遺されたアパートを複数人で相続する際の方法と気をつけておきたいこと

2023.11.14更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

遺されたアパートを複数人で相続する際の方法と気をつけておきたいこと

アパートを複数の人で相続することが決まっている方に分割相続の方法や手続きの流れや気をつけたいことも含めてお伝えします。

アパートの相続を複数の人で行う時の手続きや注意点。
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目次

分割相続はトラブルになりやすい?

被相続人(亡くなった方)がアパートを所有していた場合、そのアパートは相続人に相続されることになりますが、相続の際、アパートの存在が元でトラブルに発展してしまうことがあります。というのも、一般的な家庭では相続財産に占めるアパートの価値が高いのにも関わらず、現金のように簡単に分けることができないからです。

しかし、アパートも分割できないわけではありません。アパートの分割方法にはいくつかの方法があり、相続後のトラブルを避けるためにはそれぞれについてしっかり理解しておくことが大切です。以下で、アパートの分割相続の方法や手続きについて見ていきましょう。

分割相続の手続きの流れ

まずは分割相続の手続きの流れを見ていきましょう。

1. 相続人の確定

最初に相続人を確定します。相続は、以下のように法定相続人が決められており、被相続人(亡くなった方)が遺書を遺していない場合には法定相続人が相続人となります。
配偶者配偶者以外
子どもがいる場合
子がおらず親がいる場合
子も親もいない場合兄弟姉妹
なお、同順位内の法定相続人が全員相続放棄した場合には、次の順位の法定相続人が相続人となります。

例えば、被相続人(亡くなった方)の死亡時に妻と子2人がいたような場合、「妻と子2人」が法定相続人となりますが、この内子2人が相続放棄した場合には、次に親が法定相続人となります。さらに、両親ともに亡くなっているか、相続放棄した場合には兄弟姉妹が相続人となることになります。

2. 相続財産の確定

次に、相続財産を確定します。アパート以外に現金や金融資産について何をどの程度持っているか、やアパートそのものについてもその資産価値やローンの残債を調べていきます。なお、相続人は相続財産について、相続が開始してから3カ月以内にどのように承認するかを決めなければなりません。

多くの場合、プラスの財産の方が大きい場合には単純承認し、マイナスの財産の方が大きい場合には相続放棄するでしょう。しかし、実際には3カ月で相続財産を確定できないこともあります。

この場合、限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する)しておくと、最終的にプラスの財産が大きいことが分かった時はプラスの財産を得られ、マイナスの財産が大きいことが分かった場合でも、借金を背負う必要はなくなります。

ただし、限定承認は手続きが煩雑になってしまうため、できれば3か月以内に相続財産を確定するようにしたほうがよいでしょう。可能であれば、生前から相続財産について話を聞いておくようにするとよいです。

3. 遺産分割協議書の作成

相続財産が確定したら、相続人全員が集まって相続財産についてどのように配分するかを決め、その決めた内容を遺産分割協議書として作成する必要があります。

遺産分割協議書には被相続人(亡くなった方)の氏名や住所、本籍の他、相続財産の内訳(不動産は登記簿謄本の記載の通り)と誰が相続するかを記載し、末尾に相続人全員の住所、氏名と押印(実印と印鑑証明書)をつけるようにします。

遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、その後の相続手続きのことも合わせて司法書士や弁護士に依頼すると楽に手続きを進めることが可能です。

遺産分割協議書の提出時に必要な書類

遺産分割協議書の提出時には、他に以下の書類を揃えておく必要があります。

・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本、除籍謄本
・各相続人の戸籍謄本(被相続人との関係の分かるもの)
・遺言書
・検認済証明書
・財産目録
・相続人全員の印鑑登録証明書

4. 法務局へ提出

書類を揃えたら法務局へ提出して相続登記(被相続人から相続人への所有権移転登記)を行います。

分割相続には4つの方法がある

次に、分割相続の方法について見ていきましょう。
不動産の分割相続方法には以下の4つの方法があります。

・現物分割
・代償分割
・共有分割
・換価分割

それぞれについて見ていきましょう。

現物分割

現物分割とは、1人の相続人が不動産を単独で相続する方法のことを指します。例えば、子(兄弟)2人が相続人となっているような場合で、兄がアパートを相続し、弟は現金などその他の財産を相続するケースが該当します。

アパート以外にも多くの財産がある場合であればよいですが、一般的な家庭では相続財産に占めるアパートの割合が高いことが多く、現物分割による方法では相続人間で不公平となってしまいやすいです。

現物分割した方がよい場合

現物分割した方がよいケースとしては、相続財産全体に占める1棟のアパートの資産価値の割合が低い場合が挙げられるでしょう。具体的には、現金など他の財産がたくさんあったり、アパート以外にも複数の不動産を保有したりしているケースです。

例えば、前者であれば兄に5,000万円の価値のあるアパートを相続させ、弟に現金5,000万円を相続させるといったことが可能です。また、後者であれば兄に5,000万円のアパート、弟に4,000万円の不動産と現金1,000万円といった配分が可能となります。

代償分割

代償分割とは、相続人の1人が不動産を相続し、その代わりに他の相続人へ金銭を支払う分割方法です。兄と弟2人の相続人がいるようなケースで、兄が5,000万円の不動産、弟が1,000万円の現金を相続したようなケースでは、兄は弟に対して不足分の2,000万円((5,000万円+1,000万円÷2)-1,000万円=2,000万円)を現金で支払うと公平になります。

代償分割した方がよい場合

代償分割では、現物分割で生じやすい相続人間での不公平をなくすことができます。生前から相続することが決まっていたり、すでに実質的な運営を引き継いだ人がいたりした場合、その人にアパートを相続させて、他の人に不公平とならないように代償分割することがあります。

ただし、代償分割では他の相続人に支払うだけの金銭を用意できるかどうかが問題となりやすいです。

共有分割

不動産は共有持分を持つことができるため、相続人全員で1つのアパートを共有することも可能です。このように、相続人全員、もしくは複数の相続人で1つのアパートを共有することを共有分割と呼びます。

共有分割した方がよい場合

共有持分は相続人間で均等に分けることができるため、トラブルに発展しにくいです。アパートから発生する収益も相続人間で均等に配分すればよいでしょう。

ただし、共有持分が兄弟など近い者同士であればまだよいですが、相続した人が亡くなってしまったような場合、その子どもが所有者となったり、さらに共有分割したりといった可能性もあるなど、管理が難しくなっていきやすい点に注意が必要です。

換価分割

換価分割とは、相続した不動産を売却して得た現金を相続人で分ける方法です。現金を相続人間で分けるのは簡単で、配分しやすいことから後にトラブルに発展しづらい方法だと言えます。

換価分割した方がよい場合

特に、相続人の間でアパートを承継したい人がいないようなケースでは活用しやすい方法です。また、換価分割以外の方法では将来的にトラブルに発展してしまいそうな場合には、換価分割を選ぶことでトラブルに発展することを防げる可能性があるでしょう。

分割相続する際に確認しておきたいこと

分割相続の流れや方法についてお伝えしましたが、最後に、分割相続する前に確認しておきたいことを見ていきましょう。

相続人の確認

遺書があるかどうかの確認や、遺書がない場合の法定相続人の確認、また隠し子の有無も確認する必要があります。隠し子がいた場合、認知された子供であればその子供にも相続権があります。

遺産分割協議の際には、関係する相続人全員で話し合う必要があるため、まずは相続人を確定しなければなりません。

相続人の取得額の確認

各相続人の取得額について確認します。遺書が書かれている場合には遺書の通り取得額が決まりますが、そうでない場合には、順位ごとに定められた法定相続分にもとづいて取得額が決められます。なお、遺書がある場合でも法定相続人については遺留分が定められており、遺書の内容に不服の場合には遺留分の範囲内であれば請求することができます。
※遺留分とは、相続人に法律上保障された一定の割合の相続財産のことです。

法定相続分と遺留分については以下のようになっています。
配偶者配偶者以外遺留分
子供がいる場合1/2子1/2法定相続分の1/2
子どもがおらず親がいる場合2/3親1/3法定相続分の1/2
子も親もいない場合
3/4兄弟姉妹1/4相続財産の1/2(配偶者)、なし(兄弟姉妹)
例えば、妻と子2人がいる家庭で相続財産が1億円であれば配偶者は5,000万円、子2人はそれぞれ2,500万円ずつ相続する権利があります。ただし、例えば遺書で第三者に全て財産を譲り渡す旨が書かれていた場合でも、妻は2,500万円について、子はそれぞれ1,250万円について遺留分を請求することができます。

・参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

相続人全員の合意の確認

遺産分割協議は相続人全員の確認が得られて初めて効力を得ます。全員が納得できるよう、いくつかの案を提示しながら話をまとめていく必要があるでしょう。

遺産分割協議は慎重に行うこと

一度遺産分割協議で相続財産の配分が決められた後でも、相続人全員の合意があれば遺産分割協議をやり直すこともできます。しかし、一度遺産分割協議と相続財産を済ませた後、遺産分割協議をやり直す場合には、贈与や譲渡と捉えられ、贈与税や所得税が課される他、不動産取得税や登録免許税も課税されることになります。

基本的には遺産分割協議がやり直しとなることのないよう、一回目の遺産分割協議で後々揉めることのないよう、慎重に決めていくことが大切だと言えるでしょう。

まとめ

アパートの分割相続について、その手続きや方法、相続前に確認しておきたいことについてお伝えしました。アパートの相続は相続価値に占める資産価値が高いことが多く、場合によっては相続の際のトラブルの種となってしまうことがあります。兄弟間や親族間でもめてしまうことのないよう、トラブルのない分割方法を選んでいくことが大切です。

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逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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