目次
床暖房、どれくらい需要があるかご存じですか?
すっかりポピュラーになった床暖房ですが、初期費用やランニングコストの問題もあり、いまだに導入している賃貸は多くはありません。それでも、床暖房には何かとメリットも多く、不動産情報サイトや大手不動産会社の物件検索では「床暖房」のチェック項目があるなど、一定の需要はあると考えられます。
賃貸経営の空室対策で大切なこと
空室対策として設備投資を行う場合は、「人気がありそうだから入れる」のではなく、周辺の競合物件で実際に採用されているか、導入によって募集条件をどこまで強められるかを確認しておくことが大切です。
設備投資は、家賃アップだけでなく、問い合わせ増や成約率改善につながるかまで含めて判断する必要があります。床暖房のように導入・維持コストの高い設備は、周辺相場や競合物件の設備水準とずれていると、十分に回収できない可能性があります。
設備投資は、家賃アップだけでなく、問い合わせ増や成約率改善につながるかまで含めて判断する必要があります。床暖房のように導入・維持コストの高い設備は、周辺相場や競合物件の設備水準とずれていると、十分に回収できない可能性があります。
床暖房の仕組みについて
床暖房は、床下にある熱源で床を温めるタイプの暖房器具です。電気カーペットのように足元だけを温めるのではなく、床へ伝わった熱を放射して部屋全体を暖めてくれます。床暖房は新築だけでなくリフォームによって後付けすることもできますし、一戸建てに限らず賃貸物件の住戸にも設置が可能です。設置方法やコストについては、後述いたします。
まずは床暖房の種類を知ろう
床暖房には、温水式と電気式の2種類があります。それぞれの特徴や仕組みについて見ていきましょう。
温水式
温水式床暖房は「温水循環式床暖房」ともよばれ、ガスを熱源とするものと電気を熱源にするものの2つのタイプがあります。ガス温水式床暖房は、ガス給湯器で沸かした温水をパイプに循環させ、床を温めます。温度が42℃以上にならないため、小さな子どもや高齢者のいるご家庭でも低温やけどの心配が少ないのがメリットです。
一方、電気温水式床暖房はヒートポンプで効率よくお湯を温めるため電気代をおさえることができますが、導入の初期費用はやや高め。ガス温水式に比べると、立ち上がりにも時間がかかります。このほか灯油を使用した温水床暖房もありますが、ランニングコストは安いものの、給油の手間を要します。
一方、電気温水式床暖房はヒートポンプで効率よくお湯を温めるため電気代をおさえることができますが、導入の初期費用はやや高め。ガス温水式に比べると、立ち上がりにも時間がかかります。このほか灯油を使用した温水床暖房もありますが、ランニングコストは安いものの、給油の手間を要します。
電気式
電気式床暖房は「電気ヒーター式床暖房」ともよばれ、床下の発熱体に電気を通して床を温めます。温水式のような熱源機がなく、パネルを設置するだけなので、初期費用が安く施工も簡単です。
ただし、ランニングコストが高いため、長時間の使用や広範囲への設置には不向きだといえます。最近では、日射などにより床の高温化した部分をセンサーが感知し、その部分だけ発熱を抑えてくれるPTCヒーター式の電気式床暖房もあります。
ただし、ランニングコストが高いため、長時間の使用や広範囲への設置には不向きだといえます。最近では、日射などにより床の高温化した部分をセンサーが感知し、その部分だけ発熱を抑えてくれるPTCヒーター式の電気式床暖房もあります。
床暖房導入のリフォーム工事の方法とコスト
先ほどもお伝えしたように、床暖房はリフォームでの後付けも可能です。鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造や種類、階数を問わず設置できます。
ただし、熱源機の設置スペースがないマンションでは温水式床暖房は設置できません。また、熱源機から温水を取り込むためには外壁に管を通すための穴を開けなければなりません。鉄筋コンクリート造のマンションではコンクリート壁に穴を開けることが難しいため、温水式ではなく電気式床暖房を導入することになるでしょう。
ただし、熱源機の設置スペースがないマンションでは温水式床暖房は設置できません。また、熱源機から温水を取り込むためには外壁に管を通すための穴を開けなければなりません。鉄筋コンクリート造のマンションではコンクリート壁に穴を開けることが難しいため、温水式ではなく電気式床暖房を導入することになるでしょう。
直張りの場合
直張りによるリフォームは、既存の床の上に重ねて床暖房を施工します。床材をはがす手間がかからないためコストが安く、工期は1~2日程度。既存床の分だけ床高が上がってしまうため、廊下と室内で床に段差ができたり、床が建具と干渉してしまったりすることがありますので、段差を解消する措置が必要です。
直張りによるリフォームは、既存の床の上に重ねて床暖房を施工する方法です。床材をはがす手間が少ないため、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。費用の目安は、電気式で1畳あたり約5万〜7万円程度、温水式では1畳あたり約7万〜9万円程度。ただし、温水式は別途熱源機の設置費用がかかる場合があり、総額はさらに上がることがあります。
直張りによるリフォームは、既存の床の上に重ねて床暖房を施工する方法です。床材をはがす手間が少ないため、比較的コストを抑えやすいのが特徴です。費用の目安は、電気式で1畳あたり約5万〜7万円程度、温水式では1畳あたり約7万〜9万円程度。ただし、温水式は別途熱源機の設置費用がかかる場合があり、総額はさらに上がることがあります。
床全面張替えの場合
全面張替えは、いったん既存の床をすべてはがし、下地を調整してから床暖房を施工する方法です。床をはがす手間がかかるためコストはやや割高になります。また、工期も4~5日程度と少し長めです。
全面張替えは、既存の床をいったん撤去して下地を調整してから床暖房を施工する方法です。仕上がりを整えやすい反面、工事規模が大きくなるため費用は高めです。目安としては、電気式で1畳あたり約8万〜10万円程度、温水式では1畳あたり約10万〜11万円程度を見込んでおくとよいでしょう。下地補修や熱源機の追加工事が必要な場合は、さらに費用が上振れします。
全面張替えは、既存の床をいったん撤去して下地を調整してから床暖房を施工する方法です。仕上がりを整えやすい反面、工事規模が大きくなるため費用は高めです。目安としては、電気式で1畳あたり約8万〜10万円程度、温水式では1畳あたり約10万〜11万円程度を見込んでおくとよいでしょう。下地補修や熱源機の追加工事が必要な場合は、さらに費用が上振れします。
床暖房のメリットとデメリット
床暖房のメリット、デメリットを順にご説明します。
メリット
室内を均一に暖める
エアコンやファンヒーターの場合、吹き出し口から出た暖気は気流によって上昇します。そのため、足元だけがやけに冷えるという事象が起こりがちですが、床暖房なら遠赤外線の輻射熱で部屋全体をまんべんなく、一定の温度で暖めてくれます。
空気を汚さない
床暖房は石油ストーブやファンヒーターのように燃焼しないため、二酸化炭素を排出することがなく空気が汚れません。また、大きな気流が発生しないのでハウスダストを巻き上げることもなく、人にも環境にも優しいのが特徴です。
安全性が高い
火を使わず、高温になることもなく、輻射熱で室内を温める床暖房なら、小さな子どもや高齢者のいるご家庭でも安心です。コードもないので、つまずいたり引っかけたりする心配もありません。
デメリット
初期費用が高い
床暖房最大のデメリットは初期費用の高さです。部屋の広さによっては、工事費が100万円近くなってしまうこともありますから、部分的に床暖房を施工するなど、初期費用をおさえる工夫も必要です。
暖めに時間がかかる
電源を入れるとすぐに暖気が発生するストーブやエアコンに比べて、輻射熱で室内を暖めるにはとても時間がかかります。暖かさを感じるまでに1時間は要するため、ほかの暖房器具を併用する人もすくなくありません。
修理やメンテナンスが大変
リモコンや熱源機の故障であれば大きな問題はありませんが、パネルが故障した場合はいったん床をはがして修理をしなければならないため、多大な費用と手間を要します。また、温水式床暖房の品質維持には、不凍液(循環液)の補充や交換といった定期的なメンテナンスが必要です。
床暖房導入が有効なターゲット層とは
床暖房が有効かどうかは、物件の価格帯とターゲット層によって大きく変わります。たとえば、都心部のファミリー向けやハイグレード物件では、快適性や安全性の面で訴求しやすい設備ですが、賃料を抑えた単身向け物件では、導入コストに対して十分な反響が得られないこともあります。
また、近年は電気・ガス料金の上昇が入居者の家計を圧迫しやすく、暖房設備の使い方によっては「便利そうだが光熱費が気になる」と受け止められる可能性もあります。床暖房を検討する際は、周辺の競合物件に同等設備があるか、同エリアの入居者が何を重視しているかを調べたうえで、導入の必要性を判断することが大切です。
また、近年は電気・ガス料金の上昇が入居者の家計を圧迫しやすく、暖房設備の使い方によっては「便利そうだが光熱費が気になる」と受け止められる可能性もあります。床暖房を検討する際は、周辺の競合物件に同等設備があるか、同エリアの入居者が何を重視しているかを調べたうえで、導入の必要性を判断することが大切です。
おすすめ床暖房のメーカーと種類をご紹介
床暖房にはどのようなメーカーや種類があるのでしょうか。ここでは賃貸物件におすすめの床暖房をご紹介します。
1.Panasonic(パナソニック株式会社)
Panasonicは家電をはじめ、住宅やカーナビなどの車載機器事業を展開する電機メーカーです。住宅分野では注文住宅や分譲住宅、リフォームのほか、住宅設備や建材など幅広い商材を扱っています。
電気床暖房「フリーほっと」は、立ち上がりが早く、発熱量を自動調整するPTCヒーターを採用しています。ランニングコストは従来品の約3%ダウン。むだなエネルギーを使いません。
鉄筋コンクリート造マンションのコンクリート床直張りや二重床にも施工可能です。床材はフローリング、カーペット、クッションフロア―、磁器タイル、コルクタイル、そして畳など、床暖房対応の仕上げ材の中から自由に選択できます。
電気床暖房「フリーほっと」は、立ち上がりが早く、発熱量を自動調整するPTCヒーターを採用しています。ランニングコストは従来品の約3%ダウン。むだなエネルギーを使いません。
鉄筋コンクリート造マンションのコンクリート床直張りや二重床にも施工可能です。床材はフローリング、カーペット、クッションフロア―、磁器タイル、コルクタイル、そして畳など、床暖房対応の仕上げ材の中から自由に選択できます。
2.DAIKIN(ダイキン工業株式会社)
海外での売上高が全体の77%を閉めるDAIKINは、空調、化学、フィルタの3事業を柱として、油機や特機、電機システムといって事業を展開するグローバルメーカーです。
ヒートポンプ式温水床暖房「ホッとエコフロア」は、床暖房一体型の専用床材です。ヒートポンプ式なので光熱費はガス式温水床暖房の約半分。二酸化炭素の排出量も約半分です。運転開始はフルパワーで一気に暖め、設定温度に到達したら温水の流量を抑えて消費電力をカット。屋外や室内の温度にあわせて自動的に温水温度を調整することで、快適な床温度を維持します。
ヒートポンプ式温水床暖房「ホッとエコフロア」は、床暖房一体型の専用床材です。ヒートポンプ式なので光熱費はガス式温水床暖房の約半分。二酸化炭素の排出量も約半分です。運転開始はフルパワーで一気に暖め、設定温度に到達したら温水の流量を抑えて消費電力をカット。屋外や室内の温度にあわせて自動的に温水温度を調整することで、快適な床温度を維持します。
3.Rinnai(リンナイ株式会社)
Rinnaiは給湯機器をはじめ、厨房機器、空調、業務用機器などエネルギー機器を中心としたさまざまな設備機器の製造・販売を行う国内メーカーです。
本格リフォーム用のガス温水式床暖房「床ほっとE」は、独自開発の「熱源機」「断熱配管」「REM温水マット」により省エネを実現。ガス温水式ならではのホットダッシュ機能(定常時より高い温水を流す)で立ち上がり時間を45分に。効率よくお部屋を暖めてくれます。
本格リフォーム用のガス温水式床暖房「床ほっとE」は、独自開発の「熱源機」「断熱配管」「REM温水マット」により省エネを実現。ガス温水式ならではのホットダッシュ機能(定常時より高い温水を流す)で立ち上がり時間を45分に。効率よくお部屋を暖めてくれます。
簡易リフォーム用のガス温水式床暖房「床ほっと6」は、天然木複合フローリングと温水マットの組み合わせで、天然木の質感と床暖房のぬくもりを手軽に味わえます。既存床の上から6ミリの温水パネルと6ミリの床材を重ねて施工するので、床高が既存床より12ミリ上がります。
4.DAIKEN(大建工業株式会社)
DAIKENの主要事業は素材事業、建材事業、エンジニアリング事業の3つ。住宅から商業施設までさまざまな場面に活用できる資材や住宅製品の製造販売、内装工事を行っています。
温水式床暖房「はるびよりシリーズ」は、床材と一体型で施工もメンテナンスも簡単。リフォームにもおすすめです。熱効率のよさと立ち上がりの早さが特徴で、ガス、ヒートポンプ、灯油などさまざまな熱源に対応しています。
温水式床暖房「はるびよりシリーズ」は、床材と一体型で施工もメンテナンスも簡単。リフォームにもおすすめです。熱効率のよさと立ち上がりの早さが特徴で、ガス、ヒートポンプ、灯油などさまざまな熱源に対応しています。
床暖房導入の費用対効果について
賃貸物件に床暖房を導入する場合は、費用対効果を考えて選択することが大切です。電気代が安ければ入居者の負担は小さいかもしれませんが、初期費用が大きいと床暖房を設置した戸数の分だけ、大家さんの負担は大きくなります。
負担分を家賃に上乗せしたとしても、家賃があまりに高くなりすぎては空室対策としての意味がありません。空室対策として床暖房を導入するのであれば、できるだけ初期費用をかけずに家賃アップも最小限にとどめる計画を立てて進めていく方がよいでしょう。
負担分を家賃に上乗せしたとしても、家賃があまりに高くなりすぎては空室対策としての意味がありません。空室対策として床暖房を導入するのであれば、できるだけ初期費用をかけずに家賃アップも最小限にとどめる計画を立てて進めていく方がよいでしょう。
まとめ
床暖房は、足元から部屋全体を暖められる快適性の高い設備ですが、賃貸経営ではコストパフォーマンスの見極めが欠かせません。 とくに後付け工事は高額になりやすく、さらに近年は電気・ガス料金の上昇によって、入居者にとっての光熱費負担も無視しにくくなっています。導入を検討する際は、設備の魅力だけで判断せず、周辺の競合物件の設備水準、ターゲット層のニーズ、募集条件への反映可能性まで確認したうえで、費用対効果を見極めることが大切です。
この記事の監修者
いしわた さとみ
宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー
建築設計事務所、不動産会社、建設会社等での勤務を経て、現在は不動産・住宅・建設ライター、住宅営業、建設CADオペレーターとして活動。