閑散期の空室対策って何をしたらいいの?繁忙期・閑散期にすべきこと

2024.07.24更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

閑散期の空室対策って何をしたらいいの?繁忙期・閑散期にすべきこと

賃貸経営の1年の動きをおさえたうえで、閑散期にできる(すべき)空室対策についてご紹介をいたします。

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目次

賃貸経営の繁忙期と閑散期

賃貸経営の繁忙期は、進学や就職などで新生活準備をする方が多い1月から3月です。入居検討者の数は3月のピーク後、4月から落ち込み、12月にいたるまでほぼ横ばいで推移します。

なかでも8月、12月はとくに落ち込みます。つまり、繁忙期を逃すと、次の入居者は決めづらいといえます。

繁忙期以外は空室が埋まらない?

一般的に転勤が多いと言われる7月、10月など、繁忙期以外でも賃貸物件を探す人の動きはありますので、繁忙期を逃しても絶対に空室が埋まらないわけではありません。

しかし、1月から3月の繁忙期における入居検討者数に比較すれば、閑散期の人の動きは少ないです。1月から3月の繁忙期が賃貸経営において大切な時期であると認識し、繁忙期に向けて閑散期に十分な準備を整えておく姿勢を忘れないようにしましょう。

理想は繁忙期を見据えて準備をしておくこと

賃貸経営の閑散期に、繁忙期を見据えた準備・行動をすることで、退去者の発生を防ぎ、入居者募集を効率的に行えるため、空室の発生を抑制できます。

大家さんとして閑散期および繁忙期にどのように動くのが理想的なのかについて、簡単にご説明いたします。

条件の見直しや棚卸しをする閑散期

閑散期には、繁忙期に協力を仰ぐためにも管理会社や不動産会社との関係づくりを強化しておきましょう。また、繁忙期において、空室が想定どおり埋まらなかった場合には、入居条件の見直しについて検討も必要です。

また、空室の原因として建物および設備の劣化などが考えられる場合には、リフォームを行うなど物件価値の向上のための時間に充ててもよいでしょう。

迅速な対応が成約のカギとなる繁忙期

繁忙期は、スピード感が肝要です。入居検討者の動きについて管理会社や不動産会社との情報共有を行い、内見希望者がある旨の連絡を受けた際には、要望や質問にすぐに回答できるように準備をしておきましょう。

閑散期の空室対策としてできること

前段で、閑散期の動きについて簡単にご説明しましたが、さらに詳しく閑散期の空室対策としてできることについて、ご説明いたします。

まずは現状把握から

やみくもに空室対策を講じてはいけません。まずは、所有物件の現状把握をしましょう。周辺類似物件の調査を行い、満室経営を行っている物件と、所有物件でどのような点が異なるのかを比較してみましょう。

その結果から空室が生じる原因を大家さんとして把握し、どのような改善を行えばよいかを検討しましょう。周辺類似物件の調査は、不動産ポータルサイトでの周辺物件検索、日ごろお付き合いのある管理会社や不動産会社へのヒアリング(ヒアリング内容例:人気物件と所有物件の相違点、所有物件の強み、人気設備・サービスなど)を通じて行えます。

既存入居者へのアプローチ

また、現状把握をするために、既存入居者へのアプローチを図るのも一案です。既存入居者を大切にして、長期入居をしてもらうほうが、広告費やリフォームに費用をかけるよりも、空室対策としては効率的です。

共用部分の清掃頻度を上げたり、設備修理・交換などに迅速に対応したり、既存入居者に安心感を持ってもらえるように努めましょう。長期入居者特典を設ける検討をしてみるのもよいでしょう。

また、定期的に入居者アンケートを実施し、困りごとや要望を把握し、対策を講じるのも効果的です。退去につながる不満の芽を早い段階で摘み取れば、住みよさを感じてもらえるため、長期入居につなげられるでしょう。

契約更新の前倒しを促すという方法も

契約更新月よりも前に、退去予定の有無を確認したり、契約更新月よりも前のタイミングで更新手続きを行ったりする方法もあります。

社会人であれば転勤、学生であれば卒業などのやむを得ない理由で退去予定にしている方もあるでしょう。あらかじめ、退去予定の把握ができていれば、早めに入居者募集の準備を進められます。

また、契約更新月よりも前に更新手続きを行ってくれた入居者にプレゼントやサービスなど特典を用意するなどの促しもあるとよいでしょう。入居継続者の把握を行うことで、気持ちに余裕を持って繁忙期への準備を進められるでしょう。

入居検討者へのアプローチ

閑散期には、入居検討者へのアプローチについても検討を進めておきましょう。

初期費用を緩和する

入居検討者にとって、初期費用は大きな負担です。その負担が少しでも軽減される物件は魅力的に感じてもらえるでしょう。初期費用を軽減する方法としては、以下のようなものが挙げられます。いずれも、家賃そのものを減額するものではないため、継続的に家賃収入が減少する家賃減額よりも小さな収入減で効果が期待できます。

・フリーレント
入居後一定期間家賃を無料とする方法です。一般的に、フリーレントの期間を1か月としているケースが多いです。周辺に、フリーレントを実施している物件がなければ、大きな強みとなります。

・敷金礼金の減額
敷金礼金を軽減またはゼロにするという方法です。この方法をとっている物件も多くなってきました。確かに敷金礼金を軽減またはゼロにすることで、新規入居時の一時的な収入は減少します。しかし、空室が長く埋まらない状態が継続するよりも、賃貸経営の収支への影響は少ないでしょう。

物件の魅力を整理する

周辺類似物件の調査などで、所有物件の強みや魅力を整理し、広告宣伝でどのようにアピールするのが効果的なのかについて検討しましょう。

不動産会社の店頭に張り出されるマイソクのブラッシュアップ、家具などをレンタルするなどして物件演出を行って生活をイメージさせるホームステージングなども、物件の魅力をアピールするために効果的な方法です。もちろん、日ごろから室内清掃を行い、清潔感のある状態を維持するのも大切な姿勢です。

不動産会社へのアプローチ

いくら物件の魅力向上に努めても、不動産会社が入居検討者に所有物件を紹介してくれなければ、入居にはつながりません。不動産会社に、所有物件を紹介したいと思ってもらえるアプローチが必要です。

物件の認知を上げる

閑散期にも定期的に不動産会社に出向き、入居者の動向をヒアリング内容したり、改善点を相談したり、と熱心な大家さんであると印象付けましょう。

物件周辺のこまめな清掃や迅速な設備修理・交換を行う姿勢も日ごろからしている姿も印象付けると、結果として物件の認知度を上げることにつながるでしょう。

広告宣伝費(AD)をつける

不動産会社は仲介手数料以上の報酬を受け取ることは禁止されています。そのため、別途広告宣伝費(AD)を支払ってもらえる物件の紹介に熱が入るのは、当然な流れでしょう。不動産会社に広告宣伝費(AD)の増額をする意向がある旨を伝え、紹介を促しましょう。

管理会社へのアプローチ

管理会社に、日ごろの管理業務を委託している場合には、管理会社へのアプローチも必要です。管理会社に寄せられている困りごとや要望の有無を確認しておきましょう。

また、入居者アンケートを通じて、管理会社への要望を把握し、改善を図ってもらえるように相談する必要もあります。なお改善に応じてもらえない場合には、管理会社の見直しを検討するのもよいでしょう。

家賃の値下げは最終手段、意識すべきはキャッシュフロー

空室対策として、家賃の値下げを図るのは、最終手段と心得ておきましょう。家賃をいったん値下げしてしまうと、値上げに転じさせるのは大変難しく、当初の資金計画との相違が生じます。

また、家賃減額を知り得た既存入居者から不平不満が生じる可能性もあります。結果として、既存入居者からも家賃減額の要望がでたり、大家さんの対応に納得できず退去に至ったりして、キャッシュフローに大きな影響が生じることも考えられます。

キャッシュフローを意識し、今回の記事を参考にして家賃値下げの前にできることはないか、検討および実行するところから空室対策に取り掛かりましょう。

まとめ

大家さんとして賃貸経営の閑散期および繁忙期を踏まえ、各時期の行動計画をあらかじめ考えておくことは大切な姿勢です。繁忙期になってから、慌てるのではなく、先手先手を打てるように閑散期に準備を進めていきましょう。

また、今は空室が生じていなくても、将来的に空室が生じる可能性はゼロではありません。所有物件の強みの把握や周辺類似物件の動向について、日頃からアンテナを張り、情報のアップデートを行いましょう。

それは、所有物件の物件価値の維持・向上に必ず役に立ちます。まずは、所有物件の現状把握から、一歩を踏み出してみましょう。

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キムラ ミキ
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AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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