空室対策でペット可物件に変更するために準備しておくべきこと

監修キムラ ミキ

  • 公開日:
  • 2019年05月20日
  • 更新日:
  • 2019年08月30日
空室対策でペット可物件に変更するために準備しておくべきこと
現在の日本では、15歳以下のこどもの数よりも犬や猫の数が大きく上回っており、ペット市場は毎年成長し続けていると言われています。これに伴い、ペット可物件も増加傾向にあると思いがちですが、鳴き声や臭いが心配という理由から、ペットの飼育を許可している大家さんは多くありません。この記事では、空室対策のためにペット飼育の許可を検討している方々に、リスクとその回避策、また、事前に準備しておくべきことをお伝えしていきます。

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目次

ペットを飼育する人は増えている

一般社団法人 ペットフード協会が行った「平成30年全国犬猫飼育実態調査」によると、全国の推計飼育頭数は、犬が890万3千頭、猫が964万9千頭となっており、犬と猫を合わせると、飼育頭数が増加しています。その背景も影響していると思われますが、検索キーワードに「ペット相談可能」というキーワードがあったり、賃貸物件検索サイトのトップページにペット可(相談)物件の特集ページへのリンクが張られていたりと、ペット飼育を可能とする物件に注目が集まっています。

ペット可の物件は少ない?

エリア掲載物件数ペット可物件数
東京都253,603件38,227件
埼玉県69,034件10,740件
千葉県84,698件12,116件
神奈川県141,066件18,495件
合計575,401件79,578件

上記はスマイティで掲載している物件情報です(2019年3月19日時点)。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の物件を見てみると、総数はおよそ57万件。その内、ペット可物件はおよそ8万件となっており、その割合は13%程度であることが分かります。犬や猫の飼育頭数が増えている一方で、ペット可物件はまだまだ少数となっているのです。

以下よりペット可物件を調べることができます。

ペット可の物件が少ない理由

ペット飼育を可能とする物件が少ないのはなぜなのでしょうか。

ペットの種類や大きさにもよりますが、ペット可とすることで様々なリスクが生じるからです。ペットの鳴き声は、ペットを飼育していない人からすれば騒音です。その他にも、ペット独特の悪臭が生じることもあるでしょう。このような理由から、今までの住環境が損なわれることになり、入居者間トラブルに至ってしまうことも十分に考えられます。

また、ペットの飼育状況によっては、物件の損傷も考えられます。大家さんと入居者の間で、退去時の原状回復をめぐるトラブルが生じる可能性もあります。このようなリスクがあるために、ペット飼育を可能物件とすることに二の足を踏む大家さんが多いのでしょう。

ペット可に変更することで期待できること

ペット飼育を可能とすることで、先に述べたようなリスクは考えられますが、ペット飼育が可能な物件に変更することで、期待できるメリットもあります。

入居率アップが期待できる

まず、考えられる期待として、入居率がアップすることが挙げられます。先に挙げた一般社団法人ペットフード協会が行った「平成30年全国犬猫飼育実態調査」によると、今後の飼育意向率は、犬が20.7%(現在の飼育率は12.6%)、猫が15.8%(同9.8%)となっています。ペット飼育ができる環境が整えばペットを飼いたいと考えている人のニーズを満たすことで、周辺物件との差別化を図り、入居率のアップにつながる可能性があります。

収益改善が期待できる

入居率がアップすれば、家賃収入が増加します。ペットを飼育することが可能な物件は少ないため、長く入居してもらえる可能性が高いでしょう。その結果、賃貸経営の収益改善にもつながります。

ペット可にする前に準備をしておこう

賃貸物件をペット飼育可能とすることには、メリットもあればデメリットもあります。先に挙げたようなリスクを避けるためには、事前の準備が重要です。

ペット可に変更する前に準備しておきたいこと

ペット飼育可能な賃貸物件に変更する前に、どのような準備を行っておけばよいのでしょうか。リスクを回避するために、事前に準備しておきたいことを整理しておきたいと思います。

入居者への変更通知を準備する

まずは、既存入居者への変更通知を行いましょう。通知を行わず、ペット飼育可能物件に変更した場合、既存入居者からのクレームや入居者間のトラブルが発生し、最悪の場合、既存入居者が退去してしまう可能性もあります。

変更通知はいつまでに行えばよいかという明確な規定はありません。ペット飼育可能な物件になるのであれば退去するという既存入居者も存在するでしょう。そのような事情に配慮するためにも、変更予定時期から半年くらい余裕をもって通知を行いましょう。また、通知方法としては、エントランスの掲示板などへの掲示も考えられますが、一方的な印象を与えるので避けたほうが無難です。

ペット飼育可能物件に変更することについて、既存入居者に対するアンケート調査をとり、合意形成を整えた上で、改めてペット飼育可能物件への変更通知を配布するのも一案です。既存入居者の意向も踏まえた上での変更通知となるため、「大家さんの一方的な意向」という印象を和らげることにもつながるでしょう。

敷金設定の変更を検討する

ペット飼育可能物件にすることによるリスクでもふれましたが、ペットの種類や大きさ、飼育状況によっては、物件損傷が生じることもあります。そのため、退去時のリフォーム費が高額になる可能性もあります。ペット飼育可能物件が一般的に、敷金の金額を1か月分多く設定していることが多いのは、そのような理由があるからです。ペット飼育可能物件に変更する際には、敷金設定の変更も検討しておきましょう。

契約書に設ける特約内容を検討する

入居者間のトラブルや、原状回復義務に関するトラブルを回避するために、契約書にペット飼育時の特約内容を明記しておきましょう。

<特約内容の例>
 ・原状回復の内容(壁紙の張替え、室内消臭、室内消毒など)
 ・飼育するペットの種類限定、予防注射などの義務
 ・物件損傷の予防措置(床面をカーペット等で保護することの指定など)
 ・排泄物管理
 ・遵守事項の確認

ペット用の設備を整える

賃貸物件をペット飼育可能物件に変更する上で、資金に余裕があるのであれば、ペット用の設備を整えておくことで、入居者間のトラブルや物件損傷を回避することもできます。ペット用の設備には、様々なものがありますが、一例を以下に挙げます。

・ペット対応壁紙
居室の壁紙をペット用の壁紙にすることで、物件損傷を予防することができます。ペット用の壁紙は、丈夫でキズにも強く、汚れも付きにくく、抗菌防カビ機能が備わったものもあります。

・ペット対応フローリング
一般のフローリングの場合、ペットが滑りやすくキズも付きやすい可能性があります。ペット対応フローリングにすることで、ペットが滑りにくく、フローリングの損傷も防ぐことができます。

・ペット専用の足洗い場
ペットの足を建物内に入る前に洗うことができるもので、エントランス付近に設置してあると、建物内が汚れることを防ぐことができます。

この他にも、ペット用の設備には様々なものがありますので、導入を検討してみるとよいでしょう。

ペット可に変更する際の注意点

ペット飼育可能物件に変更する際の注意点として、次のことにも留意しておきましょう。

ペット不可に戻すのは難しい

ペット飼育可能物件に変更してから、ペット不可物件に戻すことは難しいと考えておきましょう。なぜなら、冒頭でもお話した通り、ペット飼育可能物件はまだまだ少ないため、ペットを飼育している既存入居者は容易にその申し入れを許諾せず、大きなクレームに発展する可能性が高いからです。

まとめ

ペット飼育が可能な物件に変更することで、リスクはあるものの、入居率や収益改善など期待できるメリットもあります。しかし、実際にペット飼育が可能な物件に変更するためには、事前の準備が重要です。まずは、時間をかけてでも既存入居者の同意を得た上で、ペット飼育を行う新規入居者に対するルール作りを慎重に行い、大家さんとして、入居者に住みよい環境を提供することを第一に考えていきましょう。

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キムラ ミキ

監修キムラ ミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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