18歳に成年年齢が引き下げ|大家さんが18歳成人との賃貸契約で注意すべきこととは

2024.09.06更新

この記事の監修者

徳田 倫朗
徳田 倫朗

宅地建物取引士

18歳に成年年齢が引き下げ|大家さんが18歳成人との賃貸契約で注意すべきこととは

成年年齢が引き下げられたことによる賃貸借契約への影響と大家さんが契約時および入居中に注意すべき点について考えてみましょう。

18歳成人の入居者との賃貸借契約の注意点とは?
メリット・リスクを知っておきましょう!

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目次

成人年齢が引き下げられた背景

日本における成人は、長い間20歳と定められていました。明治9年に成人年齢が定められてから、今まで改正されていなかったのです。

しかし、諸外国では先駆けて成人年齢の引き下げが行われていました。引き下げの理由は徴兵年齢の引き下げや学生運動など国によって異なりますが、社会環境の変化によって成熟化が進んだのが大きな理由といえるでしょう。

イギリス・ドイツなどのヨーロッパ諸国は1960年代から70年代にかけて、アメリカは州によって成人年齢が異なりますが、70年代に多くの州で成年年齢が18歳に引き下げられました。

このような流れを受けて、日本においても2016年6月に選挙権年齢が18歳に引き下げられました。高齢化社会といわれて久しい日本において、若者の意見も政治に反映されやすくするのが目的です。この時、成人年齢一般においても18歳に引き下げる議論が沸き、2022年になってようやく成人年齢の引き下げが行われました。

18歳成年でできること・できないこと

成人年齢は、民法のほかさまざまな法律によって、成人になることを条件とした規制に大きな影響を与えます。

今まで20歳にならないとできなかったことが18歳でできるようになったほか、健康に関わる規制やギャンブル依存症への対策などの理由で20歳の年齢制限が据え置かれたものもあります。
18歳でできるようになったこと20歳の年齢制限が据え置かれたもの
・親の同意を得なくても契約できる
(例)携帯電話の購入、クレジットカードの作成、自動車の購入・ローンの契約
・国家資格の取得(公認会計士・司法書士・医師・薬剤師など)
・10年パスポートの取得
・家庭裁判所における性別変更
・親権に復することなく進路や住居を決定できる
・飲酒
・喫煙
・公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)の投票権の購入

18歳成人が賃貸契約に与える影響

成人年齢の引き下げは、アパート・マンションの賃貸借契約においても影響があります。

親権者の同意を得ることなく契約行為ができるようになったことで、高校卒業後に就職し、自分で生計を立てている入居者は単独で契約したいと申し出るケースも多くなることでしょう。また、若者にありがちなトラブルについても今までより増加する可能性があります。

単独で契約が可能に

民法によれば、未成年者が行う親権者の同意を得ない契約は取り消すことができるとされています。今回、成人年齢が引き下げられたことで、18歳の成人が単独で行う賃貸借契約についても有効に成立し、後に取り消すことはできなくなります。

トラブル増加の可能性

18歳になり成年として一定の責任を負う立場になったものの、親の監視の目から自由になったと感じて羽目を外す若者も多いことでしょう。

また、契約に関する理解不足や金銭感覚の欠如からくる大家さんとのトラブルも増えるかもしれません。これらのトラブルを防止するため、考えられるトラブル例をわかりやすい資料にして契約時にしっかり説明するなどの対策が求められます。

騒音トラブル

騒音トラブルは賃貸経営に付きものですが、若者単独での契約が多くなることで今まで以上にトラブルが増えるかもしれません。成人年齢の引き下げによって親権者の束縛から自由になったと感じ、若者同士が集まって騒いだり、周りの迷惑を気にせずステレオの音量を大きくしたりすることもあるでしょう。

最近では、Web会議システムなどで行う授業や友人同士の会話が騒音トラブルになっている例もあります。

契約トラブル

契約トラブルの多くは、契約内容の理解不足や説明不足から生じるものです。とくに18歳になりたての契約者は契約ごとに慣れてないばかりか、一人暮らしのための賃貸借契約が人生で初めての契約となる若者も多いことでしょう。

そのため、契約内容の理解が追い付かなかったり、「契約は守らなければならないもの」という意識が薄かったりすることもしばしばです。

勝手にペットを飼う、退去の通知が遅れる、部屋に造作を加えるなど今まではあまり見られなかった契約違反に関するトラブルも増えるかもしれません。

家賃滞納トラブル

18歳成人が単独で契約することで、親が保証人となることが必須ではなくなりました。このため、家賃の滞納トラブルが従来よりも増加する可能性があります。

クレジット契約やローン契約についても単独で行うことができるようになったことから、金銭に関するトラブルが増加していくことが予想されます。公共料金や家賃滞納に関するトラブルも増加するということも想像に難くありません

これらのトラブルは成人年齢が引き下げられたからといって急に増えるものではないかもしれません。しかし、契約に慣れていない18歳成人が契約者となるケースは確実に増えていくと考えられることから、トラブル防止対策は考えておくべきでしょう。

徳田 倫朗
徳田 倫朗

大家さんが18歳成人との契約で注意すべきこと

成人年齢が引き下げられたことで、法律上の契約手続きも異なってきます。しかし、だからといって成人になりたての18歳の入居者との契約を一般の契約者と同様に扱ってよいかは別問題です。これまで紹介してきたさまざまなトラブルを防止するために、手続き等でしっかり対策を取っておきましょう。

親権者確認書はどうする?

形式的に考えれば、18歳成人となった契約者には民法上の未成年者取消権がないことから、親権者確認書がなくても有効に契約を締結することができます。遠隔地にいる親権者と郵送でやり取りしたり、書類提出後も電話で直接確認したりする労力が省けることを考えれば、大家さんの負担が軽くなったようにも思えます。

しかし18歳では社会的な信用力も乏しく、金銭面での不安もあるために、親に身元保証人、もしくは家賃の保証人となってもらうことで信用力を担保することが考えられます。そのため、実質的には親権者確認書を取得するのと同様の手続きが必要になってくるでしょう。

契約者・保証会社はどうする?

以前は、入居者が未成年者であったり学生の場合などは親が契約者になったり保証会社をつけたりすることも一般的に行われていました。収入面において親の扶養に頼っているような場合は、今後もこのような契約形態は残ることでしょう。

もっとも、親が契約者になるにせよ子がなるにせよ、メリット・デメリットを比較検討して、それぞれのケースに合った契約形態を選択すべきです。
入居者
賃借人(契約者)
連帯保証人
(または兄弟姉妹などの親族))
保証会社
(不要の場合もあり)

子が契約者のメリット・デメリット

子が契約者の場合、実際に面談して契約内容をしっかりと説明することで、契約者としての自覚を持たせることができるというメリットがあります。また、金銭面での不安を解消するためには親に連帯保証人になってもらえばよく、保証会社の審査に労力と時間がかかることはありません。

しかし、親の連帯保証についての記名押印や別途同意書・確認書を求めることもあるため、書類が煩雑になることもあります。

親が契約者のメリット・デメリット

親が契約者の場合には、保証会社の審査も通りやすく契約もスムーズです。もっとも、親が遠隔地にいることも多いことからWeb会議システムを活用したIT重説によって契約をするなどの対応が求められるでしょう。

しかし、子が就職後に契約者変更(親→子)が必要になってくる場合もあり、書類のやり取りに少し手間が生じるかもしれません。

重要事項や特約の説明・確認を!

契約者が親であっても子であっても、重要事項や特約については入居者にしっかりと説明しておくべきです。

とくに親が契約者の場合には、親に契約内容や重要事項の内容を説明したのみで、子はまったく内容を知らないというケースも見受けられますが、本来契約内容は入居者が内容を把握しておくべきものです。一方で子が契約者の場合でも親が連帯保証人になるケースも多いことからすれば、契約内容の重要な事項については親にも説明しておくべきでしょう。

契約内容・重要事項はもちろんですが、入居のルール、ごみのルール、電気・ガス・水道などの公共インフラのルールなど、生活に必要な基本的な情報についても入居者である子にていねいに説明しておきましょう。今まで親と同居していた子にとってはすべてが初めてのことですので、常識的に知っていると思うようなことも実は知らないというケースもよくあります。

徳田 倫朗
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大家さんの社会的な役割を今一度意識しよう

大家さんには、家を求める人に安心安全な住まいを提供するという社会的役割があります。社会に仲間入りしたばかりの新成人を温かく見守り、時には指導し、時には相談に乗ってもらえるような頼りがいのある大家さんを目指しましょう。

契約時・入居時には、賃貸借契約にまつわるていねいな情報提供だけでなく、周辺情報や暮らし方のルール・ノウハウなどを示したガイドなどを用意するのもよいでしょう。

まとめ

成人年齢が18歳になり、未成年者取消権のない契約が今後は一般的になっていくことでしょう。しかし、契約手続きにおいては大きな変更があるわけではありません。

18歳成人で信用力がないからといって賃貸借契約を避けるのではなく、契約者や連帯保証人として親に関わってもらうなど、成人になったばかりの契約者をサポートしていく姿勢が求められます。

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徳田 倫朗
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宅地建物取引士

株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験を持ち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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