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目次
繰り上げ返済でキャッシュフローを改善は正解か?
手元に残るお金を増やす、つまりキャッシュフローを改善するにあたって、繰り上げ返済は本当に有効な手段なのでしょうか。
たとえば、アパートローンで1億円を返済期間35年、金利3%で借り入れると、毎月の返済額は約38万円です。10年経過後に500万円の繰り上げ返済(期間短縮型)を行っても、実は毎月の返済額は変わりません。
ただし、総支払利息は520万円程度軽減されることになり、返済期間も2年ほど短縮されるため、長い目でみればキャッシュフローの改善につながりますが即効性はありません。
アパートローン繰り上げ返済には2通りある
期間短縮型
返済額軽減型
10年後に期間短縮型と返済額軽減型、それぞれで繰り上げ返済を行った場合の効果を比較してみましょう。
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
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毎月返済額 | 384,850円 | 361,086円 |
残りの返済期間 | 22年10ヶ月 | 25年0ヶ月 |
繰り上げ返済の効果(圧縮された利息) | 5,215,590円 | 2,105,380円 |
繰り上げ返済の効果
どちらの方法でも、繰り上げ返済によるキャッシュフロー改善効果はあります。ただし、それが毎月の返済額を引き下げることを目的とするのであれば、返済額軽減型を選択した方がよいでしょう。
一方、即効性はなくても全体的なキャッシュフローを改善することを目的とするのであれば、期間短縮型を選択した方がよいでしょう。
つまり、繰り上げ返済法の選択を誤ると、必ずしも、望んでいるキャッシュフロー改善結果を得られないということになります。
繰り上げ返済を検討する際には、まず自分は、繰り上げ返済によってどのような効果を期待しているのかを考えた上で、適切な方法を選択しましょう。
アパートローン繰り上げ返済のメリット
利息の負担を軽減できる
返済額軽減型を選択すれば、毎月の返済額を減少させられるのでアパート経営における支出が減少し、手元に残るお金が増えることになります。
また、期間短縮型では早く返済を終わらせることができる上に、支払う必要があった利息を大幅に軽減することができます。
金利変動に対するリスクを回避できる
また、5年ごとの返済額見直しの際にも、現状の返済額の1.25倍までしか増加することはありません。しかし、その5年の間に適用金利が引き上げられると、返済額を超えた利息部分が生じてしまう可能性があります。
この返済額を上回った部分の金額は、一般的に「未払利息」と呼ばれています。
毎月の返済額が増加する可能性も…
ただし、金利上昇局面で繰り上げ返済を行うと、その時点の金利で返済額が再計算されるため、毎月の返済額が増加してしまう可能性もあることには留意しておきましょう。
与信が上がる
ただし、金融機関としては繰り上げ返済によって融資金回収ができるというメリットがある反面、予定していた利息収入を得られることができないというデメリットもあります。
将来的にアパート経営を拡大していく予定があり、融資を受ける可能性があったり、金融機関と良好な関係構築を保っておきたいと考えたりする場合は、繰り上げ返済を大家さんの独断で実行せず、金融機関に相談しながら進めていく方が無難であるといえます。
アパートローン繰り上げ返済のデメリット
急な対応ができない
アパートローンの繰り上げ返済を行う際には、手元に余裕のある資金を残しておくことも考慮に入れておきましょう。
新規不動産の購入が難しくなる
フルローンで新規の賃貸物件を購入、建築するとしても諸費用が必要であり、審査の上でも空室リスクをカバーする資産が少ないことは不利な要素です。
手数料がかかる場合がある
決断前に抑えておくべき、もうひとつの視点
税制
キャッシュフローは改善されても、所得税の負担が増える可能性があります。
スケールメリット
1部屋空室が生じた場合、ワンルームマンション1部屋所有の場合、空室率は100%となり、賃料収入が全く生じません。
一方、1棟(10室)の賃貸物件を所有している場合、空室率は10%となり、残り9部屋の賃料収入は確保することができます。既存の賃貸物件の稼働率が良好であり、繰り上げ返済できる手元資金があれば、新たに賃貸物件を取得して、規模を拡大してスケールメリットを享受することもひとつの考え方です。
こんなケースは検討してみよう
アパート経営の規模拡大を検討している場合
既存のアパートローンの繰り上げ返済を行ってもなお、新規のアパートローン契約をする際の頭金や諸費用、そして空室発生や修繕費など予定外の収入減や支出増への対応費が十分に手元に残るのであれば、新規アパートローンの審査に与える影響も少ないでしょう。結果として、キャッシュフローの改善をはかることができるため有効といえます。
ローン返済を早期に済ませたい場合
ただし、繰り上げ返済に充てる資金を支出しても、空室発生や修繕費など予定外の収入減や支出増への対応費が十分に手元に残るように考慮は必要です。
よくある質問
アパートローンは元利均等返済と元金均等返済どちらがいい?
アパートローンの繰り上げ返済ができないときはある?
アパートローン完済後の抵当権は自動で抹消するの?
司法書士に依頼することも可能ですが、自身で行う場合は、抵当権抹消登記申請書の作成し、法務局に申請しなければなりません。
まとめ
一側面だけをみて繰り上げ返済を進めるのではなく、さまざまな視点から自分の場合には繰り上げ返済が有効か否かを考えるきっかけにしてみるとよいでしょう。
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この記事の監修者
AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。