目次
賃貸経営に関わる仕事は幅広い
大家さんの役割について解説する前に、賃貸経営に関わる業務内容についてご紹介します。賃貸経営に関わる仕事を大別すると
「入居者に関わる仕事」
「建物に関わる仕事」
「お金に関わる仕事」
の3つがあります。ここでは、それぞれの仕事内容について解説しましょう。
「入居者に関わる仕事」
「建物に関わる仕事」
「お金に関わる仕事」
の3つがあります。ここでは、それぞれの仕事内容について解説しましょう。
1.入居者に関する仕事
賃貸経営では入居者からの家賃収入がなければ成り立ちません。物件で暮らす入居者に関する仕事は、入居から退去まで幅広くあります。
日常業務
入居者は、賃貸借契約によって決められた期日までに毎月決まった家賃を支払います。賃貸経営の業務には、入居者から支払われる「家賃の回収」という仕事があります。入居者がいても家賃が回収できなければ収入とならず、賃貸経営が危ぶまれるでしょう。
すべての部屋できちんと家賃の回収ができているか確認し、万が一金額が不足していたり、支払われていなかったりすれば、入居者へ督促します。
すべての部屋できちんと家賃の回収ができているか確認し、万が一金額が不足していたり、支払われていなかったりすれば、入居者へ督促します。
突発業務
入居者からのクレーム対応といった突発的な業務も賃貸経営の仕事です。入居者からのクレームには「お湯が出ない」「インターホンが故障している」といった設備の故障だけでなく、「隣人の騒音を注意してほしい」のような入居者同士のトラブル相談なども寄せられます。
入居者からの苦情や要望に応じて対応するという仕事があるのです。そのほか、ペット不可物件なのにペットを飼育しているなどの入居者の契約違反に対応することも業務の1つです。
入居者からの苦情や要望に応じて対応するという仕事があるのです。そのほか、ペット不可物件なのにペットを飼育しているなどの入居者の契約違反に対応することも業務の1つです。
更新時業務
入居者と結ぶ賃貸借契約では、契約の期間が決められています。契約が満了となり、入居者が解約しない場合は更新の手続きを行うことになります。更新業務も賃貸経営における重要な仕事です。
更新の手続きは契約内容によって異なりますが、契約満了日の解約予告期間よりも前に、入居者の意思確認を行うのが一般的です。更新にあたり、入居者と書面を取り交わしたり、更新料・更新手数料の入金確認をしたりします。
更新の手続きは契約内容によって異なりますが、契約満了日の解約予告期間よりも前に、入居者の意思確認を行うのが一般的です。更新にあたり、入居者と書面を取り交わしたり、更新料・更新手数料の入金確認をしたりします。
退去時業務
入居者が退去したときの業務には次のようなものがあります。
・退去立会
・退去後、部屋のクリーニング
・不具合箇所の修繕
・敷金等の清算
・入居者の募集
など
退去立会では、入居者と一緒に部屋の中の傷・汚れなどを確認します。その後、敷金や家賃等の清算を行います。そして、不具合箇所の修繕や部屋のクリーニングなどを行い、空室となった部屋の新たな入居者を募集します。賃貸経営では家賃収入が肝ですから、修繕と募集はある程度並行して行われることがほとんどでしょう。
・退去立会
・退去後、部屋のクリーニング
・不具合箇所の修繕
・敷金等の清算
・入居者の募集
など
退去立会では、入居者と一緒に部屋の中の傷・汚れなどを確認します。その後、敷金や家賃等の清算を行います。そして、不具合箇所の修繕や部屋のクリーニングなどを行い、空室となった部屋の新たな入居者を募集します。賃貸経営では家賃収入が肝ですから、修繕と募集はある程度並行して行われることがほとんどでしょう。
2.建物に関する仕事
大家さんが所有している建物は大事な資産であり、賃貸経営における大事な商品です。ここでは、賃貸経営の業務のうち建物に関する仕事について解説します。
日常業務
共用部分の定期清掃なども仕事の1つ。日常的なメンテナンスの有無によって、同じ築年数の建物でも印象が変わってしまいます。共用部分が汚く荒れていると印象が悪く、今後の客付けに影響を与える可能性があります。
突発業務
経年劣化や入居者の過失などにより、設備の修理が必要となることがあります。不具合があった設備を直したり、新しい設備と交換したりする業務があります。
退去時業務
「1.入居者に関する仕事」でも解説しましたが、退去時にはルームクリーニングや設備の修繕など、建物に関する業務があります。空室となった時に、和室を洋室に変えるなどのリフォームを行うこともあるでしょう。
3.お金に関する仕事
賃貸経営は事業であるといえます。そのため、お金に関する業務も非常に重要です。ここでは、賃貸経営のうちお金に関する仕事について解説します。
日常業務
お金に関する日常的な業務には、収支管理や納税に必要な資金・書類の準備などが挙げられます。賃貸経営に限らず、一定規模の事業収入・副収入があれば確定申告をして納税をしなければなりません。
そのため、家賃収入などの収入や管理手数料などの支出を管理しておく必要があります。また、築年数を重ねていくうちに、どうしても建物に修繕が必要となっていきます。そのための修繕費用・リフォーム費用の積み立ても日常業務の1つといえるでしょう。
そのため、家賃収入などの収入や管理手数料などの支出を管理しておく必要があります。また、築年数を重ねていくうちに、どうしても建物に修繕が必要となっていきます。そのための修繕費用・リフォーム費用の積み立ても日常業務の1つといえるでしょう。
定期業務
1年に一度の確定申告や、税金の支払いといった毎年行う定期業務があります。サラリーマンの副業として行っている場合でも、副業の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要ですので注意しましょう。また、所有物件の固定資産税や不動産所得にかかる税金などを納めます。
更新・退去時業務
更新時には更新料・更新手数料の入金があり、退去時には預かっていた敷金の清算といった業務があることは上記で解説した通りです。このように、更新・退去時にお金の動きがあるので、更新や退去に伴う収支管理を行います。
大家さんの仕事とは?
賃貸経営の業務全般は上記の通りであり、本来はすべて大家さんの仕事であるといえます。しかし、不動産賃貸業を専業で行っている人でなければ、すべて自分で行うことは難しいでしょう。ここでは、賃貸経営の委託先や委託可能な業務についてご紹介します。
すべてを自分で行う
1つは、上記に挙げた賃貸経営の業務を大家さんがすべて1人で行う方法です。入居者・建物・お金関係のことをすべて自分で担当しますので、物件の近くに住んでいたり時間に余裕があったりする大家さんであれば可能でしょう。また、賃貸経営の業務をすべて自分で行うことで、外部に委託する際の手数料がかからないというメリットがあります。
ただし、賃貸経営の業務は上記のように多岐にわたります。サラリーマンの副業としてなど、賃貸経営に割ける時間が限られていると難しいといえるでしょう。
ただし、賃貸経営の業務は上記のように多岐にわたります。サラリーマンの副業としてなど、賃貸経営に割ける時間が限られていると難しいといえるでしょう。
委託先1:管理会社
管理会社に賃貸経営の一部もしくは大半、全部を委託する方法があります。管理会社とは、賃貸不動産の管理を行う会社。委託できる業務は管理会社や契約内容により異なりますが、ここでは代表的な業務をご紹介します。
管理会社にお願いできること
・家賃回収
・滞納督促
・共用部分の定期清掃
・退去立会
・敷金等の清算
・クレーム対応
・入居者募集
・リフォーム提案
など
管理会社によっては、管理手数料によって委託できる業務内容を決めているところがあります。実際に管理会社に委託できる内容については、各管理会社に相談してみましょう。
・滞納督促
・共用部分の定期清掃
・退去立会
・敷金等の清算
・クレーム対応
・入居者募集
・リフォーム提案
など
管理会社によっては、管理手数料によって委託できる業務内容を決めているところがあります。実際に管理会社に委託できる内容については、各管理会社に相談してみましょう。
委託先2:仲介会社
仲介会社とは、入居者と大家さんの間に入って(=仲介して)業務を行う会社のことをいいます。管理会社は物件管理全般を行うのに対して、仲介会社は入居者に関する業務を主に行っていることが一般的です。ここでは、仲介会社に依頼できる代表的な業務内容についてご紹介します。
仲介会社にお願いできること
・入居者募集のための広告宣伝
・入居時の契約業務
・更新業務
など
仲介会社は主に空室時の入居者募集に関する業務を行うことが多いでしょう。業務内容や手数料については媒介契約の内容によりますので、契約時によく確認しておくことをおすすめします。仲介会社によっては、自社が客付けした入居者については退去立会などの業務を担当してくれる場合があります。
・入居時の契約業務
・更新業務
など
仲介会社は主に空室時の入居者募集に関する業務を行うことが多いでしょう。業務内容や手数料については媒介契約の内容によりますので、契約時によく確認しておくことをおすすめします。仲介会社によっては、自社が客付けした入居者については退去立会などの業務を担当してくれる場合があります。
その他の委託先
管理会社と仲介会社を兼ねている会社も多くあります。管理・仲介ともに扱っている会社へ一括で委託するのも1つの方法です。また、税務関係の業務を税理士事務所に相談するなどということも考えられます。
まとめ
「大家さんの仕事」と聞くと、冒頭に述べたような不労所得のイメージを浮かべたり、昔ながらの自主管理の大家さんを思い浮かべたり、人によってイメージは様々かと思いますが、今回解説したように実際行う業務は多岐にわたります。また、大家さんがすべての賃貸経営の業務を行う方法もありますが、管理会社などに委託するという方法もあります。
しかしいかなる場合も、賃貸経営の業務を全部または一部を委託したとしても、賃貸経営における重要な判断は大家さん自身が行う必要があります。業務の委託を行う場合も管理会社などに丸投げするのではなく、大家さん自身が責任をもって賃貸経営を行うようにすると良いでしょう。
しかしいかなる場合も、賃貸経営の業務を全部または一部を委託したとしても、賃貸経営における重要な判断は大家さん自身が行う必要があります。業務の委託を行う場合も管理会社などに丸投げするのではなく、大家さん自身が責任をもって賃貸経営を行うようにすると良いでしょう。
この記事の監修者
花 惠理
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士
大学卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務し、不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの業務に携わる。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。初心者にもわかりやすい言葉で解説している。