賃貸経営における「IoT」とは。サービスの種類や役割など多角的にご紹介

監修花 惠理

  • 公開日:
  • 2020年03月25日
  • 更新日:
  • 2020年03月25日
賃貸経営における「IoT」とは。サービスの種類や役割など多角的にご紹介
IoTとは「Internet of Things」を省略した言葉で、テクノロジーを活用した設備を導入し、生活の利便性を上げていく仕組みのことです。近年、IoTを導入したマンションも増加してきています。この記事では、IoTマンションが気になる、少し検討したいから情報を知りたいと考えている大家さんに、IoTマンションの設備の内容、メリットやデメリットなどについてわかりやすくご紹介していきます。

目次

不動産業界でのIoT活用とは

私たちの日常生活において、インターネットは欠かせない存在となっています。IoTはインターネットを通じて物の状況を知らせたり、制御したりすることができます。そして不動産業界、賃貸経営に関わる部分でもIoTを活用している事例が出てきています。ここでは、不動産業界でのIoT活用について解説しましょう。

実用化がはじまったのは2010年頃

IoTの実用化がはじまったのはスマートフォンが普及し始めた2010年頃だといわれています。従来、インターネットはパソコンなどのコンピューター同士をつなぐネットワークでした。しかし、現在ではコンピューターやIT機器に限らず、スマートフォンで家電を操作できたり、ドアの開閉ができたりするほか、農業や製造業など幅広い分野で実用化されています。

現在のライフスタイルにあった取り入れ方

インターネットの普及により、私たちのライフスタイルが大きく変わってきており、不動産業界においても、入居者のニーズは時代とともに変化しています。

近年、他の物件と差別化するための空室対策や、物件のグレードを上げるためなどにIoTを活用する事例が生まれてきています。例えば、スマートスピーカーを導入して家電の操作を可能にした物件や、スマートフォンアプリと連携して他者の侵入があると通知する機能を利用できる物件など、今後もIoTを活用する賃貸物件が増えていく可能性は十分にあるのです。こうした背景には、インターネット社会となり、より利便性が追求されていることや、防犯意識の高まりなどから、入居者がセキュリティ性の強化を希望していることが挙げられます。

賃貸経営におけるIoTについて

賃貸経営においてIoTはどのように関わりがあるのでしょうか。ここでは、IoTの主な設備や活用方法についてご紹介します。

IoT設備の主な種類

賃貸経営に利用できる、IoT設備の主な種類について解説します。

IoT機器

賃貸経営に利用されているIoT機器には、スマートフォンなどの機器を利用して鍵の開閉や管理を行うシステム機器のスマートロックなどセキュリティに関するものがあります。そのほか、防犯カメラの一種であり、ライブ映像を直接送信するネットワークカメラなどが挙げられます。また、セキュリティに関するもの以外にも、スマートフォンと家電を連携させて遠隔操作を可能にしたIoT家電、スマートフォンで管理できる照明などが存在します。

IoT設備

上記のIoT機器以外にも、IoT設備として賃貸物件に取り入れられています。例えば、なりすましの受け取りを防ぐ宅配ボックスや、不在時でもスマートフォンから来訪者と応答できるTVモニター付きインターホンなどがあり、既存の設備よりも安全で便利な機能が搭載されてきているといえるでしょう。

IoTはどんな部分で有効活用される?

賃貸経営でのIoTは、主にどのような部分で活用されているのでしょうか。ここでは、具体的な例をご紹介します。

防犯・安全

防犯・安全面のIoT設備・機器のうちの1つが、上記で解説した「スマートロック」です。スマートロックの種類も多種多様で、中には、入退室の記録をつけたり、家族・友人などのスマートフォンから一時的に使用できるスペアキーを渡したりすることができるものがあります。なお、防犯・安全面のIoT設備・機器としてはこのほか、ネットワーク防犯カメラという防犯カメラの映像をスマートフォンで見られるものなどがあります。不在時でも、インターネットを通じて物件の様子がわかるシステムになっています。

空室対策・収益改善

空室対策や収益改善のためにIoT設備・機器を活用している事例があります。主に管理会社が活用しており、物件で解約が出ると大家さんに自動でメールを送信したり、AIが物件の状況などから改善提案をしたりするサービスを提供しています。IoTを活用することで、管理会社と大家さんの間で空室対策・収益改善の情報共有がしやすくなるという特徴があるのです。

課題解決

外出時に、ペットの様子や子どもの帰宅状況を把握できるIoT設備・機器もあります。室内にいるペットの様子をライブ映像で見ることができたり、子どもが帰宅すると保護者へ通知が届いたりする機能があります。そのほかにも、各種センサーなどを利用し、子どもの体温や呼吸、脈拍などのデータから体調の変化を読み取り、子どもに異変があったときに保護者へ通知するという子どもの見守りシステムも存在します。こういったように、各種の課題解決を目的としたIoT設備・機器があります。

資源節約

IoT設備・機器は、資源節約に活用することができます。例えばAIルームコントローラーのように、使用していない部屋の照明・空調の電源をオフにしたり、HEMSを利用して電気利用量の数値を記録して節電に努めたりするという利用方法が考えられます。また、IoTを活用すれば、外出時に使用していない部屋の照明やエアコンなどの電源を切ることも可能です。

大家さんがIoTを導入するメリット

IoTの中には、上記で解説したように、便利で安心な機能が搭載されているものが多くあります。ここでは、大家さんが実際にIoTを導入するメリットにはどのようなものがあるか解説しましょう。

住宅のグレードを上げる

まず、IoTを導入するメリットには、上記で解説したようにセキュリティ性が向上されたり、課題解決面での効果が期待できたりすることが挙げられます。物件にIoTを導入することにより防犯面の強化や利便性の向上が期待され、住宅のグレードを上げることにつながるでしょう。

空室を減らしてキャッシュフローを安定させる

現在はまだ、IoTを導入している物件はあまり多くありません。そのため、利便性・セキュリティ性の向上という面において他の物件との差別化となり、「より便利で快適な生活がしたい」「防犯対策をしている物件で暮らしたい」といった入居者のニーズに応えることで、結果的に空室対策につながる可能性があります。

賃貸経営において、家賃を支払う入居者の存在は必要不可欠です。IoTを導入することによって防犯意識が高い入居者層や、最新設備を利用して時間を効率的に利用したい入居者層へのアピールができるので、空室を減らしてキャッシュフローを安定させることが期待できるでしょう。

入居者が快適に暮らせる環境をつくる

他者の侵入を知らせ、防犯カメラをライブ映像で確認できたり、外出時でも子どもの帰宅を確認し、家電を操作できたりするなど、IoTには幅広い使われ方が想定されます。大家さんが物件にIoTを導入することで入居者がより快適に暮らせる環境を提供できますので、既存入居者の退去を防いだり、IoT設備のある物件を希望する顧客を客付けしたりすることに繋がる可能性があるというメリットが挙げられるでしょう。

IoTを導入することのデメリット

IoTを導入すると上記のようなメリットがある一方、デメリットも存在します。ここでは、IoTを導入することのデメリットについてご紹介していきます。

セキュリティのリスクがある

IoTはインターネットを経由して機器を連携させています。そのため、コンピューターウィルスの感染や外部からの攻撃から守るため、セキュリティ対策を十分に行う必要があるのです。また、IoTの活用により蓄積された個人データが外部に流出するリスクも考えられます。世界中をつなぐインターネットは大変便利ですが、セキュリティのリスクがあることはデメリットであるといえるでしょう。IoT家電もインターネットをつなぐ端末の1つです。誰でも家電にアクセスできる状況を防ぐために、初期パスワードを変更したり、端末で設定できる認証機能を利用したりするとよいでしょう。

電力やバッテリーの問題

IoTではインターネットの通信で機器や設備を利用するので、電力・バッテリー切れや通信の切断があると利用できなくなってしまいます。防犯カメラなどの映像情報や家電の制御情報など大量のデータを送受信するため、バッテリーの消耗が大きいといえるでしょう。しかしながら、IoTは小型のものが多く、膨大なデータの送受信に余裕を持って対応できる大型のバッテリーを組み込めない場合があります。電力やバッテリー切れ、通信切断があると利用できない点は、IoTのデメリットの1つです。

導入に高額なコストがかかる

IoTにはさまざまな種類の設備・機器があり、例えば大規模マンションのように戸数の多い物件に高価なIoT設備を多数導入する場合は高額なコストがかかることが想定されます。しかし、中にはスマートスピーカーなど比較的安価な商品も存在しています。IoTをやみくもに導入するのではなく、導入する目的を明確にして、設備・機器を選択することが大切です。

賃貸経営において大切にしたいことを考えよう

IoTの導入には費用がかかります。導入することによって空室率が改善されたとしても、その費用を回収できないのであれば賃貸経営上において問題です。一口にIoTといっても、今回解説したようにさまざまな種類の設備・機器があります。大家さんの所有している物件のターゲット層となる入居者の家族構成や年齢などによって必要とされる設備・機器は異なるでしょう。IoTに限りませんが、空室対策においては費用対効果や想定される入居者層などを総合して検討することをおすすめします。

まとめ

インターネットが普及し、私たちの生活に欠かせないものとなりました。その中で、インターネットを利用したIoTが家電業界や医療、製造業、自動車業などのさまざまな分野で活用されています。最近ではIoTを賃貸経営に取り入れている大家さんや管理会社があります。今回お伝えした内容を参考に、物件へのIoT導入を検討してみてください。
花 惠理

監修花 惠理

【資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ファイナンシャルプランナー2級

大学卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務し、不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの業務に携わる。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。

初心者にもわかりやすい言葉で解説しています。また、将来に備えて夫婦で不動産投資や株式投資を行っています。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容です。法律改正等により内容に変更がある場合もございます。