暮らしやすさとコストで考える。空室対策につながる床暖房のおすすめメーカーと種類をご紹介します

2024.07.23更新

この記事の監修者

いしわた さとみ
いしわた さとみ

宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー

暮らしやすさとコストで考える。空室対策につながる床暖房のおすすめメーカーと種類をご紹介します

空室対策で検討できる設備の1つ、床暖房。床暖房の設置需要や種類、リフォーム方法などをご説明します。

目次

床暖房、どれくらい需要があるかご存じですか?

すっかりポピュラーになった床暖房ですが、初期費用やランニングコストの問題もあり、いまだに導入している賃貸は多くはありません。それでも、床暖房には何かとメリットも多く、不動産情報サイトや大手不動産会社の物件検索では「床暖房」のチェック項目があるなど、一定の需要はあると考えられます。

賃貸経営の空室対策で大切なこと

賃貸経営における空室対策は、誰のために行うのでしょうか。もちろん、大家さん自身のためではありますが、退去者が出ないよう、空室が早く埋まるために対策を施すことは、入居者の居住性を高めることにもつながります。

そのためにも、入居者目線で物件の快適性について考えてみることが大切です。

床暖房の仕組みについて

床暖房は、床下にある熱源で床を温めるタイプの暖房器具です。電気カーペットのように足元だけを温めるのではなく、床へ伝わった熱を放射して部屋全体を暖めてくれます。床暖房は新築だけでなくリフォームによって後付けすることもできますし、一戸建てに限らず賃貸物件の住戸にも設置が可能です。設置方法やコストについては、後述いたします。

まずは床暖房の種類を知ろう

床暖房には、温水式と電気式の2種類があります。それぞれの特徴や仕組みについて見ていきましょう。

温水式

温水式床暖房は「温水循環式床暖房」ともよばれ、ガスを熱源とするものと電気を熱源にするものの2つのタイプがあります。ガス温水式床暖房は、ガス給湯器で沸かした温水をパイプに循環させ、床を温めます。温度が42℃以上にならないため、小さな子どもや高齢者のいるご家庭でも低温やけどの心配が少ないのがメリットです。

一方、電気温水式床暖房はヒートポンプで効率よくお湯を温めるため電気代をおさえることができますが、導入の初期費用はやや高め。ガス温水式に比べると、立ち上がりにも時間がかかります。このほか灯油を使用した温水床暖房もありますが、ランニングコストは安いものの、給油の手間を要します。

電気式

電気式床暖房は「電気ヒーター式床暖房」ともよばれ、床下の発熱体に電気を通して床を温めます。温水式のような熱源機がなく、パネルを設置するだけなので、初期費用が安く施工も簡単です。

ただし、ランニングコストが高いため、長時間の使用や広範囲への設置には不向きだといえます。最近では、日射などにより床の高温化した部分をセンサーが感知し、その部分だけ発熱を抑えてくれるPTCヒーター式の電気式床暖房もあります。

床暖房導入のリフォーム工事の方法とコスト

先ほどもお伝えしたように、床暖房はリフォームでの後付けも可能です。鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造や種類、階数を問わず設置できます。

ただし、熱源機の設置スペースがないマンションでは温水式床暖房は設置できません。また、熱源機から温水を取り込むためには外壁に管を通すための穴を開けなければなりません。鉄筋コンクリート造のマンションではコンクリート壁に穴を開けることが難しいため、温水式ではなく電気式床暖房を導入することになるでしょう。

直張りの場合

直張りによるリフォームは、既存の床の上に重ねて床暖房を施工します。床材をはがす手間がかからないためコストが安く、工期は1~2日程度。既存床の分だけ床高が上がってしまうため、廊下と室内で床に段差ができたり、床が建具と干渉してしまったりすることがありますので、段差を解消する措置が必要です。

リフォーム費用は、電気式床暖房なら1畳あたり約5~6万円。8畳のワンルームなら40~50万円程度かかります。温水式床暖房の場合は、床暖房の施工費用に加えて熱源機の費用がかかるため、1畳あたり7~8万円。8畳のワンルームなら55~65万円程度と考えておきましょう。

床全面張替えの場合

全面張替えは、いったん既存の床をすべてはがし、下地を調整してから床暖房を施工する方法です。床をはがす手間がかかるためコストはやや割高になります。また、工期も4~5日程度と少し長めです。

リフォーム費用は、電気式床暖房なら1畳あたり約8~9万円。8畳のワンルームなら65~70万円程度になります。温水式床暖房の場合は熱源機の費用も含め、1畳あたり10~11万円。8畳のワンルームなら70~80万円程度です。床をはがして下地に劣化が認められた場合には下地の補修や張替えが必要になるため、もう少しコストはアップします。

床暖房のメリットとデメリット

床暖房のメリット、デメリットを順にご説明します。

メリット

室内を均一に暖める

エアコンやファンヒーターの場合、吹き出し口から出た暖気は気流によって上昇します。そのため、足元だけがやけに冷えるという事象が起こりがちですが、床暖房なら遠赤外線の輻射熱で部屋全体をまんべんなく、一定の温度で暖めてくれます。

空気を汚さない

床暖房は石油ストーブやファンヒーターのように燃焼しないため、二酸化炭素を排出することがなく空気が汚れません。また、大きな気流が発生しないのでハウスダストを巻き上げることもなく、人にも環境にも優しいのが特徴です。

安全性が高い

火を使わず、高温になることもなく、輻射熱で室内を温める床暖房なら、小さな子どもや高齢者のいるご家庭でも安心です。コードもないので、つまずいたり引っかけたりする心配もありません。

デメリット

初期費用が高い

床暖房最大のデメリットは初期費用の高さです。部屋の広さによっては、工事費が100万円近くなってしまうこともありますから、部分的に床暖房を施工するなど、初期費用をおさえる工夫も必要です。

暖めに時間がかかる

電源を入れるとすぐに暖気が発生するストーブやエアコンに比べて、輻射熱で室内を暖めるにはとても時間がかかります。暖かさを感じるまでに1時間は要するため、ほかの暖房器具を併用する人もすくなくありません。

修理やメンテナンスが大変

リモコンや熱源機の故障であれば大きな問題はありませんが、パネルが故障した場合はいったん床をはがして修理をしなければならないため、多大な費用と手間を要します。また、温水式床暖房の品質維持には、不凍液(循環液)の補充や交換といった定期的なメンテナンスが必要です。

床暖房導入が有効なターゲット層とは

床暖房は立ち上がりに時間がかかるため、頻繁に電源のオンとオフを繰り返すのは現実的ではありません。効率を考えると、24時間つけっぱなしということになります。

電気代も高額となることを考えると、家賃の安さが売りの木造アパートに導入しても、まず需要はないでしょう。実際、都心部など、家賃の高い地域ほど床暖房を設置している物件は多い傾向にあるので、現在の入居者層や近隣の家賃相場をみながら検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめ床暖房のメーカーと種類をご紹介

床暖房にはどのようなメーカーや種類があるのでしょうか。ここでは賃貸物件におすすめの床暖房をご紹介します。

1.Panasonic(パナソニック株式会社)

Panasonicは家電をはじめ、住宅やカーナビなどの車載機器事業を展開する電機メーカーです。住宅分野では注文住宅や分譲住宅、リフォームのほか、住宅設備や建材など幅広い商材を扱っています。

電気床暖房「フリーほっと」は、立ち上がりが早く、発熱量を自動調整するPTCヒーターを採用しています。ランニングコストは従来品の約3%ダウン。むだなエネルギーを使いません。

鉄筋コンクリート造マンションのコンクリート床直張りや二重床にも施工可能です。床材はフローリング、カーペット、クッションフロア―、磁器タイル、コルクタイル、そして畳など、床暖房対応の仕上げ材の中から自由に選択できます。

2.LIXIL(株式会社リクシルグループ)

LIXILは建材や設備機器の製造、販売、ホームセンターや住宅のフランチャイズ展開のほか、住生活に関連する事業を幅広く展開する住宅設備機器メーカーです。

電気式床暖房システム「HOTひといき」は、PTC特製によって、日差しの当たっている部分や人、ものが触れている部分の高温化を防ぎます。低温やけどが起きにくく、むだなエネルギーをおさえる省エネ性の高さが特徴です。

電気代はガス温水式とほとんど変わらず、電熱線式と違ってパネル全体が発熱するため、床の温度にムラがありません。床材はLIXIL指定、床暖房対応の木質フローリング数種類の中から選択できます。

3.DAIKIN(ダイキン工業株式会社)

海外での売上高が全体の77%を閉めるDAIKINは、空調、化学、フィルタの3事業を柱として、油機や特機、電機システムといって事業を展開するグローバルメーカーです。

ヒートポンプ式温水床暖房「ホッとエコフロア」は、床暖房一体型の専用床材です。ヒートポンプ式なので光熱費はガス式温水床暖房の約半分。二酸化炭素の排出量も約半分です。運転開始はフルパワーで一気に暖め、設定温度に到達したら温水の流量を抑えて消費電力をカット。屋外や室内の温度にあわせて自動的に温水温度を調整することで、快適な床温度を維持します。

4.Rinnai(リンナイ株式会社)

Rinnaiは給湯機器をはじめ、厨房機器、空調、業務用機器などエネルギー機器を中心としたさまざまな設備機器の製造・販売を行う国内メーカーです。

本格リフォーム用のガス温水式床暖房「床ほっとE」は、独自開発の「熱源機」「断熱配管」「REM温水マット」により省エネを実現。ガス温水式ならではのホットダッシュ機能(定常時より高い温水を流す)で立ち上がり時間を45分に。効率よくお部屋を暖めてくれます。
簡易リフォーム用のガス温水式床暖房「床ほっと6」は、天然木複合フローリングと温水マットの組み合わせで、天然木の質感と床暖房のぬくもりを手軽に味わえます。既存床の上から6ミリの温水パネルと6ミリの床材を重ねて施工するので、床高が既存床より12ミリ上がります。

5.DAIKEN(大建工業株式会社)

DAIKENの主要事業は素材事業、建材事業、エンジニアリング事業の3つ。住宅から商業施設までさまざまな場面に活用できる資材や住宅製品の製造販売、内装工事を行っています。

電気式床暖房「あたたか12シリーズ」は、床材と一体式なので、リフォームの際も手軽に床暖房を施工できます。「サーモスタット」「温度ヒューズ」「アース」の3つの安全機能で低温やけどや感電を防止。両面半入りヒーターパネルの使用により、家具のレイアウトの幅が広がります。
温水式床暖房「はるびよりシリーズ」は、床材と一体型で施工もメンテナンスも簡単。リフォームにもおすすめです。熱効率のよさと立ち上がりの早さが特徴で、ガス、ヒートポンプ、灯油などさまざまな熱源に対応しています。

床暖房導入の費用対効果について

賃貸物件に床暖房を導入する場合は、費用対効果を考えて選択することが大切です。電気代が安ければ入居者の負担は小さいかもしれませんが、初期費用が大きいと床暖房を設置した戸数の分だけ、大家さんの負担は大きくなります。

負担分を家賃に上乗せしたとしても、家賃があまりに高くなりすぎては空室対策としての意味がありません。空室対策として床暖房を導入するのであれば、できるだけ初期費用をかけずに家賃アップも最小限にとどめる計画を立てて進めていく方がよいでしょう。

まとめ

床暖房の種類や導入するメリット・デメリット、リフォームにかかる費用や施工方法についてご紹介しました。もし、ご自身の賃貸物件が床暖房に適している、空室対策として有効だと思われたのであれば、導入をご検討されるのもいいのではないでしょうか。床暖房は種類も施工方法もさまざまですから、内容を把握し、費用対効果を考えた上での導入をおすすめします。

この記事の監修者

いしわた さとみ
いしわた さとみ

宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー

建築設計事務所、不動産会社、建設会社等での勤務を経て、現在は不動産・住宅・建設ライター、住宅営業、建設CADオペレーターとして活動。

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