入居率は本当に上がる?空室対策に有効と言われるフリーレントについて詳しくご紹介

監修矢野 翔一

  • 公開日:
  • 2020年01月15日
  • 更新日:
  • 2020年01月15日
入居率は本当に上がる?空室対策に有効と言われるフリーレントについて詳しくご紹介
入居後一定期間、家賃を無料にするフリーレントは、空室対策に効果的と言われることがありますが、本当に入居率は上がるのでしょうか。入居率が上がったとしても、収益にマイナスの影響が出るようであればよい対策とは言えません。この記事では、入居者獲得のためフリーレントを検討している方々に、フリーレントの概要とメリット、注意すべき点についてお伝えしていきます。

フリーレントを最大限活用するには、
キャッシュフローのバランスとタイミングの見極めが重要です。

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目次

フリーレントってどんなもの?

空室対策の手段の1つとしてフリーレントが注目されていますが、フリーレントとは一体どのようなものなのでしょうか?

フリーレントとは、「入居後1か月」など、一定期間発生する家賃を無料にする契約のことで、入居者へのアピール材料として有効とされています。フリーレントに馴染みのない大家さんであれば、キャッシュフローに影響するのではないかと不安を感じるかもしれませんが、入居者のみならず大家さんにとってもメリットを有するのがフリーレントなのです。

フリーレントは入居者と大家さんの両方にメリットがある

では、フリーレントには、入居者と大家さんの両方にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

<入居者にとってのメリット>
・入居のための初期費用が抑えられる
・スケジュールに余裕をもって引っ越しできる

<大家さんにとってのメリット>
・入居者へのアピールポイントになる
・家賃を下げずに入居者を獲得できる
・長期の入居を促すことができる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

入居者にとってのメリット

入居のための初期費用が抑えられる

入居者にとってのメリットの1つ目は入居のための初期費用が抑えられるということです。入居者が契約時に必ず支払う初期費用には以下の5つがあります。

敷金家賃1か月分が目安
礼金家賃1か月分が目安
前家賃家賃1か月分が目安
仲介手数料家賃0.5~1か月が目安
火災保険料2万円程度

上記から家賃の5倍程度の初期費用が必要になることが分かります。それ以外に荷物量や時期によって異なりますが、引越し費用として単身の場合で5~10万円かかります。フリーレントであれば、前家賃分の費用を減らすことが可能です。少しでも初期費用を抑えたい人にとっては魅力的な物件でしょう。

スケジュールに余裕をもって引っ越しできる

入居者にとってのメリットの2つ目はスケジュールに余裕をもって引っ越しできるということです。現在契約している物件を解約する場合は、1か月前に退去通知を行うのが一般的です。

しかし、退去通知を行ってすぐに次の物件の契約に至ってしまうと、現在の物件と新しい物件の家賃の二重払いが生じます。フリーレントであれば、新しい物件を契約しても一定期間家賃を支払う必要がないため、二重払いに気を揉むことがなく、スケジュールに余裕をもって引っ越すことができます。

大家さんにとってのメリット

入居者へのアピールポイントになる

大家さんにとってのメリットの1つ目は、入居者へのアピールポイントになるということです。入居者は物件を借りる際に、前途の通り家賃の5倍程度の初期費用を必要とするため、少しでも初期費用を抑えることを望みます。

フリーレントであれば、一定期間の家賃が無料になることによって前家賃分の費用を抑えられます。そのため、フリーレントを採用することによって通常の物件よりも入居者に選んでもらいやすくなると言えるでしょう。

家賃を下げずに入居者を獲得できる

大家さんにとってのメリットの2つ目は、家賃を下げずに入居者を獲得できるということです。空室対策には家賃を下げるという方法がありますが、家賃を下げて入居者が決まると、その入居者が退去するまで下げた家賃のままで契約することになります。

フリーレントの場合には、一定期間家賃が得られませんが、家賃自体は変わらないため、長期的なキャッシュフロー考えるとフリーレントの方が有利です。また、家賃を減額して入居者募集を行った場合、家賃減額を知った既存入居者から家賃の減額を要求される可能性もあり、フリーレントを採用することで、そのようなリスクを回避することが可能になります。

長期の入居を促すことができる

大家さんにとってのメリットの3つ目は、長期の入居を促すことができるということです。賃貸契約は契約期間中の途中解約は、通常は1か月前または2か月前に解約通知すれば、契約途中でも解約できるのが一般的です。

しかし、フリーレントには、特約で契約期間内に解約した場合の違約金が課されているため、短期間での退去を防ぐことができます。その結果、長期の入居を促せるでしょう。

フリーレントを採用するときの注意点

入居者だけなく大家さんにもメリットの多いフリーレントですが、採用するときは以下の注意が必要です。

・収益悪化の恐れ
・採用するタイミング

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

収益悪化の恐れがある

フリーレントを採用するときの注意点は、収益悪化の恐れがあることです。フリーレントを採用するということは、一定期間家賃収入がないということになります。

たとえば、フリーレントの期間を2か月間にして入居者が決まったときは、その分の家賃が得られず、結果的に空室期間が2か月あったのと変わりません。金融機関から融資を受けながら物件を運用している場合には、フリーレントの期間も返済は生じているため、収益悪化の恐れがあります。

空室期間が長いにもかかわらず、そこからフリーレントを導入するとなると、さらに収益が悪化することになるため、導入するタイミングも意識することが必要です。

結局は家賃を下げていることと同じ?

大家さんにとっては家賃を下げずに入居者を確保できるというメリットがありましたが、考え方次第では家賃を下げているのと同じです。

例えば、1か月の家賃が12万円の物件をフリーレント1か月、契約期間2年で契約した場合、

2年間の家賃収入の総額は「12万円×(24か月-1か月)=276万円」
1か月当たり「276万円÷24か月=11万5千円」

となり、結果的に5千円家賃を下げて賃貸契約したのと同じになります。キャッシュフローの悪化を防ぐためにも、フリーレントを採用する前には、ある程度シミュレーションしておくことが大切です。

フリーレントを採用するタイミングに注意しましょう

フリーレントを採用せずに入居者の募集を行って契約が成立した場合は、1か月目から家賃収入が得られますが、1か月間のフリーレント付きで募集を行って契約が成立した場合は、必ず最初の1か月目は家賃収入が得られません。

仮に、空室になってすぐにフリーレントを採用して契約が成立した場合、フリーレントなしでも契約が成立していた可能性があることを考えると、フリーレントの効果をあまり感じることができず、「損をしたかもしれない…」と感じてしまいがちです。また、空室期間が長いにもかかわらず、そこからフリーレントを採用すると、家賃収入が得られない期間を長引かせることになってしまいます。フリーレントは、空室期間やキャッシュフローなどを考慮しながら、採用するタイミングを検討することが大切です。

フリーレントを採用するときに確認しておくこと

フリーレントを採用するときに確認しておくことは以下のとおりです。

・賃貸契約の内容
・会計処理の方法

それぞれの確認しておくことについて見ていきましょう。

賃貸契約の内容

フリーレントを採用するときに確認しておくことの1つ目は、賃貸契約の内容です。フリーレントを採用することは、入居者にとっても大家さんにとってもメリットが多いものの、短期間で退去されると家賃収入が得られない期間だけを設けていることになるため、大家さんにとっては損になります。

そのため、賃貸契約には「契約期間」「契約期間内に解約した場合のペナルティ」を盛り込んでおくことが重要です。例えば、契約期間内に解約する場合は、フリーレント期間中の家賃を徴収するといった違約金に関する特約を賃貸契約に盛り込んでおくなどです。このような特約を設けることで短期間での退去を防ぐことにつながります。

ただし、特約の内容を賃貸契約締結時に触れなかった場合は、後でトラブルになる可能性がありますので、契約締結前に必ず入居者に特約の内容を伝えておきましょう。

会計処理の方法

フリーレントを採用するときに確認しておくことの2つ目は、会計処理の方法です。フリーレントを採用した場合は、入居者がいても家賃が生じない期間があるため、会計処理をどうすればいいか悩みます。

会計処理の方法には「フリーレント期間中は計上しないパターン」「賃料総額を賃貸期間で分割して計上するパターン」の2つがあります。

フリーレント期間中は計上しないパターンは、フリーレント期間を空室期間と同じように扱うため、シンプルで分かりやすい会計処理です。一方で、賃料総額を賃貸期間で分割して計上するパターンは、フリーレント期間も計上するため、少し複雑な会計処理になります。

どの会計処理を選んでも問題はありませんが、毎回異なる会計処理を選んでいる場合には、税務署に指摘される可能性があるので注意が必要です。トラブルを防ぐためにも、どの会計処理を選ぶのか事前に決めておいた方がよいでしょう。

まとめ

フリーレントは、入居者にとって入居のための初期費用が抑えられるといったメリットが、大家さんにとって家賃を下げずに入居者を獲得できるといったメリットがあります。

しかし、一定期間家賃が無料になるので収益悪化の恐れがあるほか、採用のタイミング次第ではフリーレントの効果を最大限に発揮できない可能性があります。

フリーレントは空室対策として期待されていますが、上記のようなデメリットもあるため、むやみに採用すればいいわけではありません。キャッシュフロー改善のためにも計画的にフリーレントを活用するようにしましょう。

フリーレントを最大限活用するには、
キャッシュフローのバランスとタイミングの見極めが重要です。

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矢野 翔一

監修矢野 翔一

【資格】宅地建物取引士、管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランナー技能士(AFP)

有限会社アローフィールド代表取締役社長
不動産投資(アパート経営2棟)、株式投資、学習塾経営を行いながら、自身の経験と保有資格の知識を生かしながらライターとしても活動しています。

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