空室を埋めたい大家さんへ。大家さん自身による入居者募集のアイデアをご紹介します

2024.08.02更新

この記事の監修者

花 惠理
花 惠理

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士

空室を埋めたい大家さんへ。大家さん自身による入居者募集のアイデアをご紹介します

賃貸経営をするうえで「自分でなんとか空室を埋めたい!」という大家さんへ「入居者募集」のアイデアをご紹介します。

この記事のポイント
  • 自主的に客付けを行う場合は、空室期間を長期化させない工夫が必要です。
  • 不動産会社の仲介を利用しない場合は仲介手数料や広告宣伝費(AD)といった費用を削減できます。
  • 入居者募集は、地元密着型の情報サイトを使うのもおすすめ!

自主客付けを行う場合は期間を決めて挑戦するなど、
空室期間を長期化させないよう工夫することが大切です。

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目次

空室を埋められるのは、不動産会社だけ?

賃貸経営において代表的なリスクと言えば「空室リスク」でしょう。賃貸経営では入居者からの家賃収入が主な収益となりますから、入居者がいなければ収益がなくなってしまいます。そのため、空室が長引くと大家さんにとっては痛手ですよね。

一般的には、空室の入居者募集は不動産会社が行います。もっと具体的に言えば、大家さんが管理委託契約を結んでいる不動産会社や、媒介契約を結んだ不動産会社が客付けのために募集活動を行うのです。

しかし、必ずしも不動産会社だけが客付けできるというわけではなく、大家さん自身で入居者の募集活動ができる場合もあります。大家さん自身が入居者募集をできるかどうかは、管理会社と結ぶ「管理委託契約」もしくは仲介会社と結ぶ「媒介契約」の内容次第といえます。

たとえば、契約によっては大家さん自身で客付けを行い、管理会社の入居審査を受けない場合は、管理業務を委託できないといった内容が記載されていることがあります。大家さん自身で入居者募集を行う前に、必ず契約書の条項を確認することをおすすめします。

大家さん自身による入居者募集とは?

大家さん自身による入居者募集にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、大家さん自身による入居者募集「自主客付け」の利点や留意点について解説します。

大家さんによる自主客付けの利点

不動産会社を仲介しない、大家さん自身による「自主客付け」には利点があります。ここでは、代表的な利点をご紹介しましょう。

1.費用がかからない

不動産会社に仲介を依頼すると、多くのケースで仲介手数料や広告宣伝費(AD)といった費用が発生します。一方自主客付けであれば不動産会社の仲介が入らず、貸主・借主の直接契約になることがほとんどでしょう。そのため、自主客付けの利点として、広告宣伝費(AD)や仲介手数料などの費用を節約できるということが挙げられます。

2.賃貸経営の理解につながる

賃貸管理業務を管理会社に委託している場合、賃貸経営に関わる業務を直接行わないという大家さんもいるでしょう。大家さんが自主客付けに向けて行動することで、「入居者募集」という賃貸経営の1つを経験できます。

実際に客付けできた後は、借主との賃貸契約や入居前チェックなどの業務も行うことになるでしょう。自主客付けを行うことで、大家さんの賃貸経営の理解につながるという利点が考えられます。

3.タイムロスが少なくなる可能性がある

不動産会社の入居者募集と並行して自主客付けを行うことにより、活動の幅が広がります。窓口が広がることにより、結果として入居者が早く決まる可能性があるのです。客付けまでのタイムロスが少なくなる可能性があることも、自主客付けにおける利点の1つと言えるでしょう。

自主客付けの留意点

大家さんによる自主客付けには上記のような利点がある一方で、留意点も存在します。ここでは、自主客付けの留意点について解説します。

1.契約関連業務には専門知識が必要

賃貸経営で大切なことの1つは、貸主・借主の間で結ぶ「賃貸借契約」です。契約後に何かトラブルが起こった場合、基本的には契約内容に沿って対応が行われます。したがって、賃貸契約関連業務に関する専門知識がない場合には、借主との賃貸借契約の内容が不十分である可能性があるのです。

賃貸契約を結ぶ時には、借主の火災保険手続きや入居前チェック、鍵受領書の取り交わしなどの業務も行われています。大家さん自身で契約関連業務を行う場合は、入念な準備が必要です。

なお、借主との契約業務に不安を感じる大家さんは、契約業務のみを外注するという手段も考えられます。不動産会社によっては相談に応じてもらえることがありますので、1度相談してみるのもよいでしょう。

2.引き際を決める

大家さんが自主客付けを行う目的は「早く入居者を決めること」ですよね。ですから、大家さん自身での客付けにこだわった結果、空室期間が長期化しまうことになっては本末転倒です。

自主客付けではなく、不動産会社に客付けを依頼した方が結果的に早く入居者が決まることも考えられます。自主客付けを行う場合は、大家さん自身の引き際を決めておくことも大切でしょう。

自主客付けのアイデアをご紹介!

ここでは、自主客付けのアイデアをご紹介します。自主客付けを検討している大家さんは、ぜひ参考にしてみてください。

インターネットを活用

近年では、インターネットで部屋探しを行ってから不動産会社に来店している人が多くいます。一般的な不動産ポータルサイトは不動産会社でないと登録できないことが多いのですが、中には大家さんが利用できるWebサイト・アプリが存在します。ここでは、大家さんが利用できるWebサイトやアプリについてご紹介しましょう。

1.大家さんと入居者のマッチングサイトを利用

たとえば、大家さんと入居者をマッチングするサイト「ウチコミ」が挙げられます。ウチコミでは、広告料・掲載費用が無料。投稿すれば100%掲載してもらえるという特徴があります。

また、物件の内見・契約をエージェント(不動産会社)に行ってもらえるので、入居者との契約などに不安を抱えている大家さんも安心です。ただし、仲介手数料としてエージェント(不動産会社)に「家賃1か月分+消費税」の支払いがあります。

2.地元密着型サイトを利用

自主客付けの方法として、地元密着型サイトの利用も考えられます。地元密着型サイトの代表的なものとしては「ジモティー」が挙げられます。ジモティーはWebサイトのほか、スマートフォン向けのアプリもあります。

ジモティーは、近隣で暮らす人と交流のできる無料サービスです。ジモティーでは不要品の取引やサークルメンバー募集のほか、賃貸不動産の入居者募集の広告なども投稿することができます。

ジモティーの特徴として、掲載手数料が無料、ジモティーは大家さんと入居者の間に入らないという点が挙げられるでしょう。したがって、大家さんと入居者が直接やり取りを行い、契約することになります。ですから、仲介業者に支払う仲介手数料はかかりません。

掲載手数料無料・仲介手数料無料というメリットがある一方で、入居者募集に関するすべての業務を大家さん自身で行わなければならないという面があります。入居者と直接やり取りを行いますので、トラブルにならないよう十分に注意して対応しましょう。

3.SNSを利用

TwitterやInstagramなどのSNSを利用して入居者を募集する方法があります。SNSに写真と物件情報を掲載し、入居希望者と直接やり取りを行います。大家さんが1人で入居者募集に関する業務のすべてを行うことになりますので、事前に業務内容を把握しておく必要があるでしょう。

紹介を活用

自主客付けの方法として、紹介の活用をすることが挙げられます。ここでは、紹介の活用方法の例を解説します。

1.現入居者からの紹介

現入居者にチラシなどで案内をして、新たな入居者を紹介してもらう方法です。現入居者からの紹介を行ってもらうために、何かお礼を用意しておくとよいでしょう。たとえば、商品券やクオカードの配布、家賃1か月フリーレントなど。現入居者や新しい入居者が魅力に感じてもらえる特典を考えましょう。

2.退去する方からの紹介

現入居者だけでなく、退去する方からの紹介も見込めるでしょう。たとえば学生アパートでは、卒業する先輩がアパート探しをしている後輩に紹介することが考えられます。上記と同じく紹介キャンペーンの特典を用意することで、新しい入居者の紹介が期待できるでしょう。

生協を活用

学生がメインターゲット層である物件では、生協を活用する方法も考えられます。大学生協では、合格発表後に新入学者に対して物件の紹介を行っています。大学によっては、生協内で物件広告が貼り出されることも。

生協で物件情報の冊子を作っていることがありますので、掲載の依頼を行うのもよいでしょう。冊子やHPへの掲載に手数料がかかることがありますので、詳しくは物件近くの大学生協に確認してみましょう。

チラシを活用

物件概要や写真を掲載したチラシを作成し、近隣にポスティングすることも自主客付けにつながる可能性があります。「転居しようかな?」と思わせられるよう、ご自身の物件の魅力が十分伝わる募集チラシを作ってみましょう。パソコンが得意なら専用ソフトも出ていますので、活用してみてもいいでしょう。

まとめ

今回は、大家さん自身が行う「自主客付け」の利点や留意点などを解説しました。自主客付けを行うことで、仲介業者に支払う広告宣伝費(AD)や仲介手数料などの費用を節約できるという利点はありますが、不動産のプロに依頼しない自主客付けだけでは入居付けがうまくいかない可能性も考えられます。

自主客付けを行う場合は期間を決めて挑戦するなど、なるべく空室期間を長期化させないよう工夫することをおすすめします。

自主客付けを行う場合は期間を決めて挑戦するなど、
空室期間を長期化させないよう工夫することが大切です。

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花 惠理
花 惠理

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士

大学卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務し、不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの業務に携わる。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。初心者にもわかりやすい言葉で解説している。

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