アパートローンの借り換え。ベストタイミングはいつ?

2024.09.06更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

アパートローンの借り換え。ベストタイミングはいつ?

アパートローンの返済額を減らしたいと考える方へ、借り換えのメリット・デメリットや具体的なタイミングについてご説明します。

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目次

アパートローンの借り換えのメリット・デメリット

アパートローンの借り換えには、返済額が減るといったメリットもありますが、当然ながら、デメリットもあります。ここでは、借り換えのメリット・デメリットについて簡単にご説明をします。より詳細なメリット・デメリットの内容についてはリンクをご参照ください。

メリット

現在、融資を受けているアパートローンの金利よりも低い金利で借り換えることができれば、返済額を抑えることができます。その結果、賃貸経営の収支状況が改善され、手元に残る資金に余裕が生まれる可能性があります。

なお、元利均等返済の場合、返済期間が進むにつれて、返済金額の内訳割合は利息よりも元金が大きくなっていくため、経費計上できる利息金額が減少していきます。

借り換えによって、返済金額が大きく変わらなくても、経費計上できる利息の割合を増やせる可能性があります。

デメリット

借り換えに際して、司法書士報酬・事務手数料・保証料などの諸費用が必要となります。そのため、返済額の増減のみに注目するのではなく、諸費用を含めた総額で借り換え効果の有無を確認する必要があります。

なお、金融機関によっては、借り換えの際、希望している返済期間より短期間となる場合もあります。その場合、既存のアパートローンよりも低金利であったとしても返済金額が増加する可能性もあるので注意が必要です。

アパートローン借り換えの流れ

アパートローンの借り換えは、大まかには下記のような流れで進めます。より詳細な内容は、上部リンクをご参照ください。

現状把握と試算

まずは、物件情報や収支状況を整理して、現状把握を行います。そのうえで借り換え効果の試算を行いましょう。経営状況が芳しくない場合には、借り換え以外にも、どのような対策を講じる計画があるのか、その対策にはどれくらいの費用がかかる見通しなのかを考えておきましょう。

その際、資金繰りに余裕がある根拠として、大家さんの資産についても提示ができるように準備ができているのが望ましいでしょう。なお、経営状況が良好である場合にも、借り換えによって収支がより良い状態になることを説明できるようにしておきましょう。

金融機関との折衝

現状把握と試算を行った資料を基に、金融機関と借り換えについての折衝を行います。現在、融資を受けている金融機関と折衝し、金利の引き下げを受けることができるに越したことはありません。そして金利、返済期間、金額、諸費用などの条件の比較検討を行うために、ほかの金融機関にも複数打診をしてみましょう。

契約準備

借り換えを行う金融機関が決定したら、契約に必要な書類を準備して、申し込みを行い、本審査を受けます。金融機関との折衝時における仮審査を経ているので、申し込み後、状況に大きな変化がなければ、本審査でも承認される可能性は高いでしょう。本審査の承認後、金銭消費貸借契約を取り交わし、借り換え実行となります。

アパートローンの借り換えベストタイミングの見極めポイント

アパートローンの借り換えのベストタイミングとはいつなのか、見極めに重要な3つのポイントについてご説明します。

1.経営見通しを確認しよう

アパートローンの審査は、大家さんの資産状況だけでなく、賃貸経営の経営状態もチェックします。賃貸経営の経営および経営見通しが良好な状態である時が、アパートローンの借り換えに望ましいタイミングであると考えておきましょう。

なお、現状の経営状況はあまり芳しい状態ではない時は、賃貸経営の経営改善材料を考える必要があります。賃貸経営の状況を見通して、借り換えのみならず、経営改善を図ることで、明確な根拠に基づいて収益改善を説明できる時も借り換えのタイミングでしょう。

また、アパートローンは、担保価値によって融資限度額が異なります。不動産価格の高いタイミングで検討するのも一案です。不動産価格の推移や所有物件の資産性についても確認しておくとよいでしょう。

2.金利水準を確認しよう

すでに融資を受けているアパートローンの金利水準と比較して、現在の金利水準が1%以上低い時も借り換えのタイミングの1つです。借り換えを検討する際には、現状の金利水準について、確認してみましょう。

近年の金利水準として、変動金利の場合、日本銀行の政策金利が指標となっていますが、金融緩和政策により下落し続けています。また固定金利は、日本国債10年の利回りと連動しているといわれており、こちらも下落し続けています。

ただし、賃貸経営の経営状況にくわえ、金融機関のアパートローン融資の積極性の有無などにより、金融機関ごとに実際に提示される金利は異なるという点には留意しておきましょう。

3.現在利用しているアパートローンの内容を確認しよう

元利均等返済の場合、返済額に対する元金と利息の割合は、当初利息の割合が大きく、少しずつ元金の割合が大きくなります。そのため、返済期間が進めば進むほど、借り換えの効果は低くなります。

借り換えのタイミングとしては、返済期間の中でも早めの段階が望ましいといえます。現在融資を受けているアパートローンの原状を確認して、借り換えによってどれくらいの効果があるのか、試算をしてみるとよいでしょう。

借り換え先の審査に向けての準備

アパートローンの借り換えについては、現在の融資を受けている金融機関との金利引き下げ交渉の前に、複数の金融機関に打診を行いましょう。先にも述べましたが、金融機関によっては、近年の賃貸経営をめぐる動き(不正融資事件など)を受けて、アパートローン融資に消極的なケースもあります。

まずは、金融機関との折衝のために、現在のアパートローンの返済予定表、物件情報(売買契約書、重要事項説明書)、大家さんの年収や資産などが示せるもの(通帳や源泉徴収票など)を準備します。また、現在の賃貸経営の収支状況、そして今後の見通しを説明できる資料も用意すると、折衝をスムーズに進めることができるでしょう。

折衝後、金融機関を決定して、本審査の申し込みをします。その際求められる書類は、以下のとおりですが、金融機関によって異なりますので、確認をしておくとよいでしょう。

【チェックリスト】借り換え審査に必要な書類
□ 登記簿謄本・公図
□ レントロール(管理会社から毎月送られてくる報告書や資料など)
□ 確定申告書
□ 本人確認書類
□ 職務経歴書
□ 源泉徴収票や銀行通帳
□ ローンの返済予定表
□ 重要事項説明書
□ 売買契約書

よくある質問

ここでは、アパートローンの借り換えに関するよくある質問をご紹介します。
複数ローン残債があり、まとめて借り換えを検討したい
すでにいくつかの賃貸物件を所有しており、新しく賃貸物件を取得して賃貸経営を拡大したいという方もあるでしょう。その際、アパートローンの一本化ができると、返済額を圧縮できます。

そのため、新規物件についてアパートローンの融資を受ける際に、複数のアパートローンについても借り換えを行い、アパートローンの一本化を図りたいという方もいると思います。

結論からいうと、アパートローンの一本化は金融機関によって対応可否が異なります。新規の融資に既存融資の一括返済資金も含めて融資が可能かどうか、打診をしてみるとよいでしょう。
ローン借り換えの交渉ポイントは?
金融機関にローン借り換え交渉を行う場合、必ず事前準備が必要です。

・現在の賃貸経営状況を把握し、説明できるようにしておく
・インターネットなどで事前に情報収集をし、どの金融機関に相談するか絞り込む
・利用中の金融機関に金利の引き下げ交渉をする
・資産価値の査定や競合物件との競争力など専門家に客観的に意見をもらう
ローンの借り換えで収支は改善できる?
ローンの借り換えを行うメリットとしてはまず金利が下がることが挙げられます。また、金利が下がることで、毎月のローンの返済額も減額する可能性がある点があげられます。

毎月の支出を抑えることができると、手元に残るキャッシュも多くなるため、金融資産を増やすことが可能です。借り換えを検討する場合は事前審査や本審査承認までオンラインで完結できるINVASEの利用をおすすめします。詳しくはINVASEの概要を参照してください。

まとめ

賃貸経営は、事業経営にほかなりません。アパートローンは事業性融資であるため、大家さんの資産状況にくわえて、賃貸経営の経営状況についても審査の対象となります。

賃貸経営の事業主として、経営状況並びに賃貸物件の担保価値を把握したうえで、複数の金融機関に相談を行いましょう。担保価値を把握するためには、不動産会社のサポートも必要です。複数の不動産会社に一括査定を依頼できるサービスも活用しながら、効率的に借り換え検討を進めていくとよいでしょう。
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キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。