- 入居者から「カビの発生」に関するクレームがきたら、まずは状況を正確に把握しましょう。
- カビが発生した際の費用は根本原因をつくった人が負担することになります。
- 空室期間中もカビが発生しないよう対策を講じることが大切です。
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目次
入居者からカビ発生のクレーム!大家さんがとるべき対応とは
入居者から「カビの発生」に関するクレームがきた時には、まず状況をよく聞いて対応の判断をします。カビの発生には原因がありますが、その原因を生み出す “根本原因” があります。
建物の構造や性能的な問題なのか、入居者の生活スタイルに問題があるのかですが、十分な調査をしなければ根本原因は把握できません。安易に原因を決めつけず、まずは状況を正確に把握することに努めます。
発生したカビを除去する方法
カビの除去はカビ発生の要素である「温度」「水分」「栄養」を考慮した方法になります。手順とポイントは以下の通りです。
カビ除去の専門業者もあり、場所によって単価は異なりますが1平方メートルあたり1,000~5,000円が相場になっています。
カビが発生した際の費用は誰が負担する?
入居者が負担するケース
大家さんが負担するケース
元々カビの発生しやすい物件に上記のような生活スタイルの入居者が住むと、相乗作用により、一層カビが発生しやすくなります。このような場合はどちらに責任があるのかでトラブルになりやすく、結局大家さんが負担することになるケースが多いと想像されます。
カビが発生しやすい場所
水回り
どれもカビの発生3要因の「水分」があり、換気が悪くカビの繁殖しやすい室温ではわずかな「栄養」があるとカビの発生がみられます。
浴室は天井の掃除を念入りにするとよいと言われます。キッチンはキャビネットの隅など普段は手の届かない部分に発生することがあります。トイレは便器と床との境や、壁の下隅は要注意です。
浴室の換気扇やトイレに換気扇が設置されている場合は、24時間運転し続けるだけでかなり換気効果が出るものです。ファンを回す消費電力はわずかなものであり、生活空間や建物の耐久性を考えると「換気扇のスイッチは切らない」習慣が大切です。
押し入れ/クローゼット
とくに断熱性能の悪い物件では屋外に接する壁面や床面は温度低下が大きく、結露が多く発生しカビの温床となります。
フローリング/畳
また、フローリングや畳の上にカーペットを敷いた場合にも発生することがあります。この場合は畳やカーペットに染み込んだ水分や、皮脂などのたんぱく質がカビの栄養となっています。
シューズボックス
また、密閉されたシューズボックス内は汗などの水分がそのままになり、カビ菌にとっては適度な湿度が維持された空間なのです。
窓枠
湿度が高く外気温が低い開口部は要注意ですし、南側の日当たりのよい部屋であっても湿度の高い部屋は、夜間の気温低下により結露が発生します。水回りを除くともっとも結露のしやすい場所になります。
エアコン
内部に発生したカビは冷風の吹き出し付近まで運ばれてくるので、エアコンの吹き出し口付近でカビが発見されたら、内部はかなりカビが繁殖していると考えられます。
カビが発生しやすい物件はある?
風通しの悪い立地条件などもカビの発生しやすい傾向があると言えるでしょう。たとえば、盆地は風が弱く大気が撹拌(かくはん)されません。そのため、朝は霧が発生することも多く、湿潤な気候と言えます。
大気の湿気という面では日本には梅雨があり、梅雨のない北海道を除くと日本全国がカビの発生しやすい環境にあると考えたほうがよさそうです。
カビの発生を防ぐための対策
すぐできる対策1:換気を行う
換気扇が設置されている場合は連続運転させるとともに、給気ルートをつくらなければなりません。室内換気口から新鮮な空気を取り入れて、室内の湿気を帯びた空気を排出する空気の流れをつくります。
すぐできる対策2:入居者へ周知する
湿度は同じ水分量であれば気温が低くなると高くなり、気温が高いと湿度が低下することを知らない入居者もおり、換気による水分量の減少と適度な温度を保ち湿度をコントロールするよう心がけてもらわなければなりません。
換気設備の整った新しい物件であっても、入居者が換気扇のスイッチを切ってしまっては何の意味もありません。入居者への注意喚起は重要なことです。
リフォームでできる対策1:防カビ機能の床材を使う
水回りの床は気付かずに濡れているままになっていることが多く、床材の隅などから裏側に水が浸入し、床材裏面や床下地材にカビが発生するようになります。
リフォームでできる対策2:結露防止機能の窓ガラスを使う
結露を防止するには、窓ガラスの室内側の表面温度をできるだけ室温に近づけることですが、そのためには断熱性の高い「複層ガラス」が効果的です。単板ガラスの入った窓であっても複層ガラスに交換できる方法もあるので、専門家に相談してみましょう。
リフォームでできる対策3:24時間換気システムの取り付け
24時間換気は2002年の建築基準法改正により、住宅に設置することが義務付けられましたが、2002年以前の住宅には設置されていません。24時間換気システムの取り付けにより快適な住環境を整え、カビ発生の防止を図ることも効果的でしょう。
空室期間もカビ対策は必要
換気や除湿は空室期間も継続させるほうがよく、カビ臭のある空室は壁紙の貼り替えによって改善することもありますが、まずカビの除去とカビの発生と繁殖の原因を取り除くことが重要です。
カビ臭を感じることもなく清潔感のある空室であっても、長期間にわたって空室で換気されないと、建材類から発生する臭いが気になる場合もあります。湿気の多い時期は除湿剤や除湿器の使用により、できるだけ空気中の水分量を減らす必要もあるでしょう。
まとめ
カビの発生原因を知ることにより発生しやすい場所がわかるので、対策も立てやすくなり、空室であってもカビによる影響は少なくありません。カビ対策を徹底し、安定した満室経営を目指しましょう。
カビの発生は物件の劣化につながることも…
対策はしっかりしておきましょう。
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この記事の監修者
宅地建物取引士/一級建築士
宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。
住宅性能が高まり気密性が高くなった建物は、自然の風を利用した換気がほとんどできなくなっています。換気扇などの機械換気を併用した換気が必要であり、自然換気に頼らざるを得ない古い物件は「カビの発生」にはとくに注意しなければなりません