空室対策として借り上げ社宅を検討する前に、大家さんが知っておくべきこと

2024.02.02更新

この記事の監修者

金 弘碩

金 弘碩

【資格】二級建築士/宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/マンション管理士など

空室対策として借り上げ社宅を検討する前に、大家さんが知っておくべきこと

昨今のトレンド空室対策「借り上げ社宅」とはなにか、どのように導入すればいいのかなど、そのポイントを紹介します。

借り上げ社宅を検討する前に注意点を把握してから
需要が見込めるか専門業者と考えてみましょう

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目次

空室対策として社宅は有効なのか

最近では、街を見渡しても「○○会社○○寮」という建物は見かけなくなったように思いませんか?しかし、人事院調査によると、従業員50人以上の民間企業の場合45.5%が社宅を利用し、総務省「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国で110万世帯が社宅に住んでいるという結果がでています。

いわゆる社宅が目立たなくなったのは、日本経済が高度経済成長期から成熟社会へ移るにつれ、 法人が所有している社有社宅より、民間より借り上げ提供する、借り上げ社宅が増えていったことが原因と考えられます。

高度経済成長期は、自社で不動産(社宅)を所有すれば、インフレによる物価上昇により資産を拡大することができました。また多くの人員も必要で、社宅用に自社物件を所有するケースが多かったのです。

しかし、成熟経済とデフレの時代になると、自社の不動産(社宅)は地価暴落により、価値を大きく下げることになりました。

また、産業の多角化にともなう人員の多様化・分散化により、一箇所に大量の人員を確保する必要がなくなり、特定の不動産を所有する必要のない借り上げ社宅の需要は、増加傾向にあると言えます。

借り上げ社宅は法人にとってもメリットがある

社宅は、住宅に関する福利厚生として根強い人気です。外国人労働者の雇用確保にもつながりますし、住宅手当より社会保険等を節税効果も期待できます。

借り上げ社宅とは

社宅は、法人が従業員に借与する住宅のことを言います。国土交通省が発表する平成30年住宅・土地統計調査では、社宅を「給与住宅」として、以下のように定義しています。

・勤務先の会社・官公庁・団体などが所有又は管理していて、職務の都合上又は給与の一部として居住している住宅
・いわゆる「社宅」、「公務員住宅」などと呼ばれているもの。

※家賃の支払の有無を問わず、また、勤務先の会社又は雇主が借りている一般の住宅に、その従業員が住んでいる場合を含む

借り上げ社宅は、法人が貸主である大家と契約します。賃料(家賃・管理費等)も法人が支払い、従業員が入居者となります(多くの場合、賃料のある程度は給料から天引きされます)。

火災保険(借家人賠償特約)も通常、法人が加入します。従業員の立場から考えると、似た制度で家賃補助手当などがありますが、こちらの場合、家賃補助手当は給料扱いとなります。そのため、社会保険料等が増大し負担が増えるため、社宅を選ぶ法人が多い傾向にあります。

借り上げ社宅にすることで大家さんが期待できること

借り上げ社宅にすることにより、以下のようなメリットが挙げられます。

家賃などの滞納リスクが低い

個人より法人のほうが収入も安定しており、信用度も高いと言えるでしょう。家賃の振り込みも法人からなので、滞納リスクが個人との契約よりも抑えられます。滞納リスクへの心配が減ることは、大きなメリットと言えます。

一括借り上げができればさらに空室対策としては安定が図れる

アパートマンションを法人が一棟ごと借り上げ、一見社有社宅のような状態なる一括借り上げ契約も見受けられます。入居者との窓口も一本化し、物件管理もコスト少なくすませられるでしょう。

社宅は1室からでも始められる

一括借り上げは、全戸空室である新築時などのタイミングでないと難しいですが、借り上げ社宅は1室からでも始められます。集合住宅管理において、個人契約と法人契約が混在しても問題はありません。すでに運用している物件の空室にお困りの方もぜひ検討してみてください。

借り上げ社宅にするときの注意点

ここからは、借り上げ社宅にする際の注意点を見ていきましょう。

【契約】法人に寄りそった柔軟な対応が必要

法人契約の担当は総務部などです。総務部の業務低減・費用削減・会計処理の見地から、以下の対応が必要な場合があります。

・短期入居・期間内解除の違約金除外
・保証人(保証会社)の除外
・鍵の契約前渡しや、消毒作業の除外、ライフライン(ガス水道電気など)の開始立会
・契約期間中の入居者交替の容認

【物件制約】どの物件でも借り上げ社宅にできるわけではない

法人には、社宅規定が定まっている場合があります。そのため、社宅規定に準じていない物件は借り上げてもらえません。

・適宜な広さがない物件(独身、世帯者で上下限が指定されている場合)
・設備が足りない、華美な設備がある
・社宅規定の上限より高い賃料の物件

独身者が規定以上の広さで借り上げを断念したり、エアコンの新設が借り上げの条件になったりするケースもあるようです。

【入居制約】個人契約とは異なる入居トラブルの可能性が潜んでいる

・退去後の修繕費用でのトラブルの可能性
社宅規定で簡易的な費用負担や故意の破損等は入居者負担の場合があり、入居者個人での賠償を拒否される可能性があります。

・室内の汚破損が個人で、契約する場合よりひどいケースも散見
契約者が法人であることにより、建物をぞんざいに扱う、入居者が大家さんや管理会社の注意を聞かないといったケースもあるようです(法的には用法遵守義務がある)。ただし、法人側に話をすると改善されるケースがほとんどです。

・契約中に入居者が退社し、明け渡しにトラブルを生じる場合
転居先の準備不足を理由に明け渡しの拒否や、個人との直接契約への契約変更。契約の認知不足から、未契約状態でも占有する場合があります。

・一斉に全戸解約される可能性
法人の人員に対する需要が旺盛で継続的である場合に社有社宅に切り替える。経済状不況時やリストラによる整理解雇で全解約するなど、法人の状況によって、一斉に全戸解約される可能性もゼロではありません。

借家法人契約の経験が豊富な業者を探す必要がある

借り上げ社宅を検討している場合、どのような動きを取ればよいのでしょう。ここでは、契約パターンに合わせて2つ紹介します。

・仲介会社の法人営業をあたる
法人契約による入居申し込みは、主として2つのパターンが考えられます。個人契約時と同じように、入居希望者不動産仲介会社で物件を選定(内覧)した後、入居申し込みがされ、法人が契約主体となるパターン(主に中小企業の借り上げ社宅)と、(法人の総務部)などが物件を選定(内覧をしない場合が多い)・契約し、従業員が入居するパターン(主に大企業の借り上げ社宅)です。

後者の場合、大手仲介会社の法人営業部に連絡してみてください。仲介会社の法人営業部は、ホームページなどで検索できます。

・社宅代行会社をあたる
100室以上の需要がある大企業は、借り上げ社宅の仲介依頼だけではなく、元来なら法人の総務部が行う社宅の管理業務自体を、社宅代行会社等にアウトソーシングしています。個人の大家さんは、社宅代行会社から依頼を受ける法人営業担当に接触できると、入居者獲得の手段が広がります。

ただし、社宅代行業者は大手不動産会社の子会社などが多く、「プロの借主」。賃貸借契約に精通し、顧問弁護士もいます。賃貸借契約やトラブルなどで中途半端な対応すると、最悪訴訟にもなりかねませんし、原状回復工事に対する精算もシビアになります。

「大家といえば親も同然、店子と言えば子も同然」のようなアットホームな関係ではなく、コンプライアンス順守のビジネスライクな関係となるケースが多い傾向にあるため、それに合った体制を整えていくことが理想的です。

まとめ

空室対策の1つとして、社宅は有効な手段ですが、個人事業者の大家さんが、仲介会社の法人営業部と、直接接触するのは少しハードルが高いケースも多いでしょう。

積極的に社宅を検討されるのであれば、現状の管理会社を含め、複数の管理会社へまずは相談するところから始めましょう。社宅に強い管理会社や、法人営業部を持つ管理会社があれば、積極的にアプローチすることをおすすめします。

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金 弘碩

金 弘碩

【資格】二級建築士/宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/マンション管理士など

不動産仲介・不動産管理・不動産鑑定・現場監督業務など、合計18年勤務。現在は「すまいとくらしのカウンセラー 住宅専門FP 」として、住宅購入者へのアドバイス・コンサルティング業務を行う。最近は、住宅ローンのアドバイスに注力している。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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