賃貸物件にIoTを導入するならまずどれから?大家さん視点で考えるIoT機器や設備をご紹介

監修花 惠理

  • 公開日:
  • 2020年07月31日
  • 更新日:
  • 2020年07月31日
賃貸物件にIoTを導入するならまずどれから?大家さん視点で考えるIoT機器や設備をご紹介
賃貸経営をしている大家さんにとって、トレンドや空室対策の方法など、常に新しい情報を入れておきたいものですよね。今回ご紹介したいのは、話題のIoTについて。賃貸物件のIoTに興味をお持ちの方や、種類や相場が知りたいという大家さんに向けて、その詳細をまとめました。所有物件に導入したいIoT機器や設備を探す参考にしてみてください。

目次

賃貸物件の気になるIoT機器・設備

近年、インターネットが普及し、さまざまなモノがインターネットを経由して通信できるようになりました。インターネットを利用したIoT機器・設備が登場し、さまざまな分野で使用され始めています。

IoT物件・IoT賃貸住宅とは

IoTとはInternet of Thingsの略語で、モノ同士がインターネットを経由してつながり動作する「モノのインターネット」のことをいいます。

最近では、賃貸住宅にIoT機器・設備が設置されている「IoT物件」「IoT賃貸住宅」が登場し、スマートフォンなどの機器を用いて鍵の開け閉めができる「スマートロック」や、IoT家電を操作できる「AIスピーカー」などが設置されている物件があります。

IoT普及の現状

現在はまだ、IoTに特化した賃貸住宅はそれほど多くありません。賃貸住宅を検索できる大手不動産ポータルサイトにおいても、物件検索で絞込のできる「こだわり条件」の中に「IoT」に関する項目自体がないサイトもあります。不動産(とくにに賃貸物件)の分野におけるIoTは、まだ普及し始めたばかりだと言えるでしょう。

<例>東急不動産ホールディングスグループ

東急不動産ホールディングスグループでは、東京都内の賃貸マンションでIoT設備・サービスを導入することを発表しました。「進化する住まい」をテーマに本格的なIoTマンションを目指し、以下のIoT機器・設備を導入するというものです。

・顔認証システムによるオートロック開錠
・クラウド型トランクルーム
・スマートスピーカー、スマート家電リモコン
・水なし自動調理鍋

このように、不動産会社の中にはセキュリティ性や利便性を向上させるIoT機器や設備を実際に導入している所があります。東急不動産ホールディングスグループの取り組みについては、こちらをご覧ください。

IoT導入によるメリットや課題解決を知ろう

IoT機器・設備を賃貸住宅に導入することで、大家さんはどのようなメリットや課題解決が図れるのでしょうか。

IoT設備・機器を導入するメリットの1つとして、他物件との差別化となり、空室解消という課題解決につながる可能性があるという点が挙げられます。しかし現状では、IoTに特化した賃貸住宅はそれほど多くありません。

IoT賃貸住宅にすることで、セキュリティ性や利便性が向上された物件に魅力を感じる人や、新しい設備・機器を利用したい人のニーズを叶えることになり、新たな層の客付けにつながる可能性が生まれます。

賃貸住宅のIoT機器・設備の種類

賃貸住宅に設置されるIoT機器・設備の種類を大きく分けると「セキュリティ性を向上させるモノ」と「利便性を向上させるモノ」の2種類があります。

セキュリティ性を向上させるモノ

セキュリティ性を向上させるIoT機器・設備の例としては、窓用・ドア用のマルチセンサーを設置し、留守中に窓やドアが開くとスマートフォンに通知するサービスなどがあります。

とくに一人暮らしの場合、外出中の防犯面が気になるという人は多いと思います。セキュリティ性を向上させるIoT機器や設備は、物件の防犯性に配慮する入居者に嬉しい設備となるでしょう。

利便性を向上させるモノ

たとえば、質問を投げかけると答えてくれたり、家電を音声操作できたりするAIスピーカーや、留守中も室内のペットの様子を観察できるネットワークカメラなど、IoT機器・設備には利便性を向上させるものがあります。

後の項目で具体的な製品をいくつかご紹介していますので、興味のある大家さんはぜひ参考にしてみてください。

意外と賃貸に導入しやすいIoT

IoTは最新の機器や設備なので、導入にかかる費用が高額でハードルが高いのでは?と考える大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、IoT機器・設備の中には、設置が簡単で金額もリーズナブルな比較的導入しやすい種類も存在しています。ここでは、賃貸住宅へのIoT導入について解説していきましょう。

リフォームは必要?不要?

IoTの導入にリフォームが必要かどうかというのは、導入したい機器・設備の種類によります。たとえば、スマートフォンなどを用いて鍵の開閉を行うことができる「スマートロック」の中には、現状ドアに設置されている鍵を取り外してから機器を設置するといった工事が必要な種類と、機器をドアに貼り付けるだけでよい工事が不要な種類とがあります。

同じ内容の設備であっても、種類によって工事の有無が異なります。導入の際にはIoT機器・設備の本体価格だけでなく、導入方法についても検討する必要があるのです。

導入する目的を決めておこう

賃貸物件にIoTを導入する大きな目的は、空室対策であることが多いのではないでしょうか。空室対策をするのであれば、IoTに限らず費用対効果を考えなければなりません。IoTを導入することでどのような効果を得たいのか、どのような入居者層をターゲットにしているのかなどの分析を行ってみましょう。また、導入で迷ったり悩んだりしている大家さんは、管理会社などに相談するとアドバイスをもらえるかもしれません。

導入しやすいIoT機器・設備

ここでは、比較的導入しやすいIoT機器・設備を3つご紹介します。IoTの導入を検討している大家さんは、ぜひ参考にしてみてください。

Qrio Lock(スマートロック)

Qrio Lockはスマートフォンで鍵を操作できるスマートロックの1つです。Qrio Lockは商品に付属されている両面テープを貼り付けるだけで導入が可能です。剥がれにくく後残りしにくい性質のテープなので、大家さんご自身で賃貸住宅に設置することもできるでしょう。さまざまなドアのタイプに対応しています。

Qrio Lockの本体や専用のリモコンキーは、公式サイトから購入することが可能です。本体とリモコンキー1つで約3万円程度ですので、工事不要という点と合わせても導入しやすい製品と言えるでしょう。

ワイヤレスモニター付きテレビドアホン

パナソニックが展開している「ワイヤレスモニター付きテレビドアホン」は、外出中でも来訪者の対応ができるという画期的な製品です。子どもが帰宅した時に会話をしたり、宅配便の再配達を依頼したりするなどの利用方法があり、利便性の高い設備であると言えるでしょう。

導入するにあたり、カメラ玄関子機とモニター親機、モニター親機と増設モニターの配線が必要になります。現在の配線方式や状態によっては、そのまま使用することが可能です。製品や製品の導入に関する詳細は、パナソニックの相談窓口に問い合わせてみましょう。

セーフィー(クラウド録画カメラ)

クラウド録画カメラとは、インターネットを通じてパソコンやスマートフォンなどから映像を見ることができるカメラのことを言います。クラウド録画カメラの1つである「セーフィー」は、必要な機器がカメラのみという導入のしやすさが魅力の製品です。レコーダーが不要のため、レコーダー用のスペースを確保したり、レコーダーの盗難対策を行ったりする必要がありません。

セーフィーの導入にあたり、必要な初期費用はカメラ本体のみです。カメラの種類により価格は異なりますが、安いものであれば約2万円~手に入ります。くわえて、料金プランに応じた月額費用がかかります。動画保存期間の長短に応じて変動しますので、賃貸経営における費用対効果を考えてプランを選択するようにしましょう。

あったら嬉しいIoT機器・設備

上記でご紹介した製品のほかにも、IoT機器・設備の種類はたくさんあります。ここでは、入居希望者にとって「あったら嬉しい」と思われるIoT機器・設備についてご紹介していきます。

かんたんマドリモ シャッター

リモコンシャッターを壁の上から取り付けることができる「かんたんマドリモ シャッター」。壁の上から取り付けますので、窓の横に雨戸がある場合でも取り付けることが可能です。種類によっては、機器と連携してスマートフォンから操作することができるようになっています。

かんたんマドリモ シャッターの場合、壁の工事は不要です。また、3時間程度で設置が完了しますので、導入の手軽さは魅力の1つといえるでしょう。あるリフォーム会社では設置費用込みで約15万~20万円程度と公表しています。設置費用やオプションなど、窓の大きさや形状、取り付ける会社によって費用が異なる可能性がありますので、事前に見積もりを取ってから依頼することをおすすめします。

Multifunctional Light(マルチファンクション ライト)

Multifunctional Light(マルチファンクション ライト)は、スマートフォンやBluetooth、AIスピーカーと連携させて、テレビ音声や音楽を天井から流すことを可能にした製品です。照明の色や明るさを操作することも可能で、専用アプリを利用すれば、温度・湿度・照度センサーによって部屋の状況をデータで確認することができます。

本体価格は約3万円。本体の設置方法については、従来の照明と変わりません。ただし、スマートフォンやBluetooth、AIスピーカーとの連携を行うことで魅力を発揮できる機器のため、細かな設定が必要になりそうです。

スマートHEMS

HEMSとは「Home Energy Management System」の略語で、エネルギーの管理システムのことをいいます。家電や電気機器と連携させて、電気・ガスなどの使用量をデータ化することや、連携させた機器を自動制御して、エネルギーの節約をすることも可能です。

パナソニックの公式サイトでは、一戸建てでの概算導入費用が公開されています。新築の場合、モニターなしで約15万円、モニターありで約19万円。集合住宅での導入の場合は、規模や分電盤の状況によって費用が異なる可能性がありますので、別途見積もり依頼をしてみましょう。

目的と費用対効果を考えて導入の検討をしよう

IoTの導入に限りはませんが、空室対策として考えるのであれば「目的」と「費用対効果」を考える必要があります。賃貸経営は事業の1つですので、所有している物件のターゲット層や近隣ライバル物件の分析、キャッシュフローなども踏まえ、総合的に考えることが大切です。

これからのIoTの動きも把握していこう

IoTは世の中をますます便利にしていく仕組みです。不動産の分野だけではなく、業界を問わずさまざまな分野で進んでいます。今後もIoT機器や設備がどんどん進化し、新しいサービスが生み出されていくでしょう。大家さんも新たな情報をチェックし、今後のIoTの動きを把握しておくと、空室対策に役立てられるきっかけにつながるかもしれません。

まとめ

IoT物件・IoT賃貸住宅は、一般的にはそこまで普及しているわけではないのが現状です。逆に言えば、IoT物件にすることで、ほかのライバル物件との差別化を図るチャンスともいえます。空室対策としてIoTを導入する場合には、導入する目的を明確にして、賃貸経営をするうえでの費用対効果を考えてみましょう。
花 惠理

監修花 惠理

【資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ファイナンシャルプランナー2級

大学卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務し、不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの業務に携わる。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。

初心者にもわかりやすい言葉で解説しています。また、将来に備えて夫婦で不動産投資や株式投資を行っています。

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