目次
家賃の減額をしなければならない時がある?
【パターン①】コロナで失業!家賃減額請求ができる?
一定の条件とは、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき」です。
もうすこし、わかりやすく言えば、税金などの負担増、不動産価格の上昇、経済事情の変化、周辺の家賃相場との比較、によって現在の家賃は「高い」という状況になった時、入居者から家賃減額を求められる可能性があります。
【パターン②】設備故障で生活できない!家賃減額請求ができる?
つまり入居者から設備故障についてトラブル連絡があった時、大家さんの対応が遅くなると、入居者から家賃減額を求められる可能性があります。
家賃減額には応じる必要があるのか
とはいえ、大家さんの落ち度がないのにも関わらず、家賃減額請求があったからといって、必ずしも応じる必要はありません。ただし、家賃減額請求を受け入れてもらえず、やむを得ず入居者が家賃滞納をしたとしても、1回程度の家賃滞納で直ちに退去を求めることができない点には注意が必要です。
サブリースの家賃保証も減額される!?
賃借人から賃料減額請求されたらどうする?
借地借家法第32条(借賃増減請求権)には、以下のように示されています。
1 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。略
2 略
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
①どんな場合に応じるべきか
まずは、入居者と話し合いを行い、家賃減額に応じるべきか否かを考える必要があるでしょう。この話し合いが調わない時には、調停や裁判で争い、減額を正当とする裁判が確定するまでは、入居者は本来の家賃を支払うことになります(※入居者が相当と考える減額家賃を支払い続けた場合、契約解除理由とされる判例もあります)。
ただ、入居者の経済事情が悪化し家賃減額を求めている状況下で、調停および裁判の費用をかけ、またその期間中も本来の家賃を支払い続けることができるかというと、やや現実味に欠けます。
仮に、「コロナ禍において失業した」という場合でも、利用できる公的資金をすべて申請したり、失業後直ちに再就職活動を行って再就職が決まるまではアルバイトをしたりなど、本来の家賃を支払う姿勢は賃貸借契約を交わした以上、入居者に求めてもよいと思います。
②応じるとしたらどんな交渉をすればいいか
③大家さんとして準備すべきこと
しかし、情けだけでは経営は成り立ちません。万一に備え、家賃の減額請求に応じるなど家賃収入の減収が生じた場合、キャッシュフローが成り立つのか、損益分岐点を確認する必要があります。その確認をしておくことで、退去された時の家賃収入の減額とどちらが大家さんにとって有利なのか、比較することもできます。
またキャッシュフローに不足が生じる懸念がある場合には、利用できる公的資金の有無確認や金融機関への融資打診なども行う必要があります。日頃から情報収集や金融機関の担当者とのコミュニケーションをとっておくことも大切なことです。
設備や建物の不具合で賃料減額しなければならない時どうする?
民法611条の規定について
民法611条
1 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
つまり、「設備故障などが生じて、入居者が賃貸物件で生活するうえで支障が生じた場合、その支障の程度に応じて賃料が減額される」ということが示されています。
どれぐらい減額されるのか(ガイドライン参照)
状況 | 賃料減額割合 | 免責日数 |
---|---|---|
電気が使えない | 40% | 2日 |
ガスが使えない | 10% | 3日 |
水が使えない | 30% | 1日 |
トイレが使えない | 20% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
エアコンが作動しない | 5000円(1カ月あたり) | 3日 |
テレビ等通信設備が使えない | 10% | 3日 |
雨漏りによる利用制限 | 5~50% | 7日 |
契約書を確認しておこう
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まとめ
万一、入居者から家賃減額請求を受けた時に、どのような対応をすればよいのかを知っておくのは大切なことです。備えあれば患いなし。慌てて安易な対応をしないように知識を蓄えておきましょう。
この記事の監修者
AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。