トラブル回避のために!サブリースの契約書は締結前にきちんと確認しよう

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2019年04月26日
  • 更新日:
  • 2019年04月26日
トラブル回避のために!サブリースの契約書は締結前にきちんと確認しよう
サブリースのトラブルに巻き込まれないためには、内容を理解し、契約書を隅々まで確認することが大切です。今回は、賃貸経営でサブリースの活用を検討している方に向けて、サブリース契約を結ぶときに確認すべきポイントを詳しくご紹介していきます。

目次

サブリースの内容は把握していますか?

サブリースをめぐるトラブルに巻き込まれないようにするためには、まずサブリースの内容を正確に把握することが大切です。サブリースの内容について整理した上で、最近のサブリースをめぐるトラブルにはどのようなものがあったかにも触れておきたいと思います。

サブリースの仕組み

サブリースとは、簡単にいえば転貸借のことです。サブリース業者がアパートオーナーから賃貸物件を借り上げて、サブリース業者が入居者募集などの賃貸管理を行い、入居者から家賃収入を得ます。アパートオーナーは、サブリース業者から入居率に関わらず、本来の家賃から一定の額を差し引いたサブリース家賃の支払いを受けることを保証してもらえます。

サブリースでのトラブルを回避するために

サブリースは、そもそも空室リスクを回避する等、大家さんをサポートするための仕組みです。サブリースでのトラブルを回避するためには、以下のようなポイントをチェックしておく必要があります。

・サブリース活用時の収益予測(事業計画の作成)
・サブリース賃料の妥当性、根拠
・サブリース会社の経営状況
・サブリース会社のリサーチ、分析力
・サブリース会社の過去実績(入居率、滞納率など)
・サブリース契約内容の確認(契約期間、更新、解約規定など) 等々

結構複雑なサブリース契約の契約書とは

サブリースをめぐるトラブルの中には、契約書を丁寧に確認しておくことで回避できたと考えられるものもあります。契約書に書かれている内容をじっくりと確認することが大切です。

2018年3月に「標準契約書」が改定されています

2007年3月にサブリース事業の当事者間における紛争の未然防止を図るため、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」が作成されています。

その後、民法改正や賃貸住宅管理業者登録制度をはじめ、環境変化等を踏まえて、2018年3月に改訂されました。具体的には、「賃料の改定時期等の明確化」、「サブリース業者から契約を解約できない期間の設定」、などの事項が追加されています。

サブリースの契約書を結ぶときに確認すべきポイント

サブリースでのトラブルを回避するためにチェックしておきたいポイントは、上記で示した通りです。その中のひとつである、「サブリースの契約内容の確認」というポイントについて、さらに掘り下げておきたいと思います。

1.賃料の見直しと改定について

サブリースのうたい文句に「30年保証」などという言葉があったとしても、契約書に賃料を改定することができる旨が明記されている場合、サブリース賃料の見直しや改定はあり得ます。その時期が契約書にどのように記載してあるのかを確認し、サブリース賃料の引き下げの可能性もあることを知っておきましょう。

「家賃保証」の内容と意味を把握

サブリースにおける「家賃保証」という言葉は、必ずしも将来にわたって、当初のサブリース賃料と同額で保証することを意味するものではありません。サブリースの活用有無を問わず、賃貸物件は永久に新築であり続けることはできないからです。経年劣化とともに、賃貸物件の魅力が低下することにより、賃料の引き下げを行わなければ入居者が集まらない時期が来ることも十分に考えられます。また、賃貸需要の変化が生じる可能性もあるでしょう。そのため、サブリース契約において、数年ごとにサブリース賃料を見直す旨が規定されていることは、問題点ではなく当然のことと言えます。

また、サブリース賃料は、サブリース会社が入居者から支払われる家賃から一定の額を差し引いて、大家さんに支払われることになります。そのため、サブリース賃料は、入居者から支払われる賃料よりも下回ることになるということを知っておきましょう。

2.賃料等の内訳について

サブリース賃料は、入居者から支払われる賃料よりも10~20%低いです。また礼金や敷金、更新料は原則としてサブリース会社が受け取ることになっているのが一般的です。賃料等の収入見通し、そして、見直しや改定の時期、サブリース賃料の推移などを踏まえた事業計画を立て、キャッシュフローが成り立つかどうかシミュレーションを行っておくことがとても重要です。

3.契約期間と解約について

サブリース賃料が引き下げられたときに、その賃料収入ではキャッシュフローが成り立たなくなってしまった場合、アパートオーナー側から契約の途中で解約を申し出ることはできます。しかし、違約金が発生する可能性があることを知っておきましょう。契約書に、中途解約および違約金についてどのような取り決めになっているのか、必ず確認しておくようにしましょう。

「普通借家契約」と「定期借家契約」

賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。

【普通借家契約】

契約期間を1年以上で設定するものです。契約期間を1年未満とした場合には期間の定めのない契約です。契約期間満了後は、借主が引き続き契約更新を希望する場合、原則として同条件で契約は更新されることになります。貸主は、原則として更新を拒絶することはできません。なお、貸主、借主双方から賃料の見直しを請求することも認められています。また、契約期間の途中で解約することもできます。借主からの中途解約は特段の事由がなかったとしても行うことができます。ただし、貸主からの中途解約は貸主に正当な事由や立ち退き料等の給付がなければ、原則として行うことができません。

【定期借家契約】

あらかじめ定めた契約期間満了後、契約は原則として更新されることなく契約が終了するものです。借主が引き続き対象建物を利用したい場合は改めて契約締結が必要となります。なお、貸主、借主双方から賃料の見直しを請求することも認められていますが、特約で契約期間中の賃料の見直しを行わない旨を定めることができます。借主にやむを得ない事情がある場合、中途解約を行うこともできます。一方、貸主からの中途解約は、基本的に認められないと解されています。

これらは、借地借家法に規定されています。借地借家法は、立場の弱い借主を守る内容になっていますが、サブリースにおける借主はサブリース会社、貸主は大家さんとなり、家賃保証を受ける貸主の方が立場は弱くなります。

普通借家契約でサブリース契約を締結した場合

貸主側から契約期間の途中で解約を申し出ることは難しいといえるでしょう。また、借主であるサブリース会社は違約金という名目で立ち退き料を請求することもできるため、貸主である大家さんはさらに立場の弱い状態になることが考えられます。

定期借家契約でサブリース契約を締結した場合

貸主である大家さんから中途解約は原則としてできないものの、契約期間が終了すれば更新の必要はないため、条件のよいサブリース会社に乗り換えたり、サブリースの活用をやめたりすることもできます。また、契約期間中、サブリース賃料の見直しを行わない旨を特約で定めることも可能です。

様々な観点から考えても、定期借家契約でサブリース契約を締結した方が、大家さんにメリットが多いと考えます。

4.修繕費やリフォームの規定

サブリース会社によっては、修繕やリフォームを自社、または関連会社で行うことがサブリース契約の条件になっている場合もあります。その費用がサブリース賃料から差し引かれるとしても、キャッシュフローは成立するかを確認しておきましょう。いつどれくらいの頻度で修繕やリフォームが実施されるのか、どれくらいの費用がかかるのか等々、細かい部分まで把握しておく必要があります。

5.入居者の情報

入居者と賃貸借契約を締結するのは、サブリース会社です。入居者の選定を行ったり、入退去の管理を行ったりするのもサブリース会社ですが、その情報は大家さんに伝える決まりはありません。そのため、大家さんがどんな入居者が入居しているのか、全く分からないということも少なくありません。

そもそも、転貸借を行う場合、賃貸物件所有者である大家さんの承諾が必要であるため、入居者情報の開示を求めることはできますが、開示拒否のトラブルもあります。契約書に入居者情報を報告する旨の項目を入れておくことで、そのようなトラブルを予防することもできます。

契約書を結ぶ前に話し合うことが大切

専門用語がたくさん並んでいるため、目を通すことが自分一人では難しいという場合には、専門家のサポートも受けながら、契約書に記載してある内容について、十分に理解をしておくことが必要です。その際、気になる箇所や希望があれば、サブリース会社に臆せず質問したり伝えたりすることが大切です。しかし、それは、サブリースの内容を詳しく知ってこそできることですよね。

リスクもあることを把握した上でサブリースを有効活用する

空室リスクを回避するなど、賃貸経営におけるリスクから大家さんを守る仕組みであるサブリース。サブリースにはメリットだけでなく、デメリットもあることをよく理解した上で、活用の検討を進めましょう。

まとめ

賃貸経営は、多額のアパートローン融資を受けて行うのが一般的です。自分はトラブルに巻き込まれないから大丈夫とか、サブリースがあるから大丈夫だといわれた等、人から勧められるままに楽観的に甘い考えで行うことは大変危険です。トラブルに巻き込まれないための知識武装を行い、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、慎重に検討を進めることが大切です。
キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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