瑕疵物件とは?事故物件の告知義務について詳しく解説します

2024.02.28更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

瑕疵物件とは?事故物件の告知義務について詳しく解説します

所有物件が瑕疵物件になった場合、入居者への告知義務も大家さんがするべきことの1つです。告知義務の方法や内容を解説します。

瑕疵物件になったら大家さんはどうすればいい?
まずは告知義務についておさえていきましょう!

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目次

告知義務違反で損害賠償?

賃貸経営を行っていると、自殺や殺人事件、孤独死、自然死などにより所有物件が事故物件になってしまうこともあるものです。

事故物件になってしまうと、次の入居者を見つけるのは容易ではなく、たとえ見つかったとしても、家賃を下げた結果であることが多くなるでしょう。そのため、できれば事故物件であることを知られたくない…と思われる方もいらっしゃるものです。

しかし、条件が悪くなるからといって、告知せずに契約するべきではありません。賃貸契約時にはこうした事故について告知義務があるためです。仮に、告知せずに契約を結んだ場合、後で事実を知った入居者に損害賠償請求されてしまうといった可能性もあります

また、事故物件サイトに掲載されたり、近隣の住民からの人づてに聞いたりすることもあります。実際、告知義務を怠ったために損害賠償請求されたケースも少なくありません。

告知義務違反に関する判例

賃貸物件において、1年4か月前に自殺事故があったのにも関わらず、そのことを告げずに契約した事例で、入居者から大家さんに対しての損害賠償請求が認められた判例があります

一方、事故の内容にもよりますが、賃貸物件にせよ売買物件にせよ年数が経った物件については瑕疵と認められない=告知せずとも違反ではないという判例も見られます。

ただし、売買の事例で8年9か月前に他殺が疑われる死亡事件があったものの告知していなかったケースで、契約解除と違約金請求が認められたこともあるので注意が必要です。告知義務から解放される期間は明確ではないことをまず覚えておくとよいでしょう

契約不適合責任

なお、判例は瑕疵担保責任に基づくもので、2020年の民法改正で契約不適合責任に変わっています。基本的には同じものと考えて問題ありませんが、旧民法の瑕疵担保責任では、仮に入居者が物件に何らかの瑕疵があることを知っていた場合、故意に事前説明がされていなかったとしても貸主側に責任を問えない可能性がありました。一方、契約不適合責任では入居者が知っていたかどうかは関係なく、物件に瑕疵があった場合、貸主は責任を負わなければなりません。契約不適合責任を問われないためにも、契約書や重要事項説明書に記載すること、すなわち入居者に告知することが重要になるのです。

そもそも瑕疵物件とは

そもそも告知義務のある瑕疵物件とは、どのような物件のことをさすのでしょうか。瑕疵とは、簡単にいえば欠陥のことで「その物件が普通なら備えているはずの品質や性能を備えていないこと」と説明されます。

不動産取引における瑕疵は、心理的瑕疵、物理的瑕疵、環境的瑕疵、法律的瑕疵の以下4つに分けられます。それぞれ見ていきましょう。

心理的瑕疵

心理的瑕疵は、自殺や他殺、病死、事故死など、住むことに対して心理的に大きな影響を受けるもののことをさします。心理的にどのような影響を受けるかは人によって大きく異なるため、何が瑕疵に当たるかを判断するのが4つの中で最も難しいです。過去の判例では「一般の人が瑕疵だと感じるものであれば瑕疵」とされています

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、シロアリ被害や雨漏りなど建物の物理的な瑕疵のことをさします。大家さんが責任を追及されるかどうかは、「一見した所では判別できない隠れた瑕疵」であることが重要です

たとえば、見た目にはっきりと地盤沈下しているようなケースでは、入居者側が注意すれば分かったことだということもできるでしょう。しかし、シロアリ被害や雨漏りは一見した所では分からない可能性が高く、入居後にこれらが発覚した場合、大家さんはその責任を追及される可能性があります。

環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、周辺にカルト宗教の施設があったり、暴力団の事務所があったりして、安心して暮らすのに悪影響があると思われることです。心理的瑕疵と同じく、何が瑕疵に当たるかは人によって異なるため判断が難しいですが、こちらも一般の人がどう感じるかで判断されると考えるとよいでしょう。

法律的瑕疵

法律的瑕疵とは、たとえば、現在の法律には適合していない既存不適格建築物を売買することなどを考えるとよいでしょう。こうした物件を購入してしまうと、購入者は将来建て替えや増築が難しくなります。

そのことを知ったうえで購入するのであればよいですが、告知せずに購入したら大きな損害を被る可能性があるのです。なお、法律的瑕疵は売買の場合はさまざまな問題が起こり得ますが、賃貸の場合は消防法の関係で防災設備が古いなどといった程度になるので、あまり気にする必要はありません

告知義務の告知方法・告知内容・告知期間

それでは、実際に告知義務がある物件を賃貸に出す場合、どのような方法で告知すればよいのでしょうか?ここでは、「告知方法」「告知内容」「告知期間」の3つをご紹介していきます。

告知方法

告知方法については、広告や契約書、重要事項説明書に「告知事項あり」と記すなどして告知する必要があります。具体的な告知方法がルールとして定められているわけではありませんが、広告で告知事項がある旨を書き、売買契約書や重要事項説明書の特記欄などに記載したうえで、対面により説明すれば問題ないでしょう

場合によっては、告知事項について別途書面を作成し、そのことについて了承したといった覚書を交わすのも1つの方法です。

告知内容

告知内容についても明確な決めごとがあるわけではありませんが、入居者に誤解のないように書くことが大切だといえます。たとえば、入居者が自殺したようなケースでは、以下のような内容を記載するとよいでしょう。

・いつ起こったのか
・建物のどの部分で発生したのか
・建物の使用目的は居住目的だったのか事業目的だったのか

なお、告知の義務はありますが、たとえば建物のどの部分で事故が起こったかなど、入居者から知りたくないといった申し出があった場合には無理に告知する必要はありません

告知期間

告知期間、つまり事故があってから何年後まで告知する必要があるかについて明確な答えはありません。過去の判例を見ると、賃貸物件の場合は3年程度の期間が必要であり、かつ1人入居者が決まり、極短期間で退去したなどでない限りは2人目からは告知する必要はないとされることが多いです。また、自然死の場合は告知義務なしと判断された判例もあります。

ただし、実際にはケースバイケースであり、「3年経ったからもう告知する必要はない」とは確実にいえないため注意が必要です。

なお、瑕疵のなかでもとくに心理的瑕疵は判断が難しいことが多いという理由から、国土交通省で心理的瑕疵に係る適切な告知、取扱いに係るガイドラインの策定に向けた検討が行われており、2021年秋頃に公表される予定となっていますガイドラインが策定されれば、告知義務について今より判断しやすくなる可能性は高いでしょう

告知義務の義務者

賃貸物件の管理を管理会社に任せている場合、案内から契約までを不動産会社にすべて任せているケースも多いでしょう。このため、告知義務については不動産会社と方針を話し合う程度で、実際に告知義務を伝えるのは不動産会社ということも多いはずです。

しかし、不動産会社が入居者に告知した内容によりトラブルが生じた場合でも、大家さんに対して責任が追及される可能性もある点には注意しなければなりません。

たとえ不動産会社に管理を任せていたとしても、告知義務は管理する不動産会社だけでなく大家さんにもあるのです。不動産会社に任せきりにするのではなく、告知内容についてしっかり話し合っておくことが大切だといえるでしょう。

環境的瑕疵は心理的瑕疵になる可能性も

なお、4つの瑕疵のうち、環境的瑕疵は心理的瑕疵と判断が付きにくいケースも多く、場合によっては環境的瑕疵が心理的瑕疵になる可能性もあります

たとえば、周辺に嫌悪施設(葬祭場や墓地、刑務所など)があるケースでは、実害はなくとも入居者がどう感じるかという問題であり、心理的瑕疵に当たるとも考えられます。

告知内容に「環境的瑕疵」や「心理的瑕疵」など明確に書く必要はありませんが、環境的瑕疵は見逃されやすいものです。あらゆることを想定して告知しておくことが、後のトラブルを避けることにつながるでしょう

瑕疵物件の賃貸経営はどうしたらいい?

瑕疵物件は通常の物件と比べて入居者を集めにくくなってしまいますが、瑕疵物件となってしまった場合、どのような対策を取るとよいのでしょうか。具体的には、以下のようなことが挙げられるでしょう。

・家賃を下げる
・リフォームして付加価値を付ける
・フリーレントなどにより空室対策を行う

瑕疵物件と通常の物件があった場合、同じ条件であればほとんどの方が通常の物件を選ぶでしょう。しかし、家賃が相場より安いなど条件がよければ、瑕疵物件を選ぶ方もいるはずです。そうしたことを意識して、対策を行っていくことが重要です。瑕疵物件や事故物件の空室対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。

よくある質問

最後に、賃貸経営における瑕疵について、よくある質問をご紹介します。
事故物件とは?
事故物件に明確な定義はありませんが、一般的には殺人事件や自殺、自然死などで人が亡くなった物件のことをさすと考えるとよいでしょう。他殺なのか自殺なのか、自然死なのか、また、孤独死の場合は死後どのくらい放置されていたかなどによって物件への影響が変わります。
既存入居者からの減額請求は応じるべき?
事故物件になったことで、該当の物件について新しい入居者を集めづらくなるだけでなく、そのほかの部屋の既存入居者から減額請求を受けることもあるでしょう。

減額請求を受けるべきかどうかについては、各自の判断となりますが、基本的には(法的には)応じる必要はありません。ただし、それにより入居者が減ってしまうようであれば、家賃の減額を考えなければならないこともあるでしょう。
事故物件になった時の損失をカバーしてくれる保険はある?
家賃補償保険や孤独死保険などがあります。これらは事故物件になったことで生じた家賃の減額などを補填してくれるものです。

たとえば、孤独死の場合では、死後長期間放置されてしまうと、特殊清掃などにかかる費用が膨大になる可能性があります。あらかじめこうした保険に加入しておくと、万が一の時に安心して対応できるようになるでしょう。

まとめ

賃貸物件における瑕疵と告知義務についてお伝えしました。所有物件が瑕疵物件になってしまうと入居者を集めづらくなることから、何とか告知せずに済む方法はないか…と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、告知せずに契約して後で知られてしまうと、より大きな損害が生じる可能性があります。この記事を参考に、告知すべき内容についてはしっかり告知したうえで、賃貸経営に取り組んでいくことをおすすめします。

瑕疵物件になったら大家さんはどうすればいい?
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この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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