目次
外壁塗装の費用っていくらくらいかかるもの?

そもそも外壁塗装の費用はいくらくらいかかるのでしょうか?外壁塗装の費用は、どの塗料を選ぶかによっても大きく異なりますが、一般的なシリコン系塗料などを用いた場合の費用の目安としては、以下のようになります。
・木造2階建てアパート(300~400m2)=200~300万円
・木造3階建てアパート(600~700m2)=300~400万円
一般的な塗料では耐用年数が10年程度のため、10年に1回程度は上記費用がかかると考えるとよいでしょう。思ったより高いと感じられた方も少なくないのではないでしょうか。
・木造2階建てアパート(300~400m2)=200~300万円
・木造3階建てアパート(600~700m2)=300~400万円
一般的な塗料では耐用年数が10年程度のため、10年に1回程度は上記費用がかかると考えるとよいでしょう。思ったより高いと感じられた方も少なくないのではないでしょうか。
外壁塗装の経費を減らすために見直したいポイント5つ

外壁塗装自体は建物の美観を保ち、空室率を保つためにも欠かせないものですが、一方で、その費用をどれだけ安く抑えられるかは、大家さんの腕の見せ所です。ここでは、外壁塗装の経費を減らすために見直したいポイント5つをご紹介します。
1. 塗料の種類を見直す
外壁塗装の費用のうち、一番大きな割合を占めるのは塗料の費用です。そのため、塗料の費用を安いものへ変更すればそれだけで費用をかなり安く抑えることができます。
塗料を変える
塗料はどの種類を選ぶかによって価格が大きく異なります。種類ごとの費用の目安は以下のようになっていますが、一番安いアクリルと一番高い無機塗料とでは、単価で3~4倍程度差があるのが分かります。
塗料の種類 | 単価相場(m2) |
---|---|
アクリル | 1,400~1,600円 |
シリコン | 2,000~2,500円 |
ラジカル制御 | 2,200~2,800円 |
フッ素 | 3,500~4,500円 |
遮熱・断熱 | 3,000~4,500円 |
光触媒 | 4,200~5,000円 |
無機 | 4,000~5,500円 |
注意点
ただし、塗料の種類については耐用年数も含めて検討することが大切です。種類ごとの耐用年数の目安は以下の通りです。
例えば、塗料の単価が1,500円のアクリル系塗料であっても耐用年数が5年程度であれば、塗料の単価が5,000円の無機塗料で耐用年数25年のものと比べると、25年の間に前者は5回塗装しなおす必要があり、後者は1回で済む計算になります。単純計算で、前者は塗料の7,500円の単価がかかるのに対し、後者は5,000円で済むということです。さらに、1回外壁塗装をする度に足場を組んだり、人件費を支払ったりすることを考えるとその差はもっと大きくなります。
塗料の種類 | 耐用年数 |
---|---|
アクリル | 3~7年程度 |
シリコン | 7~12年程度 |
ラジカル制御 | 12~15年程度 |
フッ素 | 15~20年程度 |
遮熱・断熱 | 15~20年程度 |
光触媒 | 15~20年程度 |
無機 | 20~25年程度 |
例えば、塗料の単価が1,500円のアクリル系塗料であっても耐用年数が5年程度であれば、塗料の単価が5,000円の無機塗料で耐用年数25年のものと比べると、25年の間に前者は5回塗装しなおす必要があり、後者は1回で済む計算になります。単純計算で、前者は塗料の7,500円の単価がかかるのに対し、後者は5,000円で済むということです。さらに、1回外壁塗装をする度に足場を組んだり、人件費を支払ったりすることを考えるとその差はもっと大きくなります。
2. 施工内容を見直す
次に、施工内容を見直すことを検討してみましょう。
塗装範囲・箇所・内容を見直す
外壁塗装を行う際は、屋根の塗装を合わせて行うことも多いですが、それ以外にも、破風や軒裏、軒天、雨樋、巾木や、場合によってはベランダの床や手すり、エアコンの室外機などを塗装することもあります。これは、外壁塗装に伴って折角足場を設置するのだから、一緒に塗装してしまおうということなのですが、もちろんそれぞれについて費用が発生します。現状、きれいな箇所は省くことで費用を抑えることが可能になります。
注意点
外壁塗装の見積もりを依頼すると、業者が見積もりを作成しますが、見積もり書の中の塗料代は「塗料の単価×外壁の面積」で算出されます。このうち、塗料の単価は先述した通りですが、外壁の面積については延床面積などから概算するのが一般的です。概算する際は「延床面積(m2)×1.2~1.7」を外壁塗装面積としますが、「1.2~1.7」の設定については明確な決まりはなく、業者によってはやや多めに設定することもあるので注意して見積もり書を見ておく必要があります。
なお、業者によって実測してくれるところもありますし、そうでなくとも、平面図や立面図、矩計図などがあれば塗装面積を算出できるため、見積もり依頼時に用意しておくとよいでしょう。
なお、業者によって実測してくれるところもありますし、そうでなくとも、平面図や立面図、矩計図などがあれば塗装面積を算出できるため、見積もり依頼時に用意しておくとよいでしょう。
3. 補助金・助成金の有無を確認する
条件によっては、国や自治体の補助金や助成金を活用できることもあるので確認しておくようにしましょう。
補助金・助成金を活用する
2019年2月現在、国が実施するアパートの外壁塗装に関する補助金や助成金制度はありませんが、地方自治体によっては制度が用意されていることがあります。これらの補助金や助成金を利用するためには、断熱塗料や遮熱塗料を採用する必要があるなど一定の条件があります。
また、屋根塗装のみが対象であったり、自分で住むことが条件とされたりしていることもあります。助成金は条件を満たした上で申請すればお金を受け取ることができますが、補助金は条件を満たしていても審査に通らないとお金を受け取れないことがあります。補助金や助成金の申請をする際には、各自治体のサイト等を確認しましょう。例えば、東京都港区であれば以下のサイトが該当します。
また、屋根塗装のみが対象であったり、自分で住むことが条件とされたりしていることもあります。助成金は条件を満たした上で申請すればお金を受け取ることができますが、補助金は条件を満たしていても審査に通らないとお金を受け取れないことがあります。補助金や助成金の申請をする際には、各自治体のサイト等を確認しましょう。例えば、東京都港区であれば以下のサイトが該当します。
注意点
具体的な条件等は自治体によって異なりますが、ここでは補助金、助成金を受け取るにあたり一般的に気を付けておくべきことについてお伝えします。
まず、助成金や補助金の申請は基本的に工事開始前に行う必要があります。工事が始まった後や工事完了後に補助金や助成金制度があることに気づいても、後から申請することはできません。また、補助金や助成金は期間が設けられており、申請はその期間中しかできません。申請受付が開始するまで2カ月ある場合など、それまで工事に入ることができない点には注意が必要です。
まず、助成金や補助金の申請は基本的に工事開始前に行う必要があります。工事が始まった後や工事完了後に補助金や助成金制度があることに気づいても、後から申請することはできません。また、補助金や助成金は期間が設けられており、申請はその期間中しかできません。申請受付が開始するまで2カ月ある場合など、それまで工事に入ることができない点には注意が必要です。
4. 業者を見直す
外壁塗装の経費を減らすためには、業者を見直す方法も有効です。業者による見積もりは業者によって異なります。例え全く同じ工事内容だったとしても、塗装の仕入れルートや拠点から現地までに距離、利益率の設定などにより見積もりが変わってくるのです。
複数社に見積もりを依頼する
外壁塗装は、仮に同じ塗装であったとしても見積もりが変わる可能性があります。しかし、1社にしか見積もり依頼をしていないとその見積もりが相場より高いかどうかを判断することは難しいでしょう。そのため、基本的には同時に複数の業者に相見積もりを取ることをおすすめします。
注意点
相見積もりを取るときは、合計額だけでなく、見積もり書の内容にまでしっかり目を通すことが大切です。例えば、塗料の金額は塗料の単価×外壁塗装の面積で決まりますが、塗料にどのメーカーのどの商品を使っているのか、また、どれくらいの面積を塗るのか記載しておらず「一式」としか書かれていないケースもあります。
見積もり書は細かく記載してもらうこと
例えば、塗料はシリコン系塗料など同じ種類のものでも、メーカーや商品によって単価が異なりますし、面積をどのくらいの広さで見積もっているかでも塗料の金額が変わります。また、外壁塗装では下塗り、中塗り、上塗りの3工程で進めるのが一般的ですが、下塗り、上塗りの2工程で塗装するケースも稀にあります。
当然、費用が安くなるので納得した上であればまだよいですが、その説明もないようであれば問題です。基本的に、見積もり書はできるだけ細かく記載してもらうようお願いしましょう。
当然、費用が安くなるので納得した上であればまだよいですが、その説明もないようであれば問題です。基本的に、見積もり書はできるだけ細かく記載してもらうようお願いしましょう。
5. 計上方法を見直す
外壁塗装は計上の仕方によっては減価償却することも可能です。ここでは、外壁塗装を減価償却する方法やメリット・デメリットをご紹介します。
減価償却で計上する
外壁塗装を「資本的支出」として行う場合には、支払った経費を数年に分けて減価償却することが可能になります。外壁塗装が資本的支出と見なされるためには、「建物そのものの価値を高めるための塗装」であることや「外壁のデザインを変える塗装」であること、または「建物の耐久性を高めるための塗装」であるといった条件を満たす必要があります。
具体的には、塗料をグレードアップしたり、豪華な外観にしたり、耐久性の高い塗料を選んだりすることが該当します。なお、減価償却することのメリットとしては、数年間にわたり経費として計上することで節税につなげられるという点が挙げられるでしょう。
具体的には、塗料をグレードアップしたり、豪華な外観にしたり、耐久性の高い塗料を選んだりすることが該当します。なお、減価償却することのメリットとしては、数年間にわたり経費として計上することで節税につなげられるという点が挙げられるでしょう。
注意点
一方、外壁塗装が資本的支出でない場合には修繕費として取り扱われますが、この場合は、その年の経費として一括で計上されることになります。修繕費でも十分な利益が出ていれば、まとめて経費として計上しても節税効果が得られるのに加え、減価償却の場合、利益が少なかったり、赤字となってしまったりした年に減価償却分がムダになってしまう可能性もあります。必ずしもどちらがお得というわけではないので、ご自分のスタイルに合わせて工事内容を決めるとよいでしょう。
※計上方法は、税理士の方とも事前にご確認ください。 |
外壁塗装をする前に確認しておきたいこと

ここでは、外壁塗装をする前に確認しておきたいこととして、以下のことをお伝えします。
塗料の相場を確認する
先述したように、外壁塗装の塗料はその種類ごとに大きく異なるため、ある程度の相場を把握しておくことが大切です。
塗料の種類 | 単価相場(m2) |
---|---|
アクリル | 1,400~1,600円 |
シリコン | 2,000~2,500円 |
ラジカル制御 | 2,200~2,800円 |
フッ素 | 3,500~4,500円 |
遮熱・断熱 | 3,000~4,500円 |
光触媒 | 4,200~5,000円 |
無機 | 4,000~5,500円 |
メーカー名と商品名も確認
同じ種類であってもメーカーや商品によって価格が異なりますし、どの業者に依頼するかによって、仮に同じメーカー、同じ商品であっても価格が異なることがあります。業者によっては見積もり書に利用する塗料の種類やメーカー名、商品名の記載がない場合やオリジナル塗料を利用する場合があります。
こうした業者が必ずしも悪徳業者というわけではありませんが、このような見積もり書を提示してきたら、まずはメーカー名と商品名を記載してもらうよう依頼するようにしましょう。また、オリジナル塗料を使うケースは初めて利用するには判断が難しく、基本的にはおすすめしません。
こうした業者が必ずしも悪徳業者というわけではありませんが、このような見積もり書を提示してきたら、まずはメーカー名と商品名を記載してもらうよう依頼するようにしましょう。また、オリジナル塗料を使うケースは初めて利用するには判断が難しく、基本的にはおすすめしません。
外壁塗装のタイミングを考慮しよう
「そろそろ外壁塗装が必要だな……」と思った際、すぐに外壁塗装工事をするのではなく、塗装するタイミングを見極めることでお得に利用できる可能性があります。
外壁塗装には繁忙期(一般的には3~5月や9~11月)があり、繁忙期は職人の手が足りなくなるなどして、相場より高い金額を提示されることがあります。梅雨時期の塗装はおすすめできませんが、それぞれ夏は気温が高いため、冬は乾燥しているために塗料が乾きやすく、塗装の時期に適しています。繁忙期を避け、その上で夏や冬など塗装に問題のない時期を選ぶことで工事費を抑えられる可能性があります。
外壁塗装には繁忙期(一般的には3~5月や9~11月)があり、繁忙期は職人の手が足りなくなるなどして、相場より高い金額を提示されることがあります。梅雨時期の塗装はおすすめできませんが、それぞれ夏は気温が高いため、冬は乾燥しているために塗料が乾きやすく、塗装の時期に適しています。繁忙期を避け、その上で夏や冬など塗装に問題のない時期を選ぶことで工事費を抑えられる可能性があります。
入居者へは早めに連絡しておこう
外壁塗装工事期間中は、入居者が生活していく上で不便を感じることがあるため、工事を行うことは早めに入居者に伝えておくようにしましょう。なお、入居者に伝える際には工事内容や工事期間だけでなく、洗濯物が干せなくなることや足場の設置による騒音、塗料による臭いが発生すること、窓の近くに作業員が来る可能性があることなど、具体的に伝えておくとより親切です。
これら、工事について伝える際には挨拶して回った方が印象はよいでしょう。その際には、工事を担当する業者の担当者の方にも一緒に回ってもらうと、入居者からの質問に答えやすくなり安心です。
これら、工事について伝える際には挨拶して回った方が印象はよいでしょう。その際には、工事を担当する業者の担当者の方にも一緒に回ってもらうと、入居者からの質問に答えやすくなり安心です。
まとめ

外壁塗装の経費について、相場や経費を減らすためのポイント、事前に確認しておきたいことについてお伝えしました。外壁塗装費用を減らすには、塗料を単価の安いものに変えることが一番手っ取り早いですが、耐用年数によっては単価の高いものを選んだ方が将来的には安くなる可能性があります。
その他、外壁塗装の経費を資本的支出とするか、修繕費とするかについては大家さんの考え方によってどちらがよいか変わるでしょう。大家さんにとって、経費をどれだけ安く抑えられるかは腕の見せ所と言える部分なので、勉強を重ねながら、また税理士の方とも相談しながら改善を重ねていくとよいでしょう。
その他、外壁塗装の経費を資本的支出とするか、修繕費とするかについては大家さんの考え方によってどちらがよいか変わるでしょう。大家さんにとって、経費をどれだけ安く抑えられるかは腕の見せ所と言える部分なので、勉強を重ねながら、また税理士の方とも相談しながら改善を重ねていくとよいでしょう。
施工費用の見直しが大切
外壁塗装の費用を調べてみませんか?
この記事の監修者

逆瀬川 勇造
【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。