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外壁塗装費にもっとも影響するのは塗料と面積

アパートやマンションの外壁塗装費は数百万円かかることも珍しくありません。費用が大きいために、その費用の何%かでも抑えることができたら、その後の事業運営に大きくプラスになることでしょう。ところで、外壁塗装費には塗料費用や足場費用、人件費などさまざまな費用項目がありますが、何が一番費用に影響するのでしょうか?
以下で、お伝えしていきたいと思います。
以下で、お伝えしていきたいと思います。
塗料
外壁塗装費に大きく影響を与えるものの1つ目として挙げられるのが、塗料の費用です。外壁塗装に使われる塗料の主なものとしては、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の4種類を把握しておくとよいでしょう。なお、費用相場はアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の順に500円/m2くらいずつ高くなっていきます。
※ただし、フッ素はシリコンより1,000円/m2程度高い
※ただし、フッ素はシリコンより1,000円/m2程度高い
面積
外壁塗装費に大きく影響を与えるものの2つ目は外壁の面積です。外壁の面積は、サッシの数等により多少異なりますが、基本的には延べ床面積の大きさに比例します。なお、外壁の面積を求めるには、延べ床面積から概算で算出する方法のほかに、図面を測って算出する方法や、現地で実際にメジャーを使って測る方法もあります。
延べ床面積500m2(12戸)のアパートの場合
例えば、一般的な2階建てアパート(12戸)で、延べ床面積が500m2であれば200~300万円程度が外壁塗装費の相場です。その他、3階建てアパート(18戸)で延べ床面積が700m2程度であれば250~400万円程度など、面積に応じて相場が高くなります。
また、上記は外壁塗装でもっとも一般的なシリコン系塗料を用いた場合の相場で、コストのかかる塗料を選んだ際には、上記相場以上に外壁塗装費がかかることもあります。
また、上記は外壁塗装でもっとも一般的なシリコン系塗料を用いた場合の相場で、コストのかかる塗料を選んだ際には、上記相場以上に外壁塗装費がかかることもあります。
外壁塗装費を出すために必要な項目

ここでは、外壁塗装費について、塗料費用以外にかかる費用項目をお伝えします。
足場代
外壁塗装をする際には、安定した足場で作業するために、建物の周りに足場を設置するのに加え、隣地に塗料が飛び散らないよう飛散防止シートを設置します。足場代(飛散防止シート含む)の費用相場は、概ね800~1,000円程度です。
養生代
次に、外壁とサッシ部分など、色の異なる部分に塗料がつかないように養生する必要があります。隣接する建物との距離や、敷地内の付属物等によっても異なりますが、400~500円/m2程度が相場です。
高圧洗浄代
外壁など塗装する全ての面に付着した汚れ等を落とすため、高圧洗浄機で洗浄する必要があります。これをしておかないと塗装後早期での塗料の剥がれなどにつながってしまいます。高圧洗浄費用は100~300円/m2程度が相場です。
下地補修代
外壁にひび割れが見える場合に、シーリング材で埋めるなどの補修代としての費用です。費用は下地の程度により異なります。
人件費
外壁塗装を行う職人の人件費です。「人件費」という項目で見積もりに載っていないこともあり、その場合はそれぞれの費用項目に少しずつ加算されています。一般的に、外壁塗装費に占める人件費の比率は3割程度であることが多いです。
外壁塗装費のシミュレーション方法

外壁塗装費に含まれる項目が明確になったところで、外壁塗装費のシミュレーション方法を解説していきたいと思います。
外壁塗装費のシミュレーションの手順
外壁塗装費を算出するためには、以下の手順で進めていきます。
1. 延べ床面積を確認
2. 外壁面積を計算
3. 塗料選定
4. 2で算出した外壁面積と塗料単価で塗料費用を計算
5. 足場や養生、高圧洗浄等の費用を計算して合計を出す
1. 延べ床面積を確認
2. 外壁面積を計算
3. 塗料選定
4. 2で算出した外壁面積と塗料単価で塗料費用を計算
5. 足場や養生、高圧洗浄等の費用を計算して合計を出す
外壁面積の算出方法
外壁の面積は図面から測る方法や実際の建物のメジャーで測る方法がありますが、延べ床面積からおおよその面積を算出する方法もあります。その計算式は以下の通りです。なお、係数は建物の規模によって変わりますが、通常シミュレーションするときは1.2を使います。
実際に計算してみよう
ここでは2,000円/m2のシリコン系塗料を用いて、2階建て12戸、150坪(約500m2)のアパートの外壁塗装を想定して、実際に計算していきます。
1. 延べ床面積を確認
まずは、登記簿謄本や建築図面で延べ床面積を確認しましょう。ここで想定するアパートの延べ床面積は150坪です。
2. 外壁面積を計算
次に、先ほどご紹介した計算式を用いて外壁面積を算出します。以下の計算により、外壁面積はおおよそ594m2であることが分かります。
3. 塗料選定
次に求める価格帯や耐用年数、性能に応じた塗料を選びます。なお、どれにしたらよいか分からないという方は、全ての面でバランスの取れたシリコン系塗料をおすすめします。ここでは、2,000円/m2程度のシリコン系塗料を想定します。
4. 2で算出した外壁面積と塗料単価で塗料費用を計算
延べ床面積から求めた外壁面積に塗料単価を掛け合わせて、必要な塗料費用を算出します。なお、外壁塗装では下塗り、中塗り、上塗りの3回塗装を行いますが、この塗料単価は3回分の塗装を想定しての単価となっています。
5. 足場や養生、高圧洗浄等の費用を計算して合計を出す
最後に足場や養生、高圧洗浄等他の費用を求めます。なお、ここでは足場面積や養生面積は外壁面積の1.2倍程度、高圧洗浄面積は足場面積の1.6倍程度を想定します。
このアパートの外壁塗装費としては、2,332,400円の費用が必要なことが分かります。ちなみに、塗料をフッ素系塗料(3,000円/m2)に替えた場合、見積もりは以下のように変わります。フッ素系塗料の場合は、おおよそ60万円程のアップとなり、外壁塗装費は、どの塗料を選ぶかで金額が大きく変わることが分かります。
足場費用 | 800円/m2×(594m2×1.2=約712m2) | 569,600円 |
---|---|---|
養生費用 | 400円/m2×(594m2×1.2=約712m2) | 284,800円 |
高圧洗浄費用 | 200円/m2(594m2×1.6=約950m2) | 190,000円 |
下地補修 | 100,000円 | |
外壁塗装費用 | 1,188,000円 | |
合計 | 2,332,400円 |
このアパートの外壁塗装費としては、2,332,400円の費用が必要なことが分かります。ちなみに、塗料をフッ素系塗料(3,000円/m2)に替えた場合、見積もりは以下のように変わります。フッ素系塗料の場合は、おおよそ60万円程のアップとなり、外壁塗装費は、どの塗料を選ぶかで金額が大きく変わることが分かります。
足場費用 | 800円/m2×(594m2×1.2=約712m2) | 569,600円 |
---|---|---|
養生費用 | 400円/m2×(594m2×1.2=約712m2) | 284,800円 |
高圧洗浄費用 | 200円/m2(594m2×1.6=約950m2) | 190,000円 |
下地補修 | 100,000円 | |
外壁塗装費用 | 594m2×3,000円/m2 | 1,782,000円 |
合計 | 2,926,400円 |
シミュレーションの注意点
上記シミュレーションの注意点としては、実際の外壁塗装では雨樋や軒天、破風など細かな部分の塗装やベランダ部分、屋根部分の塗装なども併せて行うことが多く、それらの塗装を行う場合は上記見積もりにプラスして考える必要があります。
どこまで塗装するかは自分で選ぶことができますが、折角費用をかけて足場を設置するため、同時に塗装する方も少なくありません。どこまでするか決めていないときは、業者に外壁の塗装だけの見積もりと、屋根塗装や雨樋等の塗装も含めた見積もりの両方をお願いするとよいでしょう。
どこまで塗装するかは自分で選ぶことができますが、折角費用をかけて足場を設置するため、同時に塗装する方も少なくありません。どこまでするか決めていないときは、業者に外壁の塗装だけの見積もりと、屋根塗装や雨樋等の塗装も含めた見積もりの両方をお願いするとよいでしょう。
まとめ

外壁塗装費のシミュレーション方法についてお伝えしました。外壁塗装費は建物の延べ床面積で大枠が決まりますが、その後、どの塗料を選ぶかで費用が異なってきます。外壁塗装業者に見積もりを取ったら思ったより高かった場合、塗料グレードの見直しを検討すると共に、複数の業者に相見積もりを取ってみるなどしてみるとよいでしょう。
なお、複数の業者に見積もりを取ると、たとえ同じ塗料でも独自のルートを持っている場合や、人件費を安く設定している場合には安くお願いできることがあるので、「とりあえず相見積もりを取る」ようにすることをおすすめします。
なお、複数の業者に見積もりを取ると、たとえ同じ塗料でも独自のルートを持っている場合や、人件費を安く設定している場合には安くお願いできることがあるので、「とりあえず相見積もりを取る」ようにすることをおすすめします。
外壁塗装の費用は塗料で変動します!
いくらかかるのか、見積もりを取って確認してみませんか?
この記事の監修者

逆瀬川 勇造
【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。