目次
大家さんが加入している保険にはどんなものがある?
まずは、多くの大家さんが入っている保険について見ていきましょう。
火事はいつ起こるか分かりません。火災保険は必ず入っておくべき保険です。火災保険の対象は「建物」「家財」ですが、家財は入居者のものであるため、大家さんの場合は、建物に対する補償を基本に考えましょう。火災保険のカバー範囲は火災だけではありません。落雷や台風による建物の破損、水漏れ損害なども補償対象に入るものもあります。これら火災以外が原因の損害についても補償の対象内かどうかを確認してから入ることをおすすめします。
火災保険では台風や落雷、雪害などの損害はカバーされますが、地震・津波・噴火によって生じた損害まではカバーできません。そのため、地震などでの損害を補償することができる地震保険にも入っておくべきでしょう。火災保険・地震保険に入れば、幅広い損害をカバーできますが、これらは自分の保有する施設に損害が出た時、それを補填するための保険です。
施設の不備が原因で誰かに損害を与えた場合の補償を考えるのならば「施設賠償責任保険」を検討する必要があります。
施設の不備が原因で誰かに損害を与えた場合の補償を考えるのならば「施設賠償責任保険」を検討する必要があります。
施設賠償責任保険はこんな人におすすめの保険!
もし、あなたがマンション・アパートを経営する大家さんならば、施設賠償責任保険にはぜひ入っておくことをおすすめします。その理由ですが、自分の管理する施設が原因の事故がいつ起こるか分からないためです。施設が破損するだけならまだしも、他人に損害を与えてしまった場合、補償が必要です。そのお金を施設賠償責任保険でカバーするに越したことはありません。
「施設賠償責任保険」の魅力
では、具体的に施設賠償責任保険の魅力やおすすめポイントについて見ていきましょう。補償の範囲や保険料についても確認していきます。
1.保険料が安くコストパフォーマンスが良い
施設賠償責任保険は保険料が安いのも魅力です。たとえば、対人・対物補償限度額1億円に設定した場合、年1万円以内の保険料で上限1億円を補償する保険会社もあります。
2.補償範囲の広さ
施設賠償責任保険は補償範囲が広い保険です。以下のようなケースの場合に補償されます。
・建物の外壁が落ち、通行人にケガをさせた。
・建物の外壁が落ち、下を走る車両を傷つけた。
・マンション共用部にある掲示板が落下、居住者にぶつかりケガをさせた。
居住者だけでなく、通行人や車両までもが補償の対象です。マンションやアパートを管理していると、どうしても事故が起こる可能性はあります。補償のために自らが大きな金額を負担する必要がないように施設賠償責任保険に加入しておくべきではないでしょうか。
・建物の外壁が落ち、通行人にケガをさせた。
・建物の外壁が落ち、下を走る車両を傷つけた。
・マンション共用部にある掲示板が落下、居住者にぶつかりケガをさせた。
居住者だけでなく、通行人や車両までもが補償の対象です。マンションやアパートを管理していると、どうしても事故が起こる可能性はあります。補償のために自らが大きな金額を負担する必要がないように施設賠償責任保険に加入しておくべきではないでしょうか。
3.思いがけない事故にも適応
施設賠償責任保険は思いがけない事故にも対応できます。老朽化による外壁破損はある程度防ぐことは可能ですが、建物が強風で破損し、その破片が近所の車両を傷つけるというケースは防ぐことが難しいでしょう。このような事故も施設賠償責任保険の補償対象です。
「施設賠償責任保険」を詳しくご紹介
施設賠償責任保険についてさらに詳しくご紹介していきましょう。
保険料について
先述しましたが、施設賠償責任保険の保険料は比較的安価です。もちろん、マンションの築年数や面積などで保険料は変わりますが、自己負担金なしで万が一の時の補償をしてもらえるとなれば非常にお得だといえるでしょう。
適用範囲について
施設賠償責任保険ですが、「施設の安全性の維持・管理の不備や構造上の欠陥」「施設の用法に伴う仕事の遂行」が原因で他人にケガをさせたり、物を壊したりした時に、被保険者(この場合は大家さん)が法律上の損害賠償責任を負担された場合に被る損害を補償する保険です。
たとえば、マンション外壁の落下で通行人にケガをさせた、共用部の破損で居住者の物を壊してしまった時などが補償対象になります。
たとえば、マンション外壁の落下で通行人にケガをさせた、共用部の破損で居住者の物を壊してしまった時などが補償対象になります。
補償内容について
施設賠償責任保険で補償される内容は、一般的に以下のものになっています。
損害賠償金
法律上の損害賠償責任に基づいて、相手に対して支払うべき治療費や修理費等が補償されます。
損害を防ぐためにかかった費用
事前に建物の管理を徹底していなかったことにより生じた損害の拡大の防止に使われた費用を補償します。ただし、防止に有益だと認められた費用のみです。たとえば、共用部の床がめくれケガ人が出た後、床を修理するために出した費用などがそれにあたります。
事故発生時の応急手当等の費用
事故が発生した際、大家さん側が損害の防止や軽減のために必要な手段を取った後に賠償責任がないことが判明した場合、応急手当や救急搬送など被害者に対する必要な措置に要した費用が補償されます。たとえば、ケガ人を病院に運ぶためのタクシー代などです。
賠償責任に関する裁判等にかかった費用
賠償金の支払いの有無、そして金額などを裁判や示談交渉で解決することになった場合、かかった弁護士費用、裁判費用が補償されます。保険会社によって補償内容が異なる場合もあるので、検討する際は内容をしっかり確認しましょう。
【注意】補償されない損害もあります!
施設賠償責任保険では補償されない損害もありますので、確認しておきましょう。
・給排水管、暖冷房装置等からの蒸気・水やスプリンクラーからの内容物の漏出
・建物外部からの内部への雨・雪等の浸入または吹込み
・施設の新築、修理、改造、取壊し等の工事
・ご契約者、被保険者の故意
・排水または排気(煙を含む)に起因する賠償責任
・給排水管、暖冷房装置等からの蒸気・水やスプリンクラーからの内容物の漏出
・建物外部からの内部への雨・雪等の浸入または吹込み
・施設の新築、修理、改造、取壊し等の工事
・ご契約者、被保険者の故意
・排水または排気(煙を含む)に起因する賠償責任
施設賠償責任保険対象外の損害を補償するために
給排水菅の漏れなど、施設賠償責任保険だけでは補償されない損害のために特約があります。どのようなものなのでしょうか。
漏水補償特約
給排水管等からの蒸気・水の漏出等によって他人のものを破損または汚損した場合によって生じる損害に対して、保険金が支払われます。
工事発注者責任補償特約
被保険者(大家さん)が施設修理や改造等の工事の発注者の場合に、工事の発注内容・指示のミスにより他人の生命や身体を害する、他人の財物を滅失、破壊または汚損した場合に、被保険者が工事の発注者として責任を負うことになります。その際支払う賠償金を補償します。
「施設賠償責任保険」の加入方法・期間
施設賠償責任保険の加入方法と期間についても見ておきましょう。
1.火災保険などの特約として加入
火災保険などの特約として施設賠償責任保険を付加する方法があります。特約にすることで主契約の火災保険とセットになり、管理しやすいといったメリットがあります。期間は火災保険に準じることになるため、火災保険の見直しをする際はあわせて見直す必要があります。
2.施設賠償責任保険単独で加入
施設賠償責任保険単独で加入すると、「漏水補償特約」「工事発注者責任補償特約」を付加できるという点がメリットです。建物が人や物に与えるかもしれない損害についての補償を一括で管理できることになります。
施設賠償責任保険単体で入れない可能性も
施設賠償責任保険ですが、保険会社によっては単独で加入できず、火災保険などとセットで加入する必要があることもあります。単独で入れるかどうか、保険会社に確認しておきましょう。
まとめ
マンションやアパートを管理する上で、建物の不備が原因で他人に損害を与えることはあってはなりません。施設賠償責任保険は保険料も比較的安価で負担もそれほどない保険です。大家さんならば、万が一のことを考えて、火災保険、地震保険とともに施設賠償責任保険への加入をおすすめします。
この記事の監修者
たじり ひろこ
2級FP技能士/証券外務員第一種
証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関勤務経験あり。2016年末からライターとして活動し、主に金融系サイトで執筆。