悩む前に知っておこう!物件を複数所有する場合、管理会社は統一すべき?複数にすべき?

2024.07.23更新

この記事の監修者

吉田 成志
吉田 成志

宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/マンション管理士/消防設備士

悩む前に知っておこう!物件を複数所有する場合、管理会社は統一すべき?複数にすべき?

複数の物件を経営している大家さんが収益を上げていくための管理会社の選び方、個々のメリット・デメリットを紹介します。

複数の物件を所有している大家さんは
管理会社を統一するか分散するかをよく検討しよう!

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※ページ下部の「賃貸経営一括相談および土地活用プラン一括請求サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。

目次

物件を複数所有している大家さんの悩み

経営する賃貸物件が増えると、家賃収入は増える一方、管理委託費や修繕・リフォームなどの支出も増えることになります。くわえて、物件が増えた分だけ管理会社に委託する業務も増えます。

そのため大家さんには、管理会社がうまく賃貸管理ができているかどうか、委託を一社に任せるのか、もしくは複数の管理会社に分散させるべきかという悩みが発生します。

どんなプランで賃貸経営を行っていますか?

節税目的での購入や相続など、大家さんが賃貸経営をスタートさせる経緯はさまざまです。しかし、うまく収益を上げていくためには、自分自身の経営プランを明確に立てることが必要不可欠。

たとえば、専業大家になるために高利回りの物件を積極的に経営する、手堅く物件の種類やエリアを分散させるなどのプランがその一例です。プランによって、管理会社とどう付き合っていくかも変わります。

物件を複数所有することの懸念事項

経営する物件が複数あるということは、それだけ多くの入居者数が必要になります。物件を増やすタイミングで管理が疎かになって、収益が悪くなるというのは避けたいところです。

もし、現在所有している物件の利回りが悪いなら、その物件の条件変更やリフォームなどで利回り改善に向けて取り組んだり、新しい物件を購入してうまくバランスをとっていったりするなど、改善点を考慮することも大切です。

不動産には立地なども含めるとまったく同じ条件の物件は存在しません。そのため、複数棟で賃貸経営を始めることが、ほかのマンションの収益を直接的に悪化させることはないので、事前のシミュレーションや管理会社との打ち合わせを綿密に行えば、複数棟の管理に移行する際のリスクをかなり抑えられます。

管理会社との関係は良好ですか?

賃貸経営には、大家さんと管理会社の良好な関係が必要不可欠です。

大家さんと管理会社の関係

大家さんは、ご自身の大切な資産である物件の管理を管理会社に委託します。安心して管理をまかせられるだけでなく、「管理会社と一緒に収益を上げていく」という姿勢でお互いに信頼関係を築くことが大切です。

管理会社の仕事内容とは

入退去関連の手続きを始め、建物の維持管理や家賃回収など、管理会社の業務範囲は多岐にわたります。入居者からのクレーム対応など、それ以外にも収支のまとめや、今後の経営に必須の月次報告などを作成する場合もあります。

管理会社にも特徴がある

管理体制や客付け力、取り扱う物件のタイプやエリア、トラブル対応のノウハウなど、その特徴は管理会社によってさまざまです。また、物件の特性によっては、大手よりも地域に密着した中小の管理会社のほうがよい成果を上げてくれる場合もあります。

管理会社を統一する場合のメリットとデメリット

ここでは、複数の賃貸物件を経営する際、すべての物件の管理会社を統一する場合のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

大家さんとして一番心配な家賃の回収や空室管理などが一元的であるため、複数物件の管理状況を把握しやすくなります。窓口が1つですので、運用側のロスも少なくすむでしょう。

デメリット

管理会社に不祥事や経営上のトラブルなどが起こった時、自分が所有するすべての物件に影響が及びます。

管理会社を統一すると特典があることも!?

1つの管理会社に一括して管理を委託すると、管理料を値引きしてもらえることがあります。物件エリアが近い場合などには、管理会社が行う清掃や巡回業務もまとめて行うことができるため、とくに値引きに繋がりやすいと言えます。

また、複数棟の管理を委託することで、それだけ管理会社と大家さんの結びつきが強くなるため、入居者募集などの客付けに力を入れてもらえるなど、サービスが厚くなることも期待できます。

管理会社を複数にする場合のメリットとデメリット

続いて、管理会社を複数に分ける場合のメリットとデメリットについても見ていきましょう。

メリット

管理会社も得意・不得意の分野があります。都心部と地方では条件が違ってくるように、物件の特徴によって異なる管理会社に依頼した方がうまく収益を上げられる場合があります。それから、管理会社にトラブルが起こってしまった際のリスクヘッジにもつながります。

また複数の管理会社と接することで、さまざまなノウハウに触れられるという点にも注目です。会社の方針はもちろん、担当者の経験やスキルによって、クレーム対応や保険の適用、家賃の回収などに違いが現れます。そのため、今後の賃貸経営に関する有益な情報を得られる機会が増えるというのは大きなメリットとなります。

デメリット

管理方法や顧客対応のノウハウや対応スピードなどがまちまちになるため、各物件の状況把握に手間取ってしまうことがあります。また、賃貸経営のうえで非常に大切なデータである月次報告などの資料についても、管理会社ごとに書類の様式なども変わってきます。そうなると、必要な情報を手早く確認することができないといった弊害も考えられます。

統一?複数?コスト面での違いをチェック

一般的に、複数の管理会社に委託するからといって、コストがひどく増大するということはありません。ただし、最初にシステム利用料や事務手数料のような数万円の費用が発生する場合があるため、複数の管理会社に委託する際にはイニシャルコスト的な費用が必要になることが考えられます。

また、先ほどご紹介したように、管理会社を統一した際には特典による値引きなどを受けられる可能性もあります。このように考えると、管理会社は分散させるよりも統一したほうがコストを安く抑えられることが多いと言えるでしょう。

管理会社を検討する際には、管理の手数料以外に、どんな費用がいつ発生するのか、しっかり確認したうえで吟味することも大切です。

複数所有の仕方で見えてくる管理方法

大家さんが賃貸物件を複数所有する場合、どのような管理方法をとることが適切であるのか、下記のようなパターンをもとにご紹介していきます。

物件の種別がバラバラな場合

管理会社によっては、住居のみよりも店舗や事務所などの管理を得意とする場合があります。所有する物件の種別と管理会社の適性を調べ、管理委託先を統一すべきか判断しましょう。

物件の場所、エリアがさまざまな場合

物件が広範囲にわたる場合、中小の一社だけでは時間的な制約や費用面などから柔軟に現場に出動できないという場合があります。大手であれば一社でも人的資源は豊富ですし、支店なども利用できる場合があります。広範囲でも一元的でスムーズな管理を期待するならば、大手の利用を検討しましょう。

物件のターゲットが異なる場合

ファミリー向けの3LDKと単身者向けの1Rではターゲット層が明確に違います。それぞれ管理会社にも得意なターゲット層がありますので、物件の特性が明確に違う場合には管理会社を分けることが有効です。

自主管理と管理会社の併用も可能

賃貸管理には、管理会社に委託せずに自分で管理を行う「自主管理」で支出を抑え、利回りを改善するという方法もあります。複数棟での経営を行う場合、自主管理と管理委託を組み合わせることが有効な場合があります。

自主管理とは?

管理会社ではなく、大家さん自身が物件の管理を行う方式を自主管理と言います。入居者の募集はもちろん、建物の維持管理やクレーム対応などの管理も自分でこなすことになります。

管理委託費が発生しないので、その分節約はできますが、入居者募集から修繕業務まで大家さんが行う必要があるため、時間的にも肉体的にも負担が大きくなります。

自主管理にすると入居者との距離は近くなり、大家さんみずから入居者満足度を向上させて、入居率を高めることも可能ですが、管理がおろそかになってしまわないように、管理会社の業務をすべて把握してから検討をしましょう。

まとめ

複数棟で賃貸物件を経営する場合、管理会社を統一すべきかどうかは、大家さん自身が持つ、経営プランに関係してきます。

近いエリアで物件を複数所有し、一社にまとめて効率的に管理を依頼するというのも1つの正解ですし、さまざまな特性をもつ物件をお持ちならば、管理会社を分散させてそれぞれの特性を生かした経営をすることが有効な場合もあります。また、費用面を節約するという意味では、自主管理を取り入れることも大きな効果を期待することができますし、賃貸管理にはたくさんのパターンや可能性が考えられます。

この記事で取り上げた例は、ほんの一例です。複数棟を所有する場合にはどのような方法が適切なのか、ご自身の持つ賃貸経営プランや現状をしっかり整理して、ピッタリの方法を考えてみましょう。

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吉田 成志
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宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/マンション管理士/消防設備士

専任の宅建士として不動産仲介会社に従事した後、マンション管理士・消防設備士として独立。宅建士をはじめとした幅広い知識や経験を生かし、不動産売買や賃貸時に気になる疑問点の相談なども担当している。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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