙について、区への相談や苦情も多く寄せられています。都のアンケート調査によると、「近隣宅からの煙」による受動喫煙を経験した、という方が多くみられます。ご近所トラブルの原因にもなりかねません。” と記載しており、ベランダでの喫煙トラブルが増加していると言えそうです。

在宅勤務でベランダ喫煙が問題に

新型コロナ感染症により生まれた「新しい生活様式」は、住環境にも大きな変化を与えました。

コロナ禍により在宅勤務が増加し、ベランダ喫煙に関する苦情が増えているようです。NHKのWebニュースでは2020年4月の時点で、早くも受動喫煙の影響を心配するSNSへの投稿増加を報じています。

ベランダ喫煙は違法になる?

喫煙ルールを定め、場所によって喫煙を禁止する法令としては、地方自治体が条例を制定するケースがあります。例として東京都受動喫煙防止条例をみてみましょう。

条例の対象となるのは「教育施設や児童福祉施設」「病院・診療所」「行政機関の庁舎」「バス・タクシー・航空機」と、これ以外の2人以上が利用する施設(事務所・工場・ホテル・飲食店など)であり、ベランダ喫煙が行われている集合住宅は対象となっていません

分譲マンションでは管理規約でベランダ喫煙を禁止するケースもあるようですが、法律上禁止することは難しいと言えます。対して賃貸マンションは住戸の所有権は大家さんにあり、入居者は法律上「賃借人」の立場となり、分譲マンションよりは強い規制を設けることは可能です。

賃貸物件でのベランダ喫煙は禁止できる?

賃貸マンションにおける受動喫煙防止について考えてみます。とくにベランダでの喫煙はトラブルの原因として多くなっており、大家さんや管理会社にとって重要なテーマです。

ベランダは共用部を専用で使用している

ベランダは賃借人が専用で使用できる住戸に附属するものですが、分譲マンションの場合は専用使用権のある共用部分になります。賃貸マンションにおいても使用権については同様の考え方をとるので、ベランダの使用方法は入居者に委ねられていると言えます。

しかしながらベランダの所有権は大家さんにあるので、入居者は善管注意義務に基づいた使用方法が求められます。さらに集合住宅ではほかの住戸に入居する人たちへの迷惑行為を、賃貸借契約上で禁止していることが多く、受動喫煙も状況により迷惑行為に該当する場合があります。

ベランダでの喫煙は過去に受動喫煙の被害を受けた原告が勝訴し、慰謝料請求を認められた判例があります。この判例では被害者が喫煙者に対し再三注意をしたが、喫煙をやめることをせず精神的損害を認めたものであり、すべてのケースにおいて喫煙が不法行為になるものではありません。

(この判例は福岡市が実施したマンション管理セミナーで公開された資料に掲載されたものですが、くわしい判決理由などは「トラブル事例からみえるマンション管理のポイント」を参照してください。)

ベランダでの喫煙トラブルを避ける方法

ベランダでの喫煙について明確に禁止事項として賃貸借契約書に記載すると、どこまでが迷惑行為でありどこまでは許されることかといった、あいまいな判断をすることがなくなります。ただし禁止行為を無視してマナーを守らないケースも考えられ、管理会社への通報を促すなど入居時や定期的なアナウンスが欠かせません。

また注意しなければならないのは、たばこの煙はベランダ喫煙だけが原因ではなく、換気扇の排気口から屋外に流出した煙が、上階の住戸の給気口から室内に逆流しトラブルになることもあります。室内での喫煙について規定を設けるとするならば、全館禁煙にしてしまう方法もあります。

全館禁煙にするメリットとデメリット

最近は禁煙施設が増加しており前述したように、受動喫煙防止条例を制定している地方自治体も多くなっています。このような動きは集合住宅にも広がっており、賃貸マンションでは住戸内禁煙や敷地内の全館禁煙を実施している事例もあります。全館禁煙した場合にはルールが明確になりトラブルを防止する効果がありそうですが、デメリットもありそうです。

全館禁煙にするメリット
・喫煙者の入居がなくなるのでたばこによるトラブルがなくなる
・室内の汚れの原因が1つ減るので原状回復費用が減る
・失火の原因が1つ減るので火災事故リスクが減る

全館禁煙にするデメリット
・入居対象者が減るので、満室経営が難しくなる可能性がある

しかし全館禁煙のマンションはまだ少ないため、禁煙物件を求める需要が相対的に多く、禁煙により入居者が減少する影響は大きくないと考えられます。また禁煙物件が増えていくと禁煙がスタンダードになり、禁煙だから経営上不利になるということも考えにくくなっていくと言えるでしょう。

加熱式たばこについて

禁煙に関する議論で必ずといってよいほどテーマとなるのが「加熱式たばこ」です。加熱式たばこはタバコの葉や加工品を加熱することによりニコチンを発生させます。通常の紙巻たばこよりも煙が少なく健康に対する害が少なく感じますが、実際はどのくらい健康上の影響が軽いのかは明らかになっていません。

改正健康増進法では禁煙施設内での喫煙は禁止されており、全館禁煙とした場合には、紙巻たばこと同様「加熱式たばこ」も禁止とすることが望ましいと言われています。

ベランダ喫煙のクレームが発生したら

ベランダ喫煙が原因となるトラブルやクレームが発生した時、大家さんはどのような対応をすべきでしょうか。大家さんみずから対応するケースと、管理会社にまかせるケースについて注意すべきポイントを紹介します。

段階を踏んでみずから対応する

大家さんがみずから対応するには次のように、段階を踏んで行うことが重要です。

1.掲示やチラシなどで周知
入居者から喫煙マナーに関するクレームがあった場合、まずやるべきことはすべての入居者への周知です。方法としては共用部に文書の掲示が可能であれば喫煙マナーに関する文書を掲示し、各戸にもマナーを遵守するよう記載した注意文書を配布します。

マナーを守らずに喫煙していた人物が当該文書を目にしない可能性もあるので、文書の掲示や配布後、最初にクレームを告げてきた入居者に連絡し改善されているかどうかを確認します。その後も喫煙がつづくようであれば文書による注意喚起を数回繰り返します。

2.対象者に直接交渉
再三の文書による注意喚起でも効果がない場合、クレーム原因となった入居者と考えられる人物に直接会い注意を促す試みをします。問題の喫煙者であると確定できる場合と、強く疑われるが確定できない場合もありますので、最初は「相手を決めつけることなく」ベランダでの喫煙について確かめることが重要です。問題の喫煙者と確定できた場合は、迷惑に感じる入居者がいることを伝え、文書による注意喚起とマナーを守ることを申し入れます。

3.強く警告する
直接会って注意してもまったく改善されない場合は、再度文書による改善申し入れを行います。民事訴訟を念頭にして、配達証明付きの「内容証明郵便」で警告することも検討します。ただし民事訴訟は被害を受けている入居者本人からの訴えでなければ意味がありません。従ってクレームを最初に告げた入居者の意思を確認することも重要です。被害を受けた入居者とも連携し、マナー違反を繰り返す入居者に対応するようにしましょう。

クレームを大家さんが放置するのは問題になります。建物を所有・管理する大家さんの立場としては、入居者が快適な生活を送る権利を奪われている状況を放置するのは、大家さんの義務を果たしていないことになります。このことは大家さんの債務不履行として、民事訴訟をおこされる可能性を含んでいることに注意しなければなりません。

管理会社にまかせる

前述した『段階を踏んで対応する』で述べた対処方法は、管理会社が対応する場合も基本的に同じ考え方で臨むことになります。喫煙トラブルの原因となっている入居者にとって、大家さんからの注意と管理会社からの注意、どちらが効果を望めるかを考える必要があります。

次のような場合には、大家さんがみずから対応するよりも管理会社にまかせるほうが効果的です。

1.大家さんが女性や高齢者
2.本業があり対応する時間がとれない
3.交渉や説得などが苦手
4.物件が遠隔地

管理会社が対応する場合は、大家さんが直接対応する場合と比較して、感情的にならず冷静な対応が可能です。そのためマナー違反の入居者にとっては受け入れやすく、感情的な反発を回避することができます。注意喚起を促す文書などもビジネス文書的な印象があり、論理的な訴えは倫理観を醸成させる効果を期待できます。

さらに「内容証明郵便」を送付するようになったとしても、大家さん個人が出すよりも受け取りやすい面があり、トラブル解決への期待が持てると言えるでしょう。

まとめ

新型コロナの感染防止対策として実施された「新しい生活様式」は、ベランダ喫煙によるトラブルを増加させるという反作用を生んでしまったようです。

喫煙率は継続的に低下しているので少しずつ改善されると思われますが、賃貸経営者にとっては頭の痛い悩みです。賃貸住宅は公共施設などと異なり法律による規制が難しく、賃貸借契約において使用規則に盛り込むなどルール化を図り、入居者の意識づけを促す方法をとらざるを得ません。

万が一トラブルになってしまった場合は、冷静に対応し入居者間における軋轢を解消するよう努めなければなりませんが、大家さんひとりで悩まず管理会社に相談することが最善です。

ベランダ喫煙のトラブル…
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弘中 純一

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【資格】宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

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