最新のオートロック事情!賃貸物件の防犯対策に繋がるオートロックについてご紹介します

2024.07.10更新

この記事の監修者

花 惠理
花 惠理

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士

最新のオートロック事情!賃貸物件の防犯対策に繋がるオートロックについてご紹介します

物件選びで重要視されることの多い設備の1つ、オートロック。オートロックの種類や、設置工事の期間・費用などを解説します。

目次

賃貸物件に求められる防犯対策

昨今では物騒な事件がニュースなどで報じられていることから、入居者の防犯に対する意識が高まっているように感じられます。賃貸物件で防犯対策に役立つ設備にはさまざまな種類がありますが、その中でも代表的な設備の1つが「エントランスのオートロック」。

賃貸物件の検索サイトの中には、オートロックの有無によって絞り込みができるところも多く、実際、オートロックのある物件のみを検討している人も少なくないようです。

オートロックの役割

そもそもオートロックとは、どのようなものを指すのでしょうか。ここでは、オートロックの仕組みや役割について解説していきます。

国土交通省による定義

国土交通省住宅局で公表されている「平成25年住生活総合調査結果」の用語解説では、オートロックについて次のように記述されています。

「オートロック式とは、建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要があるもの」


つまり、賃貸物件のエントランスにおいて自動で鍵がかかるようになっていて、基本的には居住者でないと解錠ができない仕組みの設備が「オートロック」と呼ばれるのです。

オートロックが設置されることによる安全性

オートロックは、上記の定義でもあるように鍵や暗証番号などを用いたり、居住者などが内側から鍵を解錠したりしなければ解錠することはできません。つまり、エントランスにオートロックを設置することで、不審者などを賃貸物件のエントランスでシャットアウトするという役割を果たしているのです。

また、入居者で訪問営業や勧誘などの応対を苦痛に感じる方に向けても、オートロック付きの賃貸物件であれば、自宅から出ることなく訪問者の応対をすることが可能です。

オートロックが導入されることにより、入居者は「エントランスで不審者などをシャットアウトできる」という物理的な安心感と「玄関のロックとエントランスのオートロックという二重のロックがある」という精神的な安心感を持つことができるのです。

オートロックの種類

賃貸物件に導入されているオートロックには、さまざまな種類のものがあります。オートロックを導入する際は、それぞれの特徴を踏まえた上で検討すると良いでしょう。ここでは、オートロックの代表的な種類についてご紹介します。

1.集合キー式

エントランスに設置されているオートロックを鍵によって解錠するタイプのものが「集合キー式」。部屋の鍵と同じタイプのものや、部屋の鍵とは別にオートロック用の鍵が準備されるものがあります。

1本の鍵でエントランスの扉を解錠できるというメリットがある一方で、鍵が複製されたり、ピッキングされたりした場合にはオートロックを突破されてしまうというデメリットがあります。

2.暗証番号式

暗証番号式とは、0~9までの数字を入力して解錠するタイプのオートロックです。暗証番号はあらかじめ決められているものと、入居者が自由に設定できるものがあります。

暗証番号式のメリットとしては、鍵やカードではないので紛失の恐れがないということ、複製のリスクがないことなどが挙げられます。

逆に言えば、暗証番号を他人に知られてしまうとオートロックを突破されるというリスクがあります。また、暗証番号を忘れてしまったり、複数回間違えたりしてしまうと解錠できなくなる恐れがあることは、デメリットの1つです。

3.カードキー式

オートロックをカードキーによって解錠する種類を「カードキー式」といいます。カードキー式の解除方法には2種類あり、1つはカードキーの磁気部分を読み込ませる「磁気カード式」、もう1つはSuicaなどに代表される「非接触IC型」のカードキーです。

カードキーという性質上、他のカードと一緒に財布などに入れて持ち運びができるというメリットがあります。また、カードキーであれ*ば複製しにくいという点もメリットの1つです。

一方で、磁気カード式の場合は磁気が弱くなると解錠しにくくなったり、カードキーの紛失などで再発行する場合に手続きや費用が発生する可能性があったりするなどのデメリット*があります。

4.指紋認証式

指紋認証式とは、名前の通り「指紋を認証することにより解錠される仕組みのオートロック」のこと。指紋での認証ですから、強固なセキュリティを誇ることが特徴です。

複製は極めて困難であり、紛失リスクや暗証番号の入力ミスなどのデメリットがありません。しかしながら導入には高額な費用がかかるため、導入されているのは高級マンションであることが多く、一般的な賃貸物件にはあまり普及していません。

スマートロック

スマートロックとは、スマートフォンアプリなどを利用して外部から開け閉めができる鍵のこと。IT制御の技術によって通信や認証が行われ、鍵が解錠されるという仕組みです。鍵がなくても扉の開閉ができるという特徴の他、スマートフォンなどで鍵の状況がわかったり、あらかじめ設定された時間に自動で鍵が開閉されたりする種類のものがあります。

IoT賃貸住宅とは

最近では、IoT賃貸住宅と呼ばれる物件が登場しています。IoT賃貸住宅とは、インターネットを通じて家電などを操作できる物件のことで、先ほどご紹介したスマートロックは、このIoT賃貸住宅にある設備のうちの1つです。外出先などから住居の設備を操作できたり、スマートスピーカーを設置することで声のみで設備をコントロールできたりします。暮らしが便利になり、セキュリティ面も向上しますので、今後はIoT賃貸住宅が不動産賃貸の新しいトレンドとなっていく可能性があります。

オートロック設置工事にかかる費用と期間

賃貸物件にオートロックを導入する場合、施工業者によって工事費用に幅がありますが、*1戸あたり15万円が1つの目安でしょう。

したがって、10戸のマンションであれば150万円という計算になります。*オートロックの種類によっても価格が異なり、セキュリティの高いカードキー式や指紋認証式よりは、暗証番号式の方が安価で導入できるケースがあります。

例えばカードキー式の場合、オートロック解錠のための「タグ」の費用が部屋ごとに加算されることがあるからです。暗証番号式の場合は番号の設定だけで済みますので、タグのようなコストがかかりません。

また、電話回線を利用したオートロックでは各戸の工事が必要ないため、工事費用が比較的安価、工事期間が1~3日という業者も存在します。

施工業者選びは慎重に

施工業者やオートロックの種類、物件の状況によって、工事費用や工事期間が異なります。オートロック導入の検討をされている大家さんは、複数の施工業者に見積もり依頼をして信頼できて、相談しやすい業者を選ぶことをおすすめします。

おすすめオートロックの商品をご紹介

オートロックの種類には様々なものがあることを解説しました。ここでは、その中でもおすすめしたいオートロックの商品を具体的にご紹介します。

1.FKL

レバーハンドル電池錠の「FKL」は、FeliCaの機能が採用されたカードをリーダー部にかざし、レバーハンドルを下げることによって解錠されるという仕組み。

万が一カードを紛失しても、すぐにカードの再発行ができるという特徴があります。したがって、空室時には案内用のカードを発行、退去時にはクリーニング業者用のカードを発行といった利用方法が可能となるのです。

鍵の管理や鍵交換という手間が省けますので、賃貸管理のコスト削減に繋がるでしょう。
メーカー美和ロック株式会社
商品名(型番)レバーハンドル電池錠「FKL」
施錠FeliCaカード

2.アルテスⅡ

株式会社ブレイブシステムズが提供する電話インターホンシステム「アルテスⅡ」。株式会社ブレイブシステムズはマンションなどの集合住宅のオートロックを手掛ける東京都を拠点とした会社です。

電話回線を利用した仕組みのため、各戸の工事が必要ありません。したがって、最短1日という短期工事が可能であり、比較的安価で導入できるという特徴があります。「アルテスⅡ」ではカードキーが採用されていますので、オートロックの解錠に鍵は不要です。また、停電などの緊急時には自動で解錠される仕組みとなっています。
メーカー株式会社ブレイブシステム
商品名(型番)電話インターホンシステム「アルテスⅡ」
施錠専用カード・おさいふケータイ

3.モビリモ

株式会社ブレイブシステムズでは上記の他、「モビリモ」という商品も提供しています。「モビリモ」では無線の遠隔機器を使用して居室からエントランスドアを解錠し、入居者はカードキーで解錠するという仕組みです。

「モビリモ」には新築物件向け・既存物件の向けの2種類があり、いずれもローコストで設置できることが特徴です。わずかな電気代のみで運用ができるため、維持費がほとんどかからないというメリットもあります。
メーカー株式会社ブレイブシステム
商品名(型番)無線リモコンで簡単オートロック「モビリモ」(既設物件の方)
施錠専用カード・おサイフケータイ

4.IM オートロック Descartes デカルト

「IMオートロックDescartesデカルト」では、既存のエントランスにワイヤレスを導入する方式が採用されています。既存の扉をそのまま使用できますので、コストを抑えられるという特徴があります。入居者はあらかじめ登録された携帯電話やSuica・免許証などのカード、物件専用のカードで解錠することが可能。

来訪者は入居者に電話などで連絡を取り、入居者はオートロック解錠用のリモコンを操作することで解錠されます。

したがって、入居者の連絡先を知らない人は入場することができない仕組みとなっているので、入居者と関係のない人が物件内に侵入しにくいというメリットがあります。
メーカーアイエム株式会社
商品名(型番)IM オートロック Descartes デカルト
施錠カードリーダー、電子錠 等

5.Qrio Lock

「QrioLock」は、スマートフォンがドアに近づくと自動で解錠し、ドアが閉まればオートロックになるという仕組みの商品です。スマートフォンがポケットやバッグに入っていても、ドアに近づけば自動で解錠されます。

大きな荷物を運んでいたり、子どもを抱きかかえていたりするときに便利な機能です。穴あけなどの工事が不要で簡単に取り付けられ、様々なドアロックに対応していることが特徴です。
メーカーQrio株式会社
商品名(型番)Qrio Lock
施錠スマートフォン

6.オートロックシステム

Robot Homeの「オートロックシステム」では、入居者のスマートフォンに来訪者の通知がされます。そのため、外出していても宅配業者の来訪を知ることができ、スマートフォンから対応することが可能です。その他、来訪者がインターホンを押すと自動で訪問履歴として保存されたり、外出先から解錠したりすることができるという特徴があります。
メーカー株式会社Robot Home
商品名(型番)オートロックシステム
施錠スマートフォン

オートロック導入にあわせて家賃アップも検討

オートロックの導入には費用がかかりますが、その分物件の価値が高まるといえます。一人暮らしの女性や、小さな子どもが居るファミリー世帯では、特にセキュリティを重視した部屋探しをしている方も多いので、導入費用を回収できるような家賃アップも検討することをおすすめします。

まとめ

防犯対策の代表的な設備の1つである「オートロック」。入居者の防犯意識の高まりから、賃貸物件探しの際にオートロックの有無に関心が高まっています。

オートロックを導入することにより、セキュリティの高さをアピールできるようになり、入居率の改善につながる可能性もあります。物件のセキュリティ性を上げたいと悩んでいる大家さんは、ぜひこの記事を参考にオートロックを検討してみてください。

この記事の監修者

花 惠理
花 惠理

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士

大学卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務し、不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの業務に携わる。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。初心者にもわかりやすい言葉で解説している。

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