はじめる前に調べておこう!賃貸物件のリノベーションにかかる費用ってどれくらい?

監修中村 裕介

  • 公開日:
  • 2020年03月09日
  • 更新日:
  • 2020年12月09日
はじめる前に調べておこう!賃貸物件のリノベーションにかかる費用ってどれくらい?
所有物件のリノベーションを考えた時、まず気になるのが費用ですよね。リノベーションはリフォームと違って、間取りを変更したり、内装や外装を変更したりと大規模に行うものが多いです。この記事では、リノベーションを考えている大家さんに向けてリノベーションでかかる費用、そして低予算でできるリノベーションについて詳しくご紹介していきます。

目次

どんなリノベーションにしたい?

リノベーションを成功させるには、リノベーションの目的と内容をしっかりと考える必要があります。まずは、リノベーションの基本的な考え方、目的の重要性、押さえておくべき点について解説します。

リノベーションの基本的な考え

リノベーションとは、物件の価値を上げる、価値を追加する作業のことです。一方、リフォームは原状回復、つまり元の状態に戻す作業といえます。リフォームが壁紙の変更や設備交換など部分的な修理・補修を行うのに対して、リノベーションの工事は、壁を取り除くなどの間取りの変更、設備位置の変更や設備自体の変更など、より大規模な変更を実施します。

リノベーションを行う目的

リノベーションを行う前に、リノベーションの目的を明確にすることが重要です。単身者向けの物件にすることが目的の場合は2LDKを1LDKに変更して広い空間を作るなど目的やターゲットに応じて工事内容が定まります。リノベーションを行う際に迷わないためにも、目的を明確にすることはとても大切です。

リノベーションを行う前に押さえておくべき点

リノベーションの前に押さえておくべき点は、内容によっても変動はありますが、大きな費用がかかる点と、リフォームよりも工事期間が長くなる点です。一度全ての内装と設備を取り払った状態からの工事であるフルリノベーションの場合、平均で1m2あたり10~15万円程度がかかります。60m2のフルリノベーションの場合だと、費用は約600〜900万円になります。また、工事期間は約1.5〜3ヶ月程度で、費用と同様に工事内容によって変化します。

リフォーム減税について

リフォーム減税は、マイホーム(自己居住用住宅)のリフォーム・リノベーションを行った際に利用できる減税制度ですが、賃貸物件用の物件については適用することができません。

しかし、リノベーションの内容によって、賃貸物件でも補助金を受けられる可能性があります。2017年10月から施行されている「新たな住宅セーフティネット制度」では、国からの補助の場合、補助金は最大で50万(補助率最大1/3)、国と自治体からの補助の場合、補助金は最大で100万(補助率最大2/3)が受けられます。

ただし、補助金を受ける要件として、家賃の設定に制限がかかる、10年以上は特別に配慮が必要な人(入居者を高齢者や障害者、新婚世帯や子育て世帯など)に限定されるといった要件が定められています。制度を活用する前に、入念に要件を確認する必要があります。

リノベーションの相場を確認

ここからは、リノベーションの費用相場について確認していきましょう。

リノベーション費用の内訳

一般的にリノベーション費用は、人と資材・設備の2つに大きく分けられ、それぞれの内訳は以下のような項目となります。

1.人に関する費用
・建物構造や設備に関する資料や図面作成などの作業にかかる設計費
・リノベーションのプランを形として具体化する作業にかかるデザイン費
・リノベーションの工事に従事する人の人件費

2.使用する資材や設備の費用
・天井や床材、壁材などの建材費
・キッチン、バス、トイレなどの機材費

ポイント1:広さ・面積

施工する面積に比例して費用は増えていきます。例を挙げると、床材や壁紙は広さに応じて資材が必要になり、施工にかかる時間が増えて施工費も増大します。

ポイント2:間取り

3LDKを2LDKにするなどの間取り変更があると費用は増えます。間取り変更の場合、単純に壁を取り払うだけでなく、壁があった部分の床や壁の補修が必要になるため、費用は高くなることが多いです。さらに2つの部屋をつなげた後の、床や壁の印象を統一するために全体的に床や壁紙の張り替えなどを行う可能性もでてきます。

ポイント3:デザイン

デザインや設備は、一般的な施工であれば安価に、あまり使われない素材を使用するものだと高価になります。壁紙を貼り替えるだけなら材料費も安価で職人も慣れていることが多いので、施工時間も短く、全体の費用は安めになります。しかし、自然素材にこだわって珪藻土や漆喰などの塗り壁にする場合は、材料費も高く施工時間も長くなるので、壁紙での施工よりも2〜3倍の費用がかかるケースもあります。

ポイント4:物件の階数

物件の階数が高ければ高いほど、資材運搬に時間がかかり、その分工賃が増えます。

リノベーション費用が高額である理由

リノベーションの費用は高額で、数百万円単位になるのが一般的です。原状回復を目的とするリフォームの工事は、壁紙の変更や一部の設備の交換など部分的なものですが、リノベーションの場合は設備配置の交換や、間取り変更などの解体を含む大規模な工事内容になることが多いため、高額になる傾向があります。

リフォームローンは有効?

各金融機関が提供している一般的なリフォームローンは、マイホームを対象としており、賃貸物件のリノベーションは対象外であることが多いため、利用要件を事前に確認することが重要です。住宅ローンに比べると金利が高く、またノンバンク系の場合は銀行よりも金利が高くなります。リフォームローンを利用する場合、まず自分が融資を受けている金融機関に相談に行くことをおすすめします。
その他、リノベーションのための資金調達先としては、低金利で担保も不要な日本政策金融公庫がおすすめです。

リノベーションは費用対効果を考えることが大切!

賃貸経営を行う上で収益性の向上は最も重要なことです。収益性向上のためには、費用対効果はしっかりと考える必要があります。ここではリノベーションの費用対効果を検討するための各ポイントについて解説します。

経費率

賃貸経営の経費率は一般的には10〜15%とされています。経費率は、収入に占める経費の割合であり、例えば年間の家賃収入が2,000万円であった場合、およそ200〜300万円が一般的な経費の目安となります。リノベーションの費用は多くの場合、数百万円単位となるため、経費率の視点から工事内容を精査し、力を入れるべき点、諦めるべき点を見極めることが重要です。

利回り

リノベーションの年間利回りは、以下の計算式で計算できます。

リノベーションの年間利回り
リノベーションで増加した年間賃料÷(投資費用-礼金などリノベーション効果による諸収入)×100

※投資費用:リノベーション費用-原状回復のみの場合の費用。リノベーションを行うタイミングは、入居者が不在で原状回復が必要なケースが多いため。
例えば、家賃10万円の賃貸物件で、費用が300万円のリノベーションを実施した結果、毎月の賃料が1.5万円上がって11.5万円になり、さらに1ヶ月分の礼金を設定できた場合、このリノベーションの利回りは以下のように計算されます。(原状回復のみの費用は100万円とします。)

リノベーションの年間利回り
1.5万円×12ヶ月÷(300万円-100万円-11.5万円)×100=約9.5%

低予算・短期間でもできるリノベーションのポイント

・業者によって費用が異なる
基本的にリノベーションは費用の大きな工事となりますが、工夫によって低予算・短期間で行うことも可能です。まず、大手リノベーション業者より、地元の工務店を選ぶ方が、費用面では安くなる場合が多いです。なぜなら、大手企業はたくさんの宣伝広告費を使い、それらの諸経費がリノベーション費用に上乗せされているからです。

一方、地域密着型の小さな工務店などはそのような諸経費をかけていないことが多いため、費用を抑えることが可能です。ただし、必ずしもすべて当てはまるわけではないため、基本的には、複数の業者から相見積もりをとり、金額や期間を確認し、素早く仕上げてくれる業者を選ぶようにしましょう。

・プチリノベーションという方法も
業者によっては、短期間で低価格の小規模リノベーションであるプチリノベーションというサービスを提供している会社もあります。プチリノベーションとは、リフォームの目的である原状回復に加えて、リノベーションのように物件の価値を上げる施工を行う工事のことです。

具体的には、オリジナリティのある壁紙の交換と塗装、床材の張り替え交換、水回り設備の施工も行われます。工期は最短で3日程度と短期間のうちに実施することが可能であり、部屋単位での施工も可能です。リノベーションほどの予算はかけられないけれど個性を出して物件価値を上げたい際は、プチリノベーションを検討してみましょう。

まとめ

リノベーションには常に費用の問題がつきまといます。どの業種のどのような業者に頼むかで工事費用は大きく異なります。また、追加工事などにより当初予算より費用が増えることも多くあります。しかし、安かろう悪かろうで肝心のリノベーションの質が落ちては本末転倒です。リノベーション費用を抑えるためには、リノベーションの目的を明確にして内容を確認し、ムダな工事を避け、相見積もりを行うなど、一つ一つのコスト削減法を確実に実行していくことが大切です。

リノベーションの費用対効果について
複数社比較しながら検討していきましょう

中村 裕介

監修中村 裕介

【資格】宅地建物取引士/保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。

商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産と旅行系の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆しています。

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