入居者退去のタイミングで行いたいエアコン清掃!
エアコン付き物件の場合、入居者が退去した際に悩むのがエアコンの清掃をすべきかどうかでしょう。結論から言うと、エアコンクリーニングは退去のタイミングですることをおすすめします。退去のタイミングでエアコンクリーニングすることで、新しい入居者へのアピールにつながり、空室対策にも有効になるためです。また、長期入居者へのサービスとして、更新時にエアコンクリーニングをすることで、入居者の満足度の向上につながる可能性もあります。
エアコン故障を防ぐためにも清掃は必要不可欠
エアコンクリーニングは入居者へのアピールだけでなく、エアコンの故障を防ぐためにも重要になるものです。エアコンが故障した場合、修理費や交換費などは大家さんの負担となります。とくに賃貸住宅では、同時期にエアコンを設置しているケースが多いので、故障もまとまって発生してしまう可能性が高く、費用も高額になってしまいます。なお、一度故障が起こってしまうと費用などの負担が大きくなるので、メンテナンスは欠かさず行うようにしましょう。
また、入居者がいる状態で故障への対応が遅れてしまうと、入居者とのトラブルに発展する場合や、退去されてしまう場合もあります。エアコンの故障の原因については後述しますが、定期的にクリーニングすることで故障を防ぎ、長持ちさせられるのです。
エアコンが故障する原因
ここでは、エアコンが故障する主な原因について見てきましょう。エアコン故障の原因としては、次のようなことがあります。
経年劣化
エアコン故障の原因の多くは、長期使用による経年劣化です。経年劣化により、エアコン本体やパーツ・室外機などに不具合が生じ、動かなくなってしまうケースは多くあります。
エアコンの寿命は機種により異なりますが、一般的に10~15年が目安です。
メーカーが定めるエアコンを安全に使える期間である「標準使用期間」は多くのメーカーで10年となっています。購入から10年以上経過しているエアコンでは、経年劣化が発生しているケースがほとんどで、故障しているか、いつ故障してもおかしくない状況です。なお、エアコン寿命のサインには、次のような状態があります。
・異音や異臭 |
・室内機からの水漏れ |
・冷暖房が効かない |
・漏電ブレーカーが落ちる |
・操作できない |
エアコン本体に、製造年や標準使用期間が記載されているので、一度確認しておくとよいでしょう。また、
10年を経過していなくても使用頻度が多い場合は劣化が早まり、故障してしまうケースも珍しくありません。定期的にエアコンの状態や使用状況などを確認するようにしましょう。
汚れ
経年劣化以外で故障の原因として多いのが、フィルターやドレンホースなどにたまった汚れです。エアコンの効きが悪い場合や風が弱いと感じる場合は、フィルターの汚れが原因となっている可能性が高いでしょう。また、室外機周辺の環境が悪いことで故障につながる場合もあります。汚れが原因の不具合の場合は、汚れを取り除くことで対処できるケースもあるので、一度清掃してみるとよいでしょう。
最近は、自動掃除機能付きのエアコンもありますが、掃除機能付きのエアコンでもお手入れが必要な機種もあります。説明書を確認し、適宜清掃してエアコンを長持ちさせるようにすることが大切です。
害虫
エアコン内部に、ゴキブリなどの虫がいることで故障につながってしまう場合もあります。ドレンホースや貫通穴から室外の虫が入り込むケースや室内機に直接虫が入り込むケースは珍しくないのです。エアコンに虫が入り込んだ状態では、フンや死骸によって故障が発生する可能性があります。さらに、漏電・火災が発生する恐れもあるので、そのまま使用するのはおすすめできません。虫が入り込んでいるようなら、なるべく早めに対処するようにしましょう。
エアコン清掃にかかる費用
エアコン清掃は、カビ取りや内部の細かい部分までのホコリ取りなどが必要になるものです。基本的には、専門の清掃業者に依頼することをおすすめします。
業者に依頼する場合、気になるのはやはり費用でしょう。エアコンクリーニング費用の相場は、1台につき8,000円~1万円ほどです。ただし、業者やエアコンの機種・清掃内容・オプションによっても異なるので、事前に見積もりをとって依頼するようにしましょう。
大家さん自身で清掃する際の注意点
エアコン清掃は、業者ではなく自分ですることも可能です。大家さん自身で清掃すれば、その分費用を抑えられます。ただし、異臭やカビ・害虫などが発生している場合は、自分だけでは清掃しきれないものです。また、細かいパーツの取り外しなどでミスしてしまうと、故障につながってしまう可能性もあります。業者依頼の費用は抑えられますが、清掃が不十分になる場合や慣れない作業による故障や自身のケガにつながる可能性もあるので、業者に依頼することをおすすめします。
入居中の費用負担はどうする?
エアコンクリーニングの費用負担は、クリーニングのタイミングや程度によって負担者が異なります。
入居中のエアコンクリーニング費用は、基本的に入居者が負担するものです。入居後の異臭や汚れの場合、入居者の使い方やメンテナンスが原因と見なされるため、入居者負担となるケースが多いでしょう。ただし、故障の場合の修理費は大家さんが負担する必要があり、クリーニングについても契約内容や大家さんによって対応が異なるのが現状です。
入居者負担にしたい場合は、契約書に明記しておくとよいでしょう。
エアコンクリーニング業者の選定基準
エアコンのクリーニング業者は、大手や地域の中小企業などさまざまな業者があります。費用だけでなく仕上がりも業者によって大きく異なるため、せっかく費用を出して依頼するなら、
信頼できる業者を選ぶことが大切です。業者選定のポイントには、次の3つがあります。
・技術力がある |
・顧客への対応が良い |
・費用が相場とかけ離れていない |
技術力がある
エアコン清掃は、エアコンの分解や専門的な清掃技術が必要になるものです。技術がない人が清掃すると、エアコンの故障やすぐにカビが発生してしまうなどのトラブルに発展する可能性があります。また、さまざまな機種やタイプがあるので、業者によっては対応してくれない場合もあるのです。業者を選ぶ際には、できるだけ実績が多く、技術力のある業者を選ぶようにしましょう。
顧客への対応が良い
顧客対応が良い業者を選ぶと気持ちよく依頼できます。
・接客がていねい |
・相談しやすい |
・土日も対応してくれる |
・チャットなどが使えてレスポンスが早い |
たとえば、電話での対応が悪い業者の場合、実際に作業に来るスタッフの対応も悪い可能性があります。電話連絡や見積もり時の対応、口コミの評判などでも対応の良し悪しがある程度分かるので、対応が良い業者を選ぶようにしましょう。
費用が相場とかけ離れていない
エアコンクリーニング費用は、業者によって大きく異なるものです。事前に複数業者に見積もりを依頼し、比較したうえで検討することをおすすめします。この際、費用が相場と大きくかけ離れていない業者を選ぶことが大切です。複数の業者に見積もりを依頼すると、大まかな相場が見えてきます。相場より高い業者はコストがかかりすぎてしまいますが、低すぎる業者も注意が必要です。
費用が低すぎる場合は清掃が不十分であったり、後から追加料金が請求されたりする可能性があります。清掃内容や追加費用についてしっかりと確認したうえで、コストと求める仕上がりを慎重に検討して業者を選ぶようにしましょう。
エアコンの故障を防ぐためにできること
エアコンは一度故障してしまうと、大きな費用がかかってしまいます。故障を防いで長持ちさせるには、定期的なメンテナンスが欠かせないものです。入居者退去のタイミングでクリーニングする以外にも、次のような方法で故障を防げます。
入居者にこまめなフィルター清掃をお願いする
エアコンの掃除不足は、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、故障の原因となるものです。また、入居者は設備を大切に使用する「善管注意義務」があり、清掃不足による故障はこの義務に違反する可能性があります。契約時に、エアコン清掃について契約書に記載し、口頭で伝えるようにしましょう。とくに、夏前や冬前などの稼働が多くなる時期に故障してしまうと、業者の対応も遅くなる可能性があります。この時期の前に試運転やフィルター清掃などをしてもらえるように周知することも大切です。
定期的にエアコンを交換する
エアコンの場合、設置から10年以上経過しているなら新品への交換を検討することをおすすめします。故障していない場合、大家さんにはエアコンの交換義務はありません。しかし、古いエアコンのままでは、入居者から設備の交換を求められるケースもあるでしょう。交換義務がないので交換に応じる必要はありませんが、入居者とのわだかまりに発展する可能性はあります。また、あまりに古いエアコンが設置されていると、新しく入居者を募集する際にネックとなる場合もあるでしょう。
2020年の民法改正では、賃借物の一部が故障などにより使用できなくなった場合、入居者に過失がなければ、その分の家賃を減額できるように定められています。あまりに古いエアコンは、使い続けていても、すぐに故障する可能性が高いものです。故障だけでなく、入居者とのトラブルや家賃減額にまで発展するケースもあるため、定期的に交換することをおすすめします。
まとめ
エアコンクリーニングの必要性や故障予防に何ができるのか、この記事を参考にご一考いただければと思います。エアコンクリーニングを入居者退去のタイミングですることで、入居者へのアピールになるだけでなく、エアコンの故障も防げます。エアコンが故障してしまうと、修理費用だけでなく、大家さんにとって大きな負担になるものです。エアコンは、入居者にも協力してもらい定期的なメンテナンスをしたうえで、退去時には業者を慎重に選び、エアコンのクリーニングをすることが大切です。
この記事の監修者
逆瀬川 勇造
【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。
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